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【コミック&書籍発売中!!】奴隷に鍛えられる異世界生活【2800万pv突破!】  作者: 路地裏の茶屋
第九章:ニグナウーズ国編【ツルハシと攻城戦】

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第二百五十六話:侵入開始!

 横穴堀り、12日目。


 息を吸って吐く、振りかぶり振り下ろす。

 ツルハシの先端が数センチめり込む。そして、柄の部分にヒビが入り折れる。


「すみません。ありがとうございました」


 折れたツルハシに祈りを謝罪と感謝を捧げる。結晶壁を掘れるようになったとはいえ、ツルハシの耐久力には限界がある。

 また一つモーグ族の身体そのものを折ってしまった。

 だけど、止まれない。折れたツルハシを後ろで控えているミーナさんに渡して、新しいツルハシを受け取る。

 横を見ると、モグ太が持つ父親だったツルハシにもヒビが入っている。限界が近いのだ、それでもモグ太はツルハシを振る手を緩めることは無いだろう。折れたツルハシ達に報いるにはこの壁を掘りぬくしかないのだ。


「砦を奪還した暁には、このツルハシ達は全部国宝にしますの。お城に飾って、吟遊詩人達に詩を作らせて後世にまで語り継がせます。約束ですわ。グスッ……」


「モグ?」


 ミーナさんが泣きながら壮大な事を言っている。モグ太的にもピンときてないし、止めた方がいいと思う。


「気配が強くなってる。もう少しだよマスター」


「わかった。ツルハシのモーグ族。力を借ります」


「モグッ!」


 再び握るツルハシに黙祷をして、壁に向かい合う。

 ツルハシを振るフォームも大分変った。前はモグ太の様に大上段に振り上げていたが、今は合気道の横面打ちを少し大きくしたようなフォームになっている。体を捻る分負担が大きいがその分踏み込みの力を十全に対象にぶつけることができる。

 数センチより数ミリ先、少しでも深く刺さるように、少しでも前へ。

 

「応っ!」


「モググッ!」


 テンポ良く、ツルハシを振っていく。


「あ、明らかにペースが上がっていますの。それに、真也のこの魔力……あらゆる魔術やスキルを弾くはずの結晶壁に染み込むような……」


「マスターの【浸蝕】……。そうか、ヒビが入ればいけるのかー」


 フクちゃんがポンと手を打つ。


「そんなスキル聞いたことがありませんわ。あの魔力……意思を持っているようですの」


「どっちかというと……呪い?」


「ふぇ、こ、怖いのは苦手ですわ。な、泣いてしまいますわよ」


 後ろで色々と言われているけど気にしている余裕は無い。

 確かに【呪拳:浸蝕】の効果が出ているようだ。ただ、なんと言えばいいのだろう。

 これは、僕のスキルという感じよりもツルハシ達の思いが溢れるような。心の奥から何かが手を伝い、ツルハシの先から意思を持っているような。


 バキンッ。ひと際大きくツルハシが入る。見れば、モグ太もより深く掘れているようだ。

 モグ太と顔を見合わせ深く頷く。これなら、もっと早く掘れる。


「ミーナさん、フクちゃん。破片を運んでくれ、これなら今日中に行けるぞ」


「モグメッ。モッグモグ!!」


「わかりましたわっ」


「まかせろーばりばりー」


 刃筋を立てる感覚を胸に、ツルハシをさらに振るう。

 破片が舞い、天井の結晶も崩れていく。そしてついに、モグ太の一振りが壁を突き抜ける。

 

「ぬわぁ!」


「モギュッ!」


 不意に空いた穴に倒れこむ。目の前には、淡い紫の光に照らされながらも結晶化していない床に天井。物資を貯めている倉庫なのか、リザードマンはいない。


 ここは敵地、わかってはいるがどうしても今だけは涙が溢れる。


「ふ、フクちゃん。警戒を……うぐっ。ゴメン、泣いている場合じゃないのに」


「モグ……」


 モグ太は信じられないと、薄暗いその場所を見つめている。


「だいじょぶ、マスター。周囲にリザードマンはいない。糸と結晶の破片で穴を隠す」


「うぅ、ふっぐ、ふぇ……」


 ミーナさんはすでに号泣だった。フクちゃんが周囲の安全を保障した瞬間、モグ太に抱き着く。


「やったぞモグ太。君がやったんだっ! 君の勇気が成し遂げた。貫いた、凄いぞモグ太。きっとお父さんも誇りに思っている。僕等はやったんだ。これで他のモーグ族もお姫様も助けられる。必ず助ける。約束だっ!」


「ほんとに結晶壁に穴を開けましたわ。凄いですわ。二人とも本当に……」


「……モギュ、モグモッグ」


 モグ太はツルハシを抱きしめて、静かに肩を震わせていた。そのツルハシの柄には血がにじんでいる。

 手先の毛が擦り切れるほど握ったツルハシはひび割れて、今にも折れてしまいそうで、でも最後までモグ太を支え続けた。モグ太と仲間を逃がすために穴を掘った父親と、仲間を助けるために穴を掘ったモグ太。この二匹のモーグ族がいなければ、誰もここまで来れていない。


「一旦戻ろう。冒険者達に横穴ができたことを知らせて、ファス達にも伝えて作戦を立てないと」


「グスッ、そうですわ。これで光明が見えましたの。メレア……やっと貴女を助けれますわ」


「糸でかくすねー」


 横穴に戻ると、フクちゃんが糸と破片をつなぎ合わせて偽装した壁を作り出す。

 パッと見るだけでは、穴があることを見破ることはできないだろう。


 穴掘りを始めて12日目。こうして僕等は鉱山砦に侵入することができたのだった。

三日もいらない、それが真也君クオリティ。次は別キャラの視点になります。


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― 新着の感想 ―
うおおおおおおおおおおお!!
やったなモグ太(´;ω;`)
[良い点] 。゜(゜´ω`゜)゜。ぁ モーグ族の皆が力貸してる感じがしますね。 ツルハシで城を落とした男の話が、遂に実現しましたね。
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