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黄道を刻む二十四の時の詩

氷に映る虹

作者: 日浦海里

木漏れ日が凍りついた粒子を照らして

雪のように煌めき舞っている


吐く息もふっと広がるに合わせて

白い結晶に変わって煌めく


温もりに包まれて描き出されたスペクトルは

私の手のひらの上で架け橋を描く


このゲートを越えれば

そこはまた真っ白な世界


柔らかく優しい時間は

私には縁遠いもの


光に溶けて輝いていく

この素敵な世界は私以外のためにあるものだから

ほんの僅かでも心に残せるこの一瞬を

幸せに思おう


啓く世界のこちらとあちら

分け隔てられたこちらとあちら


白く閉じゆく命の眠る静かな世界

清く軽やかな命溢れる素敵な世界


長く伏せてたその時間から

漸く目覚めゆくその瞬間を

ほんの僅かでも心に残せるこの一瞬を

幸せに思おう


色とりどりに染まりゆく世界に

染まることなく色のない私だけれど

溶かされない程度の温もりぐらいは

感じてみたいから

今日は雨水


二十四節気においては、降り続いてきた雪が雨へと変わり、少しずつ雪解けが始まるとされた頃です。

人々の生活に根差してきた暦。

改めて見返してみると、昔の人の知恵と生活の息吹が感じられますね。


【登場人物紹介】

○冬姫

 別名 氷姫。

 温められた世界を冷やす力を持ちます。

 彼女もまた陽ざしの君とは同じく、

 自らに与えられた力を制御することは出来ず、

 ただその力で世界を凍りつかせることしか出来ません。

 その力は生命の温もりすら奪いつくすこともありますが、

 一方で、彼女によって生み出される氷や雪は、

 地の下で新たな生命を育む役割りも持っています。

 彼女は自らの役割を知り、そのように振舞いますが、

 自分にできることは奪うこと、

 眠りにつかせることだけで、

 生命を育むことは出来ないし、

 他の生命に触れることもできない、と思っています。

 彼女は常に孤独なのです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 美しく描写される世界と、それに隔てられたように感じる「私」の対比が印象的だと思いました。 分け隔てられているのは、現実に生きる人間と自然の隔たりなのでしょうか。 色々と想像が膨らむ作品だと思…
[良い点] 雪が解け行くキレイな世界 「長く伏せてたその時間から~」のくだりが特に好きです! 今日、雨水だったりですね。朝からこちらは大雨強風です。あれぇ…。
[良い点]  宝石の塵に射す陽光の温もりが心も解かし、溶け行く世界を宝物に。  陽光の色が着いた雪原に立ち、輝く息吹もを想い描ける素敵な詩※ [一言]  北海道に行った気になれました…◆
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