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ガチャ廃人のガチャ運営  作者: ペロロンチーノ


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5/11

浸透するギルドガチャと掲示板

「……よっしゃあああ!!」


ギルドホールに、野太い叫び声が響いた。


「Aだ! Aランク魔石!!」

「は!? マジかよ!?」

「上から2番目じゃねえか!?」


排出口から転がり出たのは、拳大の魔石。

澄んだ翠色の輝き。

素人目にも分かる、高純度の品だ。


「……鑑定、お願いします!」


受付嬢が魔道具を起動し、鑑定を始める。


「Aランク魔石、純度96%……」

「買取価格は、百八十万になります」


ざわり、と空気が揺れた。


「一回一万だぞ……?」

「1回で180倍かよ……」

「Aでこれか……」


当たった冒険者は、乾いた笑いを漏らした。


「……売ります」

「ギルド買取でお願いします」



それを見て、誰かが呟いた。


「……Aでこれならさ」

「Sとか……EXって、どうなるんだ?」


その一言が、

場の空気を一気に変えた。



「俺もいける気がしてきた」

「確率表的にも、Aは現実的だろ?」

「EXは無理でも、Sなら……」


理屈は、都合よく歪む。


「次、俺!」

「並べ、並べ!」

「一万くらいなら!」


冒険者として一定以上の強さを持っていれば1万円など稼ぐのに苦労はない。

それが余計に彼らを狂わせる。

現実はそう都合よくいかない。

ガチャが回る。



【排出:Eランク回復薬】


「……まぁ、最初はな」


もう一回。


【排出:Dランク魔石】


「悪くない、悪くない」


さらに。


【排出:Eランク素材】


「……」


そして、また。


「くそっ!」

「Eしか出ねぇぞ!?」

「さっきのAは何だったんだよ!」



床に座り込む冒険者が現れる。


「……七万」

「もう七万使った……」

「一瞬で消えちまった……」


仲間が声をかける。


「もうやめとけ」

「今日は運が悪いし諦めろ」

「また今度――」


「……いや」


男は首を振った。


「実際Aが出てるのを、見ちまった」

「こんだけ回してEとDしか出てないなら……」

「もう次あたりで来るはずだ!」



視線は、ガチャ筐体に縫い付けられている。


「ここまで来て」

「何も当てずに帰る方が……きつい」


ガチャが回る。


【排出:Eランク】


「……っ!」


言葉にならない声が漏れた。



一方で。


「おい、見ろ」

「Bランク防具だぞ、これ」


「マジか……?」

「一万で?」


「……ギルド買取、百二十万」


「ははっ……」

「よっしゃ!今日の酒は俺が奢ってやるよ!」


成功者が現れるたび、

列はさらに伸びる。


Aという“現実”が、

さらに上の景品への渇望を強くしていた。



少し離れた場所で、

シンは静かに見ていた。


「……とりあえずはAで十分か」


それ以上を、

見せる必要はない。


「現実的な当たり」と

「手の届かない夢」。


その距離感が、

人を一番、狂わせる。


「……ほんと、趣味が悪い」

「それにどうしようもなくハマってた俺もか」


自嘲して、視線を逸らす。



――その夜。

ギルド非公式掲示板。





1:名無し冒険者

今日いきなりできたギルドガチャどうだった?


2:名無し冒険者

実際にAランク魔石出たやついたぞ

ガチで存在する


3:名無し冒険者



マジ?

Sとかもあるってこと?


4:名無し冒険者



A出てる時点で、そりゃあるだろ

まだ見たことはないが




7:名無し冒険者


5万使ってEとDだけ

心折れた


8:名無し冒険者


同じ

A見た後だと余計きつい



9:名無し冒険者

Aランクいくらで売れた?


10:名無し冒険者



180万だったよ

すぐ買取出してて盛り上がってたから間違いない




14:名無し冒険者


最初にA引いたやつが一番悪い説




15:名無し冒険者


分かる

あれ見せられたらもしかしたら俺もとか思って引くしかない





20:名無し冒険者

10万溶かした

A以上とか

都市伝説だろ


21:名無し冒険者


いや、A出てるからな……

とりあえずAランクが実際でるだけでも夢はある

それこそ防具とかでれば自分で使ってダンジョンでそれ以上に稼げるだろうし



26:名無し冒険者

これ、S級が景品出してるって噂あるけどほんとか?

わざわざやる意味ないだろ



27:名無し冒険者


S級ともなると金なんて腐るほどあるし

何やってもおかしくないでしょ



28:名無し冒険者



いや、ガチャわざわざ設置するとか絶対性格悪い






端末を閉じ、

シンは小さく息を吐いた。


「……もう噂になっているのか」


だが、

疑問が生まれる頃には遅い。


ガチャは、もう回り始めている。


Aを“現実”として知ってしまった世界で、

人は――

夢見ずにはいられない。

上手く行けば一瞬にして大金を稼ぐことができる様子を目にしてしまった以上それに抗うことはできない


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