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 Side=第三者∥Beginning∥『Reload』



 刃が交わる。


 一閃。


 ロスドンの剣がサヤの首を狙い真横に振るう。

 サヤはそれを少し後ろに下がり、紙一重で躱して『仙牙龍刀』を振り上げる。


「グッ!!」


 ロスドンはそれを躱そうとするが、


ブシュッ!!!!


 右肩から微かに血が吹き出る。


「チッ!浅いか・・・」

 サヤは苦い顔をしながら『仙牙龍刀』を再度振るう。


「舐めるなァ!!!!」

 ロスドンは『仙牙龍刀』の真下から剣を振るい、上に捌く。


 サヤは体を捻りロスドンの腹に蹴りを入れる。


「グハッ!!!」

 ロスドンは腹を蹴られ、後ろに跳ばされる。


 だが、倒れずに踏ん張る。

 そして、睨む。眼には絶望が在るが、諦めは無い。


「ペッ!・・・腹が痛ぇーな、オイ」

 血を吐き出し、笑みを浮かべる。


「倒れないかい。流石だな。一層にお前を殺すのが躊躇われる」

 サヤは笑みを浮かべ、腰を低くして構える。下段の構え。


 ロスドンもそれを見て、構える。


「目ん玉ひん剥いて視ろや。これが・・・音速を超えた刃だ」


 その一瞬、空気が変わる。

 風の流れなどでは無い。


 包む全てが一瞬止まったかの様に。そして、何かを奪う様に。


 そして刹那―――、


ブシュウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!!!!!!


 鮮血。


 そして、


ドスッ!!!


 何かが地面に落ちる。


「んぁ?」

 ロスドンはそれを見る。


 ―――腕。


ブシュッ!ブクブク―――ブシュッ!!!


「んぁ?」

 ロスドンは落ちている腕から視線を外し、自分の右腕があろう所を見る。


 右腕。それは肩から全て失っている。

 血は噴き出すだけ噴き出し、血の泡が膨らむ。地面に血が落ちる。


「『仙牙八刀―――音帝』」


 サヤが静かに言葉を紡ぐ。


 ロスドンはサヤを見る。

 サヤは先程構えていた筈だが、今ではそれを振ったかの様な格好をしている。


 そして、『仙牙龍刀』の刀の光が失っている。

 血。塗られたかの様に紅い鮮血が零れ落ちる。


 ポタリ―――ポタリ―――・・・・。


 サヤはニヤリと頬を吊り上げる。

「技の名より先に、結果が現れるってのは・・・どう思う?」


 その言葉で、ロスドンは理解する。


 斬られた。落とされた。


 血は己の血。痛みは―――己の痛み。

「グガァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」


 ロスドンは右肩を押さえ、膝を付く。

 叫ぶ。


「一本だ」

 サヤはロスドンを見つめ言う。


「んぁ?・・・グッ!・・・殺さないのか?」

 ロスドンは睨む。そして叫ぶ。


「情けのつもりかァ!!!ふざけるなァ!!!殺せ!トドメを刺せ!」

 息を切らせ、叫ぶ。


 だが、サヤはそれを見つめながら吐き捨てる。

「なら殺しに来いや。今は生きてみろよ。敵に情けをかけられた・・・・哀れな男としてな」

 サヤはそれだけ言って、ロスドンに背を向ける。


「なっ!!待て!!待て!!待てェェェェェェェェェェェ!!!!!!!!」

 叫ぶ。だが、

「ゲホッ!!!・・・・・」


 血が邪魔し、声を遮る。

 見えるは敵の背。


 声は届いているだろうが、無視される。


 これは壁だ。


 『強者』と『弱者』の―――壁だ。


 ロスドンは拳を地面に叩き付ける。

「クソがッ!!!・・・クソがァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」


 天を仰ぎ叫ぶ。


 それは、まるで終わりを告げるかの様に、戦場に響いた。



 Side=第三者∥Out
























 Side=サヤ∥Beginning∥『Reload』



「クソがッ!!!・・・クソがァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」

 あぁ~・・・叫んでるよ。


 あらぁ~絶対殺しに来るな。

 こうやって自分から面倒事引き込むから駄目なんだよなぁ~。


 でも、まぁ~悔いは無いな。

 あの男は此所で死ぬには惜しい。


 今度は、右腕以上のモノ貰うぞ。


 俺はニヤリと笑う。

 さて、と。


 俺は立ち止まる。


「ひっ!!」


 目の前の豚が肩をビクつかせ、俺を見ている。

 俺は笑みを消して無表情で豚を見据える。


「・・・お、お前!!!な、何が目的だ!?」

 豚が唾を吐きながら叫ぶ。


「んぁ?言っただろ?この戦争潰す為だ」

 俺は豚を睨みながら吐き捨てる。


「い、一体・・・お、お前は何者だ!!!」

 豚が叫ぶ。


「死ぬ人間に話してどうする?冥土の土産なんてお前にくれてやる程安売りしてねぇーんだよな。誠に残念なのですが、地獄の門番によろしく言ってくれよ。・・・「私が糞野郎だったので、糞な死に方しました」って言葉を添えて、な」


 俺は『仙牙龍刀』の刃先を豚に向ける。


「や、止めてくれ!!金なら出す!!女もだ!!お前の望むモノ全てやる!!!だから!!」

 豚は頭を下げながら命乞いする。


「そうか!!なら俺の欲しいモノを貰うとするよ」

 俺は無表情のまま言う。


「な、何だ?何でも言ってみ――――」


ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!


 豚の首が宙に舞う。体無き豚の表情は目を見開いている。


「・・俺の願いは、お前みたいな糞が居ない世界だよ」


ドスッ!!!


 頭が地面に落ちる。


「あぁ~あ。『仙牙龍刀』の刃が汚れたよ」

 『仙牙龍刀』を振るい、血を飛ばす。


「さてさて。・・・他はどうなった?」

 俺は辺りを見渡しながら微笑む。


 ・・・あれ?辺りに死体しか無い様な?気のせい?NO!気のせいじゃないな。

 あぁ・・・気付かない内に死体の山のど真ん中に立っているよ俺。


 波瀾万丈の生き方してるなぁ~俺。


 仕方無いか。

 さて、と、

「皆は終わったかなぁ~」


 俺は頭を掻きながら、歩き出した。



 Side=サヤ∥Out





















 Side=第三者∥Beginning∥『Reload』



「こ、国王!!!報告です!!」

 兵士が走り国王に駆け寄りながらお辞儀する。


「・・・言ってみろ」

 国王は兵士を見つめ、促す。


「はい!現在南門に侵攻していた『ローデン』の軍勢が・・・あの少年達によって後退しました」


「なっ!?」

 国王は身を乗り出し、驚く。


 すると、ススルメス侯爵が兵士に詰め寄り叫ぶ。

「ほ、本当なのか!?それは・・・本当か!?」


「は、はい!!」

 兵士は胸に手を当てて答える。


 すると、国王が椅子にドスッと座る。そして手で顔を覆う。

「まさか・・・本当に・・・本当に・・・」


 国王は静かに涙を流す。

 国王の横に立っていた、王妃が国王の肩に手を置く。

「アナタ・・・・」


 すると、王の間に居た全ての人間が歓喜する。


「「「「「「「「「オォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」


 難は去った。緊張の糸が一気に緩む。

 それ程に張り詰めていた。だが、突如現れた者がそれを救った。


「いやぁ~良かった!良かった!!」

 コウリッド伯爵が笑みを浮かべながらススルメス侯爵の側に行く。


「本当に良かった!いやぁ~まさかあの少年が!!」


「あぁ・・・まさかな」

 ススルメス侯爵は手で顔を覆って表情が見えないが、喜んでいた。


「本当ですね!!」

 コウリッド伯爵がススルメス侯爵に後一歩で間近になった瞬間、


ブシュッ!!!!!!


「グッ!!!!」

 コウリッド伯爵の左肩に矢が突き刺る。


 その瞬間、王の間に居た全ての人間が驚愕する。


「だ、誰が?」

 コウリッド伯爵がぎこちなく首だけ回し後ろを見る。


 コウリッド伯爵の後ろで、甲冑を来た騎士が弓を構えていた。


「貴様!!一体なんのつもりだ!!!」

 ススルメス侯爵が騎士向かって叫ぶ。


 すると、騎士が声を出す。

「貴様・・・誰の皮を被っている?」


 その言葉に皆困惑する。


「なっ、何を言ってい・・・る?」

 コウリッド伯爵は痛みに食い縛りながら尋ねる。


「誰だと聞いているのだ。貴様は誰だ?どうして・・・その顔をしいる?」

 騎士は弓を構えたまま言う。


「何を・・・言っているのだ?」

 コウリッド伯爵は弓を引き抜きながら言う。


 ススルメス侯爵が叫ぶ。

「お、おい!!貴様何を言っているのだ!!誰か!ソイツを捕まえろ!!!」


 ススルメス侯爵が叫んだ瞬間、騎士達が動き出す。

 だが、


「・・・貴様から・・・毒物の臭いがするぞ?」

 その騎士の言葉で、捕らえようと動いていた騎士達の動きが止まる。


「なっ!・・・何を言っている?」

 コウリッド伯爵は左肩を押さえながら尋ねる。


「そう言えば・・・国王は何故体調が優れなかったのだろうな。ただの過労か?・・・それとも、お前が持つ毒のせいか?」


「なっ!?」


 その言葉に驚いたのは国王自身だった。

 毒物。それは知らなかった事。


 だが、それを知っているあの騎士は?


「貴様!!テメェーは一体誰だ!?」

 コウリッド伯爵が叫ぶ。


 すると、弓を構えていた騎士が兜を脱ぐ。


「貴様・・・誰だ?」

 ススルメス侯爵が尋ねる。


 武官であるススルメス侯爵は国王直属騎士団の騎士の顔は全て知っていた。

 だが、兜を脱いだ騎士の素顔は記憶無かった。


 それは国王も騎士達も同じだった。


 すると、騎士はニヤリと微笑み答える。

「・・・サヤと言えば・・・良いか?」


「なっ!」

 国王が声を出す。


 すると、騎士の隣に立っていたもう1人の騎士が兜を脱ぐ。

「・・・兜・・・重い・・・暑い・・・」


「き、君は!?」

 そこには白い髪を靡かせた、国王の毒を解毒したサヤの召喚神。


「改めて名乗らせても貰おう。我が名はケルヌンノス」


「私は・・・エル・・・」


「で、では!?君達はあの少年の?」

 国王が2人を見ながら尋ねる。


「そうだ。我等は我が王の命により、国王の護衛をさせてもらっていた。刺客が動くまで目立つ行動はするなと言われていたが、その男から毒の臭いがして、動かせてもらった」

 ケルヌンノスは弓をもう一度構える。


「・・・・私・・・国王・・・毒物で・・・体調崩して・・いた」

 エルが国王を見ながら言う。


「なっ!で、では・・・」

 国王は2人から視線を外し、コウリッド伯爵を見る。


「こ・・・コウリッド?」

 ススルメス侯爵がコウリッド伯爵の名を呼ぶ。


「逃れられると思うか?」

 ケルヌンノスが弓を放つ。


 だが、その矢はコウリッドには当たらず、壁に突き刺さる。

「チッ!・・・糞が」


 コウリッドは唾を吐き捨て、ケルヌンノスを睨む。


「こ、コウリッド!?」

 ススルメス侯爵はコウリッド伯爵の変わり様に驚く。


「んぁ?コウリッドぉ?・・・あぁ、アイツはもう死んだぜ?」

 コウリッドは顔を歪めて笑い、答える。


「なっ!?・・・では、貴様は誰だ?」

 ススルメス侯爵は剣を抜きながら、コウリッドを睨み付ける。


「クク・・・もう偽物の顔は脱いで良いかぁ~」

 コウリッドはそう良いながら、顔を正真正銘脱ぎ捨てる。


「なっ!?」

 ススルメス侯爵は驚愕する。


 コウリッド伯爵の顔の下からまるっきり違う顔が現れる。


「クハッハハハ!!!!改めて名乗ろう!!俺は『鏡』!知っての通り『ローデン』からの刺客だ!!!」

 そう言って『鏡』は声を上げ笑う。


 その姿を見て、王の間に居た全ての人間が驚愕する。


 だが、

「刺客?笑わせるな。刺客がそう簡単に自分の正体を明かすなど・・・片腹痛い」

 ケルヌンノスはニヤリと笑い、『鏡』を見る。


「んぁ?」

 首を回しケルヌンノスを睨む『鏡』。


「貴様は・・・ド三流だな」

 ケルヌンノスは笑う。


「ククッ・・・教えてやるよ理由をなぁ~。それは・・・俺が強いからだよォ!!!!!」

 『鏡』は叫び、ケルヌンノスに向かって走り出す。


 だが、それを見ながらケルヌンノスは呟く。

「狙うべき国王を狙わず、我を狙うか・・・カスが」


 ケルヌンノスは『鏡』を見据えながら姿を変えて行く。


 黒い獣。狼。


「ワォォォォォォオオオオオォォォォオオオォォォオオン!!!!!!!!!!」


 遠吠えと共に、


ブシュウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!!!


 首が食い千切られる。


『・・・所詮は雑魚。貴様の死に場所には此所は過ぎるがな』

 狼と化したケルヌンノスが血を吐き出しながら吐き捨てた。


 一瞬で死んだ刺客。


 だが、それを遠目で見ていた1人の男が・・・親指の爪を噛んでいた。



 Side=第三者∥Out








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