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Side=カロナス=ナイハ∥Beginning∥『Reload』
「成る程・・・では、貴方とは敵同士だったと言う事ですか」
「そうだな。まぁ、今となっては関係無いがな」
只今宿でバティフォーリ=ケスティマ・・・フォーリと自分達の過去を話しています。
まぁ、当然言えない事も多々有りますが。
どうやらフォーリは人間派の『グラパス皇国』の傭兵だった様です。
人間派に無限傭兵は有りませんが、それ程に人手不足なのかもしれません。
まぁ、彼の場合はその知名度で雇ったのでしょうが・・・。
彼、バティフォーリ=ケスティマは有名な槍使い。
二つ名を『創造の槍使い』。創造魔法で彼の右に出る者は居ないとまで言われる男。
「凄く有名な人だったのですね。まさかそれ程の有名人だったとは」
そう言って、私は微笑む。
「それ程でもねぇーよ。俺的には、お前の方が有名だと思うぜ?」
そう言って、フォーリは不敵の笑みを浮かべる。
「そうですか?」
私は笑みを崩さずに尋ねる。
「あぁ。『探求する殺戮者』・・・・だったか?」
!?
「まさか・・・そっちの二つ名を知っているとは思いませんでしたよ・・・」
思わず笑みが崩れる。
彼が言った私の二つ名、『探求する殺戮者』は私が世界派に入る前の二つ名だ。
「結構な名じゃねぇーか!!!」
そう言って、笑うフォーリ。
嫌いなタイプではないですね。きっとサヤもそう思うでしょう。
私とサヤは似ていますしね。思考とかが。
今のところ、彼への警戒はしなくとも良いでしょう。問題は不死鳥ですか・・・どうしましょうか。これは龍族よりも手間が掛かりそうですね。
そして・・・サヤですか。
私はベッドで寝ているサヤを見る。
傷はエルさんのお陰で完治している。が、サヤは狂気に堕ちた。
これは予想していた。
サヤ自身も偶に漏らしていたが、まさかこんなに早く・・・。
すると、フォーリが言った。
「この餓鬼は強いのか?」
私はフォーリに視線を変えて答える。
「えぇ、強いですよ。化け物ですから」
化け物と言うワードで、フォーリが笑う。
「クハハッハ!!!それは面白いな!でも・・・俺が言っている強さとはそっちのじゃねーよ?」
そう言った瞬間、フォーリの表情から笑みが消える。
そして、殺気を放つ。だが、その殺気の標的はサヤだった。
「何を?」
私も少なからず殺気を放つ。
今にも彼は、槍を造り出し、攻撃して来そうな様子だ。
「俺が聞いているのは、コイツが堕ちても尚此方に戻ってこれる程の精神力の強さを持っているのかと聞いている」
そう言って、頬杖をつくフォーリ。
私は黙っている。
彼は続ける。
「俺は今まで何人も見てきた。力に溺れ、同胞を殺した者をな。俺が見てきた者全て、堕ちて帰って来た奴はいねぇー」
それは私も同じだ。
力に溺れ、堕ちた人間など沢山見てきた。
そのせいか、堕ちそうな人間などは見れば何となく解る。
そのなんとなくで言えば―――
「サヤは、そこまで弱くありませんよ?」
私は微笑んで答える。
「何故そう言い切れる?」
彼は私を睨む。
「そうでないと、私はサヤと共に居ようとは思いません」
「・・・成る程な」
彼はそう言って、殺気を放つのを止める。
「・・・俺が聞いてない所で俺の話をされるのは、あまり良い気持ちがしないな」
!?
その声の主を見る。
「・・・起きましたか?」
私は尋ねる。
「起きたよ。最高の目覚めだ」
そう言って、笑うサヤ。
ふと、フォーリを見る。
眼を丸くして、驚いている。
きっと、サヤの変わりように驚いているのだろう。
「・・・金髪」
サヤは天井を見ながらフォーリを呼ぶ。
「俺は金髪じゃねぇーよ」
フォーリは眉間に皺を寄せながら文句を言う。
「現時点でお前の名前を聞かない」
「あぁ?どう言う意味だぁ?」
サヤは黙る。そして、
「俺ともう一度敵として戦え」
このお願いには少し驚きました。
フォーリも驚いている様だ。
「・・・それは、どう言う意味だ?」
言葉の真意を掴めず、フォーリは尋ねる。
すると、サヤは笑みを浮かべ答える。
「やり直しだよ。どんな形であれ、負けるのは嫌いなんだ」
そう言って、フォーリを見るサヤ。その表情は負けず嫌いの子供の様に。
その表情に、また驚くフォーリだったが、表情を直ぐに変える。
「ハッハハ!!良いぜ?それは面白い提案だ!!」
そう言って、立ち上がるフォーリ。
それと同時にサヤも立ち上がる。
「負けた時の理由考えとけよ?」
フォーリが挑発する。
「死なないように手加減してやるよ」
それに挑発で返すサヤ。
私も立ち上がり、微笑みながら言う。
「では、森の方でやりますか?私が結界を張りますよ」
「おう。頼む」
そう言って、私達は宿を出た。
Side=カロナス=ナイハ∥Out
Side=第三者∥Beginning∥『Reload』
森。時が止まったと言っても過言では無い程の静寂。
風も吹いているし、葉と葉が擦れあう音もあるのだが、それを消すかの様に緊張感がこの森を包む。
その森で対峙する男2人―――静かに、自分の得物を手に持ち構える。
バティフォーリ=ケスティマは黒い槍を斜めに構える。
サヤは、『仙牙龍刀』を剣道で言う上段の構えをする。
風が吹き抜ける。
そして―――
「「行くぞ!!」」
互いに声が重なり、動き出す。
バティフォーリ=ケスティマは槍をサヤの顔めがけて突き出す。
その突きは高速。
普通の人間には見切れない速さ。
だが、それをサヤは紙一重で躱す。
そして、サヤは刀を振り下ろす。
バティフォーリ=ケスティマはそれを紙一重で横に回避する。
「『創造―――風纏し槍』」
バティフォーリ=ケスティマが詠唱した瞬間―――
サヤの後ろから槍が飛んでくる。
それを、サヤは辛うじて躱す。
そして、バティフォーリ=ケスティマはその飛んできた槍を掴む。
これで、バティフォーリ=ケスティマの得物が一本増えた。
只でさえ、リーチが違う槍。
刀で戦うサヤにとって、これは不利であった。
サヤが詰め寄ろうにも、槍によって防がれる。
そして、今バティフォーリ=ケスティマの得物は二本。防がれている時に、もう一本で攻撃されたら、回避は困難。
だが、サヤは怯まず動く。
低い体勢でサヤは走る。
バティフォーリ=ケスティマは詠唱で出した槍でサヤの額めがけて突き刺す。
「ふっ!!!!」
当たる寸前で、サヤは消える。
「なっ!?」
それには流石に驚き、バティフォーリ=ケスティマは驚愕の声を出す。
戦闘中に、敵を見失う事は死を意味する。
ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!
バティフォーリ=ケスティマの右肩から血が噴き出す。
「ぐはっ!!!!」
サヤは、瞬時にバティフォーリ=ケスティマの死角に回り込み、刀を振り下ろした。
普通なら、腕を切断出来る程だったのだが、バティフォーリ=ケスティマは斬られる寸前に、回避していた。
だが、流石に無傷とまではいけない。それでも、あの攻撃を肩の傷だけで済ませたのは流石の一言である。
一度、互いに距離を取る。
バティフォーリ=ケスティマはニヤリと笑みを浮かべる。
そして―――
「避けてみろよ?」
その言葉の意味が解らず、サヤがバティフォーリ=ケスティマに突っ込もうとした時、
「なっ!?」
「『無限の槍の雨』」
空から大量の槍が降り注ぐ。
最初の内は、それを躱していたサヤだったが、
ザグッ!!!ブシュゥゥゥゥゥ!!!!!
サヤの体に傷が増えていく。
この様子を見ながら、バティフォーリ=ケスティマは動く。
完全に息の根を止める為に。
黒い槍を地面に突き刺し、そして詠唱で造り出した風を纏う槍を槍投げの様に構える。
「避けてみろよ!!!!」
そう言って、構えた槍を投擲する。
だが、槍投げの様に助走を付けて上に投げる訳ではない。
真っ直ぐ。空からの槍を避けるサヤめがけて投げられる。
その槍の速さはまさに風。
眼では確認出来ない速さ。
「なっ!?」
サヤは避けながら、バティフォーリ=ケスティマが槍を投げたのを確認した。
表情は歪んでいる。
そして―――
ドガァァアアアアアァァァァァァアアアアアアアアン!!!!!!!!
風を纏った槍が森の中を突き抜ける。
土煙。視界を全て遮る。
普通で言えば仕留めた。だが、バティフォーリ=ケスティマは突き刺した黒い槍を抜き、構える。
相手の死を確認するまで気を緩めない。
これは鉄則だ。
そして、土煙が晴れていく。その時、バティフォーリ=ケスティマは驚愕した。
「何だ?その眼は・・・」
土煙の中で、サヤは立っていた。
これまでは予想の範囲内だった。
だが、サヤの眼は予想外だ。
「『朱眼』」
サヤは、眼の名を答える。
左目の黒目が無くなり、白目だけになっている。
そして、右目は赤く光り眼の周りに赤い刺青が現れている。
バティフォーリ=ケスティマは尋ねる。
「その眼で回避したのか?」
その問いに、サヤはニヤリと笑みを浮かべ答える。
「態々敵に答えるとも?」
バティフォーリ=ケスティマは笑う。
「そりゃ、そうだな!!!」
そう言って、バティフォーリ=ケスティマが突っ込む。
槍を頭・胸・腹と交互に、そして不規則に攻撃する。
だが、それをサヤは全て回避する。
「チッ!!!」
バティフォーリ=ケスティマは舌打ちをし、飛び上がる。そして、
「『創造―――雷纏し槍』」
バティフォーリ=ケスティマの手に、雷の槍とも言える雷を帯びた槍が現れる。
そして、飛び上がった状態から槍をサヤめがけて投擲する。
雷を纏う槍は凄まじい速さでサヤめがけて落ちる。
サヤは、落ちてくる槍を見上げながら動かない。
ドゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!
槍が地面に落ちた衝撃で、衝撃波が起きる。そして、凄まじい音が響く。
バティフォーリ=ケスティマは地面に着地し、槍を構える。
すると―――
「マジかよ・・・」
流石のバティフォーリ=ケスティマも、自分の眼を疑った。
土煙の中、サヤは傷を負わず立っていた。
赤い眼を輝かし、此方を見据えている。
「『仙牙二刀―――双龍』」
サヤは刀を振り下ろす。
一本の刀から二つの斬撃が放たれる。
斬撃は不規則に動きながら、バティフォーリ=ケスティマを狙う。
「クソがっ!!!!!!!!!!!!」
一つの斬撃を黒い槍で防ぐバティフォーリ=ケスティマ。
だが―――
ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!!!!!!!!
もう一つの斬撃は防げず、右腕が吹き飛ぶ。
バティフォーリ=ケスティマは激痛に顔を歪めるが、直ぐさま動く。
痛みで動きを止めれば、的になるだけ。
その為、痛みを抑えて動く。
「『上下―――天地―――無限の槍』」
サヤの頭上から槍が降り注ぎ、足下から槍が突き出す。
サヤはそれを見事回避していく。
だが、バティフォーリ=ケスティマはこれでサヤを仕留められるとは思っていない。
その為、動く。
「『黒槍―――一撃刺死』!!!!!!!!」
持っていた黒い槍をサヤめがけて投擲する。
投げられた黒い槍は、高速を遙かに超えていた。
だが、サヤはその黒い槍すらも避ける。
だが、バティフォーリ=ケスティマは笑みを浮かべていた。
「甘いぜ!!!!」
すると、
「ガハッ!!!!!!!!」
サヤの腹に激痛が走る。
サヤは自分の腹を見る。
黒い槍が何故か突き刺さっている。
そして、血が滲み、槍を伝い血が零れる。
「何だと・・・」
サヤは完璧に避けた。だが、槍は自分に刺さっている。
「考える暇あんのか!?」
バティフォーリ=ケスティマはまた、黒い槍を構えていた。
「避けてみろよ!!!!!!!」
そう叫び、投擲する。
「く・・・そが・・・」
サヤは顔を歪める。
バティフォーリ=ケスティマは徹底して攻撃している。
効かないと解った攻撃はせず、効くと解った攻撃を連続して繰り出す。
容赦無い攻撃。だが、それが当たり前だ。
殺し合い。1人しか残らない極限。
サヤは、投擲された黒い槍を先程同様回避。
だが―――
「グガッ!!!!!!!」
サヤの右太股に槍は突き刺さる。
避けた。だが、黒い槍はサヤの右太股を貫いている。
そこで、サヤは気付く。
「・・・避けるのではなく、叩き落とすが正解か・・・」
小さく呟く。
バティフォーリ=ケスティマはその呟きが聞こえず、黒い槍を投擲する。
サヤは先程までは回避だけしていたが、今度は黒い槍を叩き落とす。
黒い槍は地面に突き刺さった。
「・・・・二段階のホーミングか・・・」
サヤは自分に突き刺さった黒い槍二本を抜きながら呟く。
そして、バティフォーリ=ケスティマを見る。
バティフォーリ=ケスティマは槍を造り出す。
だが、今回は黒い槍ではなく白い槍。
「黒槍の性質を気付かれたからな・・・次はこれだ」
そう言って、白い槍を構える。
その白い槍を見て、サヤは呟く。
「どんだけ手の内があんだよ・・・」
サヤは、腰から『デザートイーグル.50AE』を抜く。
「お前もだろ?」
バティフォーリ=ケスティマは笑みを浮かべながら動き出す。
「これで終わりにしようや!!!!!!!!!!!」
サヤは無限連射で撃ち続ける。
森の中に弾幕が広がる。
「喰らうか!!!!!!!!!!」
バティフォーリ=ケスティマは白い槍を突き出す。
サヤはそれを回避する。
そして、バティフォーリ=ケスティマの額に銃口を向け、放つ。
だが、至近距離で放たれた銃弾をバティフォーリ=ケスティマは避ける。
そして、白い槍をもう一度突き出す。
避けられるとは思わず、サヤは突き出された白い槍を左肩に喰らう。
「くっ・・・」
激痛で顔が歪む。
すると―――
「ガハッ!!!」
サヤは口から大量の血を吹き出す。
「な・・・・んだと?」
肩に槍が刺さっただけで、大量の血を吹き出した事にサヤは疑問する。
バティフォーリ=ケスティマは白い槍から手を離し、距離を取る。
サヤは突き刺さった白い槍を見る。
そこで気付く。
「魔力が・・・流れ込んでるのか?」
『朱眼』で見た白い槍は、サヤの体に魔力が流し込んでいる。
「これで・・・か」
サヤは急いで白い槍を抜く。
気付いたのは早かったが、サヤの体を内も外もズタズタだった。
これ以上長引くとヤバイ。
サヤは確信した。
その為、サヤも動きだす。
「これで終わりだ!!!!!!!!!!」
そう言って、サヤは刀を構える。
それを見たバティフォーリ=ケスティマも白い槍を造り出し、構える。
「お前の死でなぁ!!!!!!!!!!!」
バティフォーリ=ケスティマも叫ぶ。
「『白槍―――一撃炸裂』!!!!!!!」
バティフォーリ=ケスティマが槍を投擲する。
「『仙牙五刀―――撃龍』!!!!!!!」
サヤは刀を振り上げる。その瞬間、刀から巨大な斬撃が飛び出す。
白い槍と、斬撃がぶつかり合う。
ドゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!!
爆発。凄まじい爆風が起きる。
そして、土煙が覆う。
その中で、バティフォーリ=ケスティマは槍を造り出したが、構えはしなかった。
あの爆発。流石のサヤも死んだと思ったのだ。
だが、その一瞬の油断が駄目だった。
「『仙牙一刀』」
「なっ!?」
バティフォーリ=ケスティマの背後で、サヤが刀を振り下ろす。
その瞬間、斬撃がバティフォーリ=ケスティマを斬る。
「クハッ!!!!」
バティフォーリ=ケスティマは飛び、地面に叩き付けられる。
一瞬の油断。それが、至近距離で発射された銃弾おも避けられる男の回避能力を鈍らせた。
「クソ・・・が・・・」
バティフォーリ=ケスティマは口から血を吐き出し、意識を途絶えた。
サヤは、地面に刀を突き刺しそれを支えに立っている。
「はぁー・・・はぁー・・・・」
サヤの息を聞いても、限界だと解る。
サヤは突き刺した刀に向かって呟く。
「勝った・・・・ぞ?」
痛みで、余裕などは無い筈なのに笑みを浮かべる。
『―――見事』
「へへっ・・・」
その一言を聞いて、サヤは倒れた。
その表情は幸せそうだった。
Side=第三者∥Out
Side=カロナス=ナイハ∥Beginning∥『Reload』
「凄い戦いでしたね」
サヤの所の所に歩いて行って、首筋に手を当てる。
脈がある事に安堵する。
次に、フォーリの首筋に手を当てる。此方も脈はある。
どちらが死んでも可笑しくない戦いだった。
2人とも生きているのは奇跡ですね。
すると、サヤの側で魔方陣が2つ現れる。
その魔方陣から、エルさんとモートさんが現れる。
「ティハッハハ!!参上だぜ!!」
モートさんが笑いながら太股を叩く。
「・・・・五月蠅い・・・」
エルさんが眉間に皺を寄せながら呟く。
「エルさんは解りますが、モートさんは何故?」
私は笑っているモートさんに尋ねる。
「あぁ?あれだ!久しぶりに登場したかったんだ!!」
それだけ?
「後、1人で2人運ぶのは大変だろ?」
それ絶対ついででしょ?
私は一度溜息を吐く。
「エルさん、お願いします」
「・・・解ってる・・・」
そう言って、エルさんが詠唱する。
「『癒しは―――包む―――祈りは―――導く――――『聖域治療』』」
サヤの傷が消えていく。
何度見ても凄い。
これ程の傷を一瞬で。
「・・・終わり・・・」
そう言って、帰ろうとするエルさんを止める。
「あっ!待って下さい!!」
エルさんは此方を見ながら首を傾げる。
「・・・何?」
「フォーリの方もお願いします」
私はフォーリを見ながらお願いする。
「・・・・面倒だけど・・・しょうがない・・・」
渋々エルさんはフォーリの側まで行き、詠唱する。
「ティハッハハ!!主とタメ張れる奴が居るとはな!!」
私の横で、モートさんが笑う。
「サヤはまだ発展途上ですから、時期に誰も勝てない存在になりますよ」
私は微笑みながら言う。
「違いねぇーな!!!・・・まぁ、今の所お前が一番か?」
そう言って、私を見るモートさん。
「私が一番なんて・・・あり得ませんよ?」
私は微笑みながら否定する。
だが、モートさんは言う。
「お前、まだ隠してるだろ?」
その言葉に驚いた。
何故彼は知っているのかと。
私は、少し間を開けて答える。
「時期に話しますよ」
「ティハッハハ!!その時を楽しみに待ってるぜ!!!」
この人は、くせ者だな。と思った。
隠している魔力に気付くなんて。
すると、エルさんが此方を見て言う。
「・・・終わった・・・疲れた・・・帰る」
そう言って、エルさんは光に包まれる。
「はい。ありがとうございました」
私はお辞儀をする。
「そんじゃ!!運ぶか!!!」
そう言って、モートさんがサヤを背負う。
「そうですね」
私はフォーリを背負う。
先程、モートさんは私が一番強いと言ったが、それは誤りだ。
私では、サヤやフォーリの様に戦えない。
禁忌を犯した私では、元々の立ち位置が違う。
いずれ話す時がくる。それがいつかは解らない。
だが、話す時が来ない事を、祈る。
悪魔を喰らった私の過去など・・・・。
Side=カロナス=ナイハ∥Out