殿下あるある
俺を呼びに来た側近のエーベル。
エーベルは3歳年上の宰相の次男で常日頃、メガネをかけてキリッとしている。
彼は大陸殿下会が近づくにつれて、いそいそと何かを準備していて、最近かなりご機嫌。
準備に追われて、事務仕事が滞りがちで俺の執務室の机の上は書類で埋まりそうになっているのにも関わらず、なにも言ってこない。
いつもなら、「殿下、寝る間を惜しんでも働いてください!」と眦をつりあげて言ってくるのに。
理由を聞けば、俺たち皇太子殿下連中が講演会と懇親会で不在の間に別室で待機する各国皇太子殿下側近達と「殿下あるある」でめっちゃ盛り上がるらしく、それをものすごく楽しみにしているらしい。
なにそれ?
つまり、「うちの殿下のわがままっぷり自慢」「殿下からの無茶振りの解決の仕方」を披露し合って、慰め合い、共感をする会をするらしい。
その時に出される茶菓子や、ハンカチ?←なんのため?の準備に余念がないらしい。
俺もエーベルになにを言われるんだろう。
いや、気にしても仕方がないんだけど、めちゃくちゃ気になる。
でもきっとその会の締め括りは、
「それでもうちとこの殿下が1番最高♡」
と締め括られることを願わずにはいられない。
今日はとりあえずエーベルに優しくしよう。