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第1話
溶けるような暑さと共に僕の夏休みは始まった。
友人の勧めで僕は治験の施設にいる。
参加者それぞれに個室が用意されており、テレビもついていた。もちろんエアコンを効かせることができ非常に快適な生活を送っている。
規則正しく三食のご飯が出てくるし就寝時刻が高校生には少し早いような気もするが不満はない。
肝心の投薬は毎朝10時から行われる。
体重からレントゲンまで様々な検査をされ、その後薬を飲まされてまた同じ検査を繰り返す。
薬は飲んだことを確認するために映像に収められる。大人に見られながら薬を飲むのは緊張した。
僕の他にも10人ほど治験を受けている人がいるが特に会話を交すことはない。笑顔で職員に話しかけているおばさんもいれば、気だるそうな細身の若い男の人と色々だった。
僕は腸内の細菌を増やすという薬を飲まされた。
あまり薬は好きではなかったが、報酬のことを思えばそこまで嫌な気持ちにはならない。