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75. ブレブレストーミング

 そろそろ帰ると決めてミリスに連絡を入れたところ、彼女からは困ったような音声が帰ってきた。

 またモモコ辺りが麻痺毒に耐性を獲得して何かしでかしたのかとか、悪い予想を飛逆は連想したのだが、聞いてみればやや方向性が違った。


「神樹で埋まってる?」

〈はい~。計算より素材の集まりが悪いな~って疑問で~、上層素材が少ないんだな~って調べてみたら~、転移門の付近が小神樹で埋まっちゃってて通れなくなってるんですよ~。アカゲロウちゃんが麻痺させてくれているので~、危険はありませんが~……不気味なので~〉


 一瞬、千百一階層に放置しているトップランカーどもが何かの間違いで動いて通ってきてしまったのかと思ったが、赤毛狼に監視させているのでその可能性は低いとすぐに却下した。

 飛逆の赤毛狼に対する信頼は強い。

 次に、以前そこで刈り取った神樹の根が残っていて増殖したのか、と考えたが、これも可能性としては低い。念入りに赤毛狼の鼻と毒を駆使して細かいのを排除させている。


「……ああ、わかった。それ、イルスたちだ」

〈イルスって~……ああ、あのトップランカーのことですか~……。っていうかなんで降りてきてるんですか~?〉


「あいつらにも食料を渡すコマンド埋めて送ったんだけどな。速度重視でコマンド伝播を千五百階層からに設定してたから、おそらく入れ違いになったんだ。俺が赤毛狼送ったときにはもう移動を始めてたんだろう。おそらく素材を運ぶ赤毛狼を見つけては追うっていうのを繰り返したんだろうな。途中から赤毛狼からの食料提供があっても、話を聞くために俺を捜していたってところか」


 彼らは自分たちが神樹化因子を保有していることなど知らないし、転移先で神樹化してしまうことなど予想しようもない。空間転移門の何が怖いって、転移先を確認できないことだ。何故か音を通さないので相互で確認もできない。下手をしたらイルスたちは全員が神樹化している。その前に転移門が埋まってしまっていれば、全員ではないだろうが。

 こうなると、ミリスの髪を渡しておかなかったことが失敗だった。


「まあ、いいか……」


 彼らは実験体にしないつもりだったが、なってしまったものは仕方がない。自分の見込みの甘さを反省するまでには彼らを優遇する理由もないのだった。この場合一番厄介だったのは、食料を求めたイルスらが千五百階層より上層を目指してしまうことだったので、それが避けられたようで、悪くはない流れだ。


〈いいんですか~? このままじゃ素材の集まりが悪いですよ~〉

「確かに、上四百分は割とでかいな」


 当然のこと、上層のドロップ品のほうが質がよくて貴重なものが多い。だからそのことは確かによくはない。


「だがまあ、確保してあるサンプルの分くらいはそれでいいだろ。元々解呪する分には素材の良し悪しは大して影響しないはずだし」

 貴重だから必ずしも有用であるわけでもない。


〈ワタシの巨人兵~……〉

「諦めて解呪法のほうが完成してからにしろ。根を刈り取った影響が解呪にどう影響するか、まだわからんけど、なるべく侵襲が少ないほうが予後がよさそうだ」


 それくらいには、イルスたちを優遇してもいいだろう。


「素材集め自体は進んでるだろうから、終わってからならすぐに取りかかれるし」

〈あ、そういえばそですね~。じゃあこっちでできる準備は進めておきます~〉


 ミリスは相変わらずの現金な反応で納得を示した。


 ネリコンを作ることはミリスにもできるので、彼女に任せておけば、戻ればすぐに取りかかれることだろう。


 接続を切って、水着着衣でアレコレしたせいで疲れて眠ってしまっているヒューリァを抱え上げる。それで目を覚ましたヒューリァと目が合うと、彼女は相変わらずちょっと不満そうに口を尖らせて、その顔を隠すように飛逆の胸に埋める。

 起きるつもりはないらしい。


 小さく苦笑して、そのままにモンスター赤毛狼に乗り上がる。

 手綱を取って帰投を開始した。





〓〓 † ◇ † 〓〓





 特に何事もなく、解呪法研究は再開された。

 当初からの変更点はある。最初のサンプルを維持が面倒くさいことになっている二体の小神樹にすることになった。維持の面倒くささもそうだが、スペースを取るのでさっさと片付けてしまいたいのである。


 ヒューリァが試行錯誤してくれた【神旭】/原結晶コンバータをチェックする。


「面白いな、これ。まるで懐中電灯だ」

「懐中? デントウ?」


 仕組みとしては単純である。【神旭】をネリコンに通して原結晶に接触させると、精神感応性を有するネリコン部分が発光するわけだ。この発光はヒューリァが維持を念じなくても続く。精神に全く感応しない素材(絶縁体みたいな物)の部分を作ることで安定することがわかっているので、まるで豆電球が剥き出しの懐中電灯のような形状になった。


 だが電灯というものがわからないらしいヒューリァにはこの喩えが通用しない。まあ別に通じなくても何も問題はないのだが。


 もちろんこの疑似【神旭】で陣を描くことは出来ない。ヒューリァによると、陣を描くためには【神旭】の不安定性を逆に利用しているところがあるらしく、安定させることだけを考えたこのコンバータではただの発光現象に過ぎないのだとか。もちろんヒトが触れると反発が起きてそのヒトの側が何らかの障害を引き起こされるわけだが。

 それでは解呪に利用できないので、このコンバータ自体に個人認証破壊毒を送り込む。元々ヒューリァのそれと違い、白色に近い色合いだったのが、微妙に薄くなったような気がする。まあ変化があったということは効果があったということなのだろう。


「さて、やってみるか」


 コンバータと、封印用のネリコンの塊(なんとなく盆栽風の彫金にした)を接続して、発光部分を濁った金属水晶に突き立てる。飛逆の力でネリコンだからあっさりできたが、相当の力と鋭さがなければ難しいところだ。


 一応ヒューリァには何かあったときのために厳戒態勢を取ってもらっている。飛逆自身も警戒しているが、ミリスは遠巻きにしている。ミリスは多方向からの観測役なので、本体は近づかないほうがいいという判断だ。ただ、彼女も緊張しているのがわかる。


 果たして、しばらくは何事も起きなかった。


「失敗……?」

「いや」


 表面的には、確かに何も起きていないが、精気視覚化している飛逆の目には劇的な反応が映っていた。


「反発してる……のか? もともとぐちゃぐちゃなのが、もっとぐちゃぐちゃになってる。コンバータから精気を逆に吸い込もうとしている感じもあるな」


 いずれにせよ、いつまで経っても狙った反応に移行する感じはしない。


〈なら別の所から無理矢理入れて押し出したらいい~、かもしれません~〉


 一旦抜き取って、今の現象を飛逆の所感を述べつつミーティングしたところ、ミリスからの案がそれだった。


「だが、すでに根の部分に原結晶を接触させて精気の供給はできてるんだ。押し出すほど無理矢理にってどうすりゃいいんだか」

「なら、引っ張り出す力を強くする、とか」


「案外、『吸血鬼』ならこれで上手く行くのかもしれないな……。ヒューリァの言うように引っ張り出す力を強くすればいいんだったら、要は誘引力が足りないってことだ。俺の眷属を俺の血で、っていうのは可能性が高い」

〈ん~……それだと汎用性というか~、いざワタシたちに適用しようとしたときにできないので~、手順を変えてみましょう~。個人認証破壊毒を先にサンプル自体に注入するっていうのはどうでしょうか~〉

「それだとサンプルに対する負担が大きすぎないか?」


 一つの体に【魂】が反発しながら存在するということになる。眷属化の過程を見るに、相当の負担がかかることは間違いない。だからそれは見送っていたのだ。『解呪は為した。だがサンプルは死亡した』などと、なんのための研究開発なのだかわからないことになりかねない。


 それに、そもそも麻痺毒は怪物とヒトとを分離こそできないものの、その融和を乱す効果が含まれている。これを強化する方向に進めるのは、おそらく……


〈……痛いだけで済むなら~……それくらいの覚悟は~あります~。それを確かめるためにも~、やってみたいです~〉


「ミリス、貴女焦ってるだけで、覚悟なんてできてないでしょ。考えたらわかると思うけど、貴女の前に実験できるの、本質的には猫被りの一体しかいないんだよ。眷属はあくまでも眷属でしかないんだから。仮に眷属連中では成功しても猫被りでは死ぬような失敗したら、もう貴女に直接試すしかなくなるんだけど」


〈ぁぅ……〉


 まさかのヒューリァからミリスへの気遣いに満ちた発言だったせいか、ミリスはぐうの音しか出せないというように凹んでしまう。

 ただ、ヒューリァがこんな説得をしたのは、まさに似たような内容を飛逆が言おうとしていたから、先回りしたのだろう。飛逆にミリスを気遣わせないために。

 ヒューリァは本気でミリスを警戒していることがわかって、その対策の素早さと念入りぶりに内心戦慄する飛逆であった。ていうかヒューリァのこの勘の良さは一体なんなのか。たまに本気で怖くなる。


「まあ……たぶん【神旭】の【魂/力】の反転現象が起きていないんだ。認証破壊が上手く行きすぎてるんだろうな。無垢な【力】に近づきすぎてるんだ」


 水面下での小競り合いを、聞いていなかった振りで話を戻す。


〈それもあると思いますが~、麻痺毒が効いているって要素も無視できないかと~。弱りすぎて共鳴現象が上手く起きていないって可能性が~〉


 ミリスは切り替えは上手いほうだ。すぐさま可能性の提示を始める。


「ありえるな」

 確かにあの反応の小ささは想定していなかったレベルだ。怪物性が弱体化しすぎているためだと考えればしっくり来る。


「結論を言えば、誘引力がサンプルコンディションと器具性能の両方の理由で足りないってことになるな」

〈わかりました~。じゃあ、ヒサカさんには認証破壊毒を【神旭】用に調整してもらって~、ワタシとヒューリァさんで【力】を押し出すのを【神旭】でどうにかできないか~ってことを試行するってことで~、どうですか~〉


 それが順当な役割分担だろう。


「麻痺毒を弱くするとかは考えないの?」

 ヒューリァが指摘する。


〈化生が強すぎるとネリコンへの封入時に生じるリスクが大きくなるからです~。人狼の例を見ても~、自律行動する怪物が出来上がる可能性は決して低くないわけで~。最終的にモモコさんに適用してみることを考えると~、化生は弱体化していてもらわないとむしろ厄介なんです~〉

「封入用ネリコンに毒を予め仕込んでおくにしても、誘引が余計に弱くなる可能性があるし、汎用性を目指すこの段階でその要因は増やせない」


 二方向からヒューリァの指摘は論外と切って捨てられた。


 納得はしたが気に入らないというような顔になるヒューリァである。

 さもありなん。

 先刻と構図が逆転している。


 いずれにせよ、予想よりも解決すべき問題が多い。すぐに取りかかる。どちらも【神旭】をどうにかするという方向性なので、分担はするが共に研究を進めていく。



〈結局は~、ヒトの【魂】にエネルギーを取り込むスペースがないっていうのが問題になるんですね~〉


 それぞれで作業を進めながらブレインストーミングを行う。


「だが【能力結晶】の過剰投与の例もある。容量以上に送り込むことは可能なんだ」

〈ということは~、なるほど~。ヒサカさんの言うように~、無垢な【力】だと取り込みが行われないってことですか~、逆に~〉

「すると『運動能力強化』辺りの、元々過剰投与したらリスクは大きいが、反作用自体はさほどでもないのを付加して、疑似【神旭】にしてやればどうだろう?」

「元々予想していたリスクって、化生を取り除いたときにサンプルの損傷が大きすぎるってことじゃなかった? ならそこで選ぶのは『治癒』か『修復』じゃない?」

〈ヒトの【魂】に狙い撃ちできなければどちらでも同じことになりそうな気も~。そもそも『治癒』の場合は過剰投与の症状が大きすぎます~。ここは『修復』か『運動能力強化』、あるいはその両方ってことに~〉


「忘れてたけど、月光の影に刺せばよかったのかもな」

〈あ、本気で忘れてました~〉

「送り込むのをどっちかから、抜き出すのをその片方ってことにしたら? というかそうする気なのかなって、てっきり」

「それだ」〈それです~〉


「コンセントみたいにするってことか。その発想はなかった。さすが、天才。ってことはアース取るのもやったほうがいいか?」

〈すると~、三カ所、取るのがよさそうですね~〉

「一カ所は、ネリコンに影ができてるかどうかで……できてるっぽい。ここでアース取れば」

〈じゃあ~、後はプラス極とマイナス極に相当する【神旭】の調整ってことに~〉

「案外同じのを二つ作って、一方の原結晶を【能力結晶】にしてやればできるんじゃないか? アース取るのはただのネリコン線にして」


〈……まずは、やってみますか~〉



 やってみた。



〈お、おおおおぉっ!〉



 目に見えて反応が違った。


「流れてる、のはわかるがどうなってるんだ? 俺には精気の流れと二重になっててよくわからん」


〈まさにその状態ですっ! 明らかに物質として存在しているはずの神樹の部分が明滅してるんですっ! まるで存在が薄くなっているみたいにっ!〉


「反発してる感じがあるんだが……これは【能力】と【能力】が反発しているってことでいいのか……」


 ものすごい勢いで循環しているため、何がなんだか。別々の怪物の【能力】同士は反発することを鑑みれば、おそらく上手く狙った反応がでているのだとは思うが。


 一応タイミングを見て、色違いの部分が多くなった瞬間に認証破壊毒を導線に打ち込み、同時に物理的に接続を遮断する。


〈あっ……ぁぁぁ〉


 その瞬間、神樹が消えて、水を吸いすぎて崩れた粘土人形(クレイマン)みたいに、中の人間がべちゃりと床に落ちた。もちろん生命反応は皆無だ。


「……まさに『解呪は為した。だがサンプルは死亡』だな」

〈……ヒサカさんの目から見た様子をレポートしてください~〉


 一応検体の残骸を集めて容器に詰めて(後で解析するため)、再び検証するために全員から見た様子を統括する。



「このネリコンはまるで怪物みたいに精気を宿したままになっているのは、確かだ」

〈封印はできた、ってことですね~……〉

「だが明らかにこの中に入っているのは、少ない。これじゃヒト一人分あるかも怪しい。俺の手を近づけても共鳴反応が殆どない。これって【能力結晶】を【吸血】しようとしたときの感じに若干似てる気がする」


〈『運動能力強化』を入れたのに~、まるで『自己治癒力強化』の過剰投与みたいな有様なのも気になりますね~〉


「アース、だっけ? それに流れて消えちゃったとかじゃなくて?」

「月光の影も本体とよくわからない理屈で繋がってるはずだからな……総合的な精気の量がこんなに少なくなるのはおかしい。アースの取り方をしくじったのかもしれない。少なくともネリコンに怪物の【魂】だけが溜まっていくような仕組みを考えないと」


〈あ、っていうか【力/魂】の反転現象を更にネリコンのところで反転させなきゃいけないっていう当たり前のことを忘れてました~。ついでに~、この状態は~、過剰投与じゃなくて【能力】の拮抗障害なんです~、きっと~〉

「そういえばそういうのもあったな……そうか。拮抗障害が酷くなるとこうなるっていうのは、症例がないから確実ではないが、過剰投与と拮抗障害の両方が原因なんじゃないか?」


〈すると~言い方を変えると~『ヒトが自分の姿を忘れてしまっている』んじゃないかと~〉


「それだな。俺の【吸血】が記憶を搾取することを考えれば……自己同一性みたいな核がないからって考えるとわかりやすい。ネリコンに溜まらなかったのも、結局は拡散してしまってるんだ。核の求心力が小さすぎて」


〈結論するに~、ハードよりもサンプルコンディションが悪すぎるってことに~……〉


 また麻痺毒が効きすぎている疑惑だ。


「やっぱり麻痺毒をもっと……対象を選べるようにしないといけないんじゃ……」

 ヒューリァが若干控え目に提案する。


「癒着しきっている眷属系のを選択するのは、正直難しい。共存している系統、つまりモモコやミリスだったらなんとかできると思うが、今回精気の流れを見た感じ、眷属系はむしろ怪物の割合が大きいんだ。九割近かったかもしれない。もしかしたら核を残してすべて怪物に成りかわっているとさえ考えられる」


〈でも、それをするしか安全な解呪法は確立しそうにないって結論なんですが~〉


「……ヒトの割合を大きくする、というか……ひさか、薬を合成もできるんでしょ? 似たような感じで、できないかな」

「ヒトの【魂】をブーストするってことか……」

〈ぶっちゃけそれができれば~、解呪しなくてもワタシたち、怪物部分を押さえ込むことができる気がしますね~。好きなときに異能だけ発現するとか~、な~んて〉



「……」「……」

 ミリスの何の気なしの発言に、飛逆とヒューリァは顔を見合わせる。


「それ俺かヒューリァの状態に限りなく近いんじゃないか?」

「うん……。まあわたしの場合は【力】をひさかに依存しているんだけど」

「しかも……【能力結晶】の効果が持続しない理由が、ヒトの【魂】の抵抗力のほうが大きいからだって考えれば……結局は割合っていうのは俺が【紅く古きもの】を押さえ込むことができていることからすでに明らかで……その感じを再現することは、できなくもない、かも、しれない……」


〈あれ? もしかして、できちゃいます~?〉


 呆然に近い心地で、三者三様に姿を見合わせる。


 しばらく三者の間で妙な緊張が停滞した。


〈仮に~、仮にですよ~? それができるとしたら~、どうします~?〉

「問題はある。元眷属の連中が強くなるのは、管理が面倒だってこと。どんな風に強くなるかはわからんが」

「でも自分で補給することはできないんだから、一時的にってことにすれば別に問題ないんじゃない?」

〈ヒューリァさんみたいに【神旭】を自在に操れる人間なんて滅多にいないわけで~〉

「わたしもそういう調整をされてたから使えるだけで、貴女にもそうだったように、教えてできるものでもないし」

「せいぜい人間に元々備わっている『能力』が強化されるって程度か。俺の体も元々はほぼ人間だが、感覚を無理矢理に引き上げてたし……他は回復力ぐらいか。その程度なら。しかも自分で補給できず、【神旭】は使えないから原結晶ブーストも不可能……とくれば」


〈やってもいいかもしれない、です~〉


「勘だけど、わたしたちより強くなるっていうのは、ない、し。せいぜいひさかの血を飲む前のわたしくらいじゃない?」


「しかも今出揃っている情報を統合すると、それができれば眷属の解呪は今のハードで問題なく行えるってことになる。別に憑いてる怪物自体なんざどうなってもいいんだからな。モモコとミリスのは、ちょっと惜しいけど」


〈少なくともワタシは~、押さえ込むことができるだけで充分です~〉

「俺はやってないだけですでにそれはできるんだよな」


 右腕は利便性のためにあえて残してあるのだ。まあ右腕をまるごと取り戻そうとするとかなり消耗が厳しいことになるし、はけ口があるほうが馴致が容易いという理由もあるが。


 いずれにせよ、ネガティブな部分を加味しても、やるべきだという結論が導かれた。

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