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【コミック&書籍発売中!!】奴隷に鍛えられる異世界生活【2800万pv突破!】  作者: 路地裏の茶屋
第二章:初めてのダンジョン編【秘拳と爆炎、そして芋】

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第二十六話:主人公、焦る。

 いつもなら目覚めたら、ファスが膝枕をしてくれていたがどうやら今回は僕が一番先に目覚めたようだ。体は怠いが呪いは解けている。

 隣を見ると、ファスとフクちゃんが寝息を立てていた。

フム、思えばファスの顔をまじまじと見る機会はあまりなかったな。よし見てやろう。


 ファスを仰向けにして、膝の上に乗っける。髪の毛が生えてきて海外の女性刑務所物のドラマにいそうな髪型だな、でも不思議と似合ってる。目が大きいせいか童顔だな、特徴的なエルフ耳も興味深い。泥で汚れた頬を拭うと、少し声を出して目を開けた。


「おはよう、ファス」

「ふぁ、おはようございます。いつもと逆ですね」

「たまにはいいもんさ、さっき助けてくれてありがとう」

「ご主人様なら絶対囮になるだろうと思っていたので、注意してたんです。そうしたら案の定、あの魔物に向かっていって、ご主人様は勝手ですよね」


 膝の上に乗ったままその緑の眼でこっちを見る。明るいところでマジマジと見つめるとただ緑だけではなく、薄い青も入っているような、不思議な虹彩はまるで宝石のようで引き寄せられる。


「やっぱり綺麗な眼だな」

「何言っているんですか、ごまかされませんよ」


 膝の上から手を伸ばし僕の頬をファスが撫でる。そしてそれを見つめる赤い目の視線が……。


(ジー)

「ふ、フクちゃん。おはよう」


 なぜか声が上ずってしまう。


(ボクモー)


 ピョンとファスの胸に乗ってこっちを見上げる。ゆっくりと撫でてると気持ちよさそうに目を細めた。

 まったく生きているって最高だな。


 しばらく休憩して、立ち上がる。周囲を見た印象は砂漠のオアシスといったところか。

 周りが泥沼の湿地であるのに、ここだけはまるで山奥の沢のように清らかだ。


「水の音がするな、とりあえず向かおうか。喉がカラカラだ」

「賛成です、体も服も洗いたいですし」


 フクちゃんはまだ体が怠いらしくファスに抱えられている。少し歩くと案の定水場があった。

 木々と岩の間から染み出る水を手ですくい飲む。生水を飲むのは危ないのかもしれないが流水だし、大丈夫だろう。伊達に毒ばかり食べてない。


「あぁ旨い。染みるな」

「ゴクゴク……はい、おいしいです。ほらフクちゃんも」

(フィー、オイシイ)


 その後は、水場を汚さないように注意して、服を脱ぎ体を洗った。というかなぜかまたファスとフクちゃんに洗われてしまった。【回復泡】で体を洗うと細かな体の傷が治るので便利だ。

 お返しとばかりにフクちゃんを洗って(ファスは離れた場所で体を洗っている)さらに泥だらけの服をこれまた【回復泡】で洗う。どうやらこの泡、衣服まで清潔にできるようだ。フクちゃん恐ろしい子。


 木の枝に服をかけたとこでファスがローブを持ってやってくる。むろん裸で。前にマジマジと見たときは鱗越しだったが、今は鱗は消えて、白磁のような肌があらわになっている。長く細い手足はまるで精巧な人形のようだ。まだ少し痩せすぎではあるがその体のラインは確実に女性のそれで、ついガン見してしまう。


「ファスさん!?」

「私もフクちゃんに泡をもらおうと思って」

「裸じゃん!!」

「えーと、ご主人様は最初にあった日の晩やその他何回も裸なんて見ていると思いますが、その……醜い体ですが……でも今は鱗は消えましたし。ひ、貧相な体ですみません」


 いや、そこじゃねぇ!! 確かに鱗がほとんど消えた後でも牢屋で体を拭くのをこっそり見ているけどさ。牢屋の中は暗かったわけだし、こんな明るいところで真正面から見るのは初めてなわけで。

 あぁそうかこの子、羞恥心というものがよくわからん方向で欠如してるんだ。そりゃずっと外を知らない闘病(闘呪)生活だもんな。


「とりあえず、フクちゃんは渡すから。体と服を洗っててくれ。なんか体を隠すもん探してくるから」

「あの、ご主人様。その、私の体は――」

「えーと、まぁ、綺麗だ、だからこのままいたらどうにかなりそうだから――」

「私は大丈夫です!!」


 ファスさんが覚醒していらっしゃる!! そりゃこのままいくとこまで行きたいが、今は疲労もあるしそれどころじゃない。なんせダンジョンのど真ん中だ。ファスもそのことはわかっているはずだが目をウルウルさせて近づいてくる。


「ファス、ここはダンジョンだ。何があるかわからない。ここから出たら、その、続きをやろう」

「そ、そうですね。すみません、私、ご主人様に綺麗って言われて嬉しくって」

(ジー、イイナー、ファス、イイナー)


 フクちゃんがなんかまたしてもこっちを見ていた。とりあえずフクちゃんをファスに渡し、体を隠せるものを探すため周囲を簡単に探索することにした。


 と言っても都合よくそんなもの見つかるとも思わないが、簡単に辺りを探索することにした、真っ裸で。

 パッと見だがこの場所は大体、体育館三つ分ほどの広さのようだ。広いと言ったら広いが狭いといったら狭いだろう。周囲が別世界のように腐り果てているにもかかわらず、ここだけは元の森の形を保てているようだ。

 

「ん、これは?」


 適当な大きさの蔓や葉を集めていると地面からどこか見おぼえのある植物が生えていたので、思い切って抜いてみる。


「おっ、やっぱり芋だ」


 見た目は小さなジャガイモだが色が赤い、よくわからないが間違いなく根菜の一種だろう。さすがに畑にあるような立派なものではないが小ぶりな芋が鈴なりについていた。

 そうだ、試しに後で鑑定してみようか。そう思いながら、いろいろと持って帰ると。


「あっ、ご主人様おかえりなさい」

(マスター、ピッカピッカ、ダヨ)


 ファスが寄ってきた、真っ裸で。だから、隠せっちゅうねん!!


「フクちゃん。悪いがこの葉っぱとかを糸で繋いで腰ミノみたいなのつくるのできるか?」

(ヤッテミル)

 

 肌さわりのいい大振りの葉っぱを置くと、フクちゃんが器用につなげて簡単な腰ミノを作ってくれた。すごいな言ってみるもんだ。どうやらフクちゃんには裁縫の才能もあるらしい。

 すぐにファスの分も作ってくれた。これでなんとかドギマギせずに落ち着けるな。


(タノシー)


 フクちゃんはなんかはまってしまったらしく、余った端切れを組み合わせて遊んでいた。


「その手に持っているのはなんですか?」


 あっ忘れてた。とってきた暫定ジャガイモを掲げる。


「向こうで生えてたんだ、僕のいた世界でにた植物があるんだけど、なんの芋かわかるか?」

「えっと、すみません。私が見た植物図鑑には載っていませんでした。それにお婆さんの家でもそんな芋はでてきませんでした」

「えっ、そうなのか? てっきり知ってるものだと思ったが。まぁダンジョンだしな、珍しい植物もあるか。そうだ鑑定してみよう」

「えっと、ご主人様。植物は鑑定できないと思います。あくまで人間や魔物などクラスやスキルを持つものしか対象にとれません。植物系の魔物は鑑定できると思いますが」


 そうなのか、試しにやってみたが紙になんの文字も浮かび上がらなかった。


「だとすれば、これが食べられるかどうかが問題になるな」

「それこそ、いまさらでしょう。多少の毒なら私たちには効きません、でも生で食べてもおいしくないですね、せめて茹でるか焼くかできればよいのでしょうが」


 残念そうに眉をひそめる。前々から思っていたけど、ファスは結構食いしん坊だよな。フクちゃんもよく食べるし。

 ん? 焼くと言えば。


「……そういやすっかり忘れてたけど、ファス。さっき火を噴いてたよな?」

「……そういえば、そうでした。すっかりわすれていました」


というわけでまずは、ファスの状態を鑑定してみる。


―――――――――――――――――――――――

名前:ファス

性別:女性 年齢:16  


状態

【専属奴隷】▼

 【経験値共有】【命令順守】【位置捕捉】


――――――――――――――――――――――――


 一瞬の沈黙。何度も紙を見つめる、そこに呪いの文字がないことを確認し。叫ぶ。


「よっしゃああああああああ」

「う、ぐぅ、ごじゅじんさまあああああああうわああああああああん」

(オメデトー)


 三者三様のリアクションで呪いが解けたことを喜ぶ。あー良かった。

 ファスは鑑定紙を見た瞬間から僕に抱き着いて泣き叫んでいる。どうせ誰もいないんだ泣け泣け。

 しばらく騒いで落ち着いたので引き続いて、クラスの鑑定をしてみる。


「えっと、ご主人様のような転移者と違って私たちは神殿に行ってクラスをもらう必要があります。なので私のクラスはないはずです」

「じゃあ、あの火球はなんだろうな。まぁ見てみればわかるさ」



――――――――――――――――――――――――

名前:ファス

性別:女性 年齢:16


クラス▼

【???】

スキル▼

【竜魔法(黒竜)】▼

 【息吹LV.1】

【精霊眼】▼

 【精霊眼LV.1】


――――――――――――――――――――――――


 見ると二つのスキルが並んでいた。【竜魔法(黒竜)】【精霊眼】とかいうものだ。クラスは解放されてないのにスキルがあるのか。そのことをファスに聞くと。


「スキルというものは、クラスに依存するものがほとんどですが、稀に特殊な条件で習得できるものがあると本で読みました」

「条件ってなんだ?」

「本で読んだ限りでは、スクロールと呼ばれるダンジョンのトレジャーを読むことが一つ、他には特殊な修行を積んだり、特定の魔物の血肉を食べることですね。あとは生まれつきでスキルを持つ場合があるそうです」

「じゃあファスの場合はどうなるんだろうな? 竜魔法は呪いを解いたからとかかな」

「私もそう思います。長年私の体を蝕んでいた呪いがスキルとして残ったのではないかと、精霊眼についてはわかりません。

 ただ呪いが解けていくにつれて、魔力の流れであったり遠くのものがはっきり見えるようになったのはおそらくこのスキルのせいだと思います。

 とにかくやっと私もこれでお役に立てます」


 フンスと気合を入れるファスの頭を撫でながら一つ思うことがある。

 

 


 スキルめちゃくちゃ強そう!! そしてかっこいい!!

 ま、不味い。ただでさえ最近フクちゃんの有能度がガンガン上昇しているのに、ファスまでこんなパッと見主人公のようなスキルを持っているなんて。

 勇者とボス猿に二連敗(というかこの世界に来て勝利をした記憶が無い)している身としてはこれ以上無様な姿を見せるわけにはいかない。

 

 ……鍛えなくては、全力で鍛えなくては。スキルやクラスが弱いなんて言ってられない。と頬を引きつらせながら心の中で決意するのであった。


というわけでファスさんのスキルでした。主人公には頑張ってほしいものです。


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― 新着の感想 ―
息子付いてるのかと問いたい主人公だらけの中で 続きをやる男らしい主人公は高感度up
[良い点] ファスおめでとう。そして影の薄くなる主人公(笑)主人公の活躍に講義期待しているぜ! [気になる点] 全く無し [一言] ここまで読ませて頂きましたが、自分の中で面白さが天元突破しています…
[気になる点] 主人公気絶しすぎ。他者の小説でも気絶系主人公は多いですが、この小説は突出して多いですね。そこまで毎回気絶させるのは何故なのでしょうか?
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