1−1 旅立ち
本日3話目です。よろしくお願いします。
トーニ教国北の外れの山奥の村
僕は今日17年を過ごしたこの村を旅立つ。僕は「勇者」だ、生まれた時からそう決められていた。
「勇者はみんなの希望でなくてはならない」
僕はそう教わって育った。
それと一緒に両親にこうも教わった
「私達の最愛の息子ナマケ、あなたが辛く挫けそうになった時は私達に言いなさい。私達はあなたよりもずっと弱い。でも、あなたは私たち夫婦の最愛の息子よ。たとえ相手が魔王だって相手になってみせるわ! だから、辛いことがあったら一人で抱え込んじゃダメよ?」と。
僕は、勇者としての心構えと親の惜しげもない愛を受けて成長した。僕はできることなら争いなどせずにのんびりと過ごしたい。でも、僕の大切な人たちを守るためならば僕は僕のためにどんなことだってすると誓った。今日、その近いを果たす時が来たのだ。
あれは数時間前の事だった。こんな山奥の村に教会の聖騎士が訪れてこういったのだ。
「魔王が現れ国がひとつ滅ぼされた、今こそ勇者の出番である」と。
僕は、正直嫌だった。この村を旅立つのも命をかけた度に出ることも。しかし、僕は勇者だ。それ故にその勤めを話さなくてはならない。その時が来てしまったのだから覚悟を決めなくてはならなかった。僕は、村の人たちに別れの挨拶に言った。剣や魔術を教えてくれたおじちゃんに、勉強を教えてくれたじいちゃん、近所のおばちゃんや村長、最後に僕の両親に。
両親は最後まで僕を勇者ではなく、ただの一人の息子として思ってくれた。別れの時には、僕の頬を涙が伝っていた。それは両親も出会ったけれど。僕は、両親や村のみんなに別れの挨拶を終えると聖騎士たちとともに教会本部へと向かった。
村を出てから3日ほどで教会本部についた。途中に村などもなかったため全て野宿だった。村で野宿の訓練はしていたが、やはりはじめての本番というのは緊張するようで、あまり休むことができなかった。しかし、そんな生活も今日までである。教会本部についたからにはベッドや美味しい食事が用意されている。教皇様には明日謁見するらしい。僕は、それまでゆっくりやすむ事にした。
次の日の朝、僕の部屋に教会の修道女さんが訪れた。教皇様に合うのに際して最低限の礼法であったり、装束に関することを教えに来たようだ。面倒ではあったけれど不興を買うのも面倒なので素直にその教えを受けた。ただ、指導中に修道女さんの服の下にムチのようなものが見えた気がしたのだが、僕の目はつかれていたのだろうか。まあ、そこまで気にする必要もないかと思い僕はそのことを流した。
修道女さんによる指導が終わるとそのまま教皇様が待つ謁見の間の前まで連れて行かれた。今から謁見しないといけないと思うと本当に面倒くさくて仕方なく思うが、そんなこと思っても仕方がないのでなるだけ早く終わらせれるようにしようと思う。
「それでは勇者様、この扉を開けましたら謁見の間となります。くれぐれも粗相の無いようお気をつけください。では、勇者様お入りください。」
「はい、ありがとうございました。できる限り善処します。」
僕は愛想笑いを浮かべてそう答えた。善処するなどやる気もないのに言ったが、まあ良いだろう。
そんなことを思っていると扉が開いた。
謁見の間に入るとそこはとても広い空間であった。部屋の周囲には石柱が立っており、壁や天井には創世記や魔獣との戦いの絵が描かれていた。部屋全体は白を基調とされている。
また、教皇は部屋の中に階段が設けられており、その上にある豪華な椅子に腰を掛けている。見た目から判断するに教皇の年齢は70~80歳といったところであろうか、威厳と慈愛を持ったような雰囲気を醸しだしており、まさに教皇と言った感じである。その他には、教会の位の高い者たちや聖騎士が控えているようである。
僕はそんな中で、扉から入って階段の前まで進み片膝をついた。そうすると教皇のそばに控えていた男が声を発した。
「それでは、これより勇者の旅立ちの儀を執り行う。勇者ナマケよこの世界のため魔王ロクブンダを倒すことをここに誓われよ。」
「はい。私ナマケは、人々の希望であり人々を守るための剣であります。勇者の誇りにかけて魔王ロクブンダを見事討ち果たすことお誓い申し上げます。」
「あいわかった。それでは教皇様より勇者ナマケ殿への激励の言葉とともに当面の旅の道具の贈与を行う。教皇様よろしく御願いいたします。」
「うむ、勇者ナマケよこの世界の命運は貴殿にかかっておる。貴殿一人に勇者という重責を担わせるのは心苦しくはある。されど、魔王を倒せるのは勇者のみじゃ。どうか、魔王ロクブンダを倒しこの世界を救って欲しい。少々心もとないかもしれんがこちらから装備や旅の道具一式は進呈しよう。」
教皇様がそう言うと、さっきの男が目録を世お見上げた。
「では、勇者ナマケ殿には鉄の剣、鎧、盾、兜、革のブーツ、金貨20枚と銀貨、銅貨をそれぞれ10枚ずつ、旅の道具一式に魔法の鞄を授ける。」
布の服とひのきの棒に100K=銀貨一枚とかいう馬鹿げたものでなかったことに僕は安心しました。魔法の鞄までくれるなんて教皇様は太っ腹である。装備も今の僕が装備しても十全に使いこなせる重量のものが選ばれているしなかなかにわかっていらっしゃるようだ。
ちなみに、この世界の貨幣は銅貨、銀貨、金貨、白金貨である。金貨までは各10枚で一つ上の硬貨と交換できるが、白金貨は金貨100枚分の価値がある。
また、魔法の鞄は無限収納とも言われるもので、大量のものを収納できるとともに袋の中では時間経過が無く、入っているものも手を入れれば全て把握することができるスグレモノである。ただ、価値がとんでもなく高いので管理は非常に気をつける必要があるだろう。
それから、旅立ちの儀はなんの問題もなく終わった。しかし、終わり間際に神託の巫女が謁見の間に入ってきて言った。
「勇者ナマケよ、信頼できる仲間と神の力が宿る伝説の装備を揃えられよ、でなければ魔王を打つことはかなわぬ。神託ではこの国より南にあるエーメン共和国にその道標があるとのことじゃ。まずはエーメンに行くと良いじゃろう。」
神託の巫女はそれだけ言うとさっさと出て行った。他の面々は唖然としているが、とにかく僕の最初に訪れる国が決まったようである。
お読みいただきありがとうございます。
無理矢理感が否めず申し訳ありません。また数時間後にアップしますのでよろしくお願いします。




