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 Side=サヤ∥Beginning∥『Reload』



 城を出て、一応オカマバーへ一時帰る事に。


 先程、2時間程前までは一応俺犯罪者的なポジションだったのだが、こうも堂々と街中を歩けるとは。


 それに、この少年は指名手配されていたからね。

 俺は兎も角この少年は捕まれば良いのに。それぐらいの罰は必要では?


「少年」

 俺は歩きながら少年に話しかける。


「何だ・・・何ですか?」

 少年は一応敬語を使う事を覚えたらしい。


「お前はどんな武器を探している?」

 そう尋ねられ、少年は歩きながら腕を組み、考える。


 城内の武器庫も、結構な武器は有った。けれども少年は手に取る事するらしなかった。

 この様な疑問が浮かぶのも仕方が無い。


「ん~・・・サヤの持っている刀とか・・・かな」

 そう言いながら俺を見る。


「刀かぁ~・・・『リロード』では難しいぞ?俺の刀・・・まぁ、『仙牙龍刀』って言うんだが、コレは偶然の産物みたいなもんだ。切れ味を追求したらこうなったらしい」


「『リロード』にもそんな技術が在ったんですね。で、それは何処で?」

 少年は興味津々らしい。まぁ、俺も刀を剣と言わなくて楽だけどね。


「『龍族の谷』だ」

 俺がそう言うと、少年は唖然とする。


「な・・・もしかして龍族と何か?」

 少年は恐る恐る尋ねてくる。


「あぁ。少し色々あってな。まぁ、その事については解決している。刀は龍族の長に貰ったんだ」


「・・・サヤは・・・一体何者なんですか?」


「それは教えられないな。俺の事を教えるには、俺がソイツを信用しないといけない。それと同時に、ソイツも俺を信用しないといけない。信用させる為に話すんじゃない。信用してくれたから話す。これ常識」


 そう俺が言うと、少年が黙る。

 流石の少年も自分が信用されていないと気付いたか。


 当たり前だ。

 それ程俺は自分を安売りしているつもりは無いからな。


 それに、俺の話を聞くと言う事は、それ相応の巻き込まれる覚悟をしてもらわないといけない。

 まだこの少年は、人を殺めた事が無いだろう。

 それに覚悟と決意が足らない。


 まず、『リロード』に来た理由が鍛錬が辛くてでは話しにならない。


「・・・少し、俺の話をして良いですか?」


「同情を誘おうとしても無駄だぞ?俺は残念ながらそう言った話しに肥えてるんだよ」

 俺は笑いながら言うが、少年はそう言った気持ちは無かったらしい。


「・・・話してみろ。聞くだけ聞いてやる。リアクションは期待するなよ?俺はリアクションは苦手なんだ」

 そう俺が言うと、少年が話し始める。


「俺の実家は『風雅羽時術道場』と言う、表でも裏でも少しは名が知られた家なんです。『剣術・武術・他様々な武道を極める』それが道場発足の目的でした。俺はその現師範で現頭首の次男として産まれました。俺は父の術を受け継ぐ事が出来ませんでした。つまりは駄目な息子なんです。それに引き替え、兄は優秀でした。父の術を受け継ぐ次期師範で次期頭首だったんです」


「だった?」


「・・・はい。だったんです。ですが、兄は裏の任務中に死にました。依頼内容が全然違く、どうやら『羽時』に恨みがあった者の仕業だったようです。父も母も悲しみました。そりゃぁ、そうですよね。兄が死んだんですもん。俺も悲しかったです。唯一兄が、俺に優しくしてくれました。目標でもあった兄を失ったのは、あの頃の俺に取っては絶望でした」


 どんどん暗い顔になっていくな。

 ギャグでも言ってしまうおうかと思ったが、流石にそこまで空気を読めない男ではない。


「兄が死んでから暫くして、父は僕を兄が生きて居た時以上に俺を鍛え始めた。どうやら俺を兄の代わりにしたかったらしいです。ですが、俺は致命的な欠点があった」


「欠点?」


「はい。『羽時』の人間は、風系の術に特化しています。『羽時』の人間は産まれながらに風を操ると言われています。ですが・・・俺は風が操れないんです。それは致命的で、『羽時』としては問題でした。師範で頭首である父の息子が、風の操れない出来損ないでは、面目が立たない。だから、父は過剰な程に俺を鍛えました。ですが・・・」


「無理だったのか・・・」

 そう俺が言うと、少年は頷き、続ける。まるで吐き捨てる様に。


「出来損ないでは・・・駄目なんですよ。鍛錬中、いつも思いました。何故、兄は死んだのかと?幾ら頑張ろうとも、越える事の出来ない壁は存在している。俺は、越えられなかった」


「その言い方は間違えだぞ?」


「えっ?」


「お前は越える事が出来なかったんじゃ、ねぇー。越えようとしなかっただけだ。兄の死のせいにすんなよ。お前はもう、兄と言う存在が居た時点で、諦めていたんだよ。越えられない。俺には無理だって、な。そんな奴には、何も出来ねぇーよ。諦めない少年」


 俺はそう吐き捨てる。

 少年は立ち止まり、俯いている。


 だが、俺は止まらず歩き続ける。

「テメェーはそこで立ち止まってろ。言っておくが、俺もお前の兄も、お前の目の前になんか立ってねぇーぞ?何故なら、お前は俯いてばっかだからな。俺等は、目の前だよ。お前の前に居るんだ。後ろでも、右でも、左でも、上でも、下でもねぇー。前だ。お前は、死んだ兄にも負けるのか?」


 俺は吐き捨てる。

 何が出来損ないだ。そんなレッテル。どうにでもなるじゃねぇーか。

 才能が無いの一言で、終わらせるのかよ。


 お前は限界を見る前に・・・逃げたんだよ。現実からも、親父からも、兄からも。

 そんなお前が、越えられない壁なんて言うんじゃねぇーよ。


 テメェーは、壁の前にすら立ってねぇーだろうが。


「なら・・・お前ならどうするんだよ!!!」

 少年が叫ぶ。


 この場でのタメ口はノーカンにしてやろう。

「他人に尋ねるのか?お前は誰かに背中を押してもらわなきゃ、進めないのか?それ程に自分に自信が無いのか?」


 少年は拳を握る。

 悔しいのか、またはそれ以外の感情か?それは解らない。


「そうだよ・・・俺は強くない!!!お前等みたいな力も無い!!そんな俺が、どうやってお前等に並ぶんだよ!!お前なら、絶対的な・・・・絶望的な力の差があったら、どうしようも出来ないだろ!?それと同じだ!!!俺は――――」

「黙れよ」


 俺は少年の声を遮る様に言う。

「絶対的?絶望的?スゲェー悲観的だな。残念ながら、俺はお前みたいに八つ当たりしたり、逃げたりしないぞ?俺は俺だ。俺の進む道は俺の道で、俺のやる事は俺だけしか出来無い事だ。俺の道には、他人は居ない。俺一人だ。その中で、誰の道と繋がるかは解らないけどな」


 カロも、フォーリも。結局は別々の道を歩んでいる。

 今はたまたま、俺等の道が繋がっただけだ。


 何時離れても可笑しくない。

 それでも、俺等は後悔したりはしない。


 貫くと決めた。守ると決めた。手に入れると決めた。


「テメェーで少しは考えてみろ。自分の目的を失うって事は・・・死人同然だ。お前は無様に終わるか?それとも這いつくばって惨めに終わるか?テメェーの目的は目と鼻の先に何時もあんだよ。ただ、お前がそれを見ようとしないだけだ」

 俺は言いたい事だけ言って歩き出す。


 結局は、自分で決めるんだ。他人に委ねるとか、甘えるな。少年。










「で、置いて来たのですか?」

 現在絶賛カロに叱られています。


「いや・・・だってよ・・・少年ウジウジしててむかついて・・・」


「貴方はもっと人との接し方を勉強した方が良いですよ?」

 カロは珍しく怒って・・・ないね。何かニコニコしてるし。


「まぁ、俺でもサヤと同じ事を言っただろうがな」

 フォーリが飯を食いながら言う。


「だろ?結局は自分で決める事なんだよ」

 俺は頷きながら言う。


「はぁ~・・・これだから馬鹿は」


「「誰が馬鹿だ!!」」

 綺麗にシンクロ。


「馬鹿だから息が合ってますね」

 カロがニコニコ笑いながら言う。


「「なっ!馬鹿言うなよ!!てか、お前も黙れよ!!んぁ?何だテメェー!!」」

 俺とフォーリは互いに睨み合いながら怒鳴り合う。


「・・・そこまで息が合っていたら、奇跡ですね」

 カロが俺等を見ながら苦笑混じりに溜息を吐く。


「・・・それよりちょっと良いか?」

 俺が右手を挙げて尋ねる。


「何ですか?」


「・・・そこら辺に転がる男か女か解らない死骸は何だ?」

 俺は辺りを見渡しながら尋ねる。


 オカマバーの至る所に、オカマの亡骸が転がっている。

 皆、白目を剥いている。中には恍惚とした表情のオカマも居る。


 すると、カロが頬をポリポリと人差し指で掻きながら、

「いや、私が戻ってきた時にはもうこの様な惨状でしたよ?」

 そう言いながらフォーリを見る。


「お前何かしたの?」

 俺が隣に居るフォーリを見ながら尋ねる。


「あぁ?・・・・まぁ、俺が此方を叩きのめした」

 フォーリが眉を細めながら言う。


「・・・何故に?」

 そう俺が尋ねると、フォーリが拳を強く握り、

「アイツ等・・・リノに変態御用達のエロ本朗読してやがったんだ!!」


「「・・・はい?」」

 今度は俺とカロの声が重なる。


「理由尋ねたら、オカマ共「将来役に立つと思ったのよ」とか抜かしやがった!!」

 フォーリが怒っている。


 ・・・あれ、何か凄い温度差無い?


「えぇ~・・・と・・リノが何かしたのですか?」

 カロが尋ねる。


「リノの奴・・・「ロリコン」だの「玩具」だの言いやがった。本人が言った意味が解って無いのが幸いだったが・・・餓鬼の頃からそんな事覚えちゃまずいだろ!!」


 ・・・・あれれ~?フォーリ何かお父さんじゃね?

 何だろ。この温度差は。此所って、俺もキレる所?


 俺はゆっくりカロを見たが、カロもリアクションに困っている。

 そうだよね。・・・え?俺等のリアクション薄いのが可笑しいの?


 でもまぁ~歳重ねる事に、どうせ覚えるんだから別に早くても良いのでは?と、思う俺は駄目な人なんでしょうか?


「お前等もそう思うだろ!?」

 お父さんになっているフォーリが叫ぶ。


「「え?・・・そ、そうですね・・・」」

 見事にシンクロ。


「もうオカマ共とリノ一緒にしら駄目だな・・・」

 勝手に決心をする、お父さんフォーリ。


 アレだよね。フォーリって子供溺愛し過ぎて「お父さん嫌い!」って子供に言われるタイプだよね。んで、「お父さん私に近づかないで。てか、お父さんが私のお父さんなのが信じられない」とか言われるんだ。きっと。まぁ、要するに親馬鹿だよね。


「・・・兎に角報告しますか?」

 カロが言う。


「あぁ、そうだな。俺の事はさっき大体話したから解ると思うけど、お前等の方の事は聞いてないわ」


「・・・そうだな」

 フォーリがそう言った瞬間、俺とカロは「良かった、話しすり替わって」と安堵していた。


「では、まず私から報告しますね」

 カロが短く説明する。

「暗殺者と思われる者と戦闘し、殺しはしましたが有力な情報は手に入りませんでした。思った以上に糞野郎でして、思わず聞き出す前に殺してしまい・・・」


 申し訳なさそうに言うカロ。

 これさぁ~結構話してる事危ないよね。


 殺す殺さないの領域だし。

 まぁ、もう慣れたけどね。


「次は俺だな。俺は女と戦った。だが、こっちは決着付く前に逃げられた」

 フォーリはそう言いながら拳と拳をぶつけて悔しそうにする。


「その女お前から逃げたのか?それ程の使い手?」

 戦闘狂から逃げるとか・・・逃げる天才かフォーリより格上かしかないからね。


「相当の使い手だったんだろうが、何かあの女も俺と接触するのは予想外だったみたいだしな。準備してなかったんだと思うが・・・それ以上に気になる事があんだよ」


「気になる事ですか?」


「・・・その女リノを見て「セルナ」って言いやがった」


 「セルナ」・・・確かリノの母親で『古の魔女』って言われていた『ローデン』の魔法使いだよな・・・て、事は、

「やっぱり今回は『ローデン』の刺客か・・・」


「リノが『古の魔女』に似ていたから、顔を見て咄嗟に出たのですね」

 カロが言う。


「あぁ。んでな、ソイツは何か暗殺者って感じがしなかったんだよ」


「あぁ?それはどう言う意味だ?」

 俺が尋ねると、

「・・・いや、何でもない」


 フォーリは言うのを躊躇っていた。

 俺は聞き出そうとも考えたが、フォーリには何か考えがあると思い、

「・・・俺等が知らなくとも支障は無いのか?」


 フォーリは頷いた。


「それでは、聞いても仕方ありませんね。まぁ、それよりも私は城内に潜り込んでいる敵、もしくは内通者の方が気になりますね」

 カロが顎に手を当てながら言う。


「あぁ。エルが言うには国王が毒を飲まされていた様なんだけど、その毒が人間に作り出せる毒じゃないらしい。もしかしたら、悪魔かもって話だ」


「その考え通りだったら、『ローデン』には悪魔が居るって事か?」

 フォーリがそう言うと、

「いえ、『ローデン』以外にも『中立国』を邪魔に思っている国は沢山ありますからね。何とも言えませが、この状況では『ローデン』と言う線が固いですね」


 確かにな。まだこの状況では憶測の域を出ない。

 それに、もし城内部に潜り込んでいたのなら俺の事もバレているだろうしな。やりづらくなっちまったな・・・。


「で、結局はどうするんだ?」

 フォーリがパンを齧りながら尋ねる。

 てか、お前どんだけ食うの?


「名前を売る為でしたら、私達も参加した方が良いのでしょうが、暗殺者が此所で作戦を終わらせる気は無いでしょうし・・・」


「そうなんだよなぁ~国王守るのにも、俺等が『中立国』側の人間って思われたら結局は『中立国』は戦争を始めたとか難くせつけてくると思うんだよ。だから表だって護衛は出来ない」


 面倒な事だ。

 関係無しだったら適当にやって終わらせる事は出来るのだが・・・。


「面倒臭いったらありゃしねぇーな」

 フォーリが舌打ちしながら言う。


「・・・神々に頼むってのはどうですか?」

 カロが提案する。


「あぁ・・・・それも良いな。けど、どう転んでも難くせつけられる気がするわ」


「正体を明かさずに守るって事も出来ますよ?鎧を着るとか」

 カロが言う。


「・・・それが無難だなぁ~。名前を売るには俺等『無道』のメンバー揃って無いと意味無しな」

 神々がオッケイするかどうかだが・・・。

『良いですか?』


 俺は神々に尋ねる。

 便利だよね。召喚しなくとも話せるって。


『私は良いわよ』

 カーリー。


『ティハッハハ!!面白いじゃねぇーか!!』

 モート。

 まぁ、戦闘狂の二人はオッケイと。


『僕も良いよ!!やっと出番だよね!!やったね!!やったね!!!』

 餓鬼・・・じゃなくて、クロノス。


『私も良いわよ。だって、私全然出番無いもん。これじゃぁ、私居ても居なくとも同じでは?いや、私の価値は後々。てか、坊やが召喚しないのが悪い―――』

 テフ。


『我が王の決めた事に異論は無い』

 ケルヌ。


『私もよ。まぁ、私は戦いには向かないけどね』

 ユース。


『・・・良い・・・よ』

 エル。


『フォッフォッ。儂も良いぞ。それに、儂は力を使えないからのぅ』

 クー爺。


『賛成って事で。んじゃ、俺等と来るのと国王さん護衛の二チームに分けたいんだけど』

 そう俺が言った瞬間、神々が沈黙する。


『・・・・あれ?』

 何か怖いねこの沈黙。



『やっと暴れられるって言うのに、親父の護衛なんて嫌よ』

 カーリー。


『俺は兵隊を相手にしてぇーんだけど』

 モート。


『僕もね!僕もね!!おじさん守るのは嫌だ!!』

 餓鬼・・・じゃなくてクロノス。


『私も登場するのなら、大きな舞台が良いわ!それに、私の力は屋内では使えないもの!!!それに、やっと登場で坊やと離れるのも嫌よ!あ・・私今カミングア―――』

 テフ。


 とまぁ~コレが暴れたい。国王の護衛は嫌だ派。


『我は多くの敵と戦うのには不向きだからな』

 ケルヌ。


『私は戦い自体それ程興味無いからどちらでも良いわ』

 ユース。


『・・・私も・・・どっちでも・・・良い』

 エル。


『フォッフォッ。儂はどちらでも力は使えぬ』

 クー爺。


 何か面倒な事になってきたな・・・。

『・・・んじゃ、まぁ、好きな方を選べば?何か綺麗に分かれてるし』

 それだけ言って、俺は会話を終了させた。


「どうでした?」

 カロが尋ねる。


「ん?オッケイだって。戦場の方にも神々行くって言うから、同時に戦力アップ」


「クハッハ!!もう負けはねぇーな!」

 フォーリが笑いながら言う。


「んじゃまぁ~行動開始は明後日で良いか?」

 適当に日にちを決め、今日は眠る事に。


「良いですが、ジン君はどうするでの?」

 そうカロに聞かれ、俺は思い出す。

「あっ!・・・まぁ、大丈夫だろ?」


「そうだぜ!餓鬼は成長が早いからな!放っておいた方が良いんだよ!」

 フォーリが言う。


『『・・・・お前が言うの?』』

 俺とカロが口に出さずとも、考えがシンクロした。


 戦闘狂が親馬鹿にランクアップ・・・またはダウンだな。



 Side=サヤ∥Out






















 Side=第三者∥Beginning∥『Reload』



 『中立国ガデラン』南方。


 大量の鎧を着た者達が森の中にテントを張っている。

 『ローデン王国』の兵士4万人。


 その数は決して多い訳ではない。

 一国相手に4万人とは少ない方だ。


 これは舐めている訳ではない。

 この兵達はデコイ。


 『中立国』が兵に気を取られている隙に暗殺者が国王の首を取る。

 初歩的だが、確実な方法。


 すると、ある一つの大きなテントの中で怒鳴り声が響いた。

「何だそれは!!!」


 男は机を叩きながら叫ぶ。

 怒鳴られている兵は、敬礼しながら報告する。

「『中立国』の『郭公』からの情報では、『無道』と言う組織の名を名乗る若者が城内部に乗り込み、我々とその『無道』と言う組織だけで戦うと言ったそうです!!どういたしますか?」


 兵は顔を真っ赤にする男に尋ねる。

「クソが!!!!これはでは作戦が失敗に終わるではないか!!!」

 そう叫び、また机を叩く。


 すると、怒鳴る男の目の前に座る細身の男が兵に尋ねる。

「・・・先に潜っている刺客は?」


 兵は敬礼したまま情報を言う。

「ハッ!『最後の魔女』と『鏡』の二名は作戦を実行していますが、『人使い』は通信が途絶えたらしいです」


 その報告、怒鳴っていた男が更に怒鳴る。

「なっ!!!それでは作戦失敗も良い所ではないか!!!!!」


 細身の男は目を閉じて、何かを考えている。


 すると、先程まで黙っていた兵の目の前に座る無精髭を生やした男が言葉を発する。

「・・・こらぁ~参ったね。あぁ、参った。・・・・だから、作戦実行を早めようか?」


 無精髭の男の言葉に、怒鳴る男と細身の男は目を丸くする。

 だが、無精髭の男は二人の反論なぞ聞かずに、兵に命令する。

「2時間後に此所を立つぞ!!!そして、明日の陽が落ちる時には作戦開始だ。『郭公』にもそう伝えておけ」


「ハッ!!」

 兵は勢い良くテントを出て行く。


 無精髭の男は笑みを浮かべながら、机の上に置かれた懐中時計を見つめる。


 懐中時計は、静かに針を動かす―――。



 Side=第三者∥Out










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