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脱線のススメ  作者: 藤野彩月
7/9

遭遇再び

(入学式から翌日。少々殴り書き)


* * *

いた。確かにいたんだ!そしてまた身体がビリビリしたんだ。昨日の入学式の行きしも今日の朝も。3月よりも少し電車の中は混んでたけど、自分は見失わなかった。落ち着け自分。コレじゃ何の事か分からないだろ!早い話がまたあの人と遭遇したんだ。そして、あぁもう素直に書いてしまおう。自分は変に喜んでいたんだ。ただ顔には一切出さずに。って言うか出したらただのキモいヤツだ。


入学式の朝は母さんもついてきたけど、あの人とは約20mの横並びの席にお互い対角線上の端っこに座ってたので、なんとか母さんにはバレずに済んだぞ。バレてたまるか!ただ横で母さんがひたすら説教めいたことを垂れ流してきたのはウザかったけど。事実、あのおよそ10分の間に何度「ちゃんとしなさい!」と言われたことか。何せまともに話聞いてなかったからな。どうかあの人に気付かれなかったことを祈るばかりだ。


登校初日の今日は…あぁ、思い出しただけでも心臓がヤバい。誰にも邪魔されずにその人の向かい側の席に座って「再会」の喜びを噛みしめることができたのだから! 今朝はほんの少しだけ観察してみた。身体に走るビリビリ抑えてくれぐれも悟られないように気をつけながら。


暖かくなってきたので、服装はダウンからジャケットに変わっていた。今日は黒色だった。下は相変わらず初めて会った日と同じ。でも靴は変わってた気がした。新調したのかな?

印象的なのは、あの人の髪だ。肩に届くか届かないかくらいの長さで、前髪はソフトだが上手い具合に分かれている。全体的にこげ茶色なんだけど、見ていてあの有名な医療漫画の主人公と雰囲気が似ている気がした。あくまで雰囲気な。


15の自分と明らかに成人している相手。大人のファッションについてよく知らないから当然と言えば当然なんだけど、それでもあんな大人は今まで見たことないタイプだ。特にこの辺り(西山電鉄沿線)は住宅地やスーパーがあるとは言え山奥だった名残で今もあちこち草ボーボーのド田舎だ。特に下り列車なので電車に乗っているのは大体がヨレヨレのスーツや作業服を着たくたびれた感じのオッサンや仕事しに行くのか遊びに行くのか分からない、朝から仕事仲間と旦那や若い女性の同僚の悪口言い合ってるゲテモノの服着たオバサン。そして自分みたいな田舎の学生。こんな冴えない朝の電車内にああいう洒落たスタイルの良い大人が一人いるのは周りから少し浮いてて何だかおかしかった。あれはどう見ても都会にいる人だ。繁華街なんかじゃなくて、例えるなら横浜の異国情緒漂う静かな街角に。


「次は〜終点ー…」

車内のアナウンスが鳴った。もう10分経ったなんて信じられない。


ここから先、身体は至って健康だっけど精神的にダルくてたまらないけど引き返すわけにもいかない。仕方なく自分は普通の朝を迎えた。次に乗り換えた電車はひたすら混んでて、「皆消えろ」と思った。

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