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Side=サヤ∥Beginning∥『Reload』
一応は終わった。
これを終わりと言って良いのかは解らない。
もしかしたら、これが始まりなのかもしれない。
「カロぉ~生きてるかぁ~?」
俺はカロを見つけ、手を振る。
あれ?何かカーリーさん機嫌悪い?こっち睨んでるよ?
・・・もしかして、あの悪神召喚したの怒ってる?
やばくね?カーリーさん怒ってるとかやばくね?
俺死ぬかも・・・・。
「そちらはもう終わったのですか?」
カロが尋ねて来る。
「あぁ。まぁ、終わったって言えば終わったが・・・・お前もついにお父さんか」
俺はカロが抱いている子供を見て言う。
「私の子供じゃありませんよ」
そう言って苦笑いをするカロ。
「まぁ、その事も後々説明してもらって・・・・お前の力の事もな」
そう俺が言った瞬間、カロの顔色が変わる。
「・・・はい」
カロは小さく頷き言った。
すると、カーリーが俺の耳元で囁く。
「マイマスター・・・後でどうなるかな?」
「・・・はい」
俺も小さく頷いて言った。
確実にこれは死刑宣告ですよね・・・短い命だった。
「ティハッハハ!!どうやら終了の様だな!!!」
遠くの方からモートの特徴的な笑い声が聞こえる。
そちらの方を見ると―――
「イテッ!!イテッ!!引き摺るな!!痛い!!小石が俺の背中をっ!!イテッ!!今石に!!ゴガッ!!!ブヘッ!!!」
フォーリがモートに引き摺られて帰って来た。
何で?どうなったらあの様な状況に?
「どうしてフォーリは引き摺られているのですか?」
カロがニコニコ微笑みながら尋ねた。
もうコイツの事優男言えないよね。腹黒過ぎ・・・。
「ティハッハハ!!コイツスゲェー面白い武器使いやがってよ!!!そのせいで左腕の感覚が無くなったと思ってたら、実は足の筋肉組織もズタズタだったんだよ!!!それでここまで俺が仕方無く連れて来てやったんだ!!!!」
笑いながら、モートが説明する。
「・・・・カロ、お前いつの間に子供を?」
フォーリがカロの抱いた子供を見上げながら尋ねる。
「・・・・説明しますから早とちりしないで下さい」
カロは苦笑いをしながら言う。
「まぁ、一応は終わりか・・・・んじゃ!」
俺は目を瞑り、詠唱する。
「『答えよ―――主の声に―――姿と癒しの愛を見せよ!!!』」
魔方陣からエルが現れる。
「・・・・・・・何?」
・・・スゲェー不機嫌です。
「えぇーと・・・俺、フォーリ、カロの怪我を治してくれ」
俺は冷や汗を流しながらお願いする。
エルは不機嫌な顔をしながら確かめる様に言う。
「フォーリと・・・・カロの怪我を・・・・治しせば・・・良いの?」
「うん。それと俺もね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
何故か黙るエル。
「あれ?俺もだよ?」
あれれ?あれれ?
「・・・・・解った・・・・直せば良い・・・のね」
「ん?エルさん?治すの字が違うよ?直すじゃなくて治すだよ?」
黒いぞ?エルが滅茶苦茶黒いぞ?
「・・・・男女の・・・傷を直せば・・・良いのね」
「男女?それ俺の事!?ねぇ!!俺の事?」
俺がしつこく言い寄ると、
「・・・五月蠅い」
今までのエルさんでは考えられない程ハッキリとした声で言われた。
「・・・す、すいませんでした」
「ティハッハハ!!主の負けだな!!!」
モートが煙草を咥えながら茶化す。
「おぉ!!モートは俺の味方だよな!!!」
そう言ってモートに近寄ろうとした瞬間、モートが自分の右手に炎を生み出す。
そして、満面の笑みで、
「まぁ、燃えとくか?」
・・・・・あれれ?
助けを求める様にカロ&フォーリを見ると、
「いやぁ~アンタ美人だな!!!」
フォーリはエルを口説き。
「赤ちゃんって、どうすれば良いのでしょうか?」
カロは子供の頭を撫でながら微笑んでいた。
・・・うん。完全に無視だね。
すると、
トポトポトポッ――――・・・・。
「冷てっ!!!」
何かが俺の頭にかかる。
ふと、上を見上げるとカーリーが酒瓶を傾けていた。どうやら俺の頭にかけられたのは酒の様だ。
更にふと、酒瓶のラベルを見る。
「・・・テキーラ?」
そう俺が呟くと、俺の後ろで何かが盛大に燃えている。
その方を見ると、モートの手に生み出された炎が盛大に、今までに無い程に燃えていた。
「・・・駄目ですよ?アルコール度数が高いお酒に火を近づけちゃ?駄目です・・・よ?」
そう俺が言うと、二人はニヤリと、悪魔よりも悪魔な笑みを浮かべた。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
叫び声が響き渡り・・・・一体の黒炭が出来上がった・・・。
その後、気を失った俺は強制的に星の綺麗な俺の中に連れて行かれ、そこでもお怒りの神々がありとあらゆる技とも言えない力技で俺を痛めつけた。
その度、エルが俺を治療し・・・・それが攻撃され・・・それが何回も続いた。
・・・今日が命日です。
Side=サヤ∥Out
Side=第三者∥Beginning∥『Reload』
暗闇の中、男と女が向き合っていた。
険悪なムードでは無いが、穏やかとも言えない。そんな緊張感が包む暗闇。
「先程・・・中立国国境付近で大きな魔方陣の発動が報告された」
男は女に知らせる様に言う。
だが、女はつまらなそうに答える。
「へぇー・・・それで?」
「解らないか?・・・なら、詳しく説明してやろう」
偉そうな口調に、女は眉間に皺を寄せる。
「有り難いわね。私にも理解出来る様に態々説明してくれるなんて」
女は不機嫌を露わにしながら言う。
男は気にせず説明する。
「我々『ローデン王国』は裏切り者、『古の魔女』の討伐を協定を結ぶ『ガスティン皇国』に願った所、『ガスティン皇国』から『始星団』が『古の魔女』討伐に向かった・・・ここまでは大丈夫か?」
確認を取る様に男は女に尋ねる。
「解り易い説明で・・・私は長い間湿気の多い部屋に閉じ込められていたので、最近の政治には疎くて」
皮肉混じりに言う女。
だが、男には皮肉は通用しないのか、はたまた気付いてないのか続ける。
「その討伐に向かった『始星団』から『ガスティン皇国』を通して此方に情報が伝えられた。その内容は「『古の魔女』が潜伏していると思われる所から巨大な魔力を感知。それと共に空に巨大な火柱が上がった。この様な状況からして、使われたのは広範囲型魔方陣と思われる。『古の魔女』の生死は不明。尚も捜索を続け、生きていた場合は捕縛。抵抗する場合はその場で執行する」・・・とまぁ、この様な内容なのだが?」
一通り説明し、男はニヤリと笑う。
女は男を睨み付ける。だが、男は笑いながら続ける。
「討伐をお願いしたのに、捕縛とはどう言う事だろうな?抵抗してもしなくとも・・・殺せば済む事」
そう男が言った瞬間、女から膨大な殺気が放たれる。
「ふふ・・・・お友達が心配なのか?」
男は笑みを浮かべたまま尋ねる。余裕の現れの様にも見えるが、男の額から汗が大量に流れている所からすると、強がりだと解る。
すると、女は殺気を放ちながら言う。
「あまり私を怒らせるなよ?私はそれ程に気が長い方じゃない。手が滑って殺した事だって何度もあるのよ?今にも手が滑ってお前の首を刎ねてしまいそうだよ」
その言葉に、男は笑みを消す。
「・・・お前には特別任務に就いてもらう」
その言葉に、女は一層不機嫌な顔をする。
「私は『望みが来た。後はお前次第』と言われているのだけど?」
「この任務はお前の望みに重なるモノがあるのだよ」
男は笑みを浮かべる。
「・・・私の望みと重なるモノ・・・お前は私の望みを知っているのかしら?」
女は男に尋ねる。
「あぁ。「悪魔共を滅する」事だろ?」
男は知った様に言う。
けれども、その答えに女は笑って訂正を加える。
「違うね!!私の願いは「私の邪魔をする者は悪魔だろうと人間だろうと消す」事よ!!!」
その言葉に、男はゾッとする。
「アンタも、あの男も勘違いしているわよ?私が何時悪魔を消したと言った?違うね!!私は私の邪魔をする者を消したいだけよ!!!」
その言葉に警戒しながら男は尋ねる。
「我々を裏切る気か?」
その言葉に、女は静かに答える。
「する気は無いさ。今は利害が一致しているもの。あの・・・男を殺すと言った事はね」
そう言い、片目を閉じて男を見る。
続ける。
「でも、アンタとあの男がやろうとしている事には賛同しないね。私は別に政治になどに興味は無い。あるのは私に有益な事。無益な事は実際に私に何か無い限り興味無い。だから―――」
そこで一旦言葉を切る。
「だから?」
男はその言葉の次を尋ねる。
すると、ニヤリと女は笑い、
「だから、私の邪魔をするなら私のうっかり手を滑らせるかもしれないって事よ」
女の目、本当にそうするぞ?と言っており、これ以上男は何も言えなくなってしまった。
その様子を見た女は機嫌を良くしたのか、ニコニコ笑いながら言う。
「まぁ、大丈夫よ。今の所はアンタ達に使われてあげるわ。で、その別の任務って何?」
そう尋ねられ、男は本題を思い出す。
「あ、あぁ。これはこれだ」
胸ポケットから一枚の紙を取り出し、女に手渡す。
女はその紙を受け取り、内容を読んだ。
読むのと同時に、顔を歪める。
その紙に書かれていた別の任務内容。
『中立国ガデラン王の暗殺――――』
極々シンプルで、捻りも何も無い任務内容。
その紙を握り潰しながら女は言う。
「ふざけているのかしら?今この状況で、『中立国』と言う逃げ道を塞ぐのにどれ程のデメリットがあると思う?」
その言葉に、男はニヤリと笑って答える。
「だからこそ、さ。他の国々にはデメリット以外の何物でも無い。だけれど・・・我々の計画には『中立国』と言う逃げ道があっては困るのだ。それに、『中立国』が何時自分達のその名を捨てるか解らないこの状況で、第三勢力として現れるのは至極困るのだよ」
「協定を結ぶ『ガスティン皇国』『アスリトン王国』が崩れるわよ?」
女は睨みながら言う。
だが、それすらも男は笑って答える。
「協定など、切って捨てれば済む事。結局は弱者は強者に縋るしかないのだ」
その言葉に、女は心底顔を歪める。
「・・・・一応は了解」
そう言って、男の側から離れる女。
その後ろ姿を見ながら、男は呟く。
「・・・・・メスが・・・」
Side=第三者∥Out