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 Side=キュキュシュ∥Beginning∥『Reload』



「・・・・キャサティア・・・・」


 地下水路から転送魔法で国境付近の森の側まで送られた。

 けれども、戻りたい気持ちで一杯だった。


 キャサティアは攻撃を食らっていた。

 私を逃がすために、強制的に転送魔法を使った。

 キャサティアは大丈夫なのか?


「キャサティア・・・・」

 もう一度名を呼ぶ。


 だが、誰にも聞こえずに風に流される。


 どうしよう・・・。

 涙が溢れる。どうしたら良いか解らない。

 『ローズ』の皆は大丈夫なのか?キャサティアは大丈夫なのか?


 今私は独りだ。

 どうしたら・・・・、サヤさん?サヤさんは?


 そこで思い出す。

 先に送ったサヤさんは無事なのか?と。


 キャサティアを救う為に戻っても、きっとキャサティアは怒るだろう。

 どう言う考えでキャサティアがあの状況で私を送ったのか。


 考えれば解る。

 今私は『アスリトン』には戻ってはいけない。

 今は、『ローズ』の皆と合流しないと。


 私は立ち上がる。

 まずは、サヤさんを捜そう。


 キャサティアが言った通り、今のサヤさんは戦える状況じゃない。

 今、悪魔や他国の兵に見つかったら、確実にサヤさんは殺られる。


 それだけは避けなければ。

 サヤさんは、こんな所で死ぬ様な人じゃない。


 キャサティアだって、きっと無事だ。


 自然と涙が溢れる。

 それを拭い、歩き出す。



 Side=キュキュシュ∥Out
























 Side=???∥Beginning∥『Reload』



 『アスリトン』国境付近。

 もう此所まで来れば、後10分で行ける。


 まぁ、強化魔法無しだったら1時間は掛かる。

 強化魔法の偉大さに敬意払わないとな。


 それにしても、気が重い。

 戦争に向かうってのは最悪な気分になる。


 もしこれが、自国を愛する者達ならば喜んで侵攻して行くのだろう。

 現に、この部隊にもその様な奴は居る。


 だが、俺は国を愛してはいるがそれは国には知り合いが沢山居るからだ。

 それが戦争賛成とは繋がらない。

 もし、『アスリトン』に知り合いが居れば、俺はどんな気持ちだったのか?


 もしもの話をしても無駄か。

 結局俺はそんな事気にしても、侵攻するのだろう。


 最悪な気分だ。

 俺は残念ながら国の為に死ぬ気も更々無い。


 自国の名を叫び、自ら死に行く兵がここ最近増えた。

 もう戦争は一種の宗教事業かと思う程だ。


 戦争と言う何かで人を動かしている。そのような感じがした。

 様々な思考が入り交じるこの世界で、俺等は多分凄く不毛な争いをしているのかもしれない。


 まぁ、これももしもの話の域を出ないのだが。


「はぁ~・・・ん?」

 溜息を吐きながら、ふと横を見た。

 夜中のせいで、周りの森は一層に暗い。


 その中で、何かが目に映る。

 ・・・女性?


 一瞬だったが、間違えは無い。

 目は言い方だから。


 だが、こんな真夜中に何で?それにこの辺りには村も無いだろうに。

 『アスリトン』の人間か?

 それでも可笑しい。


 では?

 ・・・考える前に接触した方が良いな。

 無関係な人間だったら危険だ。


 ・・・隊長には何て言おうか。

 まぁ、適当に理由を付けて・・・と。


 紙に適当に理由を書き、目の前を歩く隊長の鎧の隙間に挟める。


 これで良いだろう。

 後は、静かに静かに横に行って・・・。


 辺りを見ながら、横に逸れて行く。


 完全に茂みに入って、暫く部隊の流れを見ながら直ぐにあの女性を追う。


 結構簡単だったな。

 まぁ、大人数で行動しているから1人2人減っても解らないだろうしな。

 それよりも、こっちの方が何かある様な気がしてならない。


 第五感とも言うのだろうか?

 まぁ、戦争に行くよりはマシだろう。


 ・・・もう見失ったか?

 人影が全然見えない。


 元々暗闇のせいで何も見えないからな。

 あの女性は走っていたのだが、何かを捜していたのか?


 感知も苦手だからな。どうしようか。

 兎に角、走り回っていれば解るか?


 だが、鎧が重くて全然駄目だ。疲れる。

 象徴とか言ってはいるが重すぎる。・・・脱ぐか。


 立ち止まり、鎧を脱いで行く。

 甲冑脱ぐだけで良いか。随分軽くなったな。これなら軽く1時間は走れる。


 オルを使いたいが、それだと部隊に気付かれるしな。

 自分の足で捜すしか無いか。


 何故かワクワクするのはどうしてなのだろうかな?



 Side=???∥Out






















 Side=キュキュシュ∥Beginning∥『Reload』



 一体何処に。

 この辺りに送った筈なんだけど、全然見つからない。

 今のサヤさんの状況だったら自分で歩く何て出来ない筈。


 なら、捕まった?

 その可能性が有る。早く見つけないと。


 真っ暗で全然解らない。

 一応サヤさんに流した私の魔力で追ってはいるけど、サヤさん魔力を放出したのか薄すぎて全然解らない。


 どうしよう・・・どうしよう・・・。

 焦りが募る。


『そのまま真っ直ぐに走れ―――主は此所だ』


「!!?」

 頭の中に声が響く。


 これは、サヤさんを見つける時も同じ声が?


『主を―――頼む』


「アナタは誰!?一体・・・」

 そう言いながらも、言われた通り走り続ける。


『主を―――頼む』


「主ってサヤさんの事!?アナタは一体何者なの!!?」


『主を―――頼む』


 尋ねるが、その質問答えは返ってこない。

 一体何者?


『主を―――頼む―――天空を継ぐ者よ』


「!!?天空を継ぐ者!?アナタ・・・何者!?」

 頭に響く声が言った言葉。それを聞いて立ち止まる。


 辺りを見渡すが、誰も居ない。

 天空を継ぐ者。お爺様が言っていた事と同じ。


 一体・・・誰?何故それを知っているの?


『主を―――頼む』


 頭に響く声はそれだけ言って、聞こえなくなる。

 私の質問には一切答えず、疑問だけを残して・・・・。


「・・・あぁ~もう!!!」

 頭を振り、走り出す。


 今はサヤさんが先だ。

 この事は後々考えれば良い。


 すると、


「おぉ~い!!」


 後ろから声がした。

 誰?こんな所で・・・。


 振り返る。すると、上半身の甲冑を脱いだ奇妙な男性が此方に手を振っている。


「・・・誰?」

 知り合いでは・・・ない。


 敵?だが、敵なら私に手を振らずに直ぐさま攻撃してくるのでは?

 では・・・誰?


 走って来る男性はどんどん近づいて来る。

 そして、私の数メートル前で止まる。


 オレンジの髪。青年だ。

 だが、その格好は・・・・。


「いやぁ、良かった。先程貴女の事を見つけましてね。こんな夜中に女性一人がこんな森の中は危険だと思いまして追わせていただきました」

 青年は礼儀正しく説明する。


 ・・・危険ではないのだろうか?

 けれども、格好と良い言っている事と良い、印象と良い、悪い人の様な感じはしないけど・・・。

「貴方こそ、どうしてこんな森に?」

 警戒して損はない筈。


「私ですか?いやぁ~色々有りましてね!今抜けて来た所なんですよ!!」

 詳しい事は言わない。


 これは怪しいのだろうか?

 キャサティアが居れば良いのだが・・・いや、キャサティアは男を見たら誰にでも銃を向けるんだった・・・。


「・・・貴方は―――!!!??」

 後ろを振り返る。


 微かだった魔力が強く感じる。

 サヤさん?


 すると、青年が剣を抜き出す。

「えっ!?」

 何故?どうして?


 すると、青年は呟く。

「貴女が感じていないと言う事は・・・これは私にだけ向けられているらしいですね」

 青年は呟く。


 感じていない?魔力の事?それなら私も感じているけど、それと違う何かって事?


 すると、青年は驚いた顔をする。

 それを見て、私は振り返る。


 そこには、闇に同化するかの様にサヤさんが立っていた。

「サヤさん!!!」


 私はやっと見つけた嬉しさと、サヤさんが無事だった事の嬉しさで駆け寄ろうとする。


 だが、

「おい・・・そこの男。貴様は何者だ?」


 サヤさんのその声を聞いた瞬間、足を止めた。いや、強制的に止まった。

「サヤ・・・さん?」


「もう一度尋ねる。貴様は何者だ?何故、キュキュシュと共に居る?キュキュシュの仲間か?それとも・・・敵か?」


 その瞬間気付く。青年が言っていた言葉の意味。

 私が感じていない。それは、殺気。


 青年は気付いていた。

 充満する殺気に。何故私は気付かなかった?


 それも簡単だ。サヤさんが私に向けていなかっただけ。


 けれども、この距離になって私も感じる。

 これは・・・殺気と言う名の恐怖。


 足が・・・震える。

 何・・・これ?



 Side=キュキュシュ∥Out



























 Side=???∥Beginning∥『Reload』



 驚いた。女性と話している時、彼を見つけた。

 いや、彼の方から現れた。


 だが、それ以上にこの殺気は彼が放っていると気付く。

 すると、彼が俺に尋ねる。


「おい・・・そこの男。貴様は何者だ?」


 その言葉に節々に殺気が混じっている。

 その殺気は冷たく、恐ろしい程に鋭い。


「サヤ・・・さん?」

 女性が呟く。


 どうやら女性と彼は知り合いの様だ。

 だからこの女性には殺気を・・・だが、この距離だ。気付いた筈だ。


「もう一度尋ねる。貴様は何者だ?何故、キュキュシュと共に居る?キュキュシュの仲間か?それとも・・・敵か?」


 彼がもう一度俺に尋ねる。

 どうする?今の彼は何か可笑しい。


 初めて会った時と、まるっきり様子が違う。

 あの時も圧倒的な何かを感じた。だが、今感じているのは圧倒的恐怖。


 違う。これはあの時の彼とは全然違う。

 ・・・・・・、

「・・・弱くなりましたか?」


「んぁ?」

 彼は一層に殺気を強くする。


 私は笑みを浮かべる。

「もう一度言いますか?貴方、弱くなりましたよね。何ですかこの殺気は?これぐらいならそこらに居る兵士でも十分放てますよ?前の貴方はこんな事しなくとも圧倒的威圧感が有った。けれども、今の貴方から感じるのは・・・ただの恐怖だ」


 初めて会った時は恐怖こそ感じなかったが、威圧感は感じていた。

 勝てない。そう何度も自分に言い聞かせた。


 けれども、今なら勝てる。


「お前・・・あまり俺を怒らせるなよ?」

 彼は俺を睨む。


「もう怒っているでしょ?それとも、今以上の醜態を私に見せてくれるのですか?」

 そう、俺がもう一度会ってみたかったのはこんな彼じゃない。


 彼はこんな人じゃない筈だ。

 一度、数分会って話をしただけ。

 けれども、彼の凄さは十分解ったつもりだ。

 だからこそ!彼はこんなんじゃない。


「お前・・・俺を舐めるなアァァァァァァァァァッッッ!!!!!!!!!!」

 彼は叫び、握っていた銃を俺に向けて乱射する。


ドドドドドドドドドドドドドッッッッッ!!!!!!!!!!


 俺は握る剣を振るう。

 その瞬間、放たれた銃弾が消える。


「んぁ?・・・小賢しい真似すんじゃねぇーよ!!!テメェーはさっさと死ねやァァァァ!!!!」

 彼は叫び、俺に迫る。


 俺は剣を構える。


 すると、

「あ・・・お・・ま―――」

 糸が切れた様にいきなり倒れた。

 「お・・・ま」?なんだそれは?


「・・・?」

 良く解らず、彼を見る。目立つ外傷はない。


「サヤさん!?サヤさん!?」

 女性が彼に駆け寄る。


「どう言う事ですか?彼はどこか怪我でも?」

 俺も剣をしまい近づく。


「外傷は無いですけど、魔力と精神がズタズタなんです」


「精神?―――!!??隠れて!!!」

 尋ねようとした時、足音が聴こえた。


「えっ!?えっ?」

 女性は何がなにやらと言った表情をしている。


「彼は私が背負います。兎に角今は隠れて!!」

 倒れている彼を背負う。そして近くの茂みに隠れる。


『一体どうしたんですか?』

 女性は小さな声で尋ねる。


『いや、どうやら先程の銃声で此方に来た様ですね』

 少し安易だった。考えれば解る事だったのに。


 森の闇から、複数の兵士が此方にやって来る。


 良かった。『黒い討伐隊』では無くて。

 もし隊長とかが来たら完全に見つかっていた。


『あれは・・・『シャクリード』の鎧?何故こんな所に?』

 隣で女性が驚いている。


 ・・・直ぐに『シャクリード』の兵だと解った?と、言う事は彼女は何処かの軍に所属しているのか?

 いや、考えるのは後だ。今は彼等が去るのを待つ。


 やって来た兵士は辺りを見渡しながら、数分はその場に居た。

 そして、何も無いと解ったのか来た道を戻って行った。


 その様子を見ながら、軽く息を吐く。


『行った様ですね』

 女性が小さな声で言う。


『そうですね。ですが、この場に居るのは危険です。兎に角森を抜けましょう』

 俺がそう言うと、女性は暫く考えそして頷く。


『それでは、行きましょうか』

 俺はそう言い、彼を背負い中腰で歩き出す。結構キツイが大丈夫だろう。


 女性も俺の後を追って歩き出す。


 さて、この後どうなるのだろうか?

 彼が目覚めたらまた攻撃されそうで恐ろしい。


 弱くなったと言っても、彼の殺気は十分に恐怖を感じる。

 良くそこらの兵士と同じと言ったもんだ。


 数分前の俺に「死ね」と言う賛辞を。



 Side=???∥Out
























 Side=第三者∥Beginning∥『Reload』



 『アスリトン』に向かう『シャクリード』の部隊は止まっていた。

 それは、先程森から聴こえた銃声。


 その探索で数人の兵が向かっているからだ。


 そして、数分後森のなからか向かった兵士が戻ってくる。


 その様子を見ながら『黒い討伐隊』隊長のガスロー=バルックは溜息を吐く。

 緊張しているこの状況で、更に火に油を注ぐ様な銃声。


 戦闘いならずに良かった。

 ガスローはそう思い、溜息を吐いた。


 すると、戻って来た兵士が何かを持っていた。

 それは、黒い鎧。だが、上だけ。


 ガスローはそれを見て、思わず辺りを見渡す。

「あの馬鹿は?」

 周りの者に尋ねるが、周りの者は首を傾げる。


「まさか・・・その鎧」

 ガスローは震え出す。


 その様子を見ていた同じ黒い鎧を纏った者が、ガスローの鎧の隙間に挟まる紙を見つける。

「隊長・・・隊長の鎧にこんな紙が挟まっていましたよ?」

 隊員がそれを取り、隊長に渡す。


 隊長はそれを受け取り、その紙に書かれた事を読む。

「・・・・・あんのぉ~・・・糞餓鬼がアァァァァァァァァァッッッ!!!!!!」


 ガスローは紙を読んで叫ぶ。

 その叫び声を聞いて周りの兵士がビクっと体を強張らせる。


 平然としているのは同じ黒い鎧を纏った『黒い討伐隊』の面々だ。

 紙を渡した隊員が、それをガスローの手から取り、声を出して読む。


「『ちょっと行ってきます。捜さないで下さい。てか、俺の存在を忘れて下さい。オルト=ゴウより。P.S.隊長の酒飲んだのは俺とコスです』・・・ですって」


「うぉい!!俺とばっちりじゃねぇーか!!!」

 紙に書かれた内容を聞いて、一人の隊員が叫ぶ。どうやら彼がコスらしい。


「あの糞餓鬼・・・会ったら殺す。・・・だが、その前に」

 ガスローはそう言い、コスの方を見る。

「ひぃっ!!」

 コスが体を強張らせる。


「まずはお前から殺す!!!」


「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」


 その日、森の中から銃声・叫び声。そして悲鳴が轟いた。



 Side=第三者∥Out








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