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プロローグ 水たまりの景色
君はこんな話を聞いたことはないだろうか?
水たまりに足をつっこんだ少女が、水たまりに引き込まれて、どこかへ消えたという噂話を。
その少女は僕の幼馴染みであり、まだ付き合い始めて二ヶ月の恋人だった。
お互いを意識するあまり、まだ手すら繋げていない。
今は思う、どうして手を繋いでいなかったのかと。
彼女が消えた水たまりを踏んでも、何か起こることはなかった。
そして数日が過ぎ、彼女が消えた場所を歩いていると、前日は雨だったので、また水たまりができていた。
白猫が目の前を歩いている。
猫は水たまりを避けて歩いていたが、飛んできた枯れ葉に驚き、反射的に飛び退いた先が水たまりだった。
猫は水たまりの中へ引き込まれる。
僕は咄嗟に猫の胴体を掴んだ。
僕と猫は、水たまりへと引き込まれた。
現実とかけ離れた世界で、僕は目を覚ました。
周りは大きな建物で囲まれており、どこからか美味しそうな匂いがする。
ここは一体?