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 Side=カロナス=ナイハ∥Beginning∥『Reload』



「誰ですか?」

 殺気を篭めて尋ねる。


 すると、男は笑う。

「グハッハハハ!!!お前も中々面白いなぁ?」


 そう言って、『仙牙龍刀』を放り投げる男。


「貴方は・・・敵ですか?」


「あぁ?敵?そうだな・・・それも間違いじゃねぇーが・・・今の俺にはコイツやお前と戦う気も無いし、な」

 そう言って、男は肩に背負っていたサヤを下ろす。


「貴方がサヤを?」

 直ぐにサヤの元に駆け寄ろうと思ったが、男への警戒を解けずに睨み付ける。


 すると、男は笑って言う。

「カハッハハ!!まぁ、トドメ的なモノは俺がやったが、コイツを痛めつけたのはその剣だぜ?」


 そう言って、『仙牙龍刀』を指さす男。


「どう言う事ですか?」


 男は頭を掻きながら面倒に答える。

「あぁ~・・・説明してやるよ・・・えぇーと・・・」


「あぁ、私の名前は貴方のそのお話の内容によって話せなくなりますし、話せるかもしれません」

 そう言って、微笑む。けれども、殺気は放ったままで。


「ククックク・・・あぁ、面白いな。きっとこの餓鬼も面白いだろうが・・・まぁ、話してやるよ」


 そう言って、男は話し始めた。



 Side=カロナス=ナイハ∥Out





























 Side=バティフォーリ=ケスティマ∥Beginning∥『Reload』



 『五体刺死―――天罰の槍』

 五本の槍で対象の急所を貫く必殺の槍。


 殺す気は無い。だが、本気でやらなければこの餓鬼は倒れない。


 そう―――本気だった。


「ガハッ!!・・・アァー・・・」


 何故立っている。何故生きている。

 俺は手加減をしたのか?俺は躊躇したか?


 それは否。殺す気だった。


 だが、何故倒れない。


「お前は・・・本当に人間か?」

 思わず尋ねる。だが、それに餓鬼は答えない。


 立ってはいるが、俺の問いに答える事は出来ない。それ程に余力は無い。


「アァー・・・・アァー・・・」

 餓鬼は、そのまま倒れ込む。


「・・・中々だな」

 俺は倒れた目線のまま、話しかける。

「そう思うだろ?」


『我は消える―――後は任せても良いか?』


 宙に浮く剣はまさかの発言をする。


「お前もこの餓鬼を殺そうとしただろうに・・・何でだ?」


『後は―――主自身の問題だ』

 そう言って、剣は地面に刺さった。


「クソが・・・俺の答えも聞かねぇーで消えやがって・・・めんどくさいな」

 頭を掻きながら、突き刺さった剣を抜く。


「うぉ!重いなこりゃー・・・」

 剣の重さに思わずフラつく。


 そして、指を鳴らす。


 餓鬼に突き刺さった槍が消える。

 そして、餓鬼を見ながら呟く。

「生きてるよな?」


 倒れた餓鬼を背負い、森の外に向かって歩き出す。















「とまぁ~こんな感じだ」

 地べたに座りながら説明した。


 説明なんて面倒で嫌なんだが、この状況ではしょうがない。


「サヤは・・・そこまで堕ちましたか」

 優男が呟く。


「彼をこのままにして大丈夫なのかい?」

 その隣にいた赤髪ロングの男が餓鬼を見ながら呟く。


 すると―――

 餓鬼の横に白い魔方陣が浮き出す。


 その魔方陣から、白い髪を靡かせた美人が現れる。


「おぉ?」

 驚いているのは俺と赤髪ロングの男だけか。


「エルさん。どうやって?」

 優男が現れた美人さんに尋ねる。


「・・・・勝手に出る事も可能」

 美人さんはそう言って、何かを唱える。


「『癒しは―――包む―――祈りは―――導く―――『聖域治療』』」


 美人さんが唱えると、餓鬼が光に包まれる。


「治療魔法・・・だが、これ程高度なものは」

 赤髪ロングの男が驚いた声を出す。


 俺は治療魔法に疎いが、この美人さんの魔力は解る。

 次元が違う。


 餓鬼を包む光が消える。餓鬼の傷が全て完治していた。

 それには流石の俺も驚く。

「おいおい・・・そんな簡単に治せるものなのか?」


 その問いに、優男が答える。

「彼女は神ですから」


「「神!?」」


 俺と赤髪ロングの男の声が重なる。


「それはどう言う?」

 赤髪ロングの男が優男に尋ねる。


 優男は微笑みながら答える。

「私からは言えませんよ。サヤが起きて、彼自身からの説明を待って下さい。まぁ、言うかどうか解りませんが」


 気になる所だが、仕方無いか。


「・・・帰る」

 そう呟き、美人さんが光に包まれる。


「助かりました」

 優男が美人さんに礼を言う。


「・・・・主だから」

 そう言い残して、美人さんは消えた。


「さて、色々お話もしたいですし、どうします?」

 優男は此方を見ながら尋ねる。


「私は一度家に帰らなければ」

 赤髪ロングはそう言って、歩き出す。


「それでは、後ほど宿の方に来て下さい」

 優男は赤髪ロングに告げる。赤髪ロングはそのまま闇の中に消えた。


「それで、貴方はどうします?」

 優男が俺を見ながら尋ねる。


「そうだな・・・神とかも知りたいしな・・・邪魔させてもらうぜ?」


「えぇ。構いませんよ」

 俺は立ち上がりケツを払う。


「んで、アンタ等の宿は?」

 餓鬼を背負いながら尋ねる。


「案内しますよ。あぁ、それと」

 そう言い、俺と向き合う優男。


「あぁ?何だ?」


 優男は微笑みながら言う。

「私の名前はカロナス=ナイハ。カロとでも呼んで下さい」


 自己紹介。

 俺は笑みを浮かべながらその自己紹介に自己紹介で返す。

「俺の名前はバティフォーリ=ケスティマだ。長いからフォーリとでも呼んでくれ」


「えぇ、そうさせてもらいます。サヤは・・・彼が起きてからで良いでしょう」

 そう言って、優男改めカロが歩き出す。


 俺もその後を追いながら歩き出す。


 最初は面倒だと思ったが・・・少し面白そうな予感がしやがる。

 俺は静かに笑みを浮かべた。



 Side=バティフォーリ=ケスティマ∥Out



























 Side=サヤ∥Beginning∥『Spiritual world』



 体が重い。


 何があった?


 問う。


 何があった?


 問う。


 俺は何をした?


 問う。


 俺は・・・何処に居る?


「その問いは自分自身への問い?それとも私に?」

 不意に声がした。


 俺はそこで自分が目を瞑っている事に気付き、瞼を開く。


「・・・ユース」

 俺の目の前に立っていたのは、ユースティティアだった。


 俺は辺りを見渡す。


 上に星空。下には高級そうな椅子が9つ有った。


 その1つの椅子に、ユースは腰を掛けて此方を見ている。


「此所は?」

 俺はユースに尋ねる。


「此所は・・・貴方の中」


「俺の・・・中?」

 何故俺は自分の中にいる?


「星空を見て」

 そう言って、ユースは上を指さす。


 俺は言われた通り見上げる。


 輝く星。だが―――

「流れ星が多くないか?」


 そう。先程から星が流れ続けている。


「この星が流れるのには、理由があるの」


「理由?」


 ユースは此方を見て、俺を指さし答える。

「君の精神が崩壊したり、狂気に溺れるとこの部屋の星は流れる」


 崩壊?狂気?

「何だそれ?」


「あら、覚えて無いの?君・・・自身の狂気に吞まれたのよ?」


 吞まれた?俺が?

「俺は・・・」


 すると、先程まで何かで栓をしていたかの様に、この言葉を引き金に記憶が俺の中に漏れ出す。


 血・殺意・狂気・崩壊


「な・・・何だこれ?」

 俺はその記憶に頭を抱える。


 これが俺?俺は・・・何を?


 溢れ出す記憶の中の俺は、歪んだ笑みを浮かべ叫んでいた。


「君は力に溺れた。それは単純で説明は要らない。でも問題は君自身」

 ユースは淡々と言う。


「君が求めたのは自分の限界。けれども、溺れた君に自分の限界までの力は出せなかった。だから負けた。それだけの事よ?」


 それだけの事?

「俺は・・・どうなるんだ?」

 震える声で尋ねる。


「どうなる?どうもならないわよ」


「どうも・・・ならない?」

 俺は顔を上げ、ユースを見る。


 ユースはニコリと微笑む。だが、俺にはその笑みの真意は解らない。

「そう。どうもならない。私も他の神々も君への態度は変わらない」


「周りじゃねぇー!!!俺自身だ!!」

 俺は思わず怒鳴る。


 だが、ユースは表情を変えずに話し続ける。

「君自身の事を何故周りの私に尋ねるの?」


「あ・・・・グッ・・・」

 ユースの言葉に狼狽える。


「君は君なのだから、自分でその答えを探せる筈よ?何故周りの私に尋ねるの?」


 その言葉に、俺は返す事が出来ない。


「何が知りたいの?自分の今後?立場?力?」


「俺は・・・・」

 答えられない。俺は何を知りたかった?何を聞いて安心したかった?


「答えられないの?」

 ユースは微笑んだまま俺に尋ねる。


「・・・解らない。解らないんだよ!!俺は歪んだ俺を見て恐怖を感じなかった。アレは俺自身の本能。俺自身の狂気・・・・俺はまたあの様になるのか?此所から帰ったら俺はまた堕ちるのか?俺は・・・どうなる?」


 俺は・・・何を知りたい?何を・・・。


「『発言を許す――――方の皿には君を――――方の皿には狂気を――――発言を許す』」


 ユースの掌の上に天秤が現れる。


「さぁ・・・君の言葉を重りにして、君の本心も重りにしなさい」


 まるで、俺の首筋に剣を突き付けられている様に、動けない。

 今の俺には、何を答えても死に直結する様な気がする。


 駄目だ!考えるな・・・答えるだけだ。自分の本心を。


 俺の本心とは何だ?俺は・・・何を言うのだ?


「俺は・・・」


 何を言う?言葉を選ぶな!!俺の本心で話せ!

 本心とは何だ?


【化け物のテメェーの本心は1つだろ?】


 誰だ!?


【テメェーの狂気さ!!テメェーが望む全てさ!!!さぁ、言え!!殺したいと!!殺戮を楽しみたいと!!!ぶちまけろ!!望みを言葉にしろ!!!】


 五月蠅い・・・五月蠅い・・・。


【何を我慢してる?テメェーの本心を何故誤魔化す?偽る?己が欲望のままに生きろよ!!テメェーは悪人なんだろ?何を躊躇している?】


 悪人・・・俺は・・・俺は!!!!!!!


「俺は・・・」


【そうだ!!言え!!!言え!!!!!本心を音の羅列に変えろ!!!テメェーの本心を言えよ!!!!!!】


「黙れ・・・」


【あぁ?】


 お前の言葉など俺には関係無い・・・。


【何言ってる!!!俺はお前だ!!!お前だ!!!!俺の言葉はお前だ!!!俺はお前自身だ!!!俺以外の言葉を聞くな!!!俺だけがお前の理解者だ!!!俺が―――】


 黙れよ!!!!!!!


【あぁ・・・・何を―――】


 テメェーは俺の中から消えろ。


【・・・あぁ!!!黙れよ!!俺の・・・何だ!?何故俺を!!!!ガァアアァァァァァアアアアアアアアアアアア―――――】


 消えた・・・いや、消えた何て言えないか。

 押さえ込んだの方が正しいか?


「・・・俺は俺自身の道を歩む」


「それが君の答えか?」


 ユースは俺に尋ねる。


「・・・本心なんかは知らない。でも、俺は俺と共に居る友を裏切る事はしたくない。俺は悪人だが・・・筋が通らない殺しはしない。俺は俺の為に・・・俺の力は友の為に・・・」


 本心なんて、簡単に知れる訳が無い。


 人は数秒の間でも心変わりをする。

 そんな数秒の中で、正しい一生の答えを導ける訳が無い。


 だから、今言ったのは今の俺の言葉。


 それが正しいのかどうかなど、解らない。

 けれども、これ以上に今の俺の本心を露わに出来る言葉は無い。


「『傾け―――答えよ』」


 ユースの掌に乗る天秤が動く。

 右に、左に・・・・揺れ動く天秤。


 そして―――


「格好いい言葉。キュンッときたわ」


「・・・は?」


 何だ?アレ?天秤消えたけど。


「ふふ・・・私がサヤ君を裁く訳ないでしょ?もし裁いたとしても君の言葉は全て私の胸に響くわ。でも、今回の言葉は最高に響いた」


 そう言って、微笑むユース。


 俺は緊張の糸が切れ、仰向けに倒れる。

「はぁ~・・・疲れた」


「サヤ君」

 ユースが微笑みを消して真面目な声を出す。


「ん?」


 ユースは俺の側にきて、しゃがんで俺を見下ろしながら言う。

「君の狂気は完全に押さえる事は出来ない。また、直ぐに現れ君を侵し君は堕ちるかもしれない」


 そう言いながらユースは俺の頭を撫でる。

 そして続ける。

「でも、大丈夫よ。君は君。私達はどんな君であろうと受け入れるし、君が助けを求めれば、どんな手段を使っても君を助ける。だから・・・強くあって」


 俺は、その言葉にどれ程心打たれたのだろうか?

 先程ユースは俺の言葉が胸に響いたと言ったが、今ユースが言った言葉がどれ程俺の力になるのか・・・解る?


 俺は目を瞑り、呟く。

「ありがと」


 俺の体が光に包まれ、俺の中から帰った。



 Side=サヤ∥Out



















 Side=ユースティティア∥Beginning∥『Spiritual world』



「帰ったか?」


 モートが現れ、私に尋ねる。


 私は振り向きながら答える。

「大丈夫よ。サヤ君が強い事は皆知っているでしょ?」


「ティハッハハ!!その通りだ!!アイツは俺の主なんだからな!!!」

 そう言って、自分の太股を叩くモート。


「・・・・傷治したのに・・・お礼・・・言われていない・・・」

 エルが下を俯きながら呟く。


「僕は!!僕はお礼言われた!?言われてない!?」

 クロノスが支離滅裂な事を叫ぶ。


「ハッハッハ!!流石我が王!それよりクロノス五月蠅いぞ?」

 ケルヌがクロノスの頭を押さえながら言う。


「ふふ・・・今日は酒が進みそうだわ・・・んっぱっ!!!」

 酒をイッキしながら喜ぶカーリー。


「今日は晴れね。彼の心模様の様に。でも私出番少ないわよね。少なくて少なくて、私存在感無し?それはどう言うプレイ?私はMじゃないわ。どっちかと――――」

 ブツブツ言いながら変な所へトリップするテフ。


「ほっほ!!これで心配事が1つ消えたわい」

 そう言いながら椅子に腰を掛けるフナブ・クー。


「今日は賑やかになりそうね」

 私は上を見上げる。


 流れた筈の星々が、綺麗に輝いていた―――・・・。



 Side=ユースティティア∥Out







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