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Side=第三者∥Beginning∥『Reload』
まだ夕方だと言うのに、森の中は暗闇同然だった。
その暗闇の中、より一層暗闇を作り出す集団が居た。
黒い鎧・黒い剣・黒い槍・黒い盾
そして、真っ黒の布の真ん中に、白い剣・白い槍・白い盾が書かれたエンブレム。
黒い集団は重そうな鎧を着込んでいるのに、金属の音などは無く、無音で進む。
黒い剣の刃は暗闇の中でも光り。
黒い槍は天を貫く様に鋭く。
黒い盾は暗闇すらも防ぐ。
そして、揺れるエンブレムの書かれた旗は―――死を連想させた。
すると、集団の先頭を歩く1人の鎧が止まる。
他の鎧達も動きを止める。
すると―――
「死を象徴とする、『シャクリード王国』の誇る『黒い討伐隊』とお見受けします」
黒い集団目の前に、白い槍を携える男が立っていた。
黒い集団の先頭に立つ鎧が、言葉を放つ。
「貴様は・・・『ガスティン皇国』の過激部隊『始星団』ではないか。遠路はるばる、此所まで何を?」
「ふふ・・・ちょっと野暮用を」
そう白い槍を携える男は言う。
黒い集団の先頭に立つ鎧は尋ねる。
「野暮用?・・・それはあまり良い響きではないな。我々の邪魔をするつもりか?」
殺気を放ちながら、先頭に立つ鎧は自身の持つ黒い剣を構える。
その様子を見ながら、白い槍を携える男は不敵に笑みを浮かべる。
「名乗らせてもらいます。私は『始星団』ホルスト=デイド。司るは―――『無意味な殺意』」
白い槍を構えながら名乗る男。
「我も名乗らせてもらう。『黒い討伐隊』隊長、ガスロー=バルック。剣名は『Power to swallow the dark』―――意味は『闇を呑み込む力』」
それが合図となる。
黒い剣と白い槍が、互いにぶつかる。
Side=第三者∥Out
Side=サヤ∥Beginning∥『Reload』
災難だった。
てか、カロの野郎登場のタイミング良すぎだろ?
もう少しで・・・大人の階段昇れたのによ!!
まさか・・・俺遊ばれた!?
・・・・腹黒2人組め・・・・。
俺は現在沸き上がる怒りを抑えながら川で顔を洗っている。
涎のせいでね。
それにしても、まだ夕方ぐらいだと思うのだが森の中は夜だ。
獣とか襲って来ないよね?俺動物に嫌われるスキル持っているからぁ~。
川の水は冷たいわ。
すると―――
「!!!!!!!!」
何だ?これは?
魔力が森の中に・・・。
デカイな。でも、悪魔とのは違う。
これは人間の魔力。
戦闘か?
だが、こんな森の中でどうして?
俺は辺りを見渡しながら戦闘が行われている方角を探す。
「クソッ!霧散し過ぎて解らねぇー!!!!」
魔力は森の中を縦横無尽に満ちている。
この中で探すのは困難。
ドゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!
「爆発!?」
その方角を見る。
「魔力で探さなくとも丸わかりだな!!」
俺はその爆発が起きた所へ向かう。
向かっている途中でも、小規模な爆発が起きている。
結構どデカく戦闘している様だ。
すると、ふと視界に白い槍が横切る。
ん?
動きを止め、息を殺して見る。
何だあれ?
数人の男達が森の中で何かをしていた。
その男達は白い槍を携えているが、兵士と言うには軽装過ぎる。
だが、白い大きな槍は目立つ。
どっかの国の兵隊か?
だが、こんな所で何を?
そこで、ふと思い出す。
『古の魔女』は自国を抜けて来たのでは?と言うカロとフォーリの考えを。
まさか!!
そこからこの考えに至るまで、それ程時間は要らなかった。
アイツ等『ローデン王国』の兵士か!?
この森は、あの村からそう離れていない。
なら、今から向かう途中か?
なら、今誰と戦闘をしている?
まさかフォーリが喧嘩売ったんじゃ?
あり過ぎる可能性にビビりながらも、動く。
このまま村に行かれたら、墓荒らされる可能性がある。
恨みは無いが・・・ここで潰す!!!
俺は静かに、だが確実に白い槍を持つ集団に近づく。
そして、『S&W M500』と『デザートイーグル.50AE』を構え、撃ち出す。
バンッ!バンッ!バンッ!!!
撃ち出された魔法弾は白い槍を携えた1人の頭に命中。
もう二発は何かを仕掛けていた男の右腕に命中。
すると、
「敵襲!!!!!」
1人の男が叫ぶ。
それと同時に向こうも動き出す。
2人の男が槍に火を纏わせ、此方に向けて槍を突く。
火が俺めがけて飛んで来る。
俺はそれを跳び、回避する。
すると、今度は風を纏った槍を持った男が突く。
フォーリの槍と同じだな!!
だが、
俺はそれを木の枝を掴んで回避。
「アイツ程じゃねー!!!!!!!!!」
俺は木の枝に掴まりながら連射する。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドッン!!!!!!!!!!!!
弾幕が広がる。
向こうは見た事の無い銃に混乱し、統率が乱れる。
俺は弾幕の中から飛び出し、1人、2人と殴り倒して行く。
今の俺は拳も武器だよぉ~。
などとふざけた事を考えながら。
そして、目の前の1人を倒した瞬間、
「『風――風――風――『風塵』』!!!!!!!!!!!!!!」
風が巻き起こる。
その人工的に産まれた風のせいで、弾幕が晴れる。
そして、そこに立っていたのは白い槍を此方に向ける男。
だが、先程の奴等とは雰囲気は違う。
「・・・お前こいつ等の隊長か何か?」
俺が銃口を向けながら尋ねる。
だが、男は俺の質問には答えず、質問で返す。
「貴様は何者だ?」
「先にこっちが尋ねたんだ?答えろよ」
「貴様の様な得体の知れない者に、何を答えろと?」
駄目だ、会話にならねぇー。
なら・・・
「実力行使だ」
俺は動き出す。『S&W M500』をしまい、『デザートイーグル.50AE』を連射しながら『仙牙龍刀』を取り出す。
男は槍で魔法弾を防ぎながらも此方に槍を突き出す。
「『仙牙一刀』」
俺は『仙牙龍刀』を振る。斬撃が男を直撃するかと思った瞬間、
「『火――火――火――火――『炎蛇』』!!!!!!!!!」
「なっ!?」
俺の真横から火の蛇が襲いかかる。
『仙牙龍刀』を振り上げる。
「『仙牙二刀―――双龍』!!!!!」
二つの斬撃と火の蛇がぶつかり相殺される。
俺は一度距離を取り、俺に火の蛇を放った者を見る。
俺に火の蛇を放ったのは、細身の男。風を使う男とは対象的だった。
二対一・・・・不利か?いや、悪魔共よりもそれ程強いとは感じない。
ならば!!
俺は『仙牙龍刀』を構えながら言う。
「名乗ろう。俺はサヤ・・・・収め、貫く者だ」
俺が名乗ると、風を使う筋肉質の大男と火を使う細身の男が互いに見て、そして槍を構えて名乗る。
「『始星団』ノミノック=ガーナ。司るは―――『先の無い道』」
筋肉質の大男が名乗る。
「『始星団』クロハド=ミステッツ。司るは―――『虚無感だけの心』」
細身の男が名乗る。
互いに名乗り、互いの得物を構える。
風を帯びる白い槍。火を帯びた白い槍。
そして、森の木々から微かに差す光を反射させる―――一本の刀。
その中で、俺は静かに笑った―――。
Side=サヤ∥Out
Side=カロナス=ナイハ∥Beginning∥『Reload』
森の奥から凄まじい殺気と魔力を感じたと思ったら!
茂みに隠れながら、私は黒い鎧を見ていた。
あの鎧は確か・・・『シャクリード王国』の誇る死の象徴『黒い討伐隊』!!
しかも本隊ですか。滅多にお目にかかれないですよ。
人数は10。
『黒い討伐隊』の騎士の数は64名。その内の24名が本隊。
本隊にだけ所有させる事を許された、名が刻まれた剣・槍・盾。
まさか、こんな辺鄙な森までやって来るなんて。
相手が悪すぎる。
それに、サヤが川に顔を洗いに行ったきり帰ってこない。
まさか『黒い討伐隊』と戦闘を?
可能性はありますが、無鉄砲に突っ込む程サヤは馬鹿ではありませんが・・・問題はフォーリですか。
サヤが気絶した後、「食料調達してくるぜ!!」などと言ったきり帰ってこない。
彼は何故か最強を見つける無駄なスキルを持っていますからね・・・・もしかしたら誰かと戦っているかもしれません。
まずいですね・・・リノはユースティティアさんに預けているから大丈夫ですが・・・。
戦闘は避けたいですね。
ん?動きがありますね・・・何でしょうかっ!!!!!
ドゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!
何かが上空からもの凄いスピードで落下した。
攻撃!?サヤですか!?フォーリですか!?
爆発で生じた土煙で良く確認出来ない。
あれは・・・あの白い槍は・・・『始星団』ですか!?
まさか、『宗教国』の過激部隊まで此所に!?
下手な戦場よりメンツが揃っていますね。
目の前で、『黒い討伐隊』14名と『始星団』5名とが戦闘を開始していますね。
数的には『黒い討伐隊』が有利に見えますが・・・『始星団』はそこからの騎士や兵士とは違う。
『ガスティン皇国』の誇る「世界の恵」と言う訳ですか。
此所で傍観している暇は無いですね。
兎に角、サヤかフォーリと合流しますか。
私は静かに後ろに下がる。
『黒い討伐隊』『始星団』どちらに見つかっても即座に攻撃して来るでしょうから、慎重に動きますか。
「クハッハハハッハハッ!!!!!!!!そんな攻撃じゃ俺の槍は止めれねぇーぞ!!!!!」
森の中に一番聞きたくなかった声が響き渡る。
・・・・今の叫び声は・・・・最悪の事態ですね。
Side=カロナス=ナイハ∥Out
Side=バティフォーリ=ケスティマ∥Beginning∥『Reload』
獣の尻追いかけてたら、思いもよらない得物を見つけた。
黒い黒い真っ黒な集団。
『黒い討伐隊』!!!
しかも本隊と来たもんだ!!
支隊だったら目もくれないが・・・本隊となれば違う!!
「よぉ~・・・俺と遊んで行かないか?」
俺は茂みの中から姿を現し、黒い鎧に挑発する。
黒い鎧は特別慌てる訳もなく、剣や槍と言った武器を俺に構える。
流石本隊。戦闘に慣れてるねぇー。だが、解ってないな。
俺はニヤリと笑って言う。
「敵を見つけて構えるだけって・・・こう言う場合は、即殺だろ?」
その言葉を合図に、黒い鎧達は動く。
本隊と言っても、人数は6。足りないなぁ~。
この中に、最強が居れば良いのだが。
「『無限の槍の雨』」
空から大量の槍が降り注ぐ。
並大抵の奴なら、これで終わりだが?
だが、黒い鎧はそれを紙一重で躱して行く。
「ヒュ~♪流石だな!!だが・・・これはどうだ?」
俺は右手に力を集中させる。
「『道塞がる者を―――その強靭な矛先で貫け―――『剛力地槍』』」
俺の右手に、トリアイナと呼ばれる先端が三つに分かれた槍が創造される。
その槍は『雷神雷槍』の様な自然の力などでは無く。『殲滅魔槍』の様な禍々しさも無い。
あると言えば、圧倒的な力のみ。
俺は不敵に微笑み、忠告する。
「気をつけろよ?この槍は・・・防ぐんじゃなくて避ける事をお勧めするぜ!!!!!!」
叫び、『剛力地槍』を突く。
その瞬間、
ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!!!!!!ドゴォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!
槍から放たれた衝撃が、地面を走りながら黒い鎧の集団に命中する。
そして、地面が抉れる爆発。
黒い鎧はそのまま吹き飛ぶ。
「死んだか?」
俺が頭を掻きながらそう呟くと、
「油断しましたか・・・だからあれ程戦闘では気を抜くなと言っておいたのですがね」
土煙の中から、黒い鎧がのそりのそりと現れる。
その黒い鎧が持っていたのは、黒い槍。種類はバルディッシュ。上端部に三日月状の斧がくっつけられた様な槍だ。
いや、これは最早斧と言っても良いかもしれないな。
黒い鎧が持つバルディッシュは柄もそうだが刃すらも真っ黒だ。
不気味だねぇ~。
思わず笑みを零す。
すると、黒い鎧がバルディッシュを俺に向けながら言う。
「名乗るべきかな?」
俺も『剛力地槍』を構え、答える。
「名乗りたければ名乗れ。誰も止めねぇーよ」
「ふふ・・・そうか、では名乗らせてもらおう。我は『黒い討伐隊』スノドィー=ギビデ。槍名は『The dark held down』意味は『ねじ伏せる闇』!!!!!!!!」
黒い鎧は槍を構えたまま、俺に突っ込んで来る。
ククッ!!面白い!!!!
俺は『剛力地槍』を突くる
衝撃が黒い鎧を襲う。
「んのっ!!!!!!!!!」
黒い鎧は必死に堪えるが、無駄だ。
「馬力が違ぇー」
更に力を入れ、突く。
「ぐがぉぉおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!」
黒い鎧はそのまま吹き飛ばされ、木に激突する。
「おいおい・・・・これで終わりか?」
もしそうならつまらない。
これならあの餓鬼悪魔の方が楽しめた。
「ククク・・・私の槍名を忘れたのかね?『ねじ伏せる闇』だよ?」
黒い鎧がそう言った瞬間、俺の頭上から何かが振り下ろされる。
「あぁ?」
ドゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!
振り下ろされたのは先程黒い鎧が持っていたバルディッシュ。
だが、大きさが違う。
どうやら巨大化的な魔法だろうな。
俺はそこら辺は専門外だ・・・・。
「クククハッハハハハハハハ!!!!!!!愚かに潰されたか!!!!!!」
黒い鎧は馬鹿笑いをしている。
「馬鹿か?」
俺は平然と土煙の中から現れる。
「なっ!?」
おぉ~驚いてる、驚いてる。
俺は笑みを作りながら『剛力地槍』の先端を向ける。
「馬力が違ぇーって言っただろ?」
「なっ!?馬鹿な!!!馬鹿なあああああああああああああああああ!!!!!!!!」
自暴自棄になったのか、黒い鎧は俺めがけて巨大化したバルディッシュを振り回す。
だが、
「クハッハハハッハハッ!!!!!!!!そんな攻撃じゃ俺の槍は止めれねぇーぞ!!!!!」
俺は『剛力地槍』思いっきり突き出す。
ドゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!
衝撃と共に、地面が抉れて土煙が舞う。
「ハズレだった様だな・・・つまらねぇー」
土煙が晴れたそこには、黒い鎧の欠片も無かった。
Side=バティフォーリ=ケスティマ∥Out
Side=サヤ∥Beginning∥『Reload』
飽きたな。
もうその一言だ。
筋肉男は風を使うだけで捻りが無い。
細身男は捻るには捻っているが馬力が無い。
対象的過ぎて笑える。
もうそろ良いな。
さっきフォーリの馬鹿な笑い声聞こえたし。
カロがもしこの状況に気付いているのなら、フォーリの所に向かう筈だ。
俺もその後合流すれば良いか。
「余所見している場合か!!!!」
筋肉男が叫びながら槍を放つ。
飽きたな。ホント。
俺は柄に力を入れる。
「眠れよ・・・永遠に『仙牙二刀―――双龍』」
二つの斬撃が筋肉男を狙う。
「『火――火――火――『火車』』」
円状の火が、斬撃を防ぐ。
「それはもう見飽きたぞ!!」
細身が叫ぶ。
「馬鹿か?」
そう俺が呟いた瞬間、
ギィィィィィィィィィィィィィィィン!!!!!!!!!!!
「「なっ!?」」
2人が驚きを露わにする。
理由は簡単、『仙牙龍刀』の刀身が伸びたからだ。
「『仙牙七刀―――閃光』」
そのまま、バッドを振るかの様に腰を使って振る。
2人は白い槍で必死に防ぐが、
「馬力が違ぇー」
ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!
鮮血が飛び散る。
2人は上半身、下半身を綺麗に分けられ地面に転がっている。
即死?それは解らない。もしかしたら今も生きているかもしれない。
だが、
「トドメは刺さないよ?慈悲だ。苦しめ」
俺の直感が言っていた。コイツ等は碌な奴じゃねーと。
俺は『仙牙龍刀』を消し、その場を立ち去る。
「何が起きてる?」
そんな事を気にしてないくせに、そんな事を呟きながら。
Side=サヤ∥Out