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プロローグ 遠い日の記憶
それは、とても懐かしい記憶だった。
何もかも失った少年にとっては、何物にも代えがたい日々だった。彼女といると心が満たされていくのを感じた。
少年は彼女に色んなことを教えて貰った。
遊びも勉強もケンカのやり方さえも教えて貰った。
少年にとっては全ての事が新鮮で楽しかった。
彼女との時間が少年にとって全てだった。
だが、そんな時間も長くは続かなかった。
ある日を境に彼女はいなくなってしまった。
少年は待ち続けた。
いつもの時間に、いつも場所で来る日も来る日も待ち続けた。
だが、彼女は現れる事はなかった。
そして、ついに少年はその場所に行くのを止めた。
しかし、少年は諦めてはいなかった。
彼女が最後に残してくれた言葉を信じて。
また会えると信じて。