第二百話:【聖女】桜木 叶のステータス
「私はこまめに、自分のスキルチェックしていたから、奴隷としての状態の方が気になるかも」
「……絶対に【転移者】には見られないようにしてね」
【宴会芸人】に追加で、どんなあだ名がつけられることやら。
「真也君は、他の人には見せない主義と……メモメモ」
「しなくていいからっ!」
とか馬鹿やっているうちに、頭に当てた鑑定紙に文字が浮かび上がる。
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名前:桜木 叶 (さくらぎ かなえ)
性別:女性 年齢:17
クラス▼
【神官LV.65】
【聖女LV.59】
スキル▼
【神官】▼
【光玉LV.50】【聖句LV.30】【防護LV.30】
【星魔法(回復・付与)】▼
【星癒光LV.60】【星涙癒光LV.55】【星涙大癒光LV.33】
【星涙纏光LV.39】【星解呪LV.31】【導眠星灯LV.20】
【星女神の竜舞LV.8】【星守竜歌LV.10】【星光竜鱗LV.3】
【星魔法(浄化・結界)】▼
【星光壁LV.40】【破邪の星壁LV.38】【星方位結界LV.30】
【星光清祓LV.33】【星涙光の浄化域LV.22】【星光の祝福LV.15】
【星魔法(戦闘)】▼
【星矢LV.41】【星兎LV.50】【星涙光鎖LV.20】
【流星雫LV.38】【星竜光輪LV.1】
【聖女】▼
【星魔法強化LV.18】【クラス経験値増加LV.40】【回復強化LV.50】
【女神の祝福LV.65】【星女神の祈りLV.27】【回復強化LV.50】
【自己快癒LV.56】【花竜の加護LV.不明】
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「……スキルが多い」
「感想が雑っ!? 結構見るところあると思うよっ」
なにこれ、僕の倍位あるんじゃないか?
これが本来の【転移者】なのか……そりゃあ【愚道者】が軽視されるわけだわ。
「意外とレベルが低いのですね」
「だべ。もっと高いのかと思っていたべ」
「そういやそうだな。他の【転移者】はもっとレベル高いのかと思ってた」
「このくらいじゃないかな。パワーレベリングでは40レベル台まではスムーズに上がるけど、そこから先は自分で戦わないと結構苦しいし。私は【聖女】だから、教会が危ない目には合わせられないからって、戦いの場所からは距離を離されていたの。安全な場所で回復をするだけだから、レベルアップが他の【転移者】よりは大分遅いと思う。千早ちゃんとかは、独自に鍛錬していたみたいだけどね。私から見ても真也君達は強敵と戦っているし、バリバリにダンジョンを攻略している【転移者】と同等のレベルだと思うよ」
まぁ、普通に考えて教会の象徴的な存在を前線に出さないよなぁ。
範囲回復あるなら、所定の場所で一斉に回復した方が良いだろうし、【聖女】を囲いたい教会としては、なまじレベルを上げられるのは困ると考えていたのかもしれない。
それにしても、パワーレベリングで後れを取っていたレベルアップで他の【転移者】に追いついていたのは嬉しいな。
「なるほど。えと、僕等バリバリ危ない感じだけど大丈夫?」
「望むところだよ。むしろやっと冒険できるから楽しみ。いっつもバルさんが見張っていたから窮屈でしょうがなかったよ」
楽しそうに杖を取り出す叶さん。むしろこれまでは我慢していたんだろうな。
それを抑えていたバルさんの苦労が伺える。これから僕が彼女を抑える役目に……多分無理です。
「他には【星女神の竜舞】のように、竜の名が入ったスキルがありますね。これはご主人様と奴隷契約をした成果かもしれません」
「この街で、騎士達と戦っていた時もバフの効果が上がっていたと思う」
「スキルのレベルが低くなっているし、変化して上位のスキルに変わったってことで間違いないと思うよ。後は知らない戦闘系のスキルがあるかも【星竜光輪】? ちょっと中庭で撃ってみるね」
そう言って外へ出ようとする叶さんのローブを引っ張って止める。
「いやいや、流石に魔術は不味いよ。この街を出てから周囲に人がいない所でやろう」
広範囲な攻撃とかだったらどうするんだ。【勇者】のスキルを見たことがあるが、あのレベルの攻撃なら家が消し飛ぶぞ。
「【聖女】は攻撃が苦手なジョブらしいから大丈夫だよ……ダメ?」
可愛く言って、唇を尖らせる叶さん。いやいや、嫌な予感しかいないぞ。
「ダメ、今度安全な場所でしよう」
「それがいいですよカナエ」
「むー、じゃあ次は状態を鑑定してもらおうかな?」
「え? なんで?」
「だって、私も真也君の【奴隷】なんでしょ? 見ておきたいじゃない」
と言ってくるので、鑑定紙をもう一度頭に乗っける。
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名前:桜木 叶
性別:女性 年齢:17
状態
【専属奴隷】▼
【経験値共有】【命令順守】【位置捕捉】
【竜王と女神の約定】
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「クッ……上級奴隷じゃない」
「いや、そこ悔しがっちゃダメでしょ」
一応、君は学校では清楚系で通ってたんだから。
「ふふん、オラは上級だべ」
「ボクもじょうきゅうー」
フクちゃんとトアがハイタッチをする。いや、そこで競われても僕は気まずいんだけど……。
「グヌヌ、人生でこんな悔しいことがあるなんて……」
「私も、私も早く鑑定をしてください。一番奴隷なのでっ」
ピョンピョンとファスが跳ねながら手を上げる。
「そこで、マウント取り合うのやめなよ……」
「まぁ、冗談だべ。カナエはまだ旦那様と契約してから時間が短いってだけだかんな」
「いやいや、真也君これは結構大事なことだよ。特に私なんて、無理やり契約とか迫られることもあるから……ってあれ? 【竜王と女神の約定】、なにこれ?」
叶さんが指さす鑑定紙の最後、そこには確かに見慣れない文字が書かれていた。
「本当だ。何か意味深だね。竜王……って多分三大竜王のことだよな」
ファスも鑑定をねだるのを止めて、鑑定紙を眺める。
「女神と竜王には何か関係があるのでしょうか?」
「旦那様とカナエが奴隷契約を結ぶことが何かの条件になっている。とかあるだかな?」
「女神と竜の関係か、うーん、ここでまた謎が増えたけど……。一つわかったことがあるよ」
そう言うと、叶さんが僕の腕を抱いてファス達に向き直った。
「ん、叶さん!?」
「私と真也君が特別ってことだよねっ。ふふーん」
「「「……」」」
すっ、部屋に冷気が満ちる。
アカンやつですこれ。
「カチーンなの」
「群れの序列をわからせるべ」
いや、トアは絶対楽しんでいるだろ? 叶さんも悪ふざけだし。
ここは、話を進めて……。クイっと服が引っ張られる。
横を見ると、フードからわずかに見える瞳を濡らして……というか半泣きでファスが袖を引っ張っていた。
「グス……私、一番奴隷なのに……グス……」
「わぁああああファス。何も泣かなくても」
「ち、違うのファスさん。これは悪ふざけで――」
「泣くこたねぇべ。ファス、ほら旦那様に鑑定してもらうだ。な、群れの序列はファスが一番だべ」
「いいこ、いいこ」
泣く子には勝てぬ、と全員でファスを宥め、鑑定をするのだった。
というわけで本編二百話でございます!!ありがとうございます。そしてもう一つ、当作品のPVが三百万を突破しましたあああああああ。パチパチパチ。
ありがとうございます(土下座)。これもひとえに、ランキングにもあがらないこの作品を掘り起こしてくださった。皆様のおかげです。本当に嬉しい、嬉しい……。
これからも真也君達の旅を見守っていただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。
そして、もしよろしければブックマーク&評価をしていただけると作者が喜びます。
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