表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミック&書籍発売中!!】奴隷に鍛えられる異世界生活【2800万pv突破!】  作者: 路地裏の茶屋
第六章:砂漠の歓楽街編【竜の影と砂漠の首魁】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

153/526

第百四十三話:異世界ハーレムに竜の祝福を

「契約成立? ってうわあああああ」


 空中で彼女を抱きとめ、庇う為に僕が下になって落下する。

 唇の感触に心を奪われそうになるが、衝撃に備え、叶さんを抱きかかえ僕が下になって地面へ落下する。

 黒髪が垂れ、見上げると叶さんと目が合う。彼女は眼だけで笑い、杖を捨て両手で僕の頭を深く抱き、もう一度顔を近づけた。


「むぐぅ」


 ちょ、深い深い深い。時間にしてたっぷり五秒位ほどキスをされ、離れる。

 

「ワァオ、モーレツねぇ」


「……うわぁ」


「それでこそ、私の直属っ!!」


 ヒットさんが拍手し、小清水がポカンと口を開けている、アナさんはガッツポーズをしていた。

 パニックになった僕にポタリと水滴が落ちる。

 見上げる叶さんは泣いていた。


「……叶さん」


「私がっ、どれだけ…うぅ……大好きなの……元の世界に戻れなくてもいいの……ハーレムでもいいからっ! もう二度と私の前から消えないでっ!」


 それは彼女が抑えていた想いだった。

 僕はそれに気づかず図書館に彼女を一人置き去りにして、勝手に死のうとしていたのか。


「ごめん」


 それしか言えない。


「……許してあげない」


 涙を拭い、僕等は立ち上がった。そして叶さんはポシェットからなんか巻物(スクロール)? を取り出して広げた。


「グスッ……コホン……えっと『宣誓は不要、この者は口付けを以って主であることを示し。私、桜木 叶はそれを受け入れた。【紋章士】中森 紬が奴隷契約を完了したことを保証する』っと。これでいいはず」


 叶さんがそう言うと、スクロールから魔法陣が現れ、彼女の身体に吸い込まれる。


「いや、そんな無茶苦茶な。わっ!?」


 後ろから抱きしめられる。振り向くとジト目のファスがいた、そして顔が近付けられる。

 叶さんよりもさらに容赦のない、長いキス。

 

「ぷはぁ、ファス!?」


「私が一番奴隷です」


「わかってるよ。でも立場はイーブンだよね」


 僕の肩越しから、半目でファスが叶さんを睨む。


「マスターボクもー」


「フクちゃ……わっぷ」


 どうやって移動したのか、上から降ってきたフクちゃんが右の頬にキス……というよりチューをする。


「何してるんだべ旦那様」


 触手を斧で切り落としながら、トアもやってくる。

 そしてそのまま額へキス。


「トア……」


「続きは後で、だべな」


 トアの言葉で全員がデルモに向き直る。

 なんていうか……なんて言えばいいんだ!?

 とにかく、頑張らなくちゃな!!

 茹で上がった頭では、まともな言葉なんて出てこないが、全身が熱く、強く拳を握ってしまう。

 今はそれで充分。

 というか、深く考えると、パンクしちゃうからな(現実逃避)。


「な、何が起きている? まさか、我が主の誓約を新たな主従契約で上書きしたのか……そんな真似がただの人間にできるはずが……」


 デルモが唖然としていた、気持ちはわかるぞ、というかなんでこんなこと(ハーレム)に? 

 思わず、デルモに共感しそうになるが、その視線が僕等以外に向いていることに気付く。

 周りを見てみると、白い光が鳥の羽のように不規則に落ちて触手を退けている。

 まるで、熱いものに振れるように、触手たちは白い光の粒から逃げているようだ。

 叶さんのスキルか? そう思って見るけど叶さんも焦っているようだった。


「何だろう? 私じゃないよ」


 キョロキョロと周囲を見た、叶さんが首を振る。

 

「え? 違うのか、じゃあなんなんだ? ファス、わかるか?」


「……わかりません。ただなんでしょうこの感覚、どこか懐かしいような……」


「マスターの匂いがするー」


『しゅ……く…ふ…く……を…』


 どこかで聞いたような、老齢の女性を連想させる落ち着いた声が頭に響く。


「なんか、腕がムズムズするだ」


「ひかってるー」


 トアが右腕をこすると、普段は消えている奴隷紋が浮かび上がり白く光る。

 同時にファスの胸元からも光が漏れる、フクちゃんに至っては全身が光る。


「トア、奴隷紋が……私も光っていますね」


「えっ、私は? 紬によれば、どっかに奴隷紋がでるはず」


「太ももが光っていますよ」


「マジっ? あっホントだ」


「叶さん、スカートめくるの止めてくれっ! というか本当になんだこれ?」


 光は収束し、影を浮かび上がらせる。

 それはわずか一瞬であったが、まるで翼を広げた竜のようだった。


「馬鹿なっ!! 今の影は……あいつらは我が主により滅ぼされたはずだっ!! ぎ、儀式を完遂すれば、この街をダンジョンに変えれば……」


 デルモが叫ぶ、白い光は消え、激昂するデルモの叫びと同時にまた触手が生えてきた。

 咄嗟に【手刀】で切り落とすと、いつもと違った何かにしっかりと引っかかる芯をとらえた感触。

 切断された触手はそれまでと違い、血を吐くように黒い煙を出しながら消えていった。

 他の触手がまるでそれを恐れるように、引いて行く。

 それまで、無限とも感じるほど生えて来た触手は毒が回るように、苦しんでいる。


「なんかわかんないけど。さっきよりも手ごたえがあるな」


「先ほどの光の力が、私達に宿っているようですね。デルモの力を退けているようです」


「これなら押し返せるね。よくも好き勝手群がってくれたわね」


「マスターのちからー」


「このまま、触手ごと儀式を砕くべ」


「さ、させるかァアアアアアアアアアアアア!!」


 デルモの絶叫が響き、触手たちがデルモを中心に群がり、黒い塊になる。

 うん、気持ち悪い。というか触手がどんどん増えていくぞ。


「……カナエ、()()をやりますよ」


「【魔術合わせ】久しぶりだね。真也君行ける?」


 腕まくりをする叶さんと、集中し両手を突き出すファス。

 

「いつでも……お手柔らかに頼むぞ」


 この技ラッチモ戦以来だな。

 前傾して、突撃。塊から触手が伸びるが拳で殴り砕く。

 飛び上がり両手を振りあげると、両手に魔力が集まる。


「【氷華:ホウセンカ】」「【星涙光鎖】」


 間合いに入った僕の周囲に二人の魔力が集まる。

 【掴む】で発動前の魔力に干渉し、混ぜ合わせる。

 というか、練習していない組み合わせをぶっ放すの止めてくれない? ミスったらどうするんだよ。

 冷や汗を掻きながら、手中で魔術を組み合わせて発動させる。三人が即興で魔術を形にする。


「行くぞっ!【魔術合わせ:星花大分銅】」


 出てきたのは、光の鎖で結ばれたバカでかい氷塊。

 氷塊からはスパイクのように青い光が飛び出している。


「おっりゃああああああああああああああ!!!!」


 軌道にのって発現した氷塊を振り下ろし、黒い塊に叩きつける。

 氷塊は炸裂すると内部から光を伴い爆発した。

吉井君、無理やり契約させられる。砂漠編も佳境です。

更新がんばります。


ブックマーク&評価ありがとうございます。モチベーションが上がります。

感想&ご指摘いつも助かります。本当に嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ヨシイ君、普通の名付けはセンス欠けているのに、技の名付けは良いセンスしてますよね バトル脳かな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ