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事情を説明

「養子になる話はつい最近だよ」

「そうなの?」

「ああ、エマがゆくゆくは出ていくからって。おかしいと思ったんだ」

「へ?」

 ルーカスは両親が出ていった扉を見つめた。


ルーカスを学園に行かせる話があったころ、父様は、

「うちにはエマと言う娘がいるが、やさしいしかわいい子だ。君より年上だが、仲良くできると思う。仲良くしてやってくれ」

と言ったらしい。

「それはそれはかわいがってるんだなって思ったんだけど」

 養子の話になってから、父親はそれはそれは憎々し気にエマのことを話したそうだ。


「つまり、その薬の影響だな」

「はあ、そうみたいですね」

「ったく、何でそんな薬を。もしかして誰かに飲まされたとか?」

 ううんと首を横に振った私は、状況を説明した。

 みるみるあきれ顔になるルーカス。

 そりゃそうよね。


「はあ、なるほどねえ、そんなにモテるんだ」

「いや、そこ?」

 ぷぷぷと笑ったルーカスは、

「まあいいよ。たぶん、何とかなると思うよ」

 と平然と言ってのけた。

「え!? ほんとに!?」

 あれから既に1週間。いまだに何ら変化はない。みんなから嫌われまくっているというのに。


「待って、何とかなるって、どうやって?」

「その店に行って、解毒剤を買えばいいだろ」

「店がないのよ」


 実は、あの店には行ったのだ。

 このままじゃあ、本当に困ると思って、メイベリンの服を返すことができずに持っていたので、それを着てまた行ってきたのだ。だが、あのおばあさんは姿を消し、店も無くなっていた。

 最近、秘薬やらの取り締まりが厳しくなったとかで、あちこちの店が閉店になっていた。


「ふーん、そうか、取り締まりねえ」

 口の端を曲げたルーカスは、

「ちょっと時間をちょうだい」

「どうするの?」

「また行ってみよう。場所を教えてくれれば行って探ってくるよ。一緒に行ってもいいし」

「まじで? なんていい子なの! ありがとう!」

 ルーカスの手を掴んでぎゅっと握った。


「え、あ、いや、いいよ。いいから離して」

「へ? ああ、ごめんごめん。さすがにきついよね」

「きつい?」

「ほら嫌われる薬の影響で。でもルーカス、他の人みたいに気分が悪くなったりイライラしたりひどくならないの? カロリーナ様みたいね」

 カロリーナも我慢強いのか、魔法力が強いからなのか。ってことは、目の前にいるルーカスも強い魔法の使い手なのかしら。


「カロリーナ様って?」

「ん? 知らない? 王太子様の婚約者でね、レアロイド公爵令嬢なのよ。すんごい綺麗で頭がよくて優しくて」

「わかったわかった。つまり憧れの人ってわけか」

「え? えーっ」

 思わず頬を両手で挟んでキャーキャー言ってしまう。

 確かに原作ファンとしては、目の前で動いて喋るカロリーナを愛でることができるなんてたまんないでしょ。


 ちょっと下唇を突き出したルーカスは、

「まあいいか、僕も明日にはその人を見れそうだし」

「明日?」

「うん、明日から学園に通うんだ、よろしくね、エマ様」

「そうなのね。ってことは、年下なんだから2年生に編入ってことね。教室は案内するわ」

 上を見上げたルーカスは「うーん」と言って手を突き出した。


「?」

「あのさあ、2年じゃないんだ。編入試験を受けて、3年に入ることになったんだよ」

 それって、飛び級ってこと!? つまり。

「同級生ってこと?」

 にこっとしたルーカスは、

「そういうこと、よろしくね、エマ様」

 とのたまった。

 絶対、私より頭いいじゃん。


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