表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/89

編集中








 Side=サヤ∥Beginning∥『Reload』



 いやぁ~本当に牢屋に入れられたよ。

 快適かと思ったけど、全然快適じゃないね。


 カビ臭いし、男臭い。

 手に枷嵌められし。まぁ~簡単に壊せるけどね。でも、タイミング計らないと。


「お前本当に国王に会うのか?」

 少年が話しかけてくる。


 同じ牢屋に入れられているからね。一時的にらしいけど。

「会う為にこうやって捕まったんだろ?」


 少年は誰に向かって言っているのだ?


「会える何て解らないのに、何でこんな博打を?」


「博打?いやいや、100%会えるよ」

 俺が自信満々に言うと、少年が叫ぶ。

「何で言い切れるんだよ!!国王が一々俺等みたいな人間と会うと思うか!?お前どんだけ世間知らずなんだよ!!」


「世間知らずはお前だろ?てか、少し黙れ。キレそうだ」

 怒りを抑えながら言う。


 だが、少年の何かが外れた様だ。

「ハンッ!!やってみろよ!!枷を嵌められた奴に何が出来る!!オラ!やってみろよ!!」


「・・・・・・・」


「オラ!どうした!?黙ってよぉ~結局何も出来ないんだろ!?いい加減な事言うなよ!!!テメェーのせいで俺も捕まって・・・ふざけるなよ!!!」


 プッチィ~ン・・・。

「おい餓鬼・・・」


「何だよ!!今のお前に睨まれても怖くねぇーんだよ!!」


「黙れ糞餓鬼」

 俺は立ち上がり、手に嵌められた枷を壊す。


「なっ!?」

 少年はそれを見て驚愕する。


 俺はふらりふらり少年に近づく。

「テメェー・・・いい加減にしろよ。何が俺のせいで捕まった、だ。お前が勝手に俺の後追いかけて、勝手に出てきただけだろうが。それに生意気言うんじゃねぇーよ。言っとくぞ?俺はお前を瞬殺出来る」


 俺が殺気を放ちながら言う。

 少年は顔を青くしている。


「一々ギャー、ギャー喚きやがって、何も出来ない餓鬼が一丁前に被害者ぶるんじゃねぇーよ。本気でぶっ殺すぞ?」


 睨む。少年の顔は真っ青だがそんなの気にしない。

 最悪の気分だ。


 計画も糞もねぇーよ。

 これは・・・もう待っているとか関係ねぇーな。


 俺は『仙牙龍刀』を出す。

 そして、


「『仙牙一刀』」


 鉄格子をぶっ壊す。

 粉塵が舞い、視界を悪くする。だが俺は気にせず『仙牙龍刀』を肩に担ぎながら歩く。


「お、おい!!」

 後ろから少年に呼び止められる。


「んぁ?何だ糞餓鬼・・・殺すぞ?」

 俺が殺気を放つと、少年は一瞬畏縮するが、直ぐさま表情を引き締める。

「お・・・俺も付いて行って良いか?」


 俺は少し考え、そして、

「言葉使いに気をつけろよ?誰がタメ口を許した」

 俺はそれだけ言って歩き出す。


 後ろから、少年が俺を追いかける。

 枷は壊さない。ムカツクから。


 結局乗り込むのと一緒じゃねぇーか。

 俺は舌打ちをしながら、歩く。


 すると、

「おい!!お前何やっている!!!」

 治安部隊とはまた違う格好をした奴が俺の前に立つ。


「・・・ホント、お前ツイてねぇーわ」

 俺はそれだけ言って、男の横っ腹を蹴る。


「ぐはっ!!!!」

 男は壁に激突し、ゆっくりと地面に倒れ気絶する。


 今の俺は最高に最悪な気分だ・・・だから、

「邪魔すんならぶっ殺すぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!」


 思わず叫んだ。



 Side=サヤ∥Out






















 Side=第三者∥Beginning∥『Reload』



 広々とした空間。そこには国王が座る席がある。

 言うならば王の間だろうか?


 そこには大人数の騎士達が壁に沿って立っている。


 国王の座る席の前には、様々な者達が居る。

 多分お偉い方なのだろう。


 国王の隣には、王妃クリマーラが立っている。

 国王は目を瞑りながら、黙っている。


 王の前に居る者達は各々の考えを話している。多分『ローデン王国』の兵の話だろう。


 「迎え撃つべき!」などや「無駄な戦闘は避けるべき」などと言った考えが交錯する。


 すると、王の間の扉が乱暴に開かれる。

「ご報告もうします!!!」


 一人の兵士が叫びながら頭を下げる。


「国王の御前だぞ!?慎め!!!」

 一人の老人が叫ぶが、兵士は引き下がらず報告する。


「申し訳ありません!!けれども、先程捕まえた賊が牢を破り此方に向かっております!!!」


「何!?お前等は何をやっておる!!さっさと取り押さえろ!」

 老人は叫ぶが、

「そ、それが・・・もの凄い強さで、皆一瞬で気絶させられて・・・」


 兵士は縮こまりながら言う。


 その言葉に老人は顔を赤くして怒鳴る。

「何をしておる!!!賊の一匹二匹!!!!簡単に城の中を歩かせおって!!!!さっさと捕まえろ!!!!」


「その必要はねぇーぜ?」

 王の間に、声が響く。


「だ、誰だ!?」

 老人が叫ぶと、


ドガアアアアアアァァァァァァァアアアアアァァアァァン!!!!!!!!!!


 扉が爆発する。

 王の間が粉塵で包まれる。


 騎士達は直ぐさま国王の周りに集まり、国王を守る。


 そして、王の間に居た全ての人間が扉の方に目をやる。


 粉塵の中から、コツッ――コツッ――コツッ――と、足音が響く。


「物騒な登場で悪いね。まぁ~この責任は兵士達の弱さに原因がんじゃね?」

 粉塵の中から声が響く。


 そして、粉塵を切る様にサヤは『仙牙龍刀』を振るう。


「どうも『中立国』のお偉いさん方、初にお目にかかります。『無道』のサヤと申します。以後、お見知りおきを」

 そう言いながら、サヤは軽く頭を下げる。


 唖然としている中、一番に口を開いたのは先程怒鳴っていた老人だった。

「な、何をしておる!!早く捕らえろ!!!」


 その言葉で、硬直してた騎士達が一斉に動き出す。


 その様子を見ながら、サヤがニヤリと笑い、

「嬉しい限りのお出迎え・・・「『仙牙二刀―――双龍』!!!!!」」


 サヤは『仙牙龍刀』を振るい、騎士達を一掃する。

 騎士達は左右の壁に激突し、そのまま気を失う。


「なっ!!」

 老人は目の前の光景に絶句し、他の者達は唖然とする。


 その当の本人は『仙牙龍刀』を肩に担ぎ、

「国王さんに話しがあんだけど、良いかな?」


 サヤは国王を見つめながら、笑みを零す。


 すると、

「ふんっ!!!!!!!!!」


 サヤの後ろから、一本の剣が突かれる。


 サヤはそれを『仙牙龍刀』で捌き、蹴りを繰り出す。

 その蹴りは剣を突いた騎士の顔めがけて蹴り出されたのだが、騎士はそれを左腕で防ぐ。


「・・・中々だな。アンタが騎士のトップかい?」

 サヤが騎士から距離を取りながら尋ねる。


 騎士は何も言わず剣を構える。


 その姿が、サヤの闘志に点けてはならない火を点ける。

「ハッハハ!!!スゲェーなアンタ!!!」


 そう叫び、サヤは動く。

「『仙牙七刀―――閃光』」


 『仙牙龍刀』の刀身が伸び、騎士の胸を狙う。


「くっ!!!!」

 騎士はそれを辛うじて躱し、体勢を整えようとするが、

「遅ぇー!!!!!!」

 サヤは瞬時に騎士の目の前に移動していた。


 騎士は咄嗟に剣を振るが、サヤはそれを紙一重で躱し、『仙牙龍刀』を騎士の首めがけて振る。


 騎士が死を確信した時、

「そこまで!!!!!!!!!!!!」


ピタッ!!


 国王の叫び声によって騎士の首数㎝と言った所で『仙牙龍刀』の刃が止まる。

 サヤは静かに騎士から『仙牙龍刀』を離す。


 そして、国王を見て言う。

「後少し止めるのが遅かったら、騎士の首が綺麗に飛んでたぜ?」


「貴様は何者だ?」

 国王が警戒しながらサヤに尋ねる。


「言ったろ?『無道』のサヤだ」

 サヤはニヤリと笑いながら言う。


「『無道』?聞いた事の無い組織だな」

 国王がそう言うと、

「当たり前だ。最近作ったからな」


 それを聞いて、周りの男共が叫ぶ。

「なっ!!そんな人間が何しに此所に来た!!!!!!!!!!!!」

「まさか国王の命を!!!!!!!」

「引っ捕らえろ!!!!!」


 各々が勝手に叫ぶ中、

「黙れ!!!!!!!!!!」


 サヤが叫ぶ。その言葉に一瞬皆静まるが、

「な、貴様!!!無礼だぞ!!!」

「直ぐさま此所で処罰するべきだ!!!!!」


 などなどと喚いている。


 サヤ一度舌打ちをし、国王を見ながら言う。

「国王の命欲しいなら直ぐさま殺ってるって~の!!俺の目的は国王の首じゃねぇーよ!」

 そう言いながら、サヤは一歩ずつ歩き出す。


「では、何が目的だ?」

 国王が尋ねる。


「簡単な事だ。俺はただただ名を売りたいだけでね?先程言った通り、『無道』は最近出来た組織でね。誰も知らない訳よ」


「売名の為だけに乗り込んだのか?」


「それだけじゃねぇ~よ。本題は此所から」

 サヤはそう言いながら『仙牙龍刀』しまう。


 突然消えた『仙牙龍刀』にざわめくが、気にせず国王はサヤに尋ねる。

「本題とは?」


 サヤはニヤリと笑い。

「『ローデン』の兵隊が侵攻してきてるだろ?」


 その言葉に、ざわめく。

「静まれ」

 国王の一言で静まる。


 そして、国王はサヤを見ながら言う。

「それと貴様とで何か関係があるのか?」


「関係は大ありだ。簡単に言うと、俺等『無道』が『ローデン』の兵隊潰してやるよ」

 またその一言により、ざわめく。


「『無道』と何人いるのだ?」

 国王が尋ねる。


「ん?人数?3人だけだぜ?」

 その言葉でより一層ざわめく。


「無理に決まっているだろ!!!『ローデン』の兵が何人いるか知っているのか!?4万だぞ?たった3人で勝てる訳なかろう!!!!!」

 老人が叫ぶ。


「外野は黙れよ・・・・さて、国王さん。どうする?」

 サヤは周りの者を睨みつけ、国王に尋ねる。


「どうするとは?やれるのなら勝手にやれば良いではないか?」

 国王がそう言うが、サヤはそれに対して鼻で笑って言う。

「知ってるんだぜ?アンタ等が何で侵攻に対して攻撃しないか」


 その一言で、皆が止まる。


 サヤは気にせず続ける。

「『中立』ってのは不便だよな。正当防衛だとしても、この国には無関係過ぎる人間が集まり過ぎた。そんな中で、戦える訳がないよな」


 その言葉を聞いて、国王は尋ねる。

「貴様は私に何を言いたいのだ?協力しろと?」


「言ったろ?アンタ等は攻撃出来ない。だから・・・代わりに俺等が潰してやろうって言ってるんだよ」


「つまりはどう言う事だ?」

 国王は眉を細めながら尋ねる。


「簡単な話だ。アンタ等『中立国』はこの戦争に手を出すな」

 サヤそう言うと、周りが騒ぎ出す。


「それはむざむざ侵攻を許せと言うのか!!!」


 サヤは舌打ちをして、

「最後まで聞けよ。どうせ『中立』のせいでアンタ等は攻撃されるまで攻撃出来ないだろ?それだと遅いんだよ。だから俺等『無道』・・・つまりは第三者が勝手に攻撃して『ローデン』の兵隊潰すって言ってるんだ。これなら『中立』なんちゃらって言うのは問題無いだろ?元々俺等はアンタ等とは関係無いんだ」


 そう言って、サヤは国王に微笑む。

 国王は険しい顔をして、尋ねる。

「目的は何だ?」


「目的?だから最初言ったろ?売名行為だよ。俺等の存在を知らせる良い機会だと思うだ。だから、この戦争を利用させてもらうぜ?」


「たったそれだけで介入すると?」

 一層国王の顔が険しくなる。


「それだけって言うけどよ、こっちにも目的があんだよ。それを考えたら危ない橋渡る位当たり前だろ?」

 サヤはは頭の後ろで腕を組みながら言う。


「・・・・我が信用するとでも?」


「信用してくれって誰が言った?俺はただ俺等が介入するって知らせただけだぜ?アンタ等信用しようがしまいが関係無いね。結局は行動するし」


 そこで国王は黙る。

 サヤもこれ以上言っても何にもならないと思い言う。

「まぁ~言いたい事は言ったからな。後はこっちで勝手にやらせてもらうわ」

 そう言ってサヤは国王に背を向け歩き出す。


「最後に教えてもらおうか」

 国王がサヤに尋ねる。


 サヤは振り返る。


「・・・貴様の目的とは何だ?」


 その問いに、サヤはニヤリと笑い、

「色々言えば長くなるから省略するけど、目的は簡単だ。気に食わないだけさ」

 それだけ言い残し、サヤは歩き出す。


 その後、誰もサヤを引き留めず、サヤは王の間から姿を消した。


 王は一度大きく息を吐く。

「・・・・何と言う子供だ」

 国王は思わずそう漏らす。


「国王。あの様な賊を逃がして良かったのですか!?」

 1人の老人が言う。


「ならば、止めれば良かろう」

 国王は老人に向かって言う。

 老人はその言葉で黙る。


 誰一人、サヤを止められると思って居る人間はこの場に居ないだろう。

 国王直属騎士団の騎士長が簡単にやられたのだ。戦闘など経験していない老人達に何が出来る。


 すると、先程まで黙っていた王妃が口を開く。

「あの子・・・本当に戦う気ですね」


「そうだろうな。あれ程の自信。何か考えがあるのだろうが・・・無謀過ぎる」

 国王がそう漏らすと、王妃は微笑みながら言う。

「あら?感じませんでしたか?あの子・・・きっと勝ちますよ」


 王妃のその言葉に、国王含め全ての者達が固まる。

「私の直感が言っているのですよ」


 その言葉に老人が言う。

「ですが、あんな賊に何が?戦争を売名に利用する様な輩・・・」


「これだから・・・貴方達には人を見る目がありませんね」

 王妃はバッサリ切る。そして続ける。

「彼は十分私達の事を考えていたではありませんか。私達が手を出せないと知っていて、自分達だけでやると言っていたのですよ?つまりは例え負けても私達に関係無いと言う事。彼はそこまで考えているのです。此所に乗り込んで来たのも、多分忠告でしょうね。「手を出すな」って言う。これはつまりは私達が誤って『ローデン』を攻撃して戦争を始めてしまうのを配慮してでは?」


「考え過ぎではないですか?」

 老人は言う。


 だが、誰一人王妃の考えを否定しようとはしない。いや、出来ない。

 何故なら、王妃の人を見る目は確かだからだ。


 その王妃が此所までべた褒めする。

 つまりは本当に彼はそう言う人間だと言う事。


「・・・様子を見るしかないか・・・」

 国王はボソリと呟く。


 『中立』が崩れるかもしれない瀬戸際で、第三者の行動を許すと言う事は良い判断ではない。

 けれども、誰一人サヤを止める事は出来なかった。


 王妃の言葉も有るが・・・それ以上に皆サヤに何かを期待していたのかもしれない。



 Side=第三者∥Out






















 Side=バティフォーリ=ケスティマ∥Beginning∥『Reload』



 『中立国』に潜伏していると思われる暗殺者を捜すとは言ったが・・・。

「見つかるのかぁ?」


 裏路地を歩きながら思わず呟く。

 カロとは先程別れた。別々に行動した方が効率が良いとかどうとか。

 けれども、『中立国』は結構大きい。


 そんな中で、数名の暗殺者。しかも見た目が普通な奴等をどう見つけろと?


「ふぉーりぃ~わたしおなかへったよ」

 俺の背中でリノが腹の虫を鳴らしている。


「食ったばっかりだろうが!?少しは我慢しろよ!!」


「そだちざかりだから、たべないとだめなんだ!!」

 何処で覚えたのか、リノが叫ぶ。


「少し食わなくとも育つっての!!」


「おなかへったぁ~うごけないぃ~」


「お前動いてねぇーだろうが!!」


 コイツは誰に似た?絶対サヤだ。

「お前あんまり我が儘言ってたらサヤみたくなるぞ?」

 脅しのつもりで言ったのだが、

「えっ!?さやみたいなびじんになるの?」


「・・・・サヤに美人は禁句だぞ?」

 脅しにもならねぇーよ。


 教育方針変えた方が良いんじゃねぇーか?

 これだと駄目な女になるぞ、コイツ。


 何でコイツのお守りが俺なんだ?託されたのカロだろうが。

 それなのに何故俺だ?


 クソっ!!

「どうしたぁ~ふぉーり?もしかしてわたしおもいか?」


 リノがいきなり声を小さくして言う。

「あぁ?・・・別に重くねぇーよ」


「そうか!!ならさっさとさがそうよ!!」

 そう言い、俺の背中で暴れるリノ。


「クソが・・・・」

 思わず呟く。


 すると、

ドンッ!!!


 女と肩と肩がぶつかり、女が倒れる。

「おっと・・・すまねぇーな。大丈夫か?」


 俺は女に手を差し伸べながら言う。


「とっとと・・・此方こそごめんなさいね。少し余所見してたわ」

 そう言いながら俺の手を取る女。


 そこで、俺は女の格好を見る。

 白いつなぎの様な服。服にはペンキか絵の具か解らないが色とりどりの汚れが付いている。

 絵描きか何かか?

 女は淡い茶髪。髪はボサボサだ。


 女って言うのは身だしなみを気にする生物じゃなかった?

 そう思いながらも、女を引っ張り立たせる。


「怪我はねぇーか?」

 俺がそう言うと、女は顔を上げて答える。

「えぇ。大丈夫よ?」


 女の顔は多分だが美人の内に入るだろう。

 けれども、つなぎ同様に顔にもペンキか絵の具が付いており、美人を駄目にしている様な気がする。


「本当ごめんなさいね」

 そう言って頭を下げる女。


「いや、こっちも余所見してたからよ。こっちこそ悪かったな」

 そう言い、俺も頭を軽く下げると、

「ふぉーりがわるいな!!」


 背中からリノが叫ぶ。

「五月蠅ぇーな!!元はと言えばお前が暴れるからだろ!?」


「ぶぅーぶぅーすぐひとのせいにする!!」

 そう言いながらまた暴れるリノ。


「ふふ・・・お子さんですか?」

 女が此方を見ながら言う。


「違う!違う!!ちょっと訳ありなんだよ!!」


「そうだ!!こんなやつがわたしのおとうさんなわけない!!それならさやのほうがいい!!」

 リノは身を乗り出しながら叫ぶ。


 女はリノを見ながら微笑み、

「ふふ・・・元気なお子さん・・・・で・・・す・・ね」


 女の歯切れが悪くなる。

 すると、

「セ・・ルナ?」


 ふと女が誰かの名前を言う。

 セルナ?・・・セルナって・・・確か・・・『古の魔女』の名前!!!


「おい・・・お前どうしてその名を?」

 俺は女を睨む。


「えっ・・・」

 女は焦った顔をする。


「コイツを見てセルナって名前が浮かんだって事は、お前『古の魔女』と繋がりがある人間か?お前・・・何者だ?」


 すると、

「くっ!!!」


 女は逃げ出す。


「なっ!?待てや!!!!」

 俺はそのまま女を追いかける。


 あの女。まさか・・・『ローデン』の暗殺者か!?

 確か『古の魔女』は『ローデン』の人間だった筈だ!!


 それならリノを見てセルナの名が出るのも頷ける。

 コイツは『古の魔女』の娘だからな。見て咄嗟に名前が出るのも納得出来る。


「待てや!!!!!」

 女を追いかけ、裏路地を駆ける。


「まてやぁ~」

 ・・・コイツのせいで雰囲気壊れてねぇーか?



 Side=バティフォーリ=ケスティマ∥Out








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ