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【コミック&書籍発売中!!】奴隷に鍛えられる異世界生活【2800万pv突破!】  作者: 路地裏の茶屋
第七章:恋人の街編【向き合う心と穏やかな誓い】

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第百八十一話:やるべきこと

「これ可愛い、どう思う真也?」


 帰り道。教会の女子グループへのお土産を両手に持った千早に問いかけられる。アイテムボックスギリギリまで買ってたからなぁ。

 あの告白の後、吹っ切れたと言わんばかりにデートを再開し、教会の女子グループへの土産を見て回っていた為、あたりはすっかりと暗くなっていた。


「僕の感覚が当てになら無いことは、今日の買い物でわかったよ」


「うふふ。真也君のセンスって、わかりやすいよね。男の子って感じ」


「それにしても……留美子も真也には普通に話せるのね。元の世界でも男子のことは苦手だったのに」


 手に持った謎のぬいぐるみをしまいつつ千早が首を傾げる。そういえば留美子さんが他の男子と喋っている場面を見たこと無いな。


「男子嫌いの千早ちゃんに言われると複雑なんだけど……そうだね。最初は怖かったけど、慣れちゃったかも。千早ちゃんがお世話になるなら、私も真也君ハーレム考えないとだしね」


「「えっ」」


 綺麗にハモる。今何て言った。


「もし元の世界に帰れない場合、身の振り方としてはありだと思うけど」


「る、留美子まさか、あんたも真也のことが……」


 わたわたとポニーテールが揺れる。僕はマジで胃薬が欲しくなってきたぞ。


「えへへ……な、なんちゃって」


 その一言で、空気が弛緩する。


「そうよね。ダメよ留美子、あなたはもっと誠実な良い人を見つけるのよ」


「千早、遠回しに僕のこと不誠実って言ってない?」


「胸に手を当てるのね、女の敵」


 安堵した顔で千早が前に進んだ瞬間、【忍者】のジョブを持つ留美子さんが、音もなく近づき耳元で囁く。


「その時はよろしくね」


「ッ!?」


向き直るもそこに彼女はおらず、いつもの一歩下がった位置から千早を追いかけていた。

 クノイチ恐るべし。


 宿に帰ると、スパイスの香り。今日の晩飯は何だろう?

 千早が扉を開けると、真っ先に叶さんが迎えくれた。


「お帰りなさい、どうだった?」


 問いかけの方向は千早だけど、僕にも圧力が……。


「告白したわ。まだ、叶のように割りきれたわけじゃないけど。やるべきことは見えたわ」


「……まさか、先を越されるとはね。しかし、千早がそうなるなら話は早い」

 

 読んでいた本を閉じ、胸元を大胆に開けたシャツと、ロングスカートを着た部屋着の紬さんが立ち上がる。


「そうね。私達、多分同じことを考えてる」


「フム……それならば、名残惜しいが明日にでも私達は教会の女子と合流し発生しているダンジョンの攻略を目指そう」


 なんか、通じあっているけどどういうことだろう?


「皆、メシの準備ができたべ。今日はデザートにハチミツのケーキもあるだ」


「千早ちゃん、それで今日はどんなデートだったの?」


「私も興味あります。コシミズ、聞かせてください」


「オラも聞きたいべ」


「別に、真也と普通にデートしただけよ。あとファスさん、私のことは千早と呼んで欲しいわ。今後も色々ありそうだし……」


「あー、『真也』って呼んでる」


「やれやれ。あの千早がね……焦ってしまうな」


 というわけで、ハチミツスイーツを囲んで女子会が始まってしまった。

 こうなると男子の肩身の狭さは尋常ではない。

 ホットケーキを子蜘蛛姿でハムハムしているフクちゃんをあやしながら、そそくさとその場を離れる。

 女子達の話は夜遅くまで続き、僕はさっさとベッドで横になるのであった。


 翌朝、いつもの装備に戻った千早達が身支度を整え、教会の女子達と合流する準備を始めていた。

 出掛けの際、紬がかなりの数の【紋章】入りの羊皮紙を渡してくれた。

 旅の手助けになるものから、緊急時の避難に使えるもの、そしてメールのように連絡可能なものまであった。


「毎日、とは言わないが。週に一回は連絡をしてくれ。専用のペンを使えば何度でも使えるから。一応他の人間がさわっても文字が消えるようにもした。それと……これにサインを……千早、真也にペンを」


「えぇ、はい真也」


 千早が差し出したペン先がぶれて指先に刺さる、

 一滴ほど血が羊皮紙に落ちた。


「おっと、イテテ」


「あら、ごめんなさい」


「【星涙光】はい、回復だよ」


 すかさず、叶さんがヒール飛ばしてくれる。

 やけに準備いいな。

 

「ありがとう叶さん。紬、なんの紙かわかんないけど汚しちゃった」


「あぁ別に問題ないよ。……それが狙いだ」


「へっ?」


 間抜けな声を上げる僕を余所に、紬、千早、留美子さんが指先に針を刺して羊皮紙に垂らす。

 描かれた紋章が蠢き、微かに光だす。

 あれ、これ見たことが――。


「フム。隷属をする方とはいえ、片方の意志のみではこの程度か」


「……叶みたいな紋も出てこないわね」


「だ、大丈夫かな?」


 なにも大丈夫じゃない。今のってまさか……。


「今の奴隷契約か? なに考えてるんだ?」


「奴隷契約(仮)だな。バル神官が宙野のことを話していただろう。洗脳に契約を強制できる【スキル】の転移者が同行していると。狙いは叶だが私達もか弱い女の身だ。身を守る準備はしないとな、一旦契約すれば契約主である真也の意志がない限りは、契約の上書きはされない。これはファスさんにも許可をもらっている」


 横を見るとファスが目線を逸した。

 僕の意志は無いんですかね!


「千早はいいのか? 元々貴族に奴隷にされそうになって逃げ出したんじゃ?」


「だからこそよ。貴族や他の男子の奴隷になるのだけは……それだけはゴメンだわ。これは、形式的なものだし、真也なら私達にひどいことはしないでしょ?」


「そりゃそうだけど」


 だからって……。なんとも言えず黙る僕を余所に三人は、リュックを背負った。


「次に会う時は、正規の契約をしてもらおうか。ではな真也、手紙ちゃんと書くように」


「叶も連絡しなさいよ……じゃあね女の敵」


「わわ、じゃあね。一緒に旅できて良かった。またね」


 叶さんが三人とハグして、ファス達も言葉を交わす。


「わかったよ。じゃあ、元気でまた会おう」


 三人に手を振って、一緒に旅をした三人と一旦の別れをした。



※※※※※



 バル神官との合流地点を目指す道中、紬が千早に話しかける。


「これから忙しくなるな」


「そうね。教会の女子達や他の子達が帰るためのダンジョントレジャーを探さないと」


「あぁ、そして私達はそれに追加して、こっちの世界に来るためのアイテムを探す必要がある」


「それなら、帰ってもまた真也くんと一緒にいれるもんね千早ちゃん。私も情報収集がんばるよ」


「期待してるわ留美子。待ってなさい真也、私は諦めないから」


 この三人の決断が、また一つ運命にうねりを生むことになるのだが、その原因となった男子はまだそのことを知らず。ファスとのデートに頭を悩ませているのだった。

というわけで、小清水達と一旦別行動です。

この章のラスト、ファスさんと真也くんのデート始まります。


ブックマーク&評価ありがとうございます。本当に励みになります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 紬さんのスキルは危険な香りがぷんぷんします。一度に1対3の主従契約(仮)すら出来る彼女ですからもしその気になれば真也くんを3人の奴隷にする事だって出来たかもしれません。 作品の世界観が崩壊す…
[一言] 衛生観念とかかなり違うので、どうしても惹かれてしまうような相手以外は価値観的に同郷の者が無難ですが、魔剣士君とか一部を除いて特権意識に染まってしまったような外れ籤ばかり。 そんな中でハーレ…
[一言] ふむ、行ったり来たり出来るアイテムですか。 どこでもドア(異世界版)
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