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【コミック&書籍発売中!!】奴隷に鍛えられる異世界生活【2800万pv突破!】  作者: 路地裏の茶屋
第四章:異世界温泉編【首無し騎士と聖女の想い】

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第五十九話:混浴は男のロマン

「ふぃ~、いやぁ。最高だった」


 女将(筋肉ダルマ)に案内してもらった露天風呂は、白を基調にした岩を組み合わせて作られた浴槽に、少し熱めのお湯が張られ、見上げればそこには夕方の澄んだ空が広がっていた。

 気候的にいえば春のような気温で少し肌寒いが温泉に入るにはちょうどいい。

 夜に入れば星空をみることができるだろう、ここでのぼせてはもったいないので、簡単に身体を洗って湯に三十分ほど浸かって風呂を後にした。脱衣所にあった緩めのシャツとズボンの部屋着に着替えて、部屋に戻ると三人が迎えてくれた。


「おかえりなさいご主人様」

「女将が言うには、そろそろ晩飯もできるようだべ」

(マスター、ツギハ、ボクト、ハイロー)


 ピョンと飛び込んできたフクちゃんをキャッチする。


「そうだな、夜は一緒に入ろうな」


 さわさわとフクちゃんを撫でるとフクちゃんはその赤い瞳をつむり気持ちよさそうに身体を預けてくる。

 こんなに小さいのに強いんだもんなぁ、不思議なもんだ。


 フクちゃんを抱きながら、囲炉裏 (のようなもの)に座るとファスが横に座り、コップに入った水を渡してくれた。

 魔術で冷やしていてくれたのか、冷たい水がとても美味しい。

 ファスは何も言わず、フードを脱ぎ僕の肩に頭を預けてきた。いわゆるベリーショートほどに伸びた金髪からはファスの匂いがしてきて、なんていうか少し緊張する。


「大分髪伸びたな」

「そうですね、もっと伸びたらトアにいろいろ、いじってもらおうと思っています」

「任せるだ、こう見えて指先は器用だからな。オラの方は少し伸びすぎだから今度切るべ。長いと手入れが面倒だしな」


 トアは囲炉裏を挟んだ対面に座って、時折炭の調整をしてくれている。

 外から夕暮れの涼しい風が流れてきて、囲炉裏の熱がこもるのを防ぎ、なんだかとってもいい感じだ。

 このまま寝てしまおうか?

 なんて思っていると、女将のラーバさんが食事を運んできた。大きな鍋と具材をこれでもかと持っている。


「あらん、坊やが上がってくる頃には完成させようと思ってたんだけど、随分早くあがったのねぇ」

「夜にもう一度ゆっくり浸かるつもりなので、早めにでたんです」

「通ね、じゃあお料理作るから少し待ってねぇん」 

「女将さん、運ぶの手伝うべ」


 トアが立とうとするが、ラーバさんは目線で制止して。囲炉裏の上から下がっている鉤に鍋を下げる。


「ダメよ、トアちゃんはお客様なんだから、さて今日の料理は山で狩ったイノシシ鍋よ、ちょっと魔物交りかもしれないけど、皆魔物は食べても大丈夫みたいだから安心したわ~」


 手際よく、出汁に野菜と肉を入れていく。すでに下準備を済ませた具材もあるようで、すぐに良い香りが立ち上ってきた。


「いい匂いです」

「そうだなお腹減ったよ」

「単純な出汁じゃねぇべ、うーん、なんの匂いだったかなぁ」

(ジュルリ)


 フクちゃんはすでに臨戦態勢のようです。いや僕等もだけどね。

 具材を入れ、何種類かの香草を上に置き蓋をしてしばらく煮ると、食欲をそそる匂いはいっそう強くなりいよいよ我慢の限界が近づいた時にラーバさんの手によって蓋はあけられた。


「最初だけは、私がよそうわね。お替りはいくらでもあるからドンドン食べてねぇん。パンもあるわよ」

「ご主人様の分は私がよそいます」

「あら、愛されてるわね~」

「二杯目はオラがよそうだ」


 というわけで、わいわいいいながら鍋を食べ始めたが、これがめちゃめちゃ美味い。

 シシ肉は臭みを消すのではなく、その独特な味わいを香草と一緒に食べることで見事に旨味として成立していて、所せましと入っている、出汁を吸ったキノコとの相性も抜群だ。

 結局一度も箸(フォークと木匙で食べてるけど)を止めることなく鍋は空になった。


(イイシゴトスルネー)


 フクちゃんがどこかで聞いたようなセリフで女将を褒める。


「とっても美味しかっただ。具材は全部わかっただが、出汁がわからなかっただよ。臭みのある肉にどうやって合わせたんだろうなぁ」

「お野菜もお肉もキノコも美味しかったです。幸せです」

「アラアラ、おそまつ様でした。出汁はね、シシ油を使っているのよ。トアちゃんならこれで大体わかると思うわ」

「シシ油だべか、なるほどなぁ。見当はついたべ。手間かかってるだな」

「そうでもないわよぉ、それよりも、『準備』してくるわね」


 準備? なんのことだ? 聞き返そうとしたが、ファスが不自然に話をさえぎってくる。


「お、お願いします。ところでご主人様はいつお風呂に入るんですか?」

「うーん、そうだなぁ、食後すぐ入るのは体に悪そうだから、少し休憩したら入るよ」

「そうですか、了解です」


 なんだ了解って、どこか様子のおかしいファスとワイトのことやギルドで貰ったこのあたりの地理について話していると、いい感じに腹もこなれて来たので、お風呂に入ることにした。

 日は完全に沈んでおり、綺麗な月が見えそうだ。


「じゃあ、もう一回お風呂入って来るよ、フクちゃん行こう」

(ハーイ)


 というわけで、フクちゃんを連れて再び露天風呂へ、自分とフクちゃんの身体を洗い(フクちゃんの回復泡で洗っています)先ほども入った、岩の浴槽に肩までつかる。


「ふぇ~、いい湯だ」

(キモチイイー)


 フクちゃんはわりと泳ぎも達者でプカプカと浮きながら、気持ちよさそうに揺蕩っていた。

 うん、今回は少しのぼせるくらい浸かろうかな。目をつぶって至福の時間を過ごしていると、後ろから物音がした。

 

 何の気なしに振り向くと、そこには湯あみ着(そうとしか表現できない)を来たファスがいた。


「はぇえええ、ちょ、ファス!?」

「オラもいるだよ」


 少し遅れてトアも入ってくる。手に盆を乗せており上には徳利と木でできた杯がのっている。

 だけど問題はそこじゃない!! 毎朝その破壊力は拝んでいるが、薄手の布一枚のその胸の主張はとんでもなく、深い谷間に視線が吸い込まれてしまう。


「むぅ~、ご主人様! どこを見ているんですか」

「いや、なんでここに……」

「ナノウさんに聞きました。ご主人様のいた世界では温泉につかり女性にお酒を注いでもらうことが何よりの楽しみであるのですよね?」


 あの婆さんなんて素敵なことを教えてしまったんだ!! グッジョブ!!


「とりあえず、入りますね。体は内湯の方ですでに洗っているので大丈夫ですよ」

「お邪魔するだ。というかこの服もいらないと思うんだけどな」

「ナノウさんが言うには、これがワビサビらしいです」

「いや、多分違うからな」


 というわけでファスが右側にトアが左側に浸かる。

 湯ぶねに体を浸ける際の吐息が妙に艶めかしい。

 露骨に当たる布越しの肌の感触に酩酊しそうになる。落ち着け僕、ここはクールに、クールに対処するんだ。

 

 いや、無理!! だってファスもトアもすごい魅力的だし、というか前見た時よりもなんていうか肌とか綺麗というか、ファスもやせ型ではあるが筋肉もついてきたのか長い手足のバランスにグッとくるし。

 ……だめだエロ親父みたいな考えしか浮かばない。


「ふぅ、露天風呂というのは初めて入りました。とても気持ち良いですね。魔術で再現できないのでしょうか?」

「それができたら、旅も楽しいべな。っと、旦那様、お酌するべ」

「あっ、最初は私ですよ」

「はいはい、わかっているだ」

「はい、ご主人様、どうぞ」

「ああ、なんか夢みたいだな」


 あまりに非常識な状況に、思考が麻痺しつつある状態で、木製の杯に酒が注がれる。どうやら濁り酒のようだ。少し甘い香りが鼻腔を抜ける。

 密着してくるファスとトアから伝わる、お湯とは違う温かさにカチコチになりながら杯を煽る。

 やはり甘い、トロリとした液体が喉を通ると、カッと喉が熱くなる。柔らかい口当たりの割に強い酒のようだ。


「どうですか? ナノウさんが渡してくれたお酒です。米から作られているもので、ナノウさんの旦那さんが特に好んだものらしいです」

「美味しいな……酒は飲んだことがあんまりないけど、これは確かに、どこか懐かしいかもしれない」


 やはり日本人の遺伝子にはお米で作られたものを好む性質でもあるのだろうか、初めて飲んだはずの酒なのにどこか感じるものがあった。


「二人も飲みなよ、もちろんフクちゃんも」

(ワーイ)

「ご相伴に預かるだ」

「乾杯、ですね。見てください。空があんなに近いですよ」


 湯につかり、のんびり空を見あげながら。美女二人(フクちゃんは可愛い枠です)に酌をしてもらう。

 しみじみ幸せだな。


 持ってきたお酒は早々になくなり、各々湯を堪能していると、どうしても二人に目が行ってしまう。

 いや、だってあの宿の夜以来、ファスとは()()()()ないわけだし、こういうことをされるとどうにも考えてしまう。

 というかアルコールには耐性があるはずなのに体が火照ってきている気もするし。


「どうしたんですか、ご主人様? こっちを見て」

「えっ? あぁ、いや、肌とか綺麗だなとか思って」


 何言ってんだ僕は!! アホなのか!? つい思ったことがそのまま口から出てしまった。


「それだべな。なんかオラも気になってただ。ホレ旦那様、オラもツルツルだべ。前はもっとガサガサだったんだけどなぁ」


 トアが胸元を露わにしてすり寄ってくる。ちょ、近いんですけど。


「それは、普段フクちゃんの泡を使って体を洗っているからだと思います。フクちゃんのスキルの元になっている、ヒールサーペントの粘液は美肌効果もあり貴族の間でやり取りされるほどのものですから」

(エッヘン)

「そうなんだべか、そんな大したもん毎日使ってただか、恐ろしい話だべ」

「なるほど、僕も思い当たる節があるな」


 最近体の調子がいいと思ってたんだよな。ほぼ毎日汗だくなのに汗疹とかニキビとかもないし。フクちゃん……恐ろしい子。


「それと、トアのスキルの【栄養増加】で普通の食事よりも多くの栄養が得られているので、その効果もあるのかもしれません」

「そうだったらいいべな。オラの料理が皆の助けになるってことが一番嬉しいべ」

「そうです、栄養をたくさんとれば私だって、まだ成長するかもしれません……」


 胸をペタペタ触りながらそんなこと言うの止めてください。また変な気分になるじゃないか、おっぱいに貴賤はないと昔の偉い人もいっていたぞ。

 あぁまた変な気分になってきた。のぼせてんのかな?


「ちょっと、のぼせてきたから。上がるよ」


 このままここにいたら、問題を起こしそうだ。


「でしたら、私達もあがります」

「そうだべな」

(イイユダッター)


 というわけで皆お風呂から上がり着替え部屋に戻ると、大きな布団が一組だけ置かれていた。

 ご丁寧に水差しまである。


「……これは」

「あの、ご主人様。さきほど私達が飲んだお酒なんですが、ラクトワームの粉末を入れているんです」


 フリーズしていると後ろからファスが腕をからませてきた、その瞳は潤み、頬は赤い。


「それって、精力剤になるっていうやつだよな」

「はい、その、ナノウさんが言うには温泉の後は()()()()ことをするのが良いと聞いて」

「ファス……」

「可愛がってくれますか?」


 その言葉に逆らえる男がいるだろうか? いやいない。肩を抱いて倒れこもうとすると、反対側の頬に柔らかな感触が触れる。


「チュ……旦那様、フクちゃんと順番の約束があるから最後まではまだできないだが、お手伝いはするべ。こう見えて前居た宿で色々みてきたからお役に立てると思うだ」


 トアはいつもの快活な表情ではなく、獲物を前にした肉食獣のように獰猛な表情で身体を摺り寄せてくる。

 左右からの誘惑に逆らえるはずもなくそのまま僕等は布団に倒れ――。



「――誰か、誰か助けてくれ!! 聖女様が!!」


 玄関の方から、声が聞こえてきた。名残惜しいがほっとくわけにもいかないか。

 皆で玄関までいくと、白いローブを血で赤く染めた豊かに髭を蓄えたお爺さんがラーバさんの介抱を受けていた。


「何があったんですか?」

「調査をしていたら、ワイトが現れて……ゴホッ」


 傷を負いながら走って来たのかローブの老人の息は今にも絶えそうなほどに弱弱しい。


「いくらワイトが厄介な魔物だからって、教会が遅れをとるなんて信じられないわぁん」

「ワイトと一緒に出てきた鎧の魔物に騎士達もやられてしまったのじゃ、聖女様が結界を張って凌いでいるがいつまで持つか、どうか助けを……聖女様は山の中腹の廃教会に……」


 そこでお爺さんは気を失った。どうやら死んではないようだ。廃教会か、晩飯後の会話で地理は大体わかっているし辿り着けるだろう。


「ファス、籠手を、防具はいい。時間がなさそうだ」

「はい、ご主人様。でも防具はキチンと着けてください」

「フクちゃん、お爺さんに回復を」

(リョウカイ)


 すぐに籠手を持ってきたファスとトアに籠手と防具(着けなければ、自分も着の身着のままでついて行くとファスに脅された)を着けるのを手伝ってもらう。

 【吸傷】をお爺さんにするか迷うがここでダメージを受けたら襲われている人を助けられないかもしれない。


「二人は装備を整えてから来てくれ、特に聖水は持ってくるようにな」

「わかっています。すぐに仕度します、無理しないでくださいね。絶対ですよ」

「フクちゃん、旦那様を任せるべ」

(ダイジョブ)

「気を付けてねぇん、あたしも行ければいいのだけれど、このお爺さんを見ておくわ」

「はい、行ってきます」


 泡を吐き終わったフクちゃんを肩に乗せ、暗闇に飛び込むように走りだす。

 月が明るい夜で良かった。でないとファスの案内がないと、まともに移動できそうになかったからな。


(マスター、ミツケタ)


 感覚の鋭いフクちゃんが先に見つけたようだ。案内してもらうと、淡い光を放つ壁を鈍い音を響かせながらバカでかい大剣でなんども叩きつけている鎧の化け物が見えた。

 光の壁はひび割れ今にも割れそうだ。


「フクちゃん、掴まってろよ!!」

(レッツゴー)


 さらに【ふんばり】を強め加速し、最高速のまま鎧を殴り飛ばす。

 重い、拳から伝わる重さはかつて吹っ飛ばしたブルマンよりもさらに重かった。

 が、勢いをつけ【ふんばり】を効かした拳を振り切る。己の拳から鳴ったとは思えない炸裂音が響き鎧の化け物がすっ飛ぶ。 


「大丈夫ですか?」


 鎧の化け物から目線を切らずに壁の向こうに話しかける。

 できればその壁そのまま維持してもらいたんだけどな。

 壁の向こうの人物は息を飲むのがわかった。そして壁が消える。消すんかいっ! とツッコミを心の中で入れるとどこかで聞いたことのある声が響く。


「吉井君!?」

「……そういや、聖女とか言われてたっけ。久しぶり、でもないか。間に合ってよかったよ桜木さん」


 淡く光る壁の向こうにいたのは、闘技場以来の図書館アイドル(僕が言っているだけです)こと桜木 叶さんだった。

更新が遅れてすみあせんでした。というわけで桜木さんが久しぶりに登場です。

次回予告:女将はバーサーカー


コメント&評価いつもありがとうございます。励みになります。

感想&ご指摘ありがとうございます。助かります。

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― 新着の感想 ―
男女の仲になったのに1回しかしていないって枯れちゃってるのかな この年頃はおっぱ△!セック◯!しか頭になかったけどな 自分なら連日連夜、盛りまくっちゃうけど
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