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【コミック&書籍発売中!!】奴隷に鍛えられる異世界生活【2800万pv突破!】  作者: 路地裏の茶屋
第九章:ニグナウーズ国編【ツルハシと攻城戦】

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第二百七十五話:再会する二人

 砂漠の地下で子供達から呪いを引き受けたことがあった。詳しく覚えていないが、その時にも似たような夢を見た気がする。霧に飲まれたかのような中で、翼を持った竜の影が形を変えながら投影されているのだ。徐々に記憶が鮮明になっていく、そうだ、どうしてか忘れていた。砂漠ではこの影達が語り掛けてきたんだ。


『……吾輩の呪詛の成れの果てが、矮小な人間とは……この牙が届くのであれば女神の喉笛を引きちぎるものを……』


 耳障りな棘を持つような男性の声が響く、こっちも何か喋りたいが口は動かない。自分の身体すらあやふやで実体がないようだ。

 これは夢なのだろう。しかし、今の状況を鑑みるに重要なことなのだ。この国に来た本来の目的、ファスの生まれに関することと僕が【竜の後継】と呼ばれたこと。そのことに関係していることは明らかだ。なんとか問いかけられないかと、身もだえする内にも影は形を変えていく。丸みを帯びた羽毛を思わせる影の形。


『わらわの祝福は馴染んだようですね。そして、私の『子』の祝福も感じます。【花竜】の……あの子の優しい香り……』


 その姿は見えないが、老成された優し気な女性の声が響く。

 そして影は形を変える。それまでで一番大きな翼の形、熱を帯びた低い男性の声。


『我らの声が聞こえているのだろう。この土地の呪詛……それを受けるに足る器となっている。白竜姫の読みは正しい。我らの意図しない新たな可能性が芽吹きつつある。……腐黒竜よ、かつての貴様の土地をこのままにしておいてよいのか?』


 影が変わり、棘の生えた長い首と頭部が僕の目の前で口を開く。


『吾輩の『祝福』は、忌々しくも賢者の血族に受け継がれている。……今更興味など無い。……が、吾輩の縄張りで蜥蜴ごときが『竜』を冠することは、確かに不快ではある……か』


 チロチロと舌を出し、影が僕を挑発しているようだ。そしておそらくだが影の主はニタリと笑った。


『……よかろう。貴様を試してやる。我が『呪詛』を飲み干して見せよ』


 影がより大きく口を開け、僕を飲み込んだ。


「――シンヤ殿、起きてくださいまし。シンヤ殿っ!」


「マスター。起きる」


「モグゥ、モグッ」


 激しく体を揺すぶられている。バチンバチンと両の頬を叩かれた所で、激しく咳き込んだ。


「ガハッ、ゼェ、ハァ……い、痛い」


「お、起きましたわ。グスッ、もうダメかと……あんな大量の触手が体に入って……ふぇえええええええええん」


「ん、マスターはダイジョブ。ミーナ、うるさい」


「モグヌヌヌ」


 涙と鼻水でグチャグチャのミーナさんに抱き着かれる。もうめちゃくちゃだ。なにか夢を見ていたようだ。夢の内容はうっすらと輪郭があるが、内容を詳しく思い出せない。何かに試されるとか? そんな感じだったような。頭を振るが、どうにもぼやける。呪いを引き受けた影響だろうか。


「って、呪い!? ミーナさんとメレアさんは大丈夫なんですか?」


 ミーナさんを引き離して、周囲を観察する。壁には倒れた監督と呼ばれたエルフ、そしてミーナさんの後ろにメレアさんが横になっていた。


「私は大丈夫ですの。あのメレアからでたあの触手は私には触れていません。しかし、メレアの意識が戻りませんの……このまま二人共倒れたままだと思って……グスッ、でもメレアの呼吸は落ち着いていますわ。顔色もどんどんよくなっていますの。問題なのは貴方です、今にも死にそうな血色で息だってあんなに細くなって……」


「慣れたもんです。メレアさんの様子を見ましょう」


「絶対に大丈夫じゃないですわっ!?」


 ファスの呪いを引き受けた時に比べれば軽いもんだ。額に触れて【吸呪】をしてみるが、手ごたえがない。どうやらあの気味の悪い呪いはなくなったようだ。ということは……。【吸傷】で疲労を引き受ける。


「……マスター」


 フクちゃんにジト目で睨まれる。しかし、ここでメレアさんの意識が回復することは大事だし、多少ダメージを引き受けても仕方がないと思うんですよ。


「仕方ないだろフクちゃん。止められてもこればっかりはやるぞ」


「ファスに言うから」


「……なんでもするからそれだけは、許してください」


 白旗を上げる。また無茶をしてダメージの引き受けをしたとファスにバレれば、地獄の修行に移行してしまう。とか言いながらメレアさんの身体に残るダメージを引き受けると、微かに呼吸が乱れて瞼が動いた。すぐにミーナさんが駆け寄る。


「メレアっ。起きて、私です。ミナです、貴女を助けに来ましたの」


 メレアさんの頭を膝にのせて、髪を撫でる。ゆっくりとメレアさんの瞼が開いた。


「ミナ様……どうしてここに……」


「あぁ、メレア。私の大事なお友達……会いたかった」


 ポタポタと水滴が落ちる。下から涙が掬い上げられ、頬に手が置かれた。


「また泣いておられるのですか……ほら、涙を拭いて」


「あ、貴方も泣いていますわ。メレア、メレア……」


 起き上がった二人のエルフは深き抱き合い再会を喜ぶ……。


「マスター、なんで泣いてるの?」


「……こういうの弱いんだよ」


「モグ……」


 状況はまだまだ油断ならないが、せめてこの一瞬だけは二人の邪魔はしなくてもいいだろう。

 

夢のことははっきりと思い出せない真也君です。


ブックマーク&評価ありがとうございます。モチベーションがあがります。更新頑張ります。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 読み返してみてやっぱり気になる。なぜカルドウス陣営の呪いや穢れを吸収すると竜達のビジョンを見るのか。 もし呪いや穢れの大元が竜由来のものでシンヤ君がそれを吸収したことで不完全な召喚の影…
[一言] タイトルの「再開」は、「再会」の間違いではないでしょうか? タイトルが誤字報告の対象外なのでこちらで。
[気になる点] 再開→再会? 微妙なところだけれど2人というあたり誤字の予感
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