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Side=サヤ∥Beginning∥『Reload』
ふぅ~。取り敢えず召喚したのが4人か。
あと5人・・・。魔力の消費は少ないけどやっぱりキツイなぁ~。
なんか魔力以外の何かが消費している様な感覚だ。敢えて言うなら・・・精神?
!!!!!????
なんだコレ?何だ?
何かが近づく。コレが相手の魔力を感知するって言う感覚か?
いや、違う!!
「これは・・・?」
「ギャアアアアアアアアアアァァァァァァァアアアァァ!!!!!!!」
咆哮。どこからだ?
この辺一体は荒野だ。視界を遮る物なんて無い。ではどこから?
あの咆哮は凄く近くに感じた。
何かがいるのか?
・・・・悪魔って奴か?
初めての戦闘が悪魔ですか。
「萎えるねぇ~」
ドオォォォォオオオォォォォオオオオォオォオン!!!!!!!!
爆発。そして起きる爆風。
「クッ!!」
顔を覆う様に腕で守る。
小石などが爆風に混じっており、それが当たる。
正直痛いが決して凄くと言う程でもない。
そこまで俺は人間の枠を飛び出してしまったらしい。
腕と腕の隙間から爆破が起きた方を見てみる。
砂煙で良くは見えない――が――!!!!!
砂煙の中に黒いシルエットが浮かぶ。
おいおい・・・アレが悪魔なんですか?
シルエットだけで解る。アレは―――ヤバいと。
本能が告げる。アレは敵だと。
そしてその本能は、俺を無意識に動かしていた。
踏ん張る動作もせずに俺は瞬時に動き出す。
もの凄い速さで悪魔に向かう。その途中、腰から下げている拳銃を抜き取る。
まずは突進しながら一発撃つ。
パアァンッ!!
初めて拳銃を撃ち、しかも初めて魔法を使った。けれども違和感は無かった。
撃った反動で腕が痺れたと感じたくらいか?
「ギィァアアアアアアアアッッッッッッァアアアアア!!!」
悪魔が叫ぶ。
どうやら当たった様だが、死んでないようだ。これで確実にアレは悪魔だ。
「グゥアアアアアアァァァァァギイイイイィィィィィイイイイ!!!!!」
悪魔が何を放出した。
―――刹那!!!!
黒い光線が俺の額すれすれを過ぎて行く。
その黒い光線は砂煙、そして、俺の後ろにあった大きな岩を粉砕する。
ドゴォオオオオオオォォォォォオオオオォオンッ!!!!
思わず動きを止め、後ろを振り返る。
冷や汗。反応出来なかった。
何故だ?身体能力が限界を超える程なのに・・・いや、それが過信か。
そうだ。これは戦闘では無い―――殺し合いだ!!
俺は瞬時に頭を切り換える。
冷静過ぎた。初めての殺し合い。それなのに冷静でい過ぎた。
本能が示した様に、動け。直感が告げる様に、動け!!!!!
切り替える。
――――ON―――・・・・
『デザートイーグル.50AE』を連射する。
晴れた砂煙から弾幕に変わる。
「ギャイイイイイィィィィィィィイイイィイィィィィ!!!」
悪魔が吠える。
その姿は、正直不愉快だった。コイツはきっと、本能でしか動けない動物。
コイツはどれぐらいの人間を殺した?
「黙れやアアアアアアアアアアァァァァァァアアァァ!!!!!!!」
思わず俺は叫ぶ。そして、足に力を入れて悪魔に向かう。
その速さはまさに刹那!
瞬時に悪魔の後ろをとり、もう一つの拳銃『S&W M500』を後頭部らしき所に突きつける。
不意に、悪魔の動きが止まる。
そうだ。本能で動くと言う事は、自分の死さえも本能的に解る。
今、この悪魔は気付いた、知った。
「タ、タスケテ・・・」
悪魔が漏らす。見逃した所で、コイツはきっとまた人間を殺す。
「最初に会った悪魔がお前で良かったよ」
「グエッ?」
「これで―――悪魔に対して本気で殺れる」
俺は引き金を引いた。
パアアアンッ!!
一発の銃声。そして、悪魔はゆっくりと倒れる。
その様子を、俺は『地球』に生きていた時には考えられない程に冷静に冷酷に見ていた。
焼き付けよう。例え悪魔でもコレは殺しだ。
刻み付けよう。これから先は悪魔以外もきっと殺すだろう。
誓おう。俺は勇者に何てならないと。
救うのではない。壊す為に。守るモノは・・・・己の為に―――。
Side=サヤ∥Out
Side=???∥Beginning∥『Reload』
現在世界派の軍との戦闘を終え、自軍の国への帰路の途中だった。
素直に言うと、醜くかった。人と人はあそこまでに醜くなれるのかと思った。
いや、俺は戦争が醜いと言っているのではない。その場にいた兵士達を醜いと言った。
死ぬ度に両軍の兵士達は、「我が王に栄光あれ!!!」なんて叫んで自爆する。
なんだそれは?これが醜い以外になんと言う?
うんざりだった。これなら参加しなければ、雇われなければ良かったと切実に思う。
「おい!雇われ槍使いさんよぉ!」
呼ばれる。
俺は今、人間派の一つ、『グラパス皇国』に雇われている。別に俺が人間派なのではない。ただ、世界を救うだけって言うのが気に食わなく、こちらに付いたと言うだけ。
特別な意味を込めてこの戦争に参加している訳ではない。
自分で言うのもどうかと思うが、俺は戦闘狂だ。
殺し合いの中に人の枠を超えられる何かがある。俺はそう思っていた。
「おい!聞いているのか!?」
兵士が俺に近づき、俺の胸倉を掴む。
チッ・・・・殺すか?
そう思い、持っていた槍に力を込めた瞬間―――。
「なっ!?」
凄い魔力がここら一体を包み込む。
その魔力はあまりにも冷酷で冷たく、周りの兵士達が倒れていく。
「なんだコレは」
俺は空を見上げながら呟く。
今まで感じた事のない・・・強大な魔力。
悪魔との戦闘でもこれ程の感じは無かった。
誰だ!?
知らずの内に笑みが零れる。
この殺気とも言える魔力の中に、微かに哀れみと決意を感じる。
誰だ!?
俺は走っていた。
前や後ろで兵士達が倒れていく。
だが、気にしない。
俺は魔力を辿るように走る。
誰だ!?
そして、この高揚感は何だ!?
「ドコのどいつだああああああああ!!!」
走りながら叫んだ。
だが、表情には・・・笑みが浮かんでいた。
Side=???∥Out
Side=サヤ∥Beginning∥『Reload』
悪魔の後頭部を打ち抜いた後、俺は嘔吐した。
人でなくとも、殺した。その現実が非現実に居た俺を引き戻す。
罪悪感は無かった。あるのは―――虚無感だけ。
後何回俺は殺せば良いのだろうか?これを繰り返せば良いのだろうか?
あまりにも辛く、目の前が霞む。
本能に身を任せた反動か、体・脳・精神が悲鳴を上げている。
「カハッ!・・・ウェッ!!・・・」
最悪の気分だ。
見知らぬ世界で、こんな気分になるなんて・・・。
スゲェーよ。漫画とかアニメの主人公って。
だって平然と戦うじゃん。最初の方は駄目でも後々慣れていく。
怖くないのだろうか?自分が環境以外、非になっていく事が?
俺は無理だ。耐えられない。
俺を殺してくれ・・・。
誰か・・・。
ふと、脳裏に詠唱が浮かぶ。俺は無意識の内に唱える。
「『答えよ―――主の声に―――姿と燃える死の力を見せよ』」
魔方陣が浮かび上がる。それを霞む目で見つめる。何が現れるのだろうか?
「―――なんだぁ~?もう死人同然じゃねぇーか?」
魔方陣の光から現れたのは、赤髪短髪で耳にピアス。デコにもピアスの今時不良な男だった。
「・・・モート?」
俺は脳裏に浮かぶ名を呼ぶ。
すると、召喚された男は特徴的な笑い方で茶化す。
「ティハッハハ!!そうだぜ?死人の主よ。おいおいまさか助けて欲しくて呼んだのか?それは勘弁だぜ!俺は殺し専門だからよぉ~!ティハッハハ!」
「違うよ・・・」
俺は呟く。体を酷使した為か、筋肉組織が限界を超え、脳はオーバーヒートを起こし、俺の精神はどん底に落ちていた。
「――――何が違うんだぁ?」
モートの纏う雰囲気が変わる。
俺は乾いた声で笑いながら言う。
「ははっ・・・殺してくれ」
「ティハッハハ!良いぜ?主の望みだ!殺してやるよ?」
そう言って、モートは手から炎を出す。
俺はその揺れる炎を見ながら思った。
何で俺は此所に居るのかと?何故、あんな簡単にOKを出したのかと。
そうだ・・・きっと簡単に考えていたんだ。
力自体はチートだ。ただ、少し力の使い方を知らないだけで、普通に考えれば最強だ。不老だし。
そう、足りなかったのは覚悟だけだった・・・殺す覚悟。生きる覚悟。奪う覚悟。守る覚悟。誓う覚悟。戦う覚悟。背負う覚悟。見続ける覚悟。
・・・・ちっぽけだ。
「―――おぃ?今何考えている?」
モートが俺に尋ねる。
「・・・何でそんな事聞く?」
「何・・・死ぬ前に何を考えるか知りたくなっただけだ」
・・・殺す力がある神でも・・・解らないのか。いや、理解出来ないのだろうな。
「・・・ちっぽけだって・・考えていた」
俺は呟いた。すると、言葉が溢れ出てきた。止められない。
「・・・余裕とか思っていたんだよ。実際に悪魔を見ても、安心した。人の形じゃなかったから。大丈夫だと思った。でも・・・考えると怖くなった。敵は悪魔だけではないから・・・きっと人とも戦う。この力は・・きっと簡単に人を殺せる。それが・・・怖いんだ」
涙を流していた。気付かない内に・・・。
「―――どうしたい?」
モートが尋ねる。
俺は、泣きながら言った。
「強く・・・・なり・・だい・・・」
その瞬間。俺の意識は途絶えた。
Side=サヤ∥Out
Side=モート∥Beginning∥『Reload』
弱音。嫌いなモノの一つだ。
それを吐くくらいなら生きろと言いたい。そして朽ちろと。
戦わずに死を恐れる。それ程醜いモノは無い。
朽ちるのが運命なら・・・戦えと。
人間程死を恐れ、軽く見るモノはいない。それは傲りであり、傲慢だった。
全ての上にいると錯覚し、全てを手に入れる事が出来ると思っている。
その分、獣の方がよっぽど生き物らしい生き方をしていると思う。
人間は、エゴと言う名のちっぽけなプライドで生きている。
それ自体が気に食わない。
戦争を始めるのも、人を殺すのも。全てそのエゴが在るせいだ。
生死なんて考えて戦争を始める者などいない。
それが下らなく、不快感を与えていた。
まぁ、死の神である俺が言えた義理ではないが・・・。
最初、この餓鬼もその類の人間だと思った。
何も知らずに殺し、生きる。そんな類の人間だと思った。
苦しめて殺してやろうと思った。
そんなちっぽけなプライドをじわじわと壊しながら殺そうと。
だが、変わった。
この餓鬼は俺の問いに「生きたい」ではなく、「強くなりたい」と言ったのだ。
生きるために。殺す為に。覚悟と言う名の強さを欲した。
それだけで十分。俺の主に必要なのはその欲する力。
守るにも、奪うのにも、全てはその欲する傲慢さとも言えるモノが必要なのだ。
貪欲に、強欲に、傲慢に生きる事こそ・・・生き物らしい。
腐った果実の様に生きる今の人間は、全ての真理を知ったかの様に生きる。
それでは駄目だ。間違ったレールの上を平然と歩く人間達に・・・次はない。
人はゼロからなのだ。レールなどは無意味。
今・・・我が主はそのレールから完璧に外れた。
意識を途絶えた主を前に、俺は膝を付き、頭を下げた。
「―――我が主。私は主の炎となり、障害を全て死と言う業火で焼き尽くして見せましょう―――」
そのまま俺は、主を抱きかかえ、飛び上がった。
悪魔と成るか聖者と成るか・・・全ては我が主の赴くままに・・・。
Side=???∥Beginning∥『Reload』
クソッ!いつの間にか魔力が消えた。
どこのどいつだ!?
あの馬鹿デカイ魔力を持っていた奴は・・・。
ククク・・・つまらねぇー戦争なんかやっている暇ねぇーな。
地の果てまで捜して・・・顔を拝んでやるよ!!
Side=???∥Out