1-3 護衛は役に立つ?
二時間も早いですけど、あげちゃいます。
また短いですが、よろしくお願いします。
イッシンを護衛に迎えナマケはまだ街道を歩いている。しかし、道中イッシンという話し相手ができたのはナマケにとってとても良かった。彼の語る世界の街の様子などはナマケの興味を大いに引いた。しかし、その途中で最近は魔獣の動きが活発になっているという話は、ナマケの心を曇らせた。
それは、日がちょうど真上に登った頃に現れた。魔獣である。イッシンがその気配にいち早く気づき街道の近くの草むらに隠れることができたので、ナマケ達は相手を観察することができた。
現れた魔獣は、ゴブリンと言われる者達で身体は緑の皮膚で覆われ顔は醜い。体長は人間の大人の半分ほどで力も弱いのだが、普通3~5匹の群れで行動するため個人で遭遇した場合、まず新人冒険者クラスでは勝つことはできないだろ。
また、こいつらは魔術や剣術などが基本使えない。しかし、中には魔術や剣技を用いてくる個体もいるため注意が必要だ。今回の群れは5匹だが、その中にはそういったものはいないようであるから全く問題ないだろう。それ以前に、勇者であるナマケがいるのだから例え剣や魔術を用いる個体がいたとしてもゴブリンごときに遅れを取ることはないのである。こいつらの処理についてナマケはイッシンに尋ねることにした。
「イッシンさん、あいつらどうしましょうか?」
「ここは俺に任してもらえるかい?ここまで護衛らしい事もしてねえし、ここいらで俺の力量をナマケに見せときてえからな。」
「イッシンさんがそう言われるなら、お任せします。無茶はしないでくださいね。」
「おう、まかしときな。」
そう言うとイッシンは身をかがめたままゴブリンたちのもとへと言ってしまった。ゴブリンたちとの距離が10Mふきんでイッシンは持っていた槍を構えた。
「おうおう、畜生共、俺に見つかったのが運の着きだ!! その命すぐにちらしてやろう!!」
イッシンはそう言うとゴブリンとの間合いを一瞬で詰めた。そのままイッシンの前にいたゴブリンは槍によって貫かれた。残るゴブリンは4匹だ。突然のことでゴブリン達は対応が遅れている。その隙をイッシンは見逃さず、近くにいた他の3匹を槍であっという間に殺していた。最後に残ったゴブリンはその場から逃げようと走りだしていたが、その背後からイッシンが投げた槍に貫かれて絶命した。戦闘が始まってから、時間にして2分弱ほどであることからイッシンの技量が伺えた。
イッシンは投げた槍を回収するとナマケの方に帰ってきた。
「俺にかかればただのゴブリンなんぞこんなもんよ。それよか、あいつらがおとす魔石はどうするよ?」
良い忘れていたが、魔獣には人間の心臓と同じような器官として魔石というものがある。魔獣はこの魔石に自然界の魔力を集め、それを身体に巡らせることで活動している。そのため、魔獣の魔石には差はあるが魔力が蓄えられている。魔力の多さはより濃い紫のものほど高くなるとされている。
また、魔石は様々なものに応用されており、ギルドや商人に持ち込めばそれなりの金になる。しかし、ゴブリンのものは価値が低く一個銅貨1枚と言ったところである。
「ゴブリンの魔石では有りますが、もったいないですから回収しときましょうか。」
「そうか、じゃあちょいと待っててくれ。」
そう言ってイッシンは倒したゴブリンから魔石を回収してくれた。残った死体は燃やしてから埋めておいた。そのままにしていると獣や他の魔獣がよってきてしまうためきちんとこのように処理をしなくてはいけないのだ。
その後は、ちょくちょくゴブリンなどに遭遇するようになった。だが、その全てをイッシンが倒してくれたのでナマケは何をすることもなく終わった。そんなことを数日繰り返してナマケ達は、エーメン共和国への関を抜けてエーメンの首都「メエーン」に到着したのだった。
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