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Side=マルコシアス∥Beginning∥『Reload』
どうやら、フォカロルとウェパルは死んだ様だな。
まぁ、良いさ。私の作戦に支障は無い。
どうせあいつ等は足止め。
「おい!準備は済んだのか!?」
私は叫び、部下に尋ねる。
一匹の部下が前に出て答える。
「後・・・数分デ終ワリマス・・・」
「早くしろ!!!」
私は部下に怒鳴り、視線を外す。
私の視線の先にあるのは・・・ちっぽけな村。
フェニックスが潜伏する、汚らしい村。
「ククク・・・・もうすぐだ・・・もうすぐで・・・作戦を完遂出来る」
笑みを浮かべる。
思い描くは・・・断末魔の叫びと、絶望に沈むフェニックス。
「ハッハハハハハハ!!!!!!!!」
私が声を出して笑っていると、後ろから声が掛かる。
「マルコシアス」
子供とも大人とも取れる声。
私はゆっくり振り返りながら尋ねる。
「何だ?サレオス」
私の後ろに立っていたのは、髪を編み込んだ髪型の男。
「作戦がもう少しで決行出来る。オリアスを退かせた方が良いのでは?」
サレオスが尋ねる。
「フンッ!あんな糞女はいない方が良い」
私はサレオスから視線を外しながら答える。
あの女はでかい顔をして、人間如きに腕を奪われる弱者だ。
「そうか・・・まぁ、別に俺が勝手に連れて来るがな」
そう言って立ち去るサレオス。
「糞が・・・・」
吐き捨てる。
あの男も好かない。
何を考えているのか、まったくもって解らない。
だが・・・それは今のこの状況では些細な事。
今は、作戦遂行を・・・・。
私はもう一度笑みを浮かべた。
Side=マルコシアス∥Out
Side=第三者∥Beginning∥『Reload』
木々がなぎ倒され、地面が抉れている。
その中央で、男と女が対峙していた。
男はカロナス=ナイハ。
女はオリアス。
互いに肩で息をしている。
互いの力は拮抗しており、ただの消耗戦と化していた。
カロナス=ナイハの表情は痛みと疲れに歪んだ顔。
オリアスの表情は、一言で言えば笑みだ。
対照的に見える二人。だが、その二人が放つ力は同じ。
だが、唯一違うのは『奪う』か『守る』の違いだ。
カロナス=ナイハは右手をオリアスに向ける。
「これ程に拮抗してるとはな・・・」
皮肉にも聞こえる言葉。
それを、オリアスは冗談混じりに答える。
「それ程に相性が良いのかしら?これならこの後のベッドタイムも楽しめるかしら?」
その問いに、カロナス=ナイハは苦笑混じりに答える。
「貴様とそんな段階を踏むつもりは無いな」
「あら、童貞?それとも不能なのかしら?私が確かめてあげるか?」
挑発するオリアス。
「それを確かめる必要は貴様に無い。それと、私をあまり怒らせるなよ?淫乱が」
青筋を立てながら言うカロナス=ナイハ。
「淫乱なんて失礼だな。私はアンタを誘ってるだけ」
「それが淫乱だと言っているんだよ」
互いにこの場に不必要な言葉を交わす。
いや、これは時間稼ぎ。互いに互いの魔力回復の時間を稼いでいる。
少ない時間でも、回復出来るのなら力の差は出る。
だが、結局は互いに回復しているのだから、消耗戦に変わりは無い。
「そろそろ終わりにしようか・・・・オリアス」
カロナス=ナイハが言う。
「私はまだ楽しみたいね。これで終わりは悲しすぎるだろ?」
オリアスは舌で唇を舐めながら言う。
「貴様の言う踊りは終わりだ」
「それじゃ~次は場所を変えて踊る?今の私なら激しく踊れる気がするが?」
「貴様はそれしか頭にないのか?」
呆れた様に尋ねるカロナス=ナイハ。
「今の私は最高に昂ぶってる・・・今日は特別だよ?アンタの為に・・・ね!!!」
そう言いながら、動き出すオリアス。
名も無き魔弾をカロナス=ナイハめがけて放つ。
カロナス=ナイハもそれを名も無き魔弾で撃ち落とす。
その度に、轟音と地響きが起きる。
「ハハッハハハ!!!最高だ!最高だ!!!!これ程に楽しめた事はあるのだろうか!!!!もっと、もっと私を興奮させろ!!!!カロナス=ナイハ!!!」
走りながら叫ぶオリアス。
カロナス=ナイハが放つ魔弾を、アクロバティックに躱しながら接近する。
「くっ!!!どこにそんな力が・・・」
カロナス=ナイハは顔を歪めながら魔弾を放ち続ける。
だが、それはオリアスに当たることも、掠ることも、動きを止める事も出来ない。
「まだだ!!まだだ!!!!まだだろ!?カロナス=ナイハ!!!!!!!」
挑発しながらオリアスはカロナス=ナイハに接近する。
「貴様は俺に・・・・何を求めている!!!!」
魔弾を放ちながらカロナス=ナイハは尋ねる。
「私は―――」
すると、オリアスの姿が消える。
「なっ!?」
カロナス=ナイハは驚愕し、辺りを見渡そうとした時、
「―――私の腕が、私じゃない奴にどれ程扱えるのか知りたい・・・・アンタがそれ程の人間なのか・・・私の腕が無駄になってないか・・・・ね」
いつの間にか、オリアスはカロナス=ナイハの背後に立ち、名も無き剣を首筋に立てている。
「・・・・確かめられたか?」
汗を流しながらカロナス=ナイハは尋ねる。
その問いに、オリアスは笑みを浮かべて答える。
「・・・どうだろうね。まだまだでしょうが、私はアンタを気に入っているから・・・もう少し楽しみたいけれど、これでバッドエンドかしら?」
首筋に当てられた名も無き剣の刃先が食い込んで行く。
「・・・私はまだ終わるつもりは無いぞ?」
カロナス=ナイハは笑みを浮かべ、答える。
「何を言って――――なっ!!!!!!!!!」
オリアスが急いでカロナス=ナイハの側から離れる。
「どうした?・・・・まだ、終わりには早いぞ?」
カロナス=ナイハが笑みを浮かべる。
だが、驚くべき所はそこでは無い。
カロナス=ナイハの腕だ。
「それは・・・・」
オリアスはその腕を見ながら驚愕する。
すると、カロナス=ナイハは詠唱をする。
「『悪魔と人が混同する―――それは異形か―――それは異常か―――導かれる事の無い―――我はそれでも望む―――背く事でも―――外れる事でも―――我はこの力を行使する―――我の血肉を喰らい目覚めろ―――『悪魔を宿す水の腕』!!!!!!!!!』」
詠唱をした瞬間、カロナス=ナイハの右腕を水が纏う。
「それは・・・・」
オリアスはその腕を見ながら尋ねる。
「これは、私が造り出した魔法。悪魔でも人でも使えない・・・禁忌を犯した者が使える力・・・ここからだ、オリアス。幕引きには早いぞ?」
カロナス=ナイハは喋りながら、右腕を振るう。
すると、大量の水が刃の様に鋭くオリアスを襲う。
「チッ!!!」
オリアスは舌打ちをしながらそれを回避するが、それでは間に合わない。
水の刃がオリアスの足を喰らう。
「ぐがああああああぁぁぁぁあああぁぁぁぁあああああああ!!!!!!!」
オリアスは痛みに叫び、そのまま地面に転がる。
「くっ・・・」
オリアスは顔を歪める。
「終わりか?オリアス」
カロナス=ナイハがオリアスに近づきながら尋ねる。
すると、オリアスが肩を揺らしながら笑い始める。
「クックク・・・ハッ!!!ハッハハハハハハッハハハ!!!!!!」
「・・・何が可笑しい?」
カロナス=ナイハは眉を細めながら尋ねる。
すると、オリアスは立ち上がり、叫ぶ。
「これが可笑しくなくてどうする!!!!!アンタは私の予想を遙かに超えた!!!これ程に楽しい事があるか!!!予想以上に私の腕を使いこなし、しかもオリジナルの力とした!!!!!これ程に楽しい事があるのか!!!!!!」
叫ぶオリアス。今のオリアスに痛みなど無い。ただ、狂気に似た歓喜だけ。
「・・・遺言はそれで終わりか?」
カロナス=ナイハは腕を翳しながら尋ねる。
すると、
「終わり?・・・・これ程楽しいのに終わり?それは駄目だな・・・私はまだ楽しみたい。まだ・・・終わりはつまらないだろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」
オリアスが叫んだ瞬間、異常な力がオリアスから漏れ出す。
「なっ!!!!」
その光景に驚愕するカロナス=ナイハ。
漏れ出した力が、纏まって行く。そして、一本の名も無き剣に変わる。
「ハッハハハハ!!!!まだまだフィナーレにはほど遠いな!!!!!」
オリアス叫びながら、その名も無き剣を掴む。そして、振るう。
ブォォォォォォォォォオォォォォオォオオオオオオオオォォォンッ!!!!!!!!
風が巻き上がり、全てを吹き飛ばす。
「クソがっ!!!!!!!」
カロナス=ナイハは右腕を振るう。
だが、それすらも吹き飛ばす。
カロナス=ナイハはそのまま後ろに飛ばされ、倒れた大木に背中を衝突させる。
「ぐはっ!!!!」
血を吐き出す。満身創痍のこの体では、これだけの衝撃でも死に繋がる。だが、辛うじて命を繋ぎ止めた。
オリアスは、ゆらりゆらり歩きながら、笑みを浮かべる。
形勢が変わる。たった一振りで。
「これ程・・・か・・・」
カロナス=ナイハは顔を歪めながら、オリアスを睨む。
状況は限りなく不利。だが、ここで諦める程カロナス=ナイハは潔く無い。
生に貪欲で、死に場所を求める程の綺麗さも持ち合わせていない。
その為、立ち上がり腕を翳す。
それと同時に、オリアスも自身が持つ名も無き剣を翳す。
そして、互いに振り下ろす。
ドゴォォォォオオオオォォォォォォオオオオオオン!!!!!!!!!!
ぶつかり合う。
拮抗している様に見えるが、それは違う。微かに・・・いや、確実にカロナス=ナイハが押し負けている。
「くっ!!!!!!!!!」
歯を食いしばる。
だが、負ける。
ドゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!
カロナス=ナイハが斬撃に吞まれる。
土煙が舞い、全てを包む。
オリアスはニヤリと笑う。
すると、
「!?」
オリアスは土煙の中に立つ者を見る。
「・・・貴様は誰だ?」
オリアスは殺気を篭めて尋ねる。
その土煙に立っている者が、剣を振りながら答える。
「ふふ・・・血が大好きな・・・ただの神さ」
カーリー。ドレッドヘアに褐色の肌の女性が、刃先をオリアスに向けながら答える。
「何故、邪魔をした?」
オリアスは少しずつ顔を歪めながら尋ねる。
「本当は邪魔するつもりは無かったんだけど・・・彼に死なれるのは困るのよ。マイマスターの支えが無くなってしまう」
そう言いながら、腰に下げるもう一本の剣を抜く。
「カーリー・・・さん?」
カーリーの後ろにいたカロナス=ナイハが確かめる様に尋ねる。
「生きてる様ね、優男。邪魔して悪かったわね。でも、死なせる訳にはいかなし、まだ貴方の腕は完璧じゃない」
「!?・・・気付いていたのですか?」
カロナス=ナイハの口調が元に戻って行く。
「えぇ。だから、今回は邪魔をさせてもらったのよ?それに・・・私は戦うなって命令は受けてないから・・・・」
そう言って、ニヤリと笑うカーリー。
すると、オリアスが叫ぶ。
「邪魔を・・・邪魔をするな!!!!!!!!!!!!!」
叫びながら、カーリーに突っ込むオリアス。
その様子を見ながら、カーリーも眼を見開き、突っ込む。
オリアスが剣を横に振る。
カーリーはそれを剣で受け、そのままもう一本の剣でオリアスの喉元めがけて突く。
オリアスはそれを紙一重で躱す。
だが、それでカーリーの攻撃は終わりじゃない。
カーリーの眼の色が変わる。
血のように赤い・・・・サヤの『朱眼』とは違う赤。
眼の色が変わった瞬間、カーリーは右脚でオリアスの腹を蹴り上げる。
「ぐがっ!!!!!!」
オリアス宙に浮く。
そのまま体を捻り、カーリーがもう一度オリアスの腹を蹴る。
「ぐがっ!!!!!!!!!!!」
オリアスはそのまま、後ろに飛ぶ。
ドゴォオォォオオオオオォォォォォオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!
森の中に突っ込むオリアス。
その様子を、カロナス=ナイハは驚愕の表情で見つめる。
「これが・・・神ですか」
神の力を、再確認した瞬間。
すると、森の中から叫び声が響く。
「ぐあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
声の主はオリアス。声には殺気が篭められており、聞くだけで体力を奪われる。
そして、森の中からゆっくりと現れる。
「カロナス=ナイハとの戦いを・・・邪魔しやがって・・・・私がどれ程楽しんでいたか・・・それを・・・貴様の様な女に邪魔されるなんてええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!」
その叫び声に動じず、カーリーは言う。
「歪んだ愛は重すぎるわよ?」
「黙れえええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!」
オリアスがカーリーに突っ込もうとした時、更なる乱入者が現れる。
「止まれ、オリアス」
その乱入者は子供とも大人とも取れる声でオリアスの前に立つ。
「邪魔をするな!!!!!!!!!!!」
オリアスが叫ぶが、乱入者は冷静な声で言う。
「あの女は別格だ。ここで貴様が死ぬ事はない。それに、一度冷静になれ。お前の目的は達成されただろ?今あの男を殺す必要は無い筈だ」
その言葉を聞いて、オリアスは少しずつ冷静さを取り戻す。
「それに、ここで全力を出せば作戦が失敗に終わる。まずは落ち着け。お前の求める男はここで死なない。ならば、次があるだろ?それを此所で消すつもりか?お前は狂った戦闘狂ではないだろ?冷静に戦えるお前が、見失ってどうする?それに――――」
「もう大丈夫よ、サレオス」
言葉を遮る様に、オリアスが喋る。
オリアスは名も無き剣を消し、カロナス=ナイハを見て言う。
「次・・・今度は二人っきりで踊ろう・・・・邪魔が入らない・・・・その時に」
そう言い、オリアスは森の中に消えて行く。
乱入者であるサレオスも森の中に消えようとした時、カーリーが止める。
「待ちなさい」
サレオスは立ち止まり、振り返る。
「逃がすと思うの?」
カーリーが刃を舐めながら言う。
すると、サレオスが微笑み言う。
「今回は逃げさせてもらう。貴女には勝てる気が全然しないのでね。それに、貴女は誰かの召喚によって現れた・・・・貴女みたいな女性を召喚する化け物とも勝てる気がしない。その為、今回は逃げさせてもらう」
「あら、マイマスターの事もバレてるの?アンタ嫌なタイプね」
そう言いながら、剣を鞘に収めるカーリー。
その様子を見ながら、サレオスは言う。
「だが、次は戦わせてもらうよ。貴女のマイマスターとね。まぁ、願わくば貴女とは戦いたくないけど」
「マイマスターは・・・私以上よ?」
「ふふ・・・それは困ったね」
そう言い残し、サレオスは森の中に消えた。
カーリーは暫く森を見つめ、振り返りカロナス=ナイハの側に行く。
「大丈夫かしら?」
カロナス=ナイハは微笑みながら答える。
「えぇー・・・一応は」
そう言いながら、腕を押さえる。すると、纏っていた水が消え、腕に刺青が浮き出す。
「厄介なモノを宿しているわね」
カーリーがどこから出したか、酒瓶をラッパ飲みしながら言う。
カロナス=ナイハは腕を押さえながら、答える。
「あまり知られたくない力ですけどね」
「もう無駄よ?マイマスターは一応魔力の感知が出来るわ。もうバレてる」
カーリーは口を拭いながら言う。
「そうですか・・・・では、説明しなくては駄目ですね」
そう言って、暗い顔をするカロナス=ナイハ。
その顔を見て、カーリーは笑って言う。
「大丈夫よ!マイマスターも十分な化け物なのだし、アンタのそれも気に何てしないわ!!!」
その言葉に、少し微笑みカロナス=ナイハは呟く。
「ホント・・・・良い友を持ちました」
「ホントね!!!!」
カーリーはまた、ラッパ飲みする。
すると、カロナスーナイハが何かを思い出す。
「ん?・・・・先程の男、作戦と言っていませんでした?」
その問いに、カーリーは答える。
「ん~・・・・確かに言っていたわね」
「・・・作戦?・・・・まさか!!!」
カロナス=ナイハは気付く。
「そのまさかかしら?」
カーリーも同様に気付いた様だ。
カロナス=ナイハは立ち上がり、悔しそうな表情を浮かべる。
「これは・・・・囮!!!!!」
ドゴォォォォォォォオオオオオオオオオオオォォォン!!!!!!!!!!
「「なっ!?」」
その時、爆音と共に空に火柱が上がった――――。
Side=第三者∥Out




