1話 納豆菌の仲間ができました
こんぐらいの短い話を投稿していきます。
納豆。
それは、極めて不思議で、大胆で、
そして、とにかくねばっこい食べ物。
俺は石谷紀伊。ある日突然、納豆を食べたら納豆菌に転生した。
・・・・・
なんで?
こう思った俺は、その理由を見つけるべく旅をしているのである。
で、ここはどこなんだ?
藁の上だということは分かる。なんせ、納豆は、簡単に言えば納豆菌を藁で発酵させて完成する。黄金色の場所といったら藁しかないからだ。しかし、納豆菌の仲間はいないのか? 納豆は納豆菌1つで出来上がる訳がない。つまり、納豆菌は一匹狼では生きていけない、いわば猫と同じなのだ。
お、あれは納豆菌か? 色はなんとも言えないが、なんか気配を感じる。納豆のような香りがするような気もしてきた。
あ・・・・
いやちょっと待って!? 仮に向こうに俺と同じ納豆菌がいたとしよう。そこで俺はこの世界について聞こうとする。いや、どうやって聞くんだ? 納豆菌って喋れるのか?
え・・・・
いやちょっと待って!? 俺そもそもその納豆菌の仲間にどうやったらたどり着けるんだよ。納豆菌て歩けるのか? 二足歩行? 納豆菌が二足歩行で歩くなんて想像もできないぞ。なんかキモいし、嫌だ。
で? どうすればいい? 俺は餓死をするまでひたすらここで待機して、納豆菌ライフを終わらせなければならないのかよ! せっかく第二の生命体になれたと思ったのに? そんなのおかしいだろ!
「よう!」
今の声は・・・・・・部長!
この、かすれているが少しイケボの、聞き慣れた声はまさしく部長だ!
部長は、俺には割と優しくしてくれて、とても尊敬できる上司だった。年齢、住んでいる地域、好きなもの、血縁関係など全てが謎に包まれていて、だからといって何か質問しようとしてみると、部長から聞いてはいけないオーラを感じて、なかなか聞くことができないのだ。
この瞬間、半透明の謎の物体を視界が捉えた。まさか、部長?
「石谷くんも、ここに来ていたのか。ここ、どこか知っているかい?」
「・・・」
「そうか、君、今ここに来たばかりだから、話し方も動き方も、何もできないのか。じゃあ、教えよう。」
それから俺は、部長に話し方と歩き方を教わった。そう言っても、部長もさっきこの世界に来たばっかりで、この世界についてなどは全然分からないらしい。
「部長、一緒にこの世界について知るために、旅をしませんか?」
「よし! そうするか! あと、敬語で話さなくて大丈夫だよ。」
「え?」
「だって、俺、君と同い年だもん。」
え、ええええええええ