第三百六話:激闘の翌日
鳥のさえずり、天窓から差し込む朝日、転がっているポーションの瓶……ろくに動かない体。
「……死ぬかと思った」
それはもう苛烈な戦いだった。特に他に対抗意識を燃やしたファスによる猛攻はすさまじく、元の世界でも知らない分野の攻め方をされてしまった。絶対叶さんが何か吹き込んだのだと思う。
フクちゃんの【催淫】の効果もあり、限界を超えてしまった感あるぜ。四人同時はマジで考えないとヤバイ。
「ぅん……おはようございます。ご主人様」
「おはようファス」
となりでファスが起きたようだ。フクちゃんが作ったキャミソールを着ており、髪が朝日に照らされて光っているようだ。淡くほほ笑んで、体を寄せて頬にキスをしてきた。
「ちゅ、こうして起きるのも久しぶりですね」
そのまま嬉しそうに甘えてくる。……あぁ、このまま溺れてしまいそうだ。
「ほんとにな、というかあんまり寝てないような気がする」
「そうですね。夜が白むまで励みましたから。私も少しは体力がつきました」
【クラス】レベル測定不能ともなると、体力もつくらしくいつも一番に眠るファスも最後まで頑張っていた。
「これは……毎回だと身体が持たないな」
「ふふふ、可愛かったですよ。私達のご奉仕はどうでしたか?」
「……良かった」
ちょっと直視できない。すると反対側からもスルリと手が回される。
「あー、また、こっそりお話してる。おはよう真也君」
「おはよう叶さん」
「うん、ただれた朝だねー」
叶さんもキャミソールを着て、キスをしてくる。本当に爛れた朝だ。元の世界にいたときのことを考えると今の光景を到底信じられないが、そんなことを言えないほどに身体に教えられております。
というか、制服の時とか聖女のローブとかの見た目ではわからなかったが、叶さんはわりと胸が大きい。腰回りが細いのにどうしてそこだけ肉が付くのか不思議だ。
「真也君? どうしたの?」
「ご主人様……目線が胸にいっていますが」
冷気を感じるぜ。
「いや、普段の服装からだと印象が違うなぁと」
「あぁ、ほら。下着と服装でおっぱいを小さく見せてたんだよね。中学の時に大きくなり始めて、なんとなく恥ずかしくなっちゃってさ。でもたまにはラインのでる服装もいいかもね」
ちょっとした単語でも年頃の男子は反応するから止めて欲しい。ただいま賢者モードなのでなんとか平静を保って話を続ける。
「なるほど、女子は大変だね」
「まぁね、それを言うなら真也君も凄い体になってるよね。服を着たらそうでもない感じなのにムッキムキというか詰まっているというか」
「鍛えてますから。でも、普通とは違う筋肉の付き方をしている感じはするなぁ。体重も見た目以上についていると思う」
「私の眼で見ても、変化があるように見えます。元々しなやかな筋肉でしたが、より密度が上がっています【竜人】の肉体と言えるかもしれません。それに……やっぱり私達も調子がいいような気がします。行為による疲労があまりないですね」
「私達も変化があるのかな? フクちゃんの泡とトアさんの料理のおかげで体の調子がずっといいから変化がわからないや。でも確かに体がスッキリしているかも、肌もツヤツヤ……」
二の腕をつまんで確認する叶さん。えぇ、僕は割と疲れ果ててるんだけどな。でも頭は意外なほどにスッキリしている。
「ご主人様の【竜人変化】のレベルが上がれば変化も顕著になるでしょう。……期待します」
どことは言わないがどこを抑えて僕を見るファス。いや、そんな目で見られても。
「マスター、おはよー」
フクちゃんがのしかかって来る。だぼだぼのシャツを被り、おそらくそれ以外は何も着ていない。
「おはようフクちゃん。疲れてないか」
「ぜんぜん、あのね、とっても気持ちよかった」
「グフッ……まぁ、それは良かったけど」
なんだろう、見た目幼女に凄いことを言わせてしまった。社会的に凄いことをしてしまっている気がする。これが他の転移者にバレれば、もう言い訳はできない。まぁ、それでもわざわざ僕とこういうことをする為に人間の体を手に入れたフクちゃんを拒絶することはあり得ない。そもそもフクちゃんから逃げられるわけないし。これも覚悟なのだ。と、心で言い訳をして平静を保つ。
「大丈夫だよ真也君。ここ異世界だし! というかハーレムパーティー組んでいる時点で今更じゃない?」
ビシっと親指を立てる叶さん。貴方一応聖女なんですから、もう少し慎みを持ってください。
「そうですね。しっかり愛し合うことは非常に大事だと思います。とても満たされます」
「告白するけど、僕も嫌いじゃないと言うかむしろ好きだし、だけどだからこそしっかりしないと溺れそうで怖いかな」
もうここまできてムッツリを隠すことも無いっていうか普通に色々バレている。
「……正直ちょっと癖になっている自分がいるかも。でもでも、ちゃんと我慢できる……と思う?」
「疑問形で返されても」
話している間に身体も動くようになってきた。伸びをして体を起こす。
皆も起きたしそろそろ活動しよう。
「トアも起こしましょう。トア、朝ですよ。ご飯を作りましょう」
「ワフー、スピー……ムニャ……朝だべか…うーん、旦那様おはようございますだ」
ファスに揺さぶられ体を起こすトアは……普通に全裸である。ファスもそうだがトアも恥ずかしいという感情がかなり薄い。その圧倒的胸部装甲に目が吸い寄せられる。その大きさでどうして重力に逆らえるのか、物理学者でもわからないんじゃないか。
「……旦那様。昨日はさんざん、これで楽しんだのに、飽きねぇだな。まぁオラとしては嬉しいけんども」
「トア、すぐに服を着ないと吊るしますよ」
「なんだろう、ちょっと拝みたくなるね」
「きょにゅうの【スキル】ないかなー」
そんな感じで、僕等の一日が始まるのだった。
……まさか、朝の描写だけで一話使うとは思わなかった。
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