表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミック二巻4月15日発売!】奴隷に鍛えられる異世界生活【2800万pv突破!】  作者: 路地裏の茶屋
第九章:ニグナウーズ国編【ツルハシと攻城戦】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

266/541

閑話17:メイドと侍ガール

 石造りの建物に、巨大な蔦がまきついた外観の巨大な建物。

 その内部では、猿をモチーフとした体調4mほどの動く石像と、年端も行かぬ女子達が苛烈な戦闘を行っていた。


「ホォオオオオオ!! ホォオオ!」


 狂ったように叫ぶ石猿は、その重量と相反する素早さを持ち、建物内を縦横無尽に駆けまわる強敵であった。しかし、暗闇から投げられた苦無が影に刺さると一瞬動きが止まる。

 その瞬間を見計らって攻撃用のスキルが数発炸裂し石猿が炎に包まれる、膝をついた猿を何かが通り過ぎる。

 石猿が目で追えたのは、一房の髪束のみ。


「【四連剛斬】」


 ギィンといささか暴力的な音が響く、深く腰を落とした少女はすでに納刀を完了していた。

 石猿の首と、その胴体がスルリと落ちる。その断面は鏡のように滑らかだった。


「……非力ね。ダンジョントレジャーの発現を確認したら、直ちに回収してっ」


 眉間に皺をよせ、涼やかな美貌のままに指示を出すのは、小清水 千早であった。

 白星教会の後ろ盾を持ちながら、ダンジョン攻略の為に独自に動く、転移者の女子のみで構成された【ブラン・ロゼ】における事実上のリーダーである。


「「はいっ」」


 返事をするのは、薔薇をイメージした白い金属の鎧を着た女子数人、いずれも転移者であり、戦闘系の【ジョブ】を持つ女生徒である。


 千早は続けざまに指示を出し、ブラン・ロゼによるダンジョン探索は成功に終わった。

 

 現在、ブラン・ロゼは元は世界へ帰るためのダンジョントレジャーの回収を最優先に、地脈の暴走によって発生したダンジョンの攻略を行っていた。

 第一王女の援助をもらったことで、白星教会からある程度距離をおいて動いている彼女達は、拠点を転々としながら国中を移動している。この日は近くの村の教会を寝床としていた。


 教会内は白星教を信仰し、ダンジョンの影響で活性化する魔物達に困っていた近隣の村人たちが立て直すレベルで綺麗にしており、一同は衛生的な環境に感謝して拠点を使っていた。

 ダンジョン探索を終えて戻ってきた千早と日野は、すぐに奥の個室に向かう。

 その様子を見て、幾人かのメンバーは熱っぽいため息をつく。


「はぁ、今日の千早お姉様もめっちゃ、麗しかった。もう、最高だった!」


「お姉様って、同じ年でしょうに。でも、気持ちはわかるわ。千早さんって本当にカッコイイていうか……同年代って感じがしないわよね。スタイルもいいし」


「いいなぁ、戦闘組は……裏方はずっと装備に【付与】したり道具を【創作】しているだけだからなぁ。あたしも千早さんの近くにいたい」


「生産組は紬王子と一緒じゃない。そっちだって羨ましいわよ!」


「どっちも捨てがたいわよねぇ」


「私はルミちゃん一筋だから、情報を持って行った時のはにかんだ笑顔っ! 膝に置いてなでなでしたいわ……ジュルリ」


「涎出てるわよ」


「諜報組は歪んでるわね……」


「それにしてもあの三人って前から、魅力的だったけど、最近になってますます磨きがかかっているって言うか……。特に千早さんと紬さんは綺麗になってない?」


「わかる。やっぱり恋とか? だって、集合場所は『恋の街:アマウント』だったわけだし! 桜木さんが別のパーティーで活動しているもんね」


「ありえないわよ。千早さんと紬さんが好きになるような男子なんて絶対にいない。いたら私が刺すわ」


「そうね、あの男性嫌いの千早さんに限ってそんなことあるわけないか」


「ほら、皆。作業に戻るわよ」


 ブラン・ロゼのメンバーが姦しい話をしている頃。教会の奥の部屋では千早、留美子、紬が集まっていた。


「戻ったわ」


「た、ただいまです」


「おかえり千早、留美子。今回の探索は一段と早く終わったようだね。【四連剛斬】、【重】系の威力に、【連】系の速度を乗せた新技の成果は順調なようだ」


「まだまだよ。真也なら受けられるわ……それで、その……」


 刀をベルトから外して壁に立てかけ、言いづらそうに千早が言葉を濁す。


「フフ……真也達からの連絡がそんなに気になるのかい? せめて、沐浴でもしておいでよ」


「うっ……アナタが作った【洗浄】の紋章で綺麗にしたわよ。髪の手入れは後でしておくわ」


「千早ちゃんは、真也君と剣術のお話をしてから、そのことがどうなったかが気になってしょうがないんだって」


「留美子っ、それは言わない約束でしょ。それで、返信はどうなったの?」


 紬はワイシャツにズボンといった服装のまま立ち上がる。その手には、日本語で情報が整理されていた。


「真也達の舞台が始まっているようだよ。叶から報告が来ている。やはりエルフの国で何かが起きているようだ。ただし、その前に、他の情報にも目を通してくれ。諜報組の成果だからね。最初に叶の連絡を見たら他のことは考えられないだろう」


 千早が受け取ったメモには、貴族側の転移者の動きが纏められている。

 それをパラパラとめくりながら千早はため息をついた。


「エルフの国ね……私達を奴隷にしようとしているって噂の磨金に、噂の転移者狩りのこともあるし……応援に行くのは難しいわね」


「磨金に関しては、大洞穴付近で目撃情報がある。宙野のことも含めて警戒が必要かもしれないね。転移者狩りに関しては情報が揃ってないかな。諜報組や教会のパイプを使っても正体が掴めないね。ブラン・ロゼはまだ土台が固まっていない状態だ。まずは足場を固めていこう」


「わかったわ。それで……叶からってことは、真也からは連絡が無いの?」


「実は……もっとも強い懸念がそれだ。正直、私も最初はひどく困惑したものだ」


「真也達に何かあったの?」


 深刻そうな紬の表情に千早が唇を噛み、留美子が千早の袖を握った。


「心して読んでくれ。我々の今後にも強く影響するだろう」


 紬が連絡用の羊皮紙をそのまま千早に渡す。

 それを受け取った千早と、後ろから留美子が読み始める。

 そして、しだいに千早が震え始めた。


「……パーティーから別行動して、その日のうちにエルフのメイドと一緒に行動している。ですって!? あの女の敵っ! 今からニグナウーズ国へ行くわよっ、切るわっ。絶対に切るっ!」


「お、落ちついて千早ちゃん。一分前の会話を思い出して! きっと、何か事情があるんだよ!」


「放しなさい留美子、ダンジョントレジャーをありったけ使えば、一太刀入れるチャンスはあるわ」


「絶対だめ~」


 立てかけていた刀を掴み、飛び出そうとする千早を留美子が制止する。

 その横で紬が真剣な表情で、メイド服を姿見の前で自分に合わせていた。


「メイド……私が着ても似合うだろうか? この男っぽい私が……、いやしかし、これを着て『紬ちゃん』と呼ばれるのもありか? ううむ、悩ましいな。くっ、どうすればいいんだ! おい、二人共。このメイド服私に似合っているか!?」


 近隣の貴族はおろか、一国からその存在を注目されるブラン・ロゼ、その中心メンバーである美貌の三人は、メイド服を中心に一人の男について語るのだった。


 ちなみに、その日深夜。


 蝋燭の灯り照らされる姿見の前、


「ご、ご主人様っ!……これでいいのかしら?」


「千早ちゃん……」


「ち、違うの留美子っ!」


 メイド服を着てポーズをとる侍ガールの姿があったそうな。

仮メンバー達でした。彼女達もしっかりと、真也君のことで影響を受けていきます。


ブックマーク&評価ありがとうございます。モチベーションがあがるので、応援のほどよろしくお願いします。

感想&ご指摘いつも助かっています。更新頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >眉間に皺をよせ、怜悧な美貌のままに指示を出すのは、小清水 千早であった。  「怜悧」とは、頭が良く利口なこと、を意味する言葉で、四字熟語に置き換えれば頭脳明晰という意味。  字面だ…
2023/07/09 21:46 退会済み
管理
[良い点] 祝!仮奴隷メンバー回 奴隷メンバー全員に、シンヤがメイド好きという謂われなき?風評被害が広がっているw [気になる点] 紬さんはヤンデレ姫メイドのやらかしに協力しているから銀髪エルフメ…
2022/08/01 21:53 エステーアール30
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ