表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/17

生徒会と殿下

 無事に王立学園初等部と景勝地の視察も終えて、突貫工事で作った日差しが避けられるぐらいの簡易な昼食会場で昼食となった。

 王立学園初等部では、可愛い子ども達の授業風景にみんながほっこりしたし、全ての行事が終了したこともあって、殿下達にはリラックスムードが漂っている。

 後は昼食後に俺からの謝辞と次回のご案内で終了だ。

 我が国の料理といえば、コレ!という代名詞のようなランチを食しながら、近くの席になった殿下達から、口々にお礼や感謝の言葉を頂く。

 

 そんな時、隣に座っていた殿下がある事をふと口にした。

「あの王立学園の子ども達が最終学年とかになったら、誰が生徒会の役員をするんだろうな。ダイハン王国はアーロン殿下以外「殿下」とかいないですよね」

 その一言に周りに座っておられた殿下達がすぐに反応をした。

「そうだな。平等に選挙とかするんだろうな。ある意味、羨ましいよ。俺は15歳から入学できる学校に入学して早々に「殿下」だからと、有無も言わさず生徒会長をさせられたよ」

「あ、俺も」

 何人かが頷いている。

「ですよね。「殿下」だから生徒会長みたいな図式はありますよね。私は部活動をしたかったから丁重にお断りしました」

「おおっ〰️」

「勇者!」

「どうせ卒業したら、同じような仕事に就くのだから、学生時代ぐらい自由にさせて欲しいよな」

 首を縦に振って、激しく同意されている方が多い。

 みんな、「生徒会」には一物を抱えていたようだ。

「婚約者と生徒会をやってた殿下とかいるのか?」

 誰かが質問を投げる。

「俺、それだわ」

 少し離れた席の殿下が答えると、2、3人の手が上がって、向こうの方で「あなたもそうか〰️」と盛り上がっている。

「ここだけの話、婚約者とはいずれ卒業したら二人三脚で同じ職場で共働きになるから、学生時代の間ぐらいは別でも良かったと思うこともある。こんなこと、妻には怖くて言えないけどな」

と、本音をペロッと語る殿下に、目立たないように頷いている殿下がちらほら。

「アーロン殿下はどうだったんですか?」

 えっ?

 思わぬタイミングで俺に質問が飛んできた。

「私は…その、15歳で早々に生徒会入り派です」

「そうだったんですね。では、婚約者候補とかとご一緒に?」

 そう思うよな。普通はそうなんだよ。

 そんな環境が良かったよ。めっちゃ憧れたよ。

「いえ、私の場合は一人息子ということもありまして、随分と周りが過保護ですので、全員男性でした」

「「うわー」」

 何人かが息を呑んで絶句している。

「それは楽しいような残念なような…」

「わちゃわちゃと気を使わずに楽しく過ごせたので、それはそれで良かったのですが、婚約者や婚約者候補と一緒に仕事をするみたいな青春に憧れはいまでもありますね」

 一緒に仕事をするうちに恋愛に発展したり、生徒会室でふたりっきりでイチャイチャしたり、役員同士のグループ交際とかでどこかにお出かけしたりすることに確かに憧れた。

 殿下が生徒会長に就いていたら、モテるハズなんだけどな。

 少数派ではあるが、婚約者や婚約者候補と生徒会をやらなかった、または女生徒とご縁がなかった殿下が大きく頷いている。

「あ、でも、もしあの頃に戻れたとしても、生徒会で一緒に仕事をしている婚約者がいるのにも関わらず他の女生徒と浮気をして、卒業パーティーで婚約破棄をするようなことだけは、絶対しません」

 俺は鼻息荒くその言葉を放った。

「アーロン殿下、今回の大陸殿下会のテーマを上手くまとめましたね。アーロン殿下からの締めの挨拶ですね」

 

 一同から大きな拍手が湧き起こる。

 

 意図せず、話の流れでそうなったが、少しでもこの大陸殿下会がこの皇太子殿下達にとっても有意義なものであったことを祈る。

 

 そして、無事に大陸殿下会は終了となった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ