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Side=バティフォーリ=ケスティマ∥Beginning∥『Reload』
1日程森の中の廃屋で休み、直ぐさま『グラパス』に発とうと思ったのだが・・・。
「おいおい・・・これは何の冗談だ?」
木に隠れながら辺りを見る。
悪魔だ。
ソロモン72柱の悪魔じゃない。雑魚共だ。
こんな雑魚蹴散らせば良いのだが、問題は数。
「ざっと数えただけでも100は居ますね」
カロの笑みが若干引き攣っている。
「これ俺等を捜してるのか?」
「そうじゃないですか?まぁ、違う事を願いますが・・・」
「グガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッッ!!!!!!!」
悪魔が空を仰ぎながら叫ぶ。
相手にするのは別に良い。
だが、問題はこの雑魚の中にソロモン72柱の悪魔が居るかどうかだ。
「居るとすれば、あの刺青を入れた女ですかね?」
「あの女か?それはマズいだろ?」
マルコシアスとか言う村を燃やした悪魔の能力を使える悪魔。
もしあの悪魔と戦闘になると、無傷はないな。
「どうする?素通りするか?」
「いえ・・・此所は撃破した方が良いと思います。この悪魔達が見つからないから帰るなどの頭は持ってないでしょうしね。片っ端から人を喰いますよ」
そう言いながら、カロは右腕の袖を捲る。
「そうだな・・・・。一丁やってやるか・・・」
黒槍を造り出し、そして走り出す。
「オラァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」
黒槍を投擲したら直ぐさままた造り出し投擲。
それを繰り返した。
「『呑み込む全ては源の水―――命は全てを包む―――『水界・絶』』」
カロが詠唱した瞬間、悪魔達が水に呑み込まれる。
そして、そのまま水がもの凄い速さで圧縮され、小さな球体になる。
「えげつねぇーな!!おぃ!!」
「ふふ、私も嫌いな技ですよ!!」
話ながらも、雑魚共を蹴散らせて行く。
俺は目を瞑り、詠唱する。
「『道塞がる者を―――その強靭は矛先で貫け―――『剛力地槍』』」
直ぐさま突く。
「ゴゥラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
ドゴォォォォオオオオオオォォォォォォォオオオオオオオッッッッン!!!!!!!!
地面が抉れ悪魔共が四散していく。
砂塵が舞う中、声が響く。
「『道塞がる者を―――その強靭は矛先で貫け―――『剛力地槍』』」
「なっ!?」
ドゴォォォォオオオオオオォォォォォォォオオオオオオオッッッッン!!!!!!!!
俺へ向かって地面が抉れる。
「クソがッッ!!!!!!!!!」
『剛力地槍』を突き出し、相殺しようとしたが、
ドゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!
そのまま衝撃は俺にぶち当たる。
「ぐあァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
地面に『剛力地槍』を突き刺し、後ろに吹き飛ぶのを防ぐ。
「フォーリ!!!!!!!!!!!」
「大丈夫だ!!!てか、何処の何奴が俺の技使いやがった!!!!!」
俺は砂塵を見つめる。
すると、人影が見える。
そして、また声が響く。
「『巻き起これ―――全てを巻き込む竜巻よ―――『暴風疾槍』』」
その声がした瞬間、強風が吹きそれによって砂塵が晴れる。
「クッ!!・・・・テメェーは・・・・」
晴れた砂塵の中に立っていたのは、顔に刺青を入れたあの女悪魔。
「驚いているのか?下種野郎」
悪魔はニヤリと頬を吊り上げる。
「何で俺の技を使える?」
『剛力地槍』を地面から抜き、構える。
「んぁ?それを言うと思うのか?糞野郎」
悪魔も『暴風疾槍』を構える。
「言う気がねぇーんなら・・・・言わずに殺してやるよ」
「テメェーの技で、テメェーの腸ぶちまけてやるよぉ!!!雑魚野郎!!!!」
悪魔が叫び、そのまま『暴風疾槍』を突く。
強風が衝撃波の様に俺を襲う。
「舐めるなァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」
強風の衝撃波に向かって『剛力地槍』を突く。
ドゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!
再度砂塵が舞う。
視界が悪くなり、悪魔を見失う。
「チッ!!何処だ?」
辺りを見渡しながら槍を構える。
「『稲妻の如く―――轟き貫け―――『雷神雷槍』』」
「なっ!?」
その声がした瞬間、砂塵から雷を象った槍が俺の胸めがけて飛んで来る。
それを『剛力地槍』で辛うじて胸への直撃は避けたが、
ブシュゥゥゥゥゥウウウウウゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!!
右腕が吹き飛ぶ。
『雷神雷槍』を投擲しやがったのか!?
砂塵で向こうも俺が見えない筈だが・・・クソが、油断した。
「どうした?今の感じだと腕は取れたか?蛆虫野郎」
砂塵の中から、悪魔の声が響く。
「舐めるなって・・・言っているだろうがァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
『剛力地槍』を投擲する。
そして瞬時に詠唱もする。
「『五体刺死―――天罰の槍』」
俺の後ろから槍が現れ、その槍達が飛び出す。
「『破壊を司り―――破滅を誘う―――広がる障害を駆逐しろ―――『破砕双槍』』」
悪魔が『破砕双槍』を造り出すが、無駄だ。
ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!
「ぐがァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
悪魔の叫び声が響く。
砂塵が晴れ、視界が良くなる。
そして、血だらけの悪魔の姿。
4本も避けたのか・・・・だが、腹には当たったらしいな。
致命傷だ。
「グハッ・・・・ゲホッ!!」
悪魔が血反吐を吐く。
その吐き出された血を悪魔が見た時、悪魔が震え出す。
「血・・・わ、私の・・・血!!血!血!血血血血血血血血ィィィィィィィ!!!!」
「んぁ?」
悪魔は動揺し、錯乱していた。
「私の血!!私だけの!!私の血ィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!」
悪魔が叫び出す。
そして、その瞬間悪魔が赤く光り出す。
「なっ!?」
コイツ、まだ使える能力があるのか!?
「『道塞がる者を―――その強靭は矛先で貫け―――『剛力地槍』』」
『剛力地槍』を造り出し、構える。
「ぐがァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
悪魔は白目を剥き叫ぶ。
その瞬間、頭の中にある光景が浮かぶ。
この光景と同じ光景を・・・俺は・・・。
まるでフラッシュバックしている様な・・・・。
これは・・・一体。
「痛ッ!!・・・これは・・・・何だ?」
頭痛がおき、頭を押さえる。
だが、頭の中の光景は目紛しく変わっていく。
声が響く。これは、俺の・・・・。
『ニック!!俺明日には実験終わりだってさ!!』
・・・コウド。
『私ね!この実験が終わって自由になれたら、色々な所旅したい!!』
・・・メリー。
『俺もこんな糞な実験早く終わらせて、皆で笑いてぇーよ』
・・・バル。
皆・・・俺は知っている。
仲間・・・友達。唯一の・・・信用出来る者達。
『ククク・・・実験は成功だ。まさか3体も成功するとは・・・これで我々の功績が認められる!!!後は最終段階だけだ!!』
誰だ・・・これは・・・。
『ニック・・・俺を・・・殺してくれ』
・・・コウド。
『お願い。私が、人を殺す前に・・・・』
・・・メリー。
『友に殺されるなら・・・本望だ』
・・・バル。
『何言っている!!皆で笑うんだろ!!此所で死んで良いのかよ!!!』
これは、俺だ。
『『『ぐがァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!』』』
3人が赤く光り出す。
そして、辛うじてある意識で、呟く。
『『『殺して・・・』』』
「アァァァァアアアアァアアアアアアァァアアアアアアア!!!!!」
全て・・・思い出す。
俺は、仲間を・・・友達を・・・自分の中に取り込み・・・殺した。
そこで俺の意識は吞まれた。
赤くて、赤くて・・・まるで血の海に溺れる様に―――。
Side=バティフォーリ=ケスティマ∥Out
Side=カロナス=ナイハ∥Beginning∥『Reload』
悪魔がいきなり赤く光り出したと思った瞬間、フォーリが頭を抱えて崩れ落ちた。
そして、
「アァァァァアアアアァアアアアアアァァアアアアアアア!!!!!」
フォーリも叫び、そして赤く光り出す。
その瞬間、吹き飛ばされ筈の右腕が再生する。
そして、空を仰ぎながら静かに立ち上がる。
あれは・・・もしや・・・。
私はフォーリから目が離せないでいた。
その瞬間、
ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!
フォーリが消えた瞬間、悪魔が血を噴き出す。
悪魔の方を見ると、フォーリが悪魔の胸を手で突き刺していた。
「ぐがァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
悪魔は悲痛の叫びを上げ、フォーリを殴ろうとするが、フォーリはなんのモーションも無しに悪魔の両腕を吹き飛ばす。
ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!
「ぐぎゃァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
悪魔が顔を歪めて膝から崩れ落ちる。
フォーリは悪魔の頭を左手で鷲掴みし、右手を挙げる。
そして、それをもの凄い速さで振り下ろす。
ブシュゥゥゥウウウウゥゥゥウウウゥゥゥゥゥゥウウ!!!!!!!!!!!
悪魔は首を切断され、胴はそのまま地面に倒れる。
そして、フォーリの左手には悪魔の首が掴まれている。
フォーリはその首を地面に投げ、此方を見る。
汗が流れる。
此方を見たフォーリの表情は無。
何も思わず、何も考えず、首を落とした。
その時、気付く。
フォーリが血の涙を流している事に。
「フォーリ・・・貴方は幻想実験の被験者だったんですね」
私がそう言っても、フォーリは無反応だった。
幻想実験。
人と言う枠を越え、全てを超越した生物を造り出す実験。
だが、その実験は・・・。
「あの実験は確か、30年も前の実験の筈ですが?しかも、成功は無かった筈です」
幻想実験の事は『謎喰い』に所属していた頃に調べた。
だが、その殆どが消されており大まかな事しか解らなかった。
もし、フォーリが本当に幻想実験の被験者で、成功者だった場合・・・。
私では勝てない。
あの文献は・・・異常だった。
僅かに残るあの文献を見ただけでも解る。
あれは人にやろうとしている実験ではない。
悪魔喰いや屍肉など・・・生易しい。
幻想実験は、完全に狂っている。
幻想実験。僅かに残る文献にはこう書かれていた。
『被験者100名。第一段階。膨大な魔力を流し込み、耐えられる器を作り出す。第二段階。精神を弄り、殺しをさせる。最終段階――――もっと信用する者を殺して完全となる』
人を・・・何だと思っている?
これが成功すると思っていたのか?
これでは、最終的に成功しても自我を失う人形にしかならなかった筈だ。
すると、フォーリが微かに声を出す。
「・・・ころ・・・し・・て・・・くれ」
その言葉を聞いて、愕然とする。
拳を強く握る。
「た・・・のむ・・・」
自然と、唇を噛む。
実験の事などどうでも良い。
静かに、フォーリを見据える。
「助けてあげます。ですが・・・殺しはしません。フォーリ。貴方を生かして助けます」
「ころし・・・て・・・く―――――グガァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
フォーリが更に赤く光る。
そして、表情が無に戻る。
呑み込まれた・・・。
勝てるか?
可能性は少ない。
けれども、
「友を見捨てる程・・・腐っては無いんですよ」
右腕に水を纏う。
その水が揺れる。
そして、静かに見据える。
フォーリは私を無表情で見つめる。
感情が死んでいる。
ですが・・・必ず助け出します。
友を失うのは・・・もう嫌ですから。
Side=カロナス=ナイハ∥Out