第四百八十一話:ガールズトーク
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真也とフクが河へ水中を移動しているのを確認して叶はファスとトアへ顔を寄せた。
「これより、ガールズトークをします」
「……唐突になんだべ?」
「がーるず? 何かあったのですか?」
河へ飛び込んだ真也とフクが一向に顔を水面に浮かばずに水柱が至る所から立ち昇るのを確認してファスが歩き出し、トアと叶もそれに続く。二人の反応に叶は束ねた黒髪を揺らしながら話を続ける。
「最近の真也君はちょっとかっこよくなりすぎじゃないか、という問題について話し合った方がいいと思うんだよね!」
「ご主人様がかっこいいのは当然のことですが?」
「まぁ、カナエの言わんとしていることもわかるだ。旦那様は大森林での戦いや経験を経て確かにいい男になっただ」
「そう! 私が言いたいのはそのことだよ!」
ズビシと叶がトアを指さし、その後ろでは再び水柱がズドーンと立ち昇っている。
ファスも納得したように頷き、翠眼がキラリと輝く。
「ふむ、ご主人様の成長に関しては言えば確かにより逞しく、そして……なんというか芯が太くなったように感じます。モグ太との出会いや……姉さんとの旅、そして結晶竜との戦いを経て己を向き合うことができるようになったのでしょう。隠れ里で安易に力を求めず、己のままに強くなることを選んだことも影響していると思います。一番奴隷として誇らしい限りです」
真也については早口で語るファスである。
「最近は群れの主人としても自覚が身についてきて、雄としての魅力も上がってるべ」
少しだけ頬を染めるトア。照れくさいのか尻尾がブンブンと振られていた。
「うんうん。前は私達に対してもどこか遠慮している部分もあったけど、最近は受け入れてくれるっていうか、ぶっちゃけ女慣れしてきてるよね。かといって横柄ってわけじゃなくて、優しいままに余裕があるって感じ」
「良いことです。……話の最初にあった問題があるようには思いませんが、何かあるのですか?」
ファスが河の方を見ると水柱が連続で立ち昇り、それが先まで行ったり戻ってきたりしながら途中で大きな亀だか蛇だかが水中から吹っ飛ばされていた。
真也は一度も水面に顔を出していないが、ファスは水中を見通して常に真也を見つめているようだ。
「いや、あのね……この中で一番最後にハーレム入りした私としては言いづらいけど、今の真也君……ちょっと、というか、かなりモテそうじゃない? 最近はなんかプリちゃんとかアイラちゃんみたいな魔物にもモテ始めているし……冷静に考えたら私達これからブラン・ロゼっていう女子だけの集団に合流するわけなんだけど……」
「「……」」
背後で水柱が立ち昇り続ける中しばし、無言の時間が流れる。
最初に口を開いたのはファスだった。
「し、しかし。聞けばブラン・ロゼは貴族に無理やり手籠めにされそうになって離反した女性の【転移者】達なのですよね。チハヤを見るに、男性に対して悪感情を持っているのではないですか?」
「半数くらいはそうなんだけど、元の世界に戻りたいとか私が女子の保護の為に誘ったとか人によって入団の経緯は色々あるんだよね。というか、その男性嫌い筆頭の千早ちゃんが真っ先に堕ちているし……前までだったら、真也君の魅力ってちょっとわかりづらいと言うかしっかり付き合ってしみじみとわかる感じだから安心してたけど……最近は外見も内面もちょっとかっこよすぎるというか……大森林でも超美形のエルフと並んでもびっくりするくらい何も感じないくらいには私ってば真也君のこと好きすぎだし……トアさんも黒狼族の人達に熱視線送られてたけどどうだった?」
話しているうちに恥ずかしなったのか頬に手を当てて首を振る叶に話を振られたトアは視線をプイっと逸らす。
「まぁ、オラも旦那様に首ったけだかんな。……察してくれろ」
「カナエの言いたいことはわかりました。確かにこれは危急の問題です。こればかりご主人様では防ぎようがありません。私達がなんとかしないといけませんね」
ムン、と気合を入れるファスに強く同意する叶とトア。
「うんうん。まぁ、男性に忌避感のない子達も線の細いイケメンが好みだったはずだから、すぐにどうこうはないと思う。でも私達がしっかりと間に入って牽制する必要はあるよね。念のため千早ちゃん達にも注意を促しとくよ」
「大概の雌はファスやカナエを見れば怖気づいてしまうと思うけんど……最近の旦那様を見ているとなんか変な縁を引き寄せているように見えるだ。群れが増えすぎないようにするのはオラ達の役目だべ」
「知らない内に奴隷入りをしていたアナ姫のようなこともありますしね。油断はできません」
「うん、後でフクちゃんも入れてしっかりと話し合おうね」
三人の話が一応の決着をしたタイミングで、河から真也が何かをもってこちらへ向かってくる。
「見てくれ皆、河で鍛錬してたら魔物じゃない普通の川魚を見つけたんだ。フクちゃんはすごく美味しいって言っているんだけど、食べれないかな?」
(ただいまー)
どうやら泳ぎなら魔物以外の魚を見つけて戻って来たらしい。屈託のない笑顔を浮かべる真也をみて三人はお互いに顔を見合わせて噴き出す。それを見て困惑する真也。
「何かあったのか?」
「いいえ、何でもありません。ご主人様、体をお拭きしますね」
「それは海の魚だべ。宿でも干物を扱ったことのある美味しい魚だな。ファス、水球を作って生け簀にするだ。昼に串に刺して塩焼きにするだべ、楽しみにしてていいだよ旦那様」
「こっちの気も知らないで……真也君、今晩は覚悟してよね。他に目がいかないほど私達の魅力をしっかりわかってもらうから」
「急にどうしたんだっ!?」
こうして真也の知らない所で、ハーレムメンバー達の結束は強まっていたのだった。
女難は続く……。次回から物語が少しずつ動き始めます。
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