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Side=サヤ∥Beginning∥『Reload』
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!
「なんじゃ!!??」
飛び起きた。もう漫画みたいな感じに。
「爆発ですかね?」
隣のベッドで、カロが冷静に分析する。
「おいおい。いつの間にこの村が戦場になった?」
俺は立ち上がり窓の外を見る。
赤い光が村を包んでいる。
「あぁ~こりゃ、凄いな」
「戦闘でしょうか?」
カロも外を見ながら俺に尋ねる。
「いや・・・この感じ、前にも感じたぞ?」
先程から、魔力とも違う何かを感じる。
どうやらカロも感じていた様で、
「悪魔ですね」
悪魔ですか。
なら、その悪魔と戦闘を行っているのは誰だ?
「ん~これは俺の憶測なんだけど、寝る前に言っていた一軒の家に関係してるんじゃね?」
「私もそう思いますよ」
ん~すると、この結界を張った人物は悪魔に関係しているのか?
だが、そんな人物が何故こんな村に?
「どうします?行ってみますか?」
カロが尋ねる。
んなの決まっている。
「俺の睡眠時間を削った奴にはお仕置きだよ」
俺とカロは速攻で準備して宿を出る。
そこで、俺とカロは村の違和感に気付いた。
「何でこんな大規模な爆発が起きているのに誰も家から出てこない?」
そう。住民誰一人家から出ていない。
昼間の様な明るさなのに、何故に?
「どうやら、この結界は村で起きる戦闘をシャットアウトしている様ですね」
「つまり?」
「村の人には戦闘に気付かない。例え、自分の目の前で人が死んでいても、家が爆発してもです。そう言う結界です」
「んじゃ、俺とカロが気付いたのは村の住民じゃないからか?」
「その様ですね」
面倒な結界だ。この結界で住民が逃げ切れないだろうに。いや、守りきれると言う自信か?
「なぁ、ヨーロ呼んで良い?」
走るの疲れた。
「そうですね。それに、私も乗ってみたかったですしね、バイクに」
微笑みながら許可を出すカロ。
「『答えよ―――主の声に―――姿と誇る速さを見せよ!!!』」
頭上に魔方陣が現れ、それを突き破りヨーロが現れる。
「ヨーロ!!!」
俺が叫ぶと、ヨーロ走っている俺とカロに併走する。
「跳び乗れ!!」
俺とカロは跳び、ヨーロに跨る。
まぁ、カロが乗りたいと言った時から解っていたんだけどね。
俺が前でカロが後ろの2人乗りだって。
でもさ、野郎後ろに乗せるとか・・・。
「兎に角向かって・・・・」
俺は顔を手で覆いながらヨーロにお願いする。
ヨーロは飛び上がり、空を滑走する。
「凄いですねぇ~良い眺めです」
後ろで暢気な事を言うカロ。
俺は鬱です。
だって、健全な男の子だったら普通最初は女の子を乗せたいじゃない!!
あぁ~こんな事ならラテス乗せれば良かった!!!
「・・・カロ・・・」
呟く。
「はい?」
「・・・吹き飛ばして」
俺は、今の状況を全てこの戦闘の元凶に擦り付ける事に。
「久しぶりに少し大技を出しましょうか」
そう言って、カロは右腕を突き出す。刺青が光り出す。
そして―――
「『怒りを響かせ―――包むのではなく―――飲み込め―――標的は1人―――残すのは大地のみ!!!『流水の理』』」
詠唱した。その瞬間、カロの右手から凄い勢いで水が噴き出す。
それが何か、あからさまに悪魔ですよ的な奴に命中する。
「グガァァァァァアアアァァアアアアアァァァァァ!!!!!!!!!!!」
ドゴォォォオオオオオオオオォォォォオオオオオォォォォォォォン!!!!!!!!!!
「射的の腕が良い様で」
俺は悪魔的な奴が吹き飛ばされるのを見て、カロの実力が垣間見れた様な気がした。
「それ程でも」
微笑むカロ。
さて、
「アンタの炎は目立ち過ぎだぜ?」
俺は炎を纏う男に言う。
男は、此方を見上げる。
おぉ~驚いてる、驚いてる。
ブォォォォォォン!!!!ブォォォォォォォン!!!
景気よく吹かすヨーロ。
俺は『仙牙龍刀』を取り出す。
「貴方の炎で、この村は昼間の様な明るさですよ?」
カロが皮肉って言う。
俺は『仙牙龍刀』の刃先を男に向けながら言う。
「俺の睡眠を妨害して生きて帰れると思うなよ?」
まぁ、アイツが悪い訳ではないのだろうけど、きっとコイツも俺の睡眠の敵だろうし。容赦はしないよ?
「グガァァァァァアアアァァアアアアアァァァァァ!!!!!!!!!!!」
森の奥から叫び声が響く。
今回の悪魔は、雑魚じゃないらしいな。
「ヨーロ。あの火達磨男の側に降りてくれ」
ヨーロは迂回しながら火達磨男の側に降りる。
「暑・・・」
「私の氷の塊も直ぐに溶けてしまいましたよ」
そう言って、残念そうな顔をするカロ。
いやいや、その氷の塊をどうしようと?
「ヨーロ、もう良いぜ?」
ヨーロは光に包まれて帰る。
「君達は?」
火達磨男が俺達に尋ねる。
だが、俺はその問いに答えず、逆に質問する。
「あの悪魔は結構強いの?」
火達磨男は少し間を開けて答える。
「あぁ。序列で言うと38番。名をハルファス」
おぉ~。やっとお出ましか。ソロモン72柱さんは。
俺は、無意識に頬を吊り上げる。
「そうか・・・んじゃ、俺がやらせてもらう」
俺は前に出る。
「お、おい!君みたいな子――――!!!!!」
火達磨男が俺を止めようとした瞬間、気付く。
俺は無意識の内に殺気と魔力を放出する。
「本気になれるか・・・なっ!」
俺は森の中に駆けて行く。
Side=サヤ∥Out
Side=フェニックス∥Beginning∥『Reload』
いきなり現れた青年は、森の中に駆けて行った。
私は止めようとした。だが、青年から放たれる殺気と魔力によってそれが出来なかった。
殺気は狂気にも似ていて、あの様な青年が放てる様なモノではなかった。
魔力も澄み切っていてそれが鋭い刃物の様に私を貫く。
あの青年は・・・本当に人間か?
アレは・・・一度感じた事がある・・・それは、いつだ?
「少し、お話をしませんか?」
すると、あの青年と共に居た、青年が話しかけてくる。
「話?」
この青年も、先程の青年程ではないが、強大な魔力を持っている。
「あぁ~先に自己紹介をしましょうか。私はカロナス=ナイハと申します・・・悪魔さん♪」
なっ!?
「・・・何故知っている?」
「いやぁ~冗談で言ったのですがね」
「じょ、冗談?」
やられた。カマを掛けられた。
この青年は食えないな。
「・・・それで、話とは?」
私は警戒しながらも尋ねる。
すると、青年の纏う空気が変わる。
「結界の事と・・・不死鳥である貴方が何故此所に住み着いているのか、と言う事ですよ」
!!!!!
この青年は気付いていた?
私がソロモンの悪魔である事を!?
何者なんだ?この青年と言い、あの森に駆けて行った青年と言い。
一体―――
Side=フェニックス∥Out
Side=第三者∥Beginning∥『Reload』
サヤは森を駆けていた。
無意識に、『龍族の谷』で放った殺気以上の殺気を放ち。
今、サヤは気付いていない。自分の表情に。
サヤは常に、冷静を目指していた。
冷静に怒り、冷静に狂う事を。
だが、今ソロモンの悪魔と言う最大の駆逐目標を見つけた喜びに、それを忘れて狂気に身を任せていた。
狂い、喜んでいた。
だが、辛うじて一線を越えるのを踏み止まっているのは、カロと言う存在が大きかった。
友と言う存在が今の彼の全てであった。
だが、それは危うい一本の糸。ピンッと張った糸。力を入れ過ぎれば切れ、緩めれば意味を成さない。紙一重の糸。
その糸が今、赤い狂気を身に纏い・・・揺れていた。
「何処だアァァァァァアアアアァァァァ!!!!!!」
サヤは辺りを見渡しながら叫ぶ。
「オ前ハ誰ダ?」
声だけが森の中に響く。
サヤはその問いを笑って切り捨てる。
「ハハッ!!関係あるか?」
「ククク・・・ソウダナ、関係無イ。オ前ハ・・・此所デ死ヌノダカラ!!!!」
その瞬間、背後から剣振り下ろしながら擬態を解いたハルファスが迫っていた。
けれども、今のサヤにはこの不意打ちは無意味。
「下らなねぇーんだよ!!!」
そう叫び、サヤは紙一重で背後からの攻撃を避け、直ぐさま『仙牙龍刀』を振り上げる。
ハルファスもそれを辛うじて躱す。
ハルファスは一度体勢を整えようとするが、サヤはその時間を与えない。
直ぐさまハルファスの懐に入り、ハルファスの胸に掌を当てる。
「掌低」
「グガハッ!!!」
ハルファスは血を吹き出しながら後ろに吹き飛ばされる。
掌低。中国拳法などで使用される技。
だが、どんなに鍛えようとも何のモーション無しに、相手を吹き飛ばす事などは出来ない。
だが、今のサヤを常識の枠の中で収める事は出来ない。
「グハッ・・・今ノハ何ダ?・・・アノ衝撃ハ・・・」
ハルファスは胸を押さえ、フラつきながら立ち上がる。
だが、その無防備が命取りだった。
「手刀」
いつの間にかハルファスの真後ろに移動していたサヤが、右腕を振り下ろす。
ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!
ハルファスの左腕が宙を飛ぶ。
「グガァァァアアアアァァアアアアアアア!!!!!!!」
ハルファスは顔を歪めて、崩れる。
ハルファスの本領は、部下が居てこそ発揮される。
だが、先程のフェニックスの炎により、部下全てが灰と化した。
最大の武器とも言える能力が使えない。
今のハルファスは、そこらの悪魔と大差変わらない。
「『仙牙一刀』」
サヤは『仙牙龍刀』を構え、そして振り下ろす。
『仙牙龍刀』から斬撃が放たれ、ハルファスを斬る。
「ギィィィッィィィィィィイッィイィィィィッィ!!!!!!!!!!!」
ハルファスは奇声を発しながら、仰向けに倒れた。
「・・・何だこれは?」
サヤは、倒れたハルファスに近づきながら呟く。
「これがソロモン72柱の力か?」
倒れ、血を流すハルファスの喉元に刃先を突き付ける。
だが、ハルファスは動かない。
「死んだのか?アレで?たったあれだけで?」
サヤは落胆していた。
そして、沸々と沸き上がる怒り。
「アレがお前の本気か!!!!この程度か!?お前等悪魔の力は!!!!もっと俺を楽しませろ!!!!俺に本気を出させろ!!!!俺の限界を見せてくれよ!!!!!立ち上がれ!!!戦え!!!俺と――――なっ!?」
ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!
不意に、サヤの腕から血が噴き出す。
切断はしていないが、大量の血が吹き出す。
「・・・お前・・」
サヤは見つめる。自分の腕を切った何かを―――それは・・・
「あぁ?」
サヤの目線の先には、宙に浮いた『仙牙龍刀』が居た。
「お前・・・誰だ?」
サヤは血走った目で問う。
『約束通り―――貴殿を切り捨てよう』
声が響く。
「・・・そうか・・・次はお前かアアアアアァァァァアアアアア!!!!!」
サヤは『仙牙龍刀』に向かって走り出す。
すると、『仙牙龍刀』がまるで誰かが持っているかの様に動く。
そう、まるで透明人間が『仙牙龍刀』を持っているかの様に・・・。
『堕ちるのか―――なら―――此所で貴殿の命の灯火―――消させてもらう』
『仙牙龍刀』が消える。
そして―――
ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!
「なん・・・だと・・・?」
サヤの体から血が噴き出す。
全ては刹那。
『仙牙龍刀』は向かってくるサヤの動きに逆らわずに、流れに任せ斬った。
簡単そうではあるが、それはもう達人を超える域。人間が到底辿り着けない領域。
「テメェ・・・・」
サヤは消えそうな声で『仙牙龍刀』を睨み付ける。
『ここからだ―――さぁ―――貴殿の好きな殺し合いをしよう』
今始めて、サヤは恐怖した。自分に対峙しているモノは、決して自分より強くない。
だが、直感が伝える。勝てないと。
そう感じた時点で、サヤの負けは決まっていた。
そして、『仙牙龍刀』が翳される。
「面白い事やってるじゃねぇーか?」
不意に、森に声が響く。
サヤは、傷口を押さえながらその声のした方を見る。
そこには、金髪短髪の長い黒い槍を持った男が立っていた。
男は不敵に微笑み、言う。
「俺も参加させてもらうぜ?」
風が、消える。
まるで、血の臭いを運ばない様に―――・・・。
Side=第三者∥Out