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忘却の剣、彼方へ  作者: Zero3
第二章

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都市①

太陽が高く登り、空に陽光が広がっていたころ、馬車の振動が変わった。

柔らかい土の地面を叩いていた車輪の音が、やや硬い反響を帯びる。

ゼーナは荷台から天幕の隙間を指でめくり、外を覗いた。


視界の先には、巨大な門があった。

厚い木材と石でできたその門は、壁と一体化した構造を持ち、左右に並ぶ衛兵達が行き交う人々を監視している。

門扉はすでに開かれ、出入りする馬車や商人、冒険者たちで混み合っていた。


そのすぐ脇を、馬にまたがったヴァルトが並走する。

陽に焼けた肌と、つるりと磨きあげられた頭。鋲打ちの革鎧を身にまとったその巨体は、この人混みでもよく目立つ。


「ヴァルト・ガルドナー、調査隊帰還だ。通してくれ」


衛兵の一人が直立し、手を挙げて応じる。


「お疲れ様です、ヴァルト殿。想定より早いご帰還でしたね。なにかありましたか?」


「あぁ、ちょっとな。このままギルドに報告へ向かう」


「わかりました。では帰還の手続きだけしておきます」


手短なやり取りのあと、門の奥へと馬車が進み出す。

その瞬間、ゼーナの視界が一変した。

目に飛び込んできたのは、活気そのものだった。


街道の石畳が、陽の光を反射して眩しく光る。

両脇には赤茶や灰色の屋根を載せた建物が並び、木の柱に布の幟を掛けた店先では果物や道具が並べられていた。

広場の手前では、冒険者らしき若者たちが何かを話をしたり、商人らしき男性が声を張り上げ商売をしている。ゼーナがこれまで見たことの無い数の人々が往来していた。


「……」


ゼーナは言葉を失って見入っていた。

森の奥、廃墟と化したかつての国を越えて、初めての文明。草原の時よりも強く、色彩に満ちた場所。

その目に映るものすべてが、眩しかった。

人の声。行き交う表情。焼きたての食べ物の匂いと、何かの香ばしい香り。

どれもが、今までとは違う事だった。


「街に入ったみたいだな」


後ろから声がして振り返ると、カイルが荷台の中央に腰をかけ、涼しげな顔で景色を眺めていた。


「ここは、ノクタリカ。自由領テラノヴァの中央都市だ」


ゼーナは言葉もなく頷く。

馬車は広場に差しかかっていた。

そこには馬車がひしめき合い、馬のいななきと荷の積み下ろし、そして昼時の活気が入り混じっていた。

冒険者風の若者が地図を片手に外へ向かい、逆に鎧を汚した一団が馬車から降りて仲間を支えている。

干し肉をかじりながら水を飲む者、荷の中から戦利品らしき魔物の角を引きずり出す者――

そこには、ゼーナの知らない“生きた日常”があった。


「今回も無事に帰ってこれた……」


誰にともなく呟いた言葉が、風に消える。

ゼーナはそれでも目を逸らさず、景色を目に焼き付けていた。


やがて馬車が広場を抜けてさらに奥へ進むと、街の様相が徐々に変わっていった。


瓦屋根の小さな家々が並んでいた通りから、次第に建物の背が高くなり、外壁に張られた布や棚のような構造物が目立ち始める。

その前には色とりどりの瓶や袋、干された果物や野菜が並べられており、通行人が足を止めては何かを確かめていた。

別の建物では、黒く煤けた窓から赤い光がちらちらと漏れ、金属を叩く音と焼けた鉄の匂いが鼻をついた。

さらに奥では、天幕を張った広い入り口から香辛料のような刺激的な匂いが漂い、椅子に座った旅人らしき人々が湯気の立つ皿を前にしていた。

湯気と匂いが合わさって、ゼーナのお腹が小さく鳴る。食事を提供している場所――それくらいは、見ればわかった。


「この辺りが中心街だな」


カイルが横から声をかけてくる。


「商人と冒険者の拠点が集まってる。宿も多いし、飯屋や道具屋もだいたいこの辺にある」


ゼーナは返事もせず、ただ天幕の隙間から街を見つめ続けた。


知らない匂い。知らない音。知らない人々。

でも、どこか――懐かしいような気持ちが胸に湧いてくる。


そして、視線の先に、それまでとは明らかに異なる建物が現れた。


広場の一角に、ずっしりと構えた巨大な建物。

石とレンガで組まれたその壁面には風雨に削られた跡や、亀裂の補修痕があちこちに残っていた。

装飾はほとんどないが、太い柱と分厚い門が圧倒的な存在感を放っている。

正面には木板を並べた掲示板が複数立てられ、その前には鎧姿の男女が何人も集まり、紙を眺めては腕を組んだり仲間と話し合っていた。


ゼーナは、建物の上に掲げられた鉄の看板を見上げる。

そこには何かの文字が彫られているようだったが、意味は分からない。


けれど、その建物に向かってくる人の多さ。

中に出入りする者たちが、みな武器を持ち、訓練された足取りをしていること。

掲示板の紙を見て頷き、何かを決意したように歩き去っていく姿。


そのすべてが、そこが「冒険者にとって特別な場所」であることを示していた。


「……あれは?」


ゼーナが静かに問いかけると、カイルが視線を追って顎をしゃくる。


「あれが、冒険者ギルド本部さ。ここらじゃ一番大きくて、一番うるさい建物。冒険者の報告も依頼も、全部あそこを通る」


ゼーナは天幕の隙間からもう一度、建物を見つめた。

無骨な壁、行き交う人々、そうして建物の全貌を目に焼きつけているうちに、馬車はそのすぐ前まで近づいていった。


やがて、馬車が石畳の広場の一角で止まった。

冒険者ギルド本部の真正面。

黒ずんだ石段と分厚い扉を背に、二台の馬車が並ぶように停車する。


「着いたぞ。降りろ」


ヴァルトの低く響く声に応じて、先に他の冒険者たちが荷台から降りていく。

荷物を背負い直し、仲間同士で軽く声を交わしながら、彼らは慣れた足取りでギルドの入口へと向かった。


ゼーナもまた、荷台の後ろの天幕から飛び降りる。

眩しい陽の光が目を刺すが、その先に広がる建物の存在感がそれを忘れさせた。


数段の階段を登り、分厚い扉が押し開けられる。


中へ足を踏み入れた瞬間、ゼーナの鼻腔を空気の違いが突いた。

乾いた紙と革、油と金属の匂い。声のざわめきが充満し、天井の高いホールに響き渡っている。

外と同じような掲示板が並ぶ壁際には冒険者たちが群がり、窓口の前では報告や依頼の処理を行う職員たちの声が交差していた。


ヴァルトはその喧騒をものともせず、まっすぐとカウンターへ向かう。


「ヴァルト・ガルドナーだ。調査任務からの帰還報告に来た。本部長を頼む」


窓口にいた受付の女性が目を瞬かせ、すぐに背筋を正す。


「お疲れ様です、ヴァルト様。本部長にはすでに帰還の連絡が届いております。応接室の準備をいたしますので、少々お待ちください」


「頼む」


ヴァルトはそれだけ言い残し、振り返って調査隊の面々に声を投げる。


「任務の完了報告は、各自ここで受付に済ませておけ。あとは自由にしていい。休むなり、飯を食うなり好きにしろ。後日、報酬や記録の件で職員から個別に呼び出しがある」


「了解しましたっと。じゃあ解散だな。風呂入って寝るか〜」


「っとと、その前に酒な。帰ってこれた祝杯ってことでな」


軽口や笑い声が返る中、仲間たちは思い思いに散っていく。

手続きをしにカウンターへ並ぶ者、すぐに外へ出ていく者――

それぞれの帰還を実感するように、緊張から解き放たれた表情があちこちにあった。


そんな中で、ヴァルトはもう一度呼びかける。


「カイル、リオン……お前らはこのまま来い、襲撃の件だ。それとゼーナも、これからの件でだ」


リオンは舌打ちした。


「……チッ、説教かよ」


カイルは短く息を吐き、少し低い声で返す。


「了解です」


ゼーナは黙って頷いた。


四人の後に残る靴音が、喧騒の中で小さく響いた。

ヴァルトは無言のまま先を進み、ギルド本部の奥――重厚な扉の前で立ち止まる。


「入るぞ」


短く告げてノックもせず扉を押すと、木の軋むような音が静かな室内に広がった。

中は応接室だ。

革張りの長椅子と分厚い机、壁際には資料棚が並び、空気は静かで重い。窓から差し込む光が、淡く埃を照らしている。


その奥、窓際の椅子に腰掛けていたのは、短髪で白髪の男だった。

灰色のスーツ姿で上品な身なりだが、所々に年季の入った品を身につけている。

柔和な笑みを浮かべながらも、目の奥には隠せぬ老獪さが光る。

自由領テラノヴァ・冒険者ギルド本部長――ハロルド・ガロン。


「帰ってきたか。思ったより早かったじゃねぇか、ヴァルト」


「色々あった。報告する」


「……まあ、立ち話もなんだ、座れよ。後ろの嬢ちゃんたちもだ」


そう言って、ハロルドは軽く手を動かす。


ヴァルトは無言で革張りの長椅子へ歩み寄り、どかりと腰を下ろした。続いてゼーナもその横に腰を下ろすが、その背後で、カイルとリオンは短く頷いて壁際に立ったまま動かない。

ゼーナは一瞬焦った様子を見せる。


ハロルドはそんな様子をちらりと見て、笑顔を見せる。


「ははっ、気にすんな嬢ちゃん。……で、この嬢ちゃんと、若いの二人を一緒に連れてきたのは、何か理由があるんだろうな?」


「その前に報告だ」


ヴァルトは遮るように言い、肘を膝に置いてやや前のめりに姿勢を取った。


「まず、魔門周辺の調査で確認されたのは、魔門内から漏れたと思われる濃い魔素の影響だ。魔物が変異していた」


「変異ってのは、どの程度のもんだ?」


「軽度の個体なら、金級が単独で対処可能。ただし、一定以上の強さを持つ変異体も確認された。対応には複数人が必要になる場面もある。今後、調査依頼だけでなく、討伐依頼も継続的に出すべきだ」


ハロルドは顎に手を当て、目線をわずかに落とす。

ゼーナは部屋の雰囲気を探るように視線をさまよわせている。


「ふむ。予想以上に根が深そうだな。中の確認はできたのか?」


「……できなかった」


「理由を聞こうか」


ヴァルトの眉がわずかに動いた。


「内部調査に入ろうとしたところで、帝国の調査隊の者と接触した。態度のすべてにおいて敵意を感じた。交戦になれば、こちらの隊に被害が出ると判断し、撤退した」


ハロルドの目が細くなり、手元の指をゆっくりと組み替える。


「帝国、か……お前が撤退を判断したってんなら、よほどの連中だな。適当な偵察部隊じゃ、お前を退かせられやしねぇ」


ヴァルトは黙って頷く。ハロルドの言葉は揶揄ではなく、事実に基づいた評価だった。


「にしても……魔門が開いた直後に、帝国の調査隊が現れるのが早すぎやしないか」


ハロルドは指先で机を軽く叩きながら、天井を見上げる。


「“開いた”という情報を得て、あの規模で即座に動けたってのは、魔領地に対する関心が相当強いってことだ。しかも、こちらと鉢合わせたってのに、俺らに挨拶一つなしか。……最初から対話なんぞ考えてねぇ態度ってのは、ちと不気味だな」


「おそらく、今後も魔領地関連では干渉してくる可能性が高い。ギルドとしても、帝国の動向と調査体制を見直しておくべきだ」


「……そうだな。こっちでも改めて情報を洗わせる。詳しい報告書は後で提出してくれ」


ハロルドは軽く頷き、目線をヴァルトから外すことなく続ける。


「それで、嬢ちゃんとその二人の話に戻るわけだが……」


ハロルドが再び声を発した。視線はゼーナに向けられていたが、口調には威圧ではなく、穏やかな探りが込められている。


ヴァルトは一拍置いてから口を開いた。


「まずは、彼女のことから話す」


ゼーナは身を強張らせたが、ヴァルトの視線がまっすぐ自分に向いていないことに気づくと、少しだけ肩を緩めた。


「拠点の設営準備をしていた時、調査隊の一部で周辺の安全確認に出た。その際、魔物に襲われていた少女を発見した。その少女が――この“ゼーナ”だ」


「……なるほどな。怪我は?」


「軽傷だったが、魔物相手にある程度は応戦していた。武器の扱いにも見所はある。ただ……」


ヴァルトはそこで一度言葉を切り、ゼーナへ視線を向けた。


「本人の話では、記憶がほとんど無いらしい。名前以外、自分のことを何も語れない」


「……ふぅん」


ハロルドは組んだ指先をわずかに揺らしながら、ゼーナをじっと見つめた。ゼーナはその視線を正面から受け止めることはできず、少しだけ目を逸らす。


「襲撃された冒険者の一人かとも思ったが……いや、違うな」


ハロルドは目を細め、首を横に振る。


「俺は世界で冒険者と登録された奴の顔と名前は全部覚えてる。例外なくな。だが、その嬢ちゃんに見覚えはない。少なくとも、ギルド所属の人間じゃあねぇ」


その言葉を聞いた瞬間、ゼーナはわずかに驚く。

世界に冒険者がどれだけ存在するのか、彼女には見当もつかない。だが、今通ってきた街中にですら相当な数の人間がいた。その全てが冒険者という訳では無いだろうが、冒険者の風体をした人間はかなり多い。その全ての顔と名前を覚えているなどという話は、信じがたいどころか、どこか現実味を失うほどだった。


(そんなことできるの?)


思わずハロルドを見上げてしまう。

笑みを浮かべたその表情には誇張も虚勢もなく、ただ当然のような落ち着きだけが漂っていた。

ゼーナは何も言わず、その人物が只者ではないことをようやく実感する。


「俺も冒険者ではないと思う。装備も変わっていたし、武器の使い方は実戦経験よりも体に染みついた感覚に頼ってる。どこか素人の延長線に近い」


「……ふむ」


ハロルドは椅子の背に体を預け、しばし沈黙した。部屋の中に、風のような静けさが流れる。


「記憶を無くした嬢ちゃんが、あの場所にいて、魔物に襲われていた。魔門の事や帝国といい、タイミング的に色々考えられるな」


彼の声には疑念の色が混じっていたが、それでも決めつけには至らない冷静さがある。


「魔門が開いた直後に、帝国の調査隊が来ていた。それと同時期に、この少女があの地にいた。偶然として片付けるには、やはり気にかかる」


「……そうだな」


ハロルドは小さく頷き、ゼーナに穏やかな口調で語りかける。


「嬢ちゃん。お前さんが何者かは、まだわからねぇ。けど、今のところ害を感じてるわけじゃねぇし、命を助けたのはうちのギルドの連中だ。だったら、うちが責任を持って保護する」


ゼーナは驚いたように顔を上げる。何か言おうとして、言葉を飲み込んだ。


「……あんまり難しく考えるな。ここは自由領だ。訳ありの連中なんざ、いくらでもいる。だがな、ちゃんと筋を通して真っ当に生きてりゃ、居場所はちゃんとある」


その言葉は、ゼーナの中にじわりと沁み込んでいった。彼女は少しだけ俯き、小さく頷いた。

ハロルドは一度、椅子の背にもたれ直すと、やや声の調子を改めて言った。


「さて。嬢ちゃん。あんたの身の上も事情も分からねぇが、保護した以上うちのギルドとしては責任を持たなきゃならねぇ」


ゼーナは姿勢を正し、ハロルドの言葉にじっと耳を傾ける。


「けどな、いつまでも“保護される側”ってわけにはいかねぇのも、分かってくれるだろ」


「……はい」


小さな声で返事をすると、ハロルドは指を二本立てて見せた。


「選択肢は二つだ。一つはギルドの手伝いをして過ごすこと。荷運びや雑務、裏方の仕事だな。食いっぱぐれはねぇし、危ない目にも遭わねぇ。そのまま職員になってもらっても構わねぇ」


その言葉を聞いたとき、ゼーナはふと目を伏せた。 ギルドの職員――それがどんな仕事かは正直よく分からない。 誰かと仕事をした事も、世間話をした経験もない。


「もう一つは、冒険者として生きる道だ」


ハロルドはそのまま、自然に続けた。


「剣を振れる。魔物とも渡り合える。素質は十分だ。訓練すりゃ、もっとやれるようになる。……この先の道を自分の足で歩きたいってんなら、向いてる方だと思うぜ」


ゼーナは顔を上げた。迷いはなかった。


「……私は、冒険者がいいです」


それは、自然な答えだった。


“戦いの延長線上”にあるという感覚。 何も分からない職務に就くより、今まで通り剣を持って生きる方が、自分には向いている。 何より、それが――生きるために積み重ねてきたものの先にあるのなら、気が楽だった。


ハロルドは少し目を細めた。


「そう言うと思ったよ。……いい判断だ」


そう言いながら、ハロルドは少しだけ笑みを深め、声の調子を変えた。


「それと――自分のことを知りたいなら、冒険者って立場は都合がいい。登録されちまえば、国境越えもそこまで難しくはねぇ。身分証代わりにもなるし、各地のギルドで助けを借りることもできる」


その言葉に、ゼーナの目がわずかに見開かれた。


(……自分のことを、知るために)


自分の事や、リヴェリア、アストリアの事。それについて詳しく知りたいという思いは、ゼーナの中の大きな目標だった。 ハロルドの言葉は、その願いを“現実に手を伸ばせる形”に変えてくれた。


「……お願いします」


今度は、はっきりとした声で。

ハロルドは満足そうに頷いた。


「よし!じゃあそれで決まりだ。手続きを進めておくぞ」


ひとまず、何とかなりそうでゼーナはそっと息を吐いた。



その横で、ヴァルトは黙して聞いていた。

彼女の言葉はまっすぐで、曇りもなかった。本当に記憶をなくし、前に進む方法を模索しているのだろうと感じた。――だからこそ、胸の奥にわずかな重さが残る。


(結局、手元に置いて監視か)


表向きは進む道を提示し、選ばせた形にしている。けれど実際には、帝国や魔門と関わりがあるかもしれない彼女をこのまま野に放つわけにもいかない。ギルドの庇護下――つまり、監視のもとに置く必要がある。だからどちらを選んでもギルドで管理できる選択肢にした。それをヴァルトはハロルドの言動から理解していた。


それでも、と彼は思う。


彼女自身がその道を「選んだ」のなら、少なくともその意志は、誰のものでもない。


ただ静かに、ヴァルトは視線を逸らさぬまま、その選択を尊重した。

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