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ステータスの上昇値


 能力の確認のために消費したMPをパッシブスキルで回復させると、狩人へと転職してシルバーウルフを探すことにした。


 狩人の観察眼を使って痕跡を追っていくと、すぐにシルバーウルフを見つけることができた。


 集落の近くに出没していただけあって、本当に割とすぐのところにいたな。


 数は三匹。エスタが教えてくれたように銀色の体毛をした狼だ。


 大きさは一メートル五十センチくらいあるだろう。



 シルバーウルフ

 LV3

 HP 36

 MP  4/4

 STR 22

 INT 13

 AGI 26

 DEX 10


 鑑定士に転職し、鑑定してみるとスタータスを覗き見ることができた。


 三匹とも鑑定してみたがステータスは似たようなものだ。AGIだけが高く、それ以外は軒並みに低い。


 突出しているAGIであっても俺よりも低いのだから、敵いそうになかったら逃げることも難しく

ないだろう。これならいける。


 鑑定を終えると、俺は魔法使いに転職。


 さすがに森の中で火魔法を使うのは怖いので、先ほど使用した岩槍を選択。


 先程よりも大きな三つの岩槍を生成すると、三匹のシルバーウルフに射出。


 射出された岩槍は二匹のシルバーウルフの頭を貫いた。


 しかし、残りの一匹には横腹に刺さっただけで即死とはいかなかった。


 俺の存在に気付いたシルバーウルフが鋭い眼差しを向けて、駆けてくる。


 魔物の殺意に呑まれそうになったが、俺はなんとか手をかざしてもう一度岩槍を飛ばす。


 それはこちらに跳びかかってきたシルバーウルフの頭蓋を貫通し、吹き飛ばした。


 おそるおそる近寄ってみると、見事に事切れていた


 今度こそ死んだことに俺は安堵の息を吐く。


 それと共に脳内でレベルアップの音がした。


 緊張感の後に流れる軽快な音が、なんとも言えない。



 名前 アマシキ ツカサ 

 LV3

 種族 人族 

 性別 男 

 職業【魔法使い(転職師)】 ジョブLV2

 HP 58

 MP  500/560

 STR 43

 INT 55

 AGI 36

 DEX 31



 確認してみるとレベルが三になっており、基本ステータスが向上していた。


 その中でもやはり目覚ましい発展をしているのはMPだ。その次はINTだろう。


 転職師としての職業の補正なのか。


 あるいは魔法使いになって魔物を倒している影響だろうか。


 魔法使いとして魔法で倒してばかりいるので、それに準じたステータスが上がっているというのはあり得る可能性だな。


 たとえば、剣士で魔物を打ち倒し、レベルアップをするとHPやSTRなんかが大幅に上昇するのかもしれない。


 次は他の職業で戦ってレベルアップを果たす検証をやってみても良さそうだ。


 他に特筆するべきところはジョブレベルが上がっていたことだろう。


 しかし、こちらはレベルが二になったからといって変わったことはない。もう少し上げ続ければ恩恵があるかもしれないので、こちらは次に期待しておこう。


 ステータスの確認が終わると、シルバーウルフの討伐証明である牙を剥ぎ取っておく。


 ただの野良犬とは違って、存在感が段違いだった。


 攻撃をしてきた俺に向かって本気で殺しにかかってきていた。平和な日本ではあり得ない命のやり取りだ。


 だけど、怯んでいる場合じゃない。ここは日本のような平和な場所ではないのだ。


 魔物という人を襲う存在がいて、人々は常に脅かされている。


 生き残るためには殺されないように強くなるしかない。


 などと考えていると、戦闘音や匂いで嗅ぎつけたのかさらにシルバーウルフがやってきた。


 数は八匹。さっきの二倍以上の数だ。


 先程の三体は斥候のような役割を担っていたのかもしれない。


 これからシルバーウルフを探すつもりだったので、向こうからやってきてくれたのは好都合だ。


 俺は瞬時に土魔法を発動。八つの岩槍を生成して、それぞれに一つずつ射出する。


 先頭を走っていた三匹が頭を撃ち抜かれて地面を転がった。


 中衛にいたシルバーウルフ二匹には横っ腹に突き刺さるのを目視。


 あれでは即死には至らないか。と思いきや、横っ腹に当たった二匹もバタリと倒れてくれた。


 よく見てみると、俺の岩槍が身体を貫通していた。


 どうやらレベルが上がったことにより、魔法の威力が大きく向上したようだ。


 しかし、悠長に喜んではいられない。一気に五匹を片付けることができたが、後ろの三匹には躱されてしまった。


 シルバーウルフの走る速度はとても速く、開いていた距離が一気に詰まっていく。


 もう一度魔法を発動して仕留めると選択肢もあるが、これだけ近距離になるとリスクが大きい。


 俺は転職師としての能力を使用することにした。


転職(ジョブチェンジ)、【剣士】」


 転職を果たすと、身体の中から力がみなぎるのを感じた。


 魔法使いの時よりもシルバーウルフの動きが鮮明に見え、飛び掛かってくる三匹の動きが手に取るようにわかった。


 俺は腰に佩いていた剣を抜くと、そのまま三匹のシルバーウルフを斬る。


 シルバーウルフから血しぶきが上がり、バタバタと地面に落下していった。


 三匹とも事切れているのを確認すると、血糊を振り払って鞘に納める。


「これが【剣士】の力か……」


 自分の身体とは思えないくらいに身体が滑らかに動いてくれた。


 剣を振るうのは初めてだというのに、どのように身体を動かせばより力が乗るのか、効率的に動けるのが感覚でわかった。


 まるで自分が剣の達人になったかのようである。


 これが剣士という固有職の恩恵なのだろう。


 ホッと息を吐くと、頭の中でレベルアップの音が響く。




 名前 アマシキ ツカサ 

 LV4

 種族 人族 

 性別 男 

 職業【剣士(転職師)】 ジョブLV2

 HP 63

 MP  520/580

 STR 49

 INT 58

 AGI 40

 DEX 34



「ステータスの上昇値が変わっているな」


 MPの上昇値はあまり変わりないものの、魔法使いの時に大きく伸びていたINTの上昇値が少し悪くなった。


 これは剣士としてレベルアップを果たしたことや、剣士としての経験値が含まれたことによる弊害であろう。


 しかし、その代わりにSTRやAGIといった部分が大きな上昇を見せている。


「やはりレベルアップした時の固有職や、戦闘内容でステータスの上昇値が変わるんだな」


 俺の思った通りだ。


 MPやINTを大きく上げたいなら魔法使い。


 STRやAGIを大きく上げたいなら剣士。


 他にも盗賊や騎士といった職業に転職できるが、きっとそれぞれの職業によって上昇値は違うのだろうな。


 これはいい発見だ。この世界や職業について知識が足りないので、今すぐに実行はできないが上昇させたいステータスをある程度コントロールできるというのは頼もしいことだ。


 将来、ステータス値の方針ができたら、狙ってやってみることにしよう。


 さて、これで倒したシルバーウルフの数は十一匹。


 エスタが言っていたシルバーウルフの数は十匹以上。


 これで一つの群れを潰せたといってもいいのではないだろうか。


 とはいえ、さっきのように斥候を担うシルバーウルフがまだいるかもしれない。


 少数のシルバーウルフならば村人たちでも撃退できるみたいだが、やっぱりまだ残っていたというのは面白くない。やるなら仕事はきっちりとこなしたい。


 そんなわけで討伐した八匹のシルバーウルフの牙を回収すると、他にシルバーウルフがいないか確認することにした。


 そうやって歩き回っていると、ばったりと二匹のシルバーウルフと遭遇。


 やはり他にも斥候を担うシルバーウルフはいたらしい。


 遭遇戦になってしまったが、接近戦が得意な剣士なためにあっさりと倒すことができた。


 牙を回収すると、同じようにまたシルバーウルフがいないか捜索。


 小一時間程度捜索したが、シルバーウルフを発見することはなかった。


 これ以上奥に踏み込んでもいるかはわからない。さらに突き進んでまた違う群れに遭遇し、呼び込んでしまうことはしたくない。


 十三匹のシルバーウルフを討伐したのだ。エスタに頼まれた仕事は十分に果たしたと言っていいだろう。


「引き上げるとするか」


 そんなわけで俺は来た道を引き返して、集落に戻ることにした。


 道を戻ると、シルバーウルフの群れがいた場所を再び通ることになった。


 てっきり他の魔物に食い荒らされているとでも思ったが、特に荒らされた形跡はない。


 討伐の証明になる牙とのことだったが、毛皮や肉なんかも使い道はあるのだろうか?


 魔力も余っているので転職せずに、剣士のまま鑑定を行う。


「鑑定」


『シルバーウルフの毛皮』

 サラリとした毛並みはとても肌触りが良く、暖かい。衣服や毛布として加工される。


『シルバーウルフの肉』

 やや硬質であるが肉の旨みは十分。


 どうやら毛皮や肉にも使い道があるようだ。


 使い道がなければ土魔法で埋めてしまおうかと思っていたが、有効利用できるのであれば採取した方がいい。


念動力(サイキック)


 俺は魔法使いに転職すると、シルバーウルフの遺骸を魔法で浮かせた。


「このまま持って帰ろう」


 狩人に転職すれば、自分で手早く解体ができるだろうが、さすがに今日は疲れた。


 シルバーウルフの解体は村人にやってもらうことにしよう。


 そんなわけで俺は、シルバーウルフの遺骸を浮かべたまま集落に戻ることにした。




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こちら新作になります。よろしければ下記タイトルからどうぞ↓

『異世界ではじめるキャンピングカー生活~固有スキル【車両召喚】は有用だった~』

― 新着の感想 ―
[気になる点] 村長が訪ねてくる主人公に対して砂のいっぱいも出さずいきなり用件を言うのは少し違和感を感じた。 日本育ちの人間がいきなり生き物を殺す行動をとることに疑問を持ってしまう。 
[気になる点] これ結局専門職には勝てない器用貧乏にしかなれないんじゃないの? ずっと戦士か魔法使いで固定してれば、どっちかとは互角の能力値になりそうだけどさ
[良い点] 転職師ってインチキくさい職業だね。まさにチート(笑) 1つレベルが上がるだけでステータスの上昇値がドラクエ基準の5倍以上★ しかもジョブレベル2なのに当然の様に無属性魔法:念動が使えるとい…
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