あとすこしだけ。
ぐちゃぐちゃ物語になりそうです
ああ!もうほんまムカつくわ!なにあいつ。うちが死んだのに葬式来んとかありえへんし。意味不明やろ。普通彼女が死んだら来るんちゃうん!?
もうあいつとは別れたる。ってゆうかもう死んだから終わりってゆうノリ?あいつそんなん思ってたんかよ。何であんな奴好きになったんやろ。
でも何か事情があったんかもしれへんし。最後にくらい会いたかったな……。
もういいわ。忘れよ。天国に行く前にこんな暗いままはあかんな。てか皆めっちゃ泣いてるやん。そんなにうち愛されてたんや……。天国には行きたいけど、母ちゃんと父ちゃんと兄ちゃんと離れたくないなあ。あ、千代ちゃんも来てくれてるやん。千代ちゃん、今までありがとう。友達になれてほんま良かった。
おお、黒田と白田も来てる。黒田めっちゃうちにちょっかいかけて来てたからなあ。仕返ししたろ。
「ふげっ!」
「いきなりなんやねんお前」
「今何かが俺の手え触った」
「何ふざけてんねん。静かにしろや」
「ふざけてへんって」
ぎゃはは。怒られてやんのー。今までの仕返しじゃぼけー。
葬式終わっちゃった。もうそろそろうち焼かれるんか。自分で自分を見るって変な気分やなぁ。てか黒田また喋ってるし。どんだけ喋んねん。
「そういえば。健一来てへんくない?」
「ほんまや」
おいおい今その名前出すなよ。ほんまこいつ空気読まれへんな。
「なんでやねん!」
なんでやねんってなんでやねん!怒りたいのはこっちじゃボケ!
「そんなんやったら俺が付き合っとけば良かった」
「え!?お前好きやったん?」
「うん」
「マジで!?」
マジで!?全然気づかんかったし。
「俺、健一ん家行ってくるわ」
「今行くん!?」
ごめん黒田。ありがとうな。気持ちは受け取られへんけど、メッチャ嬉しいわ。うちも着いていっていい?
そういえば久しぶりに健一ん家来るな。やっぱ何回見てもでかいな。こいつん家金持ちやから来にくいねん。しかもうちこいつのお母さんに嫌われてるっぽいし。むこうにはうちの事見えへんけど、何か緊張するな。
「すみません。健一君いますか」
「申し訳ございません。健一様は外出禁止と奥様に言われておりまして……」
やっぱり健一はお母さんになんか言われてるから来おへんのか。あのおばはんの事やから、どうせうちの父ちゃんの会社潰すとかなんやゆうたんやろうな。
「あー。そうゆうことでしたか。……うっせー!そんなん知らんわ!」
何やこいつ。メッチャ切れてるやん。なんかやらかすんちゃうん!?さすがにヤバイって。黒田が責められる必要ないもん……。
「ごちゅーこくどうも。心配せんでいいで。俺がしたしからやるだけやから」
え!?こいつもしかしてうちの事見えてるん!?
「知らんかったっけ。俺メッチャ霊感強いで。しかも触れる。すごいやろ」
マジで!?そんなん知らんわ。じゃあはじめっから見えてたん!?ゆってや。
「仕返しじゃボケ」
ムカつくーーー!!!黒田のクセに何ゆってんねん!
「ほんじゃあ行くで!ほら手え握れ。お前走んの遅いやろ」
はい!?何するん!?てか遅くないし!!
「はいはい。最後やから。手だけでいいから握らせてや?……行くで!」
うわあああ!!!ありえへんって。こんなでかい柵飛び越えるとかお前何もんやねん。それよりお前速すぎやって!ちょっと待ってや!引きずってる引きずってる。やから引きずってるって!おい聞けよ!無視すんなや!
「ほい、着いた。ここが健一の部屋やんな」
うん。ほんまに入るん?
「ここまで来たんやからなあ」
着いて来てや?うち一人なんか絶対無理!
「まあ俺も行くっちゃ行くけど。俺にのりうつれ」
了解でーす。……いや、無理やから。そんな技持ってへんから。
「いけるって。はよしろ」
はよしろってゆわれても。のりうつるって黒田ん中に入ればいいんやんな。
「おい、ちょっと待て。お前まさか……。痛い痛い痛い痛い!」
じっとしてや。入られへんてば。
「なんでケツやねん!一回出ろ。これ一応恋愛小説やで!?お前ヒロインですよ!?痛い痛い痛い痛い!」
待って。もうちょっとやから。
「痛い痛い痛い痛い!あ、そこあんま触んな!うんこでるうんこでる!」
ほっ、入ったで。
「全然『ほ』じゃないから。まあいいわ。ほんじゃあ行くで」
うん……。
「誰?」
「く、黒田でーす」
おっしゃ、いけてるいけてる。そのまま続けろ。
「う、うん」
「何で来たん。葬式行ってたんちゃうん」
「そうやけど……」
「そんならあいつに行かれへんくてゴメンって伝えといて」
「……」
「もしかしてもう葬式終わったん?」
「……」
「何で黙ってん?」
「……自分でゆえや」
「は?」
「そんなん自分でゆえや!」
ちょっ!お前俺の顔で泣くなって……。
「どうゆう意味?」
「別にもう、うちのこと好きちゃうんかもしれへん。それやったらそうゆってくれればいいし。でもまだ好きなんやったら自分で言いに来いや!母ちゃん優先とか何?マザコンですか!?」
「もしかしてお前……」
「あー、もう!ほんまは会ったら『うちのことは忘れて、他の人と付き合ったり、結婚したり。ちゃんと幸せになれよ』ってゆおうと思ってたのに……。今の健一ほんまムカつく。健一は優しすぎんねん。でも優しいのと中途半端なんはちやうで!」
「ごめん……」
ギャーーー!俺の体に抱きつくなや!!!
「行かれへんかってごめん。中途半端でごめん。お前のゆうとうりや。でも、お前のこと好きちやうってゆうのは間違ってる。ほんまに好きやった。今もそれはかわらへん」
「……うん」
良かったな。俺は納得出来んけどな。男と抱きつくとか……。じゃあ俺の体から出ろ。
「分かった。ありがとう黒田」
(まあ、好きな奴のためやからな)
「まだあいつ焼かれてへんかな」
「分からん。行って見るか?」
「ああ」
「おっしゃ、行くぞ!」
俺は毎週、墓参りに行っている。
あいつが好きやった花を添えて、手をあわせる。
「自分のこと忘れて。とかゆってたけど、まだ俺には無理みたい。
やから、もう少しだけ俺の彼女でおってくれへん?」
やっぱりぐちゃぐちゃ。
関西弁が暑苦しくなってしまったかも……。