表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/89

編集中








 Side=サヤ∥Beginning∥『Reload』



 俺とカロは地べたに座りながらある子を見ている。


「なぁ~・・・カロ」


「・・・何ですか?」


 俺はその子を見つめながら眉間に皺を寄せる。

「多分お前も俺と同じ事考えてると思うんだけど・・・」


「はい・・・私とサヤの考えている事は多分一緒です」

 カロと俺は再度確かめる様にその子を見る。


「まて~」


「クハッハハ!!!それじゃぁ~捕まえられないぜ?」


 ・・・解るかな?

 現在、俺とカロの目の前に居るのはフォーリとリノだ。

 はい。ここで問題。

 カロがフェニックスからリノを託された時、リノは一体何歳でしたでしょうか!


 ・・・1歳位の筈なんだよ・・・。


 うん。此所まで言って解ると思うけど、現在リノは二足歩行をしています。

 ヨチヨチ歩きとかじゃねぇーよ?普通に走っているし。

 リノ見た目もう5歳ぐらいなんだけど・・・。

 それに喋ったよね?あれ・・・可笑しくね?


「フォーリは気付いてないのか?」

 俺はフォーリを見ながらカロに尋ねる。


「戦闘以外は彼、抜けてますから」

 カロが苦笑気味に言う。


「悪魔の子って成長早いの?」


「どうでしょうね・・・不可思議な事もあるんですね」


 現在目の前で繰り広げられる摩訶不思議に困惑中。


 すると、

「かろ~さや~あそばないのぉ~?」

 リノが此方を見ながら言う。


「そこの馬鹿と遊びなさ~い」

 俺は手を筒にすながら言う。


「はぁ~い」

 リノは満面の笑みで手を振りながらフォーリと鬼ごっこ的なモノをしている。


「テメェー!!今馬鹿とか言ったろ!!!」

 フォーリが叫びながら此方に来ようとするが、

「つぎはふぉーりがわたしをつかまえるんだよ!!!」


 リノがフォーリの袖を引っ張りながら言う。

「お・・・・おう」

 流石のフォーリもリノには勝てないらしいな・・・。


「まぁ~成長が早いって事で良いんじゃね?元々フェニックスは不死なんだし、適当に成長して、適当に止まるんじゃ?」

 俺は適当に推測しながらカロに尋ねる。


「そうですね。この事は深く考えない方が良いかもしれませんね」

 カロも同意。


「・・・俺はてっきりお前の事をパパと言うと思ったが・・・」


「ごほっ!!ごほっ!!!何言って!!ごほっ!!」

 カロは珍しく狼狽えている。


「いや、もしリノがお前の事パパなんて言ったら、お前との付き合いを考え直そうかと」

 カロを見ながら悪戯に微笑む。


 カロは俺を見ながら、大きく溜息を吐き、

「私ももしパパなんて言われたら、必死に訂正させてもらいますよ」


 俺はカロから目線を外し、リノを見ながら言う。

「明日には『中立国』に着くか?」


「そうですね。このまま何もなければ」


「・・・そうか」


 つかの間の幸せってこう言うのを言うのだろうか?

 今から戦争に介入するって言った割には結構余裕だな俺等。


 まぁ~、強いしな俺等。



 Side=サヤ∥Out























 Side=???∥Beginning∥『Reload』



 大きなお城。そして、無駄の多いお城。それがこのお城見た時の印象だった。

 それは中に入っても変わらず、いや、一層そう思う。


 高価な骨董品や家具。

 これ一個でどれぐらいの人がご飯を食べられるのでしょうか?

 そんな事を考えながら、お城内の廊下に飾られた壺を見つめる。


「おやおや?骨董品に興味が?」

 いきなり誰かに声を掛けられ、勢い良くその声のした方を見る。


「そこまで警戒しなくとも大丈夫ですよ?」


 声の主は、ニヤニヤと笑いながら私に近づいて来る。

 私は一歩後退しながら尋ねる。

「何か御用で?」


 明らかに警戒しているのが解ったのか、更に男はニヤニヤとする。

「いやいや、貴女様が此所に居るのが見えましてね、ご挨拶ですよ。友好的な関係を築く為に、ね」


 男はそうは言っているが、その表情から伺えるのは何も無い。

 全てを隠し、何かを企む者の顔。


「あれ?更に警戒させてしまいましたかな?あぁ~自己紹介がまだでしたね。私はこの国の文官を務めさせてもらっている、ベルワー=ミニッツと申します。以後お見知りおきよ」


 頭を下げるベルワー=ミニッツと名乗る男。


 行動の全て全てが怪しい。


「おや?どうなさったのですか?そんなに顔を強張らせて?」

 そう言いながら私に近づく。


 私の体を動かず、じりじりと後ろに下がるだけ。

 正体の分からないプレッシャー。


 怖い。


「ふふ・・・どうなさって?」

 私の顔を見て、男は一層笑みを深くする。


 まるで、私が恐怖して喜んでいる様に・・。


「い・・・いや・・・」

 声が・・・。


 どうして?何故私がこれだけで恐怖している?

 戦場ではこれぐらいのプレッシャーは当たり前・・・・なのに、怖い。


 男が、私に手を伸ばす。


「それ以上近づいてみろ?・・・死とランデブーすっか?」

 声がした瞬間、男の動きが止まる。


「離れろ。それが今お前に許されている唯一の行動だぜ?」

 男はゆっくり私から離れる。

 そして、振り返り声の主を見る。


「・・・女性だけで構成される『遊撃部隊ローズ』の副隊長さんではないですか?」


「キャサティア!!」

 私は声の主を見て、名前を叫び側に駆け寄る。


「大丈夫かい?キュキュシュ?」

 キャサティアが私の肩を掴み、そして後ろに隠し、男に銃を向ける。

「お前・・・何をするつもりだった?」


 キャサティアは男を睨みながら尋ねる。


 すると、男は首を横に振りながら苦笑いをして答える。

「何をって、ただ交流を、ね。何せ君達はこの間『シューラン王国』から来たばかりだからね」


「見え見えの嘘を吐くなよ?お前が放っていた殺気は、離れた場所に居た私にも解ったぞ?」

 キャサティアの握る銃に力が篭もる。


「ふふ・・・それは誤解だけど、此所で何を言っても信じてもらえないでしょうから、今回は退きますよ?ですが・・・気をつけて下さいね?」


「何を?」


 男は背を向けながら、首だけ回し此方を見ながら、

「貴女達を快く思っていない連中は・・・山ほど居るって事ですよ?」


 そう言い残し、男は去って行った。


 私は緊張の糸が切れ、その場に座る。

「・・・・怖かった」


 そう私が呟くと、

「何が怖かっただ!!!アンタいい加減に戦場以外で力封印するの止めなさいよ!!」

 キャサティアが怒鳴る。


 私は耳を塞ぎながら、

「だって、戦場以外で戦わないでしょ?」


「アンタは本当に馬鹿?それとも何?それ狙っているの?天然を狙ってるの?苛々するだけよ!!」

 キャサティアは怒鳴る。


「そんなに怒らないでよぉ~」

 私は若干涙目になっていた。


「此所は敵地と言っても過言じゃないのよ?あの男が言っていた事は本当。私達を快く思って居ない奴等が何をしてくるか解らないでしょ?アンタを守っている余裕は無いのよ?」


「でも・・・この力は・・・」

 私はそこで言葉を濁す。


 キャサティアは大きく息を吐いて、

「はぁ~・・・まぁ、良いわ。その変わり私達の誰かと一緒に行動しなさいよ?」


「うん」


 私は俯きながら頷く。

 キャサティアはまた大きな息を吐き、

「良いから部屋戻るわよ?」


 そう言って私に手を差し出すキャサティア。


 私はその手を握り、部屋へ向かった。

 やはりキャサティアは優しかった。



 Side=キュキュシュ∥Out





























 Side=サヤ∥Beginning∥『Reload』



 色々あった。

 獣に襲われたり・・・獣に後ろから突進されたり・・・獣に噛みつかれたり・・・。


 色々あった。森での生活は長かった。

 でも・・・・でも・・・。


「国だァァ!!!!!!!!!!!」

 思わず叫ぶ俺。


「何叫んでんだ?」

 フォーリが俺の横に立ちながら言う。


「なにさけんでんだぁ?」

 フォーリにおんぶしてもらっているリノが笑いながらフォーリの言った事を復唱する。


「森での生活から抜け出せるのが嬉しいんでしょうね」

 カロが微笑みながら言う。


「これで・・・冷たい地面で寝るのも、肉ばっかりの食事も、全てから解放される」

 俺は思わず一筋の涙を零す。


「かいほうされるぅ~!!」

 意味は解ってないだろうが、リノが俺の言った事を復唱する。


 すると、カロが爆弾を投下した。

「ですが、お金はどうします?」


「・・・・・は?」

 今・・・何を言いました?


「私達無一文ですよ?サヤはお金など持ってないでしょ?」


「えっ?」

 俺はカロを見ながら目をパチパチさせる。


「私は転送魔法を受ける前は戦場に居ましたから、お金など当然持っていませんが?」

 カロがフォーリを見る。


「俺は基本金なんて持ってねぇーぞ?元々旅をしてたんだ。国々で通貨が違うのに、持っている訳ねぇだろ?それに、大概どっかのゴロツキぶっ飛ばして奪ってたしな」


「うばってた!うばってた!!!」

 リノが笑いながら叫ぶ。


「・・・・宿は?」


「無理ですね」

 カロがニコニコしながら答える。


「・・・・食事は?」


「まぁ~無理だろうな」

 フォーリが答える。


「・・・・・えっ?」


「むりだな!むりだな!!!」

 リノが笑いながら叫ぶ。


 俺はその場に崩れ落ちた。

「嘘だ・・・嘘だと言ってくれ・・・」


「兎に角少し歩きますか?」

 カロが言う。


「そうだな」

「そうだなぁ!!」

 フォーリとリノが先に行く。


「・・・俺は・・・一体・・・」

 俺はまだ崩れ落ちていた。


「ほら、行きますよ?」

 カロが俺の腕を引っ張りながら歩く。


「くそ・・・こんな貧乏嫌だ・・・」

 俺は手で顔を覆いながら愚痴る。


「これからどうしましょうかね」

 カロが言う。結構危機的状況なのに、声は生き生きしている。


「そうだなぁ~どっかのゴロツキから奪うか?」

 フォーリが言う。


「それだと、色々面倒ですよ?」


「そうかぁ?これが一番簡単なんだ・・・が?」

 フォーリが止まる。


「ん?どうした?」

 俺はフォーリを見る。


 フォーリは壁に貼ってある紙を見ている。

 俺とカロもその壁に貼ってある紙を見る。


「手配書ですね」

 カロがそれを見て言う。


「手配書?・・・・けどさ、これ・・・絵下手すぎるだろ」

 俺は思わず言ってしまう。


 いや、この手配書さ、一応その人相を書いているのだけど誰が書いたか解らないけどさ、凄く下手なんだよね。何て言うか・・・うん。下手。


「これでは誰だか解りませんね」

 カロがそう言いながら、絵の下に書かれている詳しい人物の特徴を読み上げる。

「黒髪に・・・黒い瞳。10代前半の少年。ですか・・・・中々に難しいですが、黒髪に黒い瞳は珍しいですね」


 黒髪?黒い瞳?

「この国には結構いるのか?」

 俺はカロに尋ねる。


「いえ、もの凄く珍しいですよ」


 と、言う事は・・・もしかしたらだな。


 すると、

「おい、コイツ捕まえたらガデラン銀貨5枚だぞ?宿に泊まれる」


 その一言で、俺は目的を変更。

「捕まえましょう。宿の為に」

 そう言って手配書に書かれた責任者の所を読む。

「えぇ~と、『武器屋マクッド』か。どこら辺?」


「私も『中立国』は初めてなので解りませんね。フォーリは通貨の事も知ってましたので来た事あるのですか?」

 カロがフォーリを見ながら尋ねる。


「いや、俺も初めてなんだが旅してた時に『中立国』出身の旅人と仲良くなってな。その時に教えてもらったんだよ!!」


 なるへそだね。

「んじゃ~兎に角この武器屋に向かうか?」


「「・・・・・・」」


 カロとフォーリからの返事が無い。

「どうした?」


 俺が二人を見ると、二人は裏路地の方を見ていた。俺もその方を見ると、

「ん?」


 黒髪の少年が歩いている。

 俺は手配書と少年を交互に見る。


「まさか・・・」

 思わず呟く。


「まさかですよね」

 流石のカロも呟く。


「人生こんな簡単じゃねぇーだろ?」

 フォーリすらも呟く。


 けれども、

「「「・・・・・・」」」


 そして、

「みつけたぁ~」


 リノのその一言を合図に、俺とカロとフォーリは今までに無い位の速さで、走り出す。


「ん?」

 少年は俺等に気付き、顔を引き攣らせながら、

「な、なんだお前等!!!!!!!!」


 逃げた。

「逃がすな!!!!!俺等の宿代&飯代!!!!!」

 俺は腰から『デザートイーグル.50AE』を抜く。


「『動きを止めろ―――水縛』」

 カロが唱えると、逃げる宿代&飯代の周りに水で出来た紐が現れる。


「うぉ!!何だこれ!!」

 少年はそれをギリギリで回避しながら逃走を続ける。


「クハッハハハ!!!!!!」

 フォーリが槍を創造し、もの凄い速さで少年を追い越し、前に立つ。


「なっ!?」

 驚く少年が後ろに逃げようとするが、勿論俺とカロが居る。


「なっ!何だよ!!!!!!何だよお前等!!!」

 少年は慌てている。


「・・・簡単な事だよ?少年」

 俺はそう言いながら、『デザートイーグル.50AE』の銃口を少年の眉間に向ける。


「俺等の宿&食事の為に・・・捕まれ♪」

 俺は今満面の笑みだろう。


「へっ?」

 少年は涙目で、首を傾げた。



 Side=サヤ∥Out


























 Side=第三者∥Beginning∥『Reload』



 『中立国』の城の中は慌ただしかった。

 その理由は至極簡単。『ローデン王国』が国境付近に兵を進めているからだ。


 今までに無い大胆な暴挙。

 だからこそ、城の中は慌ただしい。


 慎重を捨てた集団は、何をしでかすか解らない。

 話し合い片付くとも思えない。


 いきなりの兵の進行。

 『中立国』を攻撃すると言う事は、戦争が方向性を変えてしまう。


 人間派世界派などの括りだけではない。全てを巻き込んだ戦争が起ころうとしている。


「クリード国王!!!『ローデン』の兵隊が国境付近まで近づいてまいります!!」

 騎士が叫ぶ。


「どうなさいますか?」

 白髪の老人が落ち着いた、けれども内心焦っている声で尋ねる。


 クリード国王は黙って、考えている。

 けれども、この沈黙が騎士を慌てさせる。

「国王!!!!」

 騎士は叫ぶ。


 すると、

「静まりなさい。国王直属騎士団騎士長である貴方が取り乱してどうしますか?」


 騎士は後ろを振り向く。

「クリマーラ王妃!!」


 クリマーラ王妃は静かに歩きながら、

「ノーアン公爵。『ローデン』の兵は今どの辺りですか?」


 そう言われ、白髪の老人が手に持つ紙を読み上げる。

「現在『ローデン王国』の兵隊は南方の『ガデラン大橋』を通過いたしました」


「兵の数は?」


「推定4万です」


「4万ですか・・・・それ程多くはありませんね。ですが、私達が攻撃をしてしまえば、『中立』を捨てる事になります」


 王妃の言葉に、騎士長が声を張り上げる。

「ですが!このままでは侵攻許してしまいますよ!!此所は迎え撃つべ―――」

「黙りなさい」


 王妃の一言で、騎士長は黙る。

 その様子を見ながら王妃は言う。

「お決めになるのは国王です。我々はそれに従うだけですよ」


「・・・申し訳ありません」

 騎士長は頭を下げる。


「ですが、騎士長の言った事も一理あります。このまま行けば、5日以内に我が国に『ローデン』の兵隊が到着します」

 ノーアン公爵は言う。


「それでも、お決めになるのは国王です」

 そう言って、国王を見る王妃。


 国王は黙り、目を瞑っている。

 そして、

「我々は『中立』。我々は下手に攻撃出来ない」


 その一言で、騎士長とノーアン公爵は右手を胸に当て、頭を下げ行動する。


「『中立』と言うのは人間派世界派の戦争に対してのですよ?」

 王妃が国王の側に行きながら尋ねる。


「それでも、だ。我々の国には多くの罪無き者達が居る。その者達を戦争に巻き込める訳がなかろう」

 そう言って、目を瞑る国王。

 顔色は悪く、今にも倒れそうな程の危うさ。


 国王の言葉を聞いて、王妃は少し表情を和らげる。


 決して正しい判断ではないのかもしれない。

 けれども、それが国王の意志。


 だからこそ、騎士長もノーワン公爵も従った。


 王妃は国王の肩に手を置いて、言う。

「今は体を休めて下さい・・・貴方」


 その言葉は、今までの王妃としての言葉ではなく。

 クリードの妻としての言葉。


 王は、静かに頷いた。



 Side=第三者∥Out













評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ