出港
オリンピック号とタイタニック号の姉妹船が、同時に出港の日を迎える。
タイタニック号には四五人のスペースクルーと五〇機の探査機ちゃんが乗り込んだ。
五〇機の中にははやぶさの姿もあった。
「はやぶさが望まないなら、無理にスペースミッションは頼まない」と渡が約束してくれたため、はやぶさはしぶしぶ一緒に船に乗ることにしたのだった。
渡は自分の判断でゲスト(乗客)用のスキー板を十数対もちこむ。
スキー板を船内に運び込む様子を、BTデバイスに染まりきっている他のスペースクルー達からせせら笑われる。
「ありとあらゆる道具がBTデバイスで代替できるようになったこの時代に、スキー板とは……」
「時代遅れにもほどがあるだろ」
まずは二五〇人の乗客に対して挨拶が行われる。
船長の勝田、副船長ほか、位の高い五名が挨拶を行う。
「では最後に、渡辺渡くん」
「は!?」
一般船員の渡にとつぜんマイクが渡ってくる。
渡は、自分は宇宙にいままで興味がなかったことを素直に打ち明ける。
しかし、はやぶさと出会って自分は変わった、はやぶさがいままで知らなかった世界に導いてくれたんですと話し、スポットライトをはやぶさに導く。
勝田は朗らかに笑いながら手を打ち鳴らす。それがきっかけとなり、拍手が沸き起こる。
しかし、この一件がきっかけで、渡はプライドの高い他のクルーたちに目を付けられることになる。
「おいスキー野郎、てめえ調子にのってんじゃねえぞ」
一方、はやぶさとさっちゃんは、ディープ、ニア、スターダストの三機とひさびさに再開を果たす。
タイタニック号には、日本の探査機としては、
月探査機かぐや(S)
水星探査機みお(A)
彗星探査機さきがけ(B)
彗星探査機すいせい(B)
が乗り込んでいた。
海外の探査機のなかでは、
水星探査機メッセンジャー(S)
金星探査機マゼラン(S)
火星探査車スピリット&オポチュニティ姉妹(S)
火星探査機マーズグローバルサーベイヤー(S)
木星探査機パイオニア10&11姉妹(S)
彗星探査機ロゼッタ(S)
といったビッグネームが目を引く。
一方、グランドツアー船の双子の姉ことオリンピック号の方には、あかつき、ジェネシス、ジオットを擁する守のチームや、S級のボイジャー姉妹が乗り込んでいた。
今後は渡や守らオペレーターが人間の同僚たちとスペースワークを競う裏で、はやぶさ、さっちゃん、あかつきらH探査機は、自分と同じ立場の探査機ちゃんたちと全史レースを繰り広げていくこととなる。




