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19/21

19 中国への侵入

 翌日、中国へひとっ飛びしたかったミヤビだったが、思うようにパワーが出ない。

「教授・・・。飛べねえぜ。」

「おかしいのう。一回飛べたのに。ミヤビさん、憎悪じゃ、憎悪・・・。」

「そんな簡単に憎悪なんてわかねーよ。」

「麗と王に会えばじゃが・・・会うまでが問題じゃわい。」

「だからさ、昨日の勢いで行けばよかったんだ。いつまで寝てるんだよ、朱里!」

 朱里の息は焼酎くさい。

「もう少し寝かせてくれでおじゃる・・・。」

 伊達も、僧坊も、利右衛門も、ぐっすり寝ている。

「まったくもう・・・。」

 ミヤビは、上条の眠る病院に行く。霊安室に横たわる上条の顔。

「上条・・・。俺が、生き返らせるから・・・。待っててくれ。」


 桜島上空で米軍を攻撃するミヤビの姿は、米軍によって撮影され、アメリカはもとより、世界中に配信された。

 驚いたのは麗だった。

「あのブレスレットは・・・。ミヤビさん、やはりあなたは、ミレニアム・レディだわ。どんな状況でも、克服して、立ち上がる・・・。」

 麗は、右腕のマゼラン・ブレスレットに触れる。

「確かにここにある・・・。あのブレスレットは、いったいなに?」

「桜島の洞窟に追い込んだらしいが、形勢逆転。確かに美都ミヤビ、侮れませんね。」

 王雀鬼が大統領室に入る。

「わたしも見ましたよ。」

「王さん・・・。」

 王は、麗の肩に手を置いてささやく。

「大丈夫。あなたなら、美都ミヤビに負けません。なぜなら、強い愛を、手に入れたからです。」

 王のキスを受け入れる麗。


 鹿児島県串木野漁港。

 日本一のマグロ漁船保有数を誇る港町。

「中国へ? 冗談じゃねど。戦争中やし、油もねど。」と地元の漁師。

「冗談じゃない。戦争中だし、燃料もないそうじゃ。」

 恵比寿教授は、漁船で中国へ渡航しようと言い出した。

「坊津へ行ってみるか・・・。」

 坊津港は、中世から中国との貿易港として栄えた。日本と中国を最短で結ぶ航路だし、鑑真も、ザビエルも、まずこの地に足を下ろした。

「中国? 死んけ行くようなもんじゃっど。」と地元の漁師。

「死にに行くようなもんだ、と言うとる。」

 恵比寿教授は、渡航の理由を説明した。

「おお、あんた、ミヤビ総理じゃなかか。よか、よか。おいも歳やっじ、そろそろ死んでもよか。連れて行きもそ。」

 老齢の漁師は、そう言ってにっこり笑った。

「もう歳だから、命は惜しくない。連れて行ってくれるそうじゃ。」

 夕方、全員漁船に乗り込んだ。伊達、僧坊は、鹿屋自衛隊の協力を得て、バズーカ、機関銃を積み込んだ。

「上海でよか? 真夜中、突っ走れば明け方にはつっど。」

「これから上海に向けて突っ走る。明け方には着くそうじゃ。」

 全員船底に横になる。漁師は、村山と名乗った。

「大丈夫でおじゃるか? あのじいさん・・・。」と朱里。

「経験があるからだろうな。結構、自信ありそうだったぜ。」とミヤビ。

 伊達は、コンビニで買った弁当を広げた。

「さあみんな、食べましょ。朱里さん、焼酎のお湯割り、どうぞ。」

「すまんでおじゃる、伊達殿。」

 僧坊が甲板から降りてくる。

「甲板のライト、全部消しましたよ、あの船長。」

 恵比寿教授は、中国の地図を広げてながら言った。

「当たり前じゃ。見つかってしまうわい。坊津から上海へはまっすぐ西なんじゃ。だから、こんな芸当もできる。経験豊かな漁師がいてよかったわい。さて、ミヤビ総理。上海に着いたらどうしようかのう?」

「麗さんは北京にいると思う。中国が統一されたといっても、王は、インド、東南アジアの統治がある。南京か、香港にいる。俺は、麗さんより王を倒したい。」

「麗とは、遠い親戚になるわけじゃが、あの子は結構、イケメンに弱い・・・。」

「わたしもそうだけど、どういうこと? それ?」と伊達。

「バンコクで王と会ってから、麗はおかしくなった。もしかすると、マインド・コントロールされた可能性がある。」

「マインド・コントロール?」

「麗が女傑とはいえ、イケメンで能力の高い男には弱い。人間、完璧ではないからのう。」

「麗さんが、王雀鬼を? 教授、冗談だろ?」

「ミヤビさん、南北に分かれた中国がすぐに統一したということは、そういうことじゃよ。」

「一緒にいる可能性が高いですね。」と僧坊。

「ということは、北京、ということ?」

 伊達も地図をのぞき込んだ。

「香港かもしれん。とにかく、上海で情報を集めなきゃいかん。」と教授。

「上海に着いたとして、どうするの? わたしたち、目立ちすぎよね。」

「すぐに上海を攻撃するでおじゃる!」と朱里が叫ぶ。

 朱里から焼酎を取り上げるミヤビ。

「大丈夫。少し変装すれば。朱里、宙に浮いたりするなよ。」

 甲板から、漁師が降りてくる。

「もちっとで中国海域に入っで。みなさん、焼酎でも飲んで寝ちょってね。」

「もうすぐ中国海域に入るそうじゃ。」と教授。

「焼酎飲んで寝ててねって、言ったでおじゃる、ミヤビ姫。」

 恵比寿教授は、漁師と細かい打合せをした。

「村山さんは、自分の船で何度か上海に来たそうじゃ。仲よくなった中国人の漁師がいるから、密入国を頼んだらオッケイだったそうじゃ。当然、桁外れの報酬を提案したから、うまくいったんじゃが。」

 上海沖五百キロ辺りで中国漁船に乗り換えた。

「日本が嫌いな中国人ばかりじゃないよ。」と中国漁船の船長は言った。

 村山さんは、一睡もせず舵を取り続けたが、疲れた顔は見せなかった。

「この辺で一眠りしてから帰っじ。また用があったら連絡すれば。」と言って帰って行った。


 上海近くの漁港に到着。古びた二トントラックがミヤビたちを待っていた。

「ミヤビさん、トラックを頼んでおった。運転手にあいさつをしてくれんか。」

 恵比寿教授が言うので、ミヤビは荷物を降ろすみんなより先にトラックに歩み寄った。

「あなたは・・・。」

 ミヤビは運転手をしばらく見つめた。運転手は、恵比寿教授にそっくりだった。

「陽、教授?」とミヤビは言った。

「お元気そうで・・・。」と運転手は握手を求めた。

 握手をしながら、ミヤビは涙を流した。

「やっぱり、生きていたんですね。そうだと思ってた。陽教授が、簡単に死ぬはずがない、俺は、そう思ってた。」

「いろいろ事情がありましてね。弟に相談して、一度、死ぬことにしてみました。」

 陽教授は、ミヤビに右腕を見る。

「これが、クリストファー・ブレスレット・・・。弟の仮説は、やっぱり正しかったんじゃのう・・・。」

「兄さん・・・。」と恵比寿教授。

 よく似たふたりは、軽く抱き合った。

 荷物を手にした一同が集まってくる。

「あれ? 恵比寿教授がふたりいるでおじゃる。」

「まあ、話はあとじゃ。とにかく、荷物を積んで。」

 恵比寿教授がみんなにそう言うと、突然銃声が聞こえた。

「ほらきた!」

 僧坊が運転席に走る。

「僕が運転します!」

「やっぱり、わたしたちって目立ちすぎるのよ。」と伊達。

 幌がかかったトラックの荷台に乗り込む。伊達はバズーカを据え付けた。

「やはりバレておったか。この幌は防弾仕様になっておる。」

 銃声が飛び交う。

「今のは恵比寿教授? それとも陽教授?」と伊達。

「服で見分けるでおじゃる。」と朱里。

「わしは陽じゃ。今から発言する。上海は張が牛耳っておる。日本分割統治協定が来月締結される予定じゃが、張は、四国の首相に就任するらしい。」

「そんなこと、絶対許さねえ!」とミヤビ。

「おっと、今、クリストファー・ブレスレットが光ったでおじゃる!」

「ミヤビ総理、まずは張を倒しましょうぞ。」

 トラックがスピードを上げる。

「前方に敵、突破します!」と僧坊が叫ぶ。

 伊達と恵比寿教授は、幌の左右から機関銃を撃って援護する。

「教授、行けそうだ! 怒りが、こみ上げてきた。」とミヤビ。

「張は・・・。わし、陽が発言する。張は、ほんに極悪人じゃ。地方の下層市民を虐殺、新しい中国には邪魔だと、選民思想を流布させおった。労働力はロボットに担わせ、選ばれた市民だけで都市を形成するという、とんでもない考えをもっておる。中国を堕落させる男なんじゃ。」

 トラックが急ブレーキをかける。

「軍隊です!」と僧坊。

「朱里、行ってくるぜ!」とミヤビ。

「お供するでおじゃる!」

 ミヤビはトラックの上に飛び登る。

「日本国総理大臣、美都ミヤビだ! 今、変身するから、待ってろ!」

 中国軍の攻撃が止まる。

 ミヤビはゆっくり右腕を回した。回転が速くなるにつれて、クリストファー・ブレスレットの輝きが増す。

「俺に力をくれ! クリストファー・ブレスレット!」

 ミヤビに銃口を向ける兵を、伊達が銃で倒す。その仕返しに、僧坊が撃たれた。

「僧坊!」

 恵比寿教授が運転席から僧坊を助け出す。

「大丈夫じゃ!」と教授が叫んだ。

 クリストファー・ブレスレットが閃光を放つ。ミヤビは両手をクロスさせ、ジャンプする。オオカミ耳が飛び出し、三回転すると、剣を手にしたミヤビに変身した。

「よし! 剣に変わったぜ!」

 中国軍は、目が覚めたように攻撃を開始する。

「馬鹿よねえ、変身する前に攻撃しないでさあ。」と伊達が笑う。

 ミヤビは、一振りで中国軍を一蹴。

 一同は、張がいる司令部に向かってトラックを走らせた。


 ミヤビが上海入りしていると報告を受けた張は、すぐに王雀鬼に連絡をした。

「漁船で来たらしいな。戦闘機で派手にくると思ったから、拍子抜けしたよ。」と王は言った。

「変身しましたぜ。それほどの威力じゃないらしいが、軍隊じゃ歯が立たねえ。例のモノを使いたい。」

「いいだろう・・・。どれほどのもんか、知りたいしな。」

 張は、部下に総攻撃を命じると、エレベーターで地下に向かう。

 エレベーターの扉が開くと、巨大なロボットが見えた。

「まったく、俺がこんなものに乗る羽目になるとはな。」と張は言った。

 建物が揺れる。非常警報が鳴り始めた。

「もうきやがったか。おい、準備を急げ。俺が乗る。」

 部下が特殊スーツとヘルメットを張に手渡す。張は、ロボットを見上げた。全長二十五メートルの戦闘ロボット。インド製のロボットに、中国製の武器を搭載した。

「これを設計したやつは『ガンダム』を見たことはないのか。ダサくてしょうがないぜ!」

 文句をいいながら操縦席に座る張。建物がかなり揺れる。

「早く格納扉を開けろ! ここもヤバいぞ。」


 上空から攻撃するミヤビ。最大威力の破壊ビームを剣から放った。

「片付いたんじゃない?」

 伊達がトラックを運転しながら言う。恵比寿教授と陽教授は、僧坊の応急手術をしていた。

「マゼラン・ブレスレットがあれば、一発で治るんじゃが・・・。」と陽教授が言った。

「兄よ。麗と王は北京にいるんじゃろう?」

 うなずく陽教授。

「まさか、ミヤビさんが麗にマゼラン・ブレスレットを渡すとは思わなかった・・・。」

「天真爛漫だからのう。」

「麗は、賢い子じゃが、マゼラン・ブレスレットを手にすれば、人も変わろう・・・。」

「クリストファー・ブレスレットで、太刀打ちできるかのう?」

「マゼランは深い愛、クリストファーは憎悪に反応するのであれば、ミヤビさんと麗の心の状態が影響するじゃろう。マゼランはミレニアム・レディのミヤビさんが使ってこそ最大限のパワーを発揮する。麗では、おそらくその半分以下。クリストファーは憎悪に反応するが、ミヤビさんはそれほど憎悪という感情を持ち合わせてはいない。ほぼ、互角というところじゃろう。」

「そなたが説得すればよい。」

「弟よ、無論、やってみるが・・・。」

 トラックの助手席から伊達が叫ぶ。

「あれを見て!」

 ふたりの教授は外に出た。

「ロボットか!」

「ここまで、開発が進んどったか・・・。」

 伊達は機関銃を、恵比寿教授はバズーカを撃った。ロボットはびくともしない。

「張だぜ!」とミヤビが言った。

 剣を高く振り上げ、剣先をロボットに向けると、破壊ビームがまっすぐロボットに命中する。

「平気だぜ! 痛くもかゆくもねえ。」と張が叫んだ。

 張は、操縦席から武器ボタンを押す。

「反撃するぜ。」

 トラックを狙う張。無数の銃弾が飛んでくる。伊達は負けじとバズーカを撃つ。

「伊達っち、穴を狙うでおじゃる!」

「そう簡単に言うけどさあ!」

 ミヤビはロボットの右前方から、剣を振り下ろした。ロボットの右腕が落ちる。

「くそっ!」

 張はミヤビをつかもうと左手を動かすが、その左手もミヤビは切り落とした。

「こうなったら撃ちまくる!」

 ロボットからビームが飛び出た。伊達の腕に命中する。

「痛いじゃない!」

 伊達の代わりに利右衛門がバズーカ砲を手に取る。その利右衛門も足を撃たれる。

「もう頭にきたぜっ!」

 ミヤビの剣が熱く燃える。

「マグマエネルギーよ、この剣に集え!」

 地鳴りがすると、地面が裂け、マグマが吹き出す。ミヤビは剣を回し、剣先に結集したマグマを張に向けて投げ放つ。

「やめろっ!」と張が叫ぶ。

 小さな太陽のような火玉が、ロボットに命中し、包み込む。

「まさか・・・。爆発するんじゃない?」と伊達が言う。

「逃げるんじゃ!」とふたりの教授が叫んだ。

 後退するトラック。

「張署長、ばいばーい!」

 伊達が言い終わったところで、ロボットは爆発した。


 北京。大統領室。

「とうとう来たわね、ミヤビさん・・・。」

 テレビを見ながら、麗がつぶやいた。

「でも、あのロボット・・・。」

 扉が開き、王雀鬼が入る。

「テレビ局も、撮影が上手ですねえ。カメラを何台も置いて中継するなんて。」

「王さんの、指示でしょう?」

「全世界に放送しました。ケリーも、フィガロも、きっと驚いてますよ。そして、あなたは、あの美都ミヤビ以上の力を持っている。」

「買いかぶらないで・・・。それより、あのロボット・・・。」

「言ってませんでしたかな? わたしが、以前から作らせていたモノです。インドと中国の科学技術を駆使してね。張で試してみましたが、まだまだですね。ほら、知りませんか?日本のアニメに『ガンダム』ってあるんです。あれを真似ましてね。」

「あなたのも、ありますの?」

「もっと、かっこいいのがね。」

「やめた方がいいわ。ミヤビさんは、わたしがなんとかします。」

「もちろん・・・。遊びですよ、ロボットは。さて、連中は、明日北京に来るでしょう。それまで、ふたりの時間をゆっくり過ごしませんか。」

「夕日を眺めながら?」

「そう。あの、バンコクの夕日を思い出しながらね。」

 王は、麗をエスコートしながら部屋を出る。そして側近の部下にささやいた。

「全軍、上海に向かえ。美都ミヤビを抹殺しろ!」


 上海の市民が「ミヤビー。」と歓声を挙げる。

「敵なのに、中国の人、喜んでるでおじゃる。」と朱里。

「スーパーヒーローでも見てるようで、うれしいのよ。」と伊達。

 僧坊は上海の病院に預けた。

「僧坊、待ってろよ。マゼラン・ブレスレットを取り戻したら、すぐ治してやるぜ。」

「僕は大丈夫ですよ。それより、上条さんですよ。」と僧坊は言った。

 翌日早朝、トラックに伊達、朱里、教授ふたりが乗り込む。一路上海から北京に向かう。

「伊達っち、大丈夫か?」とミヤビが聞く。

「かすり傷よ、少し痛むけど。」

「もう大丈夫だぜ! 俺、怒りパワー全開だ。そこで休んでていいぜ!」

「ありがたいわ。わたし、北京でショッピングと洒落込もうかしら。」

 朱里が伊達にバズーカを渡す。

「来たでおじゃるよ、お客様が。」

 照明弾が上がる。前方に戦車が見える。

「ミヤビひとりでオッケイだろうけど、せっかくのお祭りだもんね。撃ちまくるわよ!」

 陽教授と恵比寿教授は奪った戦車に乗る。

「若いもんには負けてられんぞ、兄貴。」と恵比寿教授。

「弟よ、わしはもう百歳じゃぞ。まさか戦車に乗るとは思わなかった!」

 そう言って撃ちまくる。

 ミヤビは、中国軍が撃つ砲弾をことごとく剣で振り落とす。朱里と利右衛門は中国軍のミサイル車を奪った。まもなく爆撃機が到着。ミヤビを狙う。ミヤビは素早く空を飛びまわり、剣でたたっ切る。破壊ビームを何度も発射した。

「中国軍、みんないらっしゃいって感じね。総攻撃だわ、これ!」

 朝日が昇る。

 ミヤビの剣から出るビームが、少しずつ大きくなる。

「ミヤビさんのパワーが増幅されつつある。戦えば戦うほどクリストファー・ブレスレットの威力が増しておる。」

 恵比寿教授が言った。そのとき、教授の戦車に敵のミサイルが命中する。

「弟! 大丈夫か?」

 陽教授は弟を救出。その様子を見たミヤビは、さらに破壊力を増したビームを発射しまくる。まもなく、中国軍は全滅した。

「恵比寿教授は? 生きてるの?」と伊達が言う。

「生きとる!」と恵比寿教授の声。

「やっと終わったでおじゃる、ふうう!」

 朱里は利右衛門とハイタッチを交わす。

「恵比寿教授、大丈夫か・・・。」

 ミヤビも降りてきた。恵比寿教授は血まみれだった。

「お年寄りを、こんな目に遭わせて・・・。すまねえ!」とミヤビ。

「なにを言ってるんじゃ、ミヤビさん。歳など、関係ない。わしらは、同志なんじゃ。言うたでしょ。わしらはそう簡単には死にはせん。マゼラン・ブレスレットを取り戻し、上条くんを生き返らせてあげてくれ。僧坊も、わしも大丈夫じゃから。」

 ミヤビは、教授の手を取った。

「わかった! 必ず、取り戻すぜ! 教授。」

 ミヤビは立ち上がった。

「今行くぜ、麗さん・・・。王雀鬼・・・。」

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