黄昏
空はきっと青い。
雲はきっと白い。
雨の匂いが少しする。
傘を持ってきて良かった。
お日様が目を瞑る。
お月様も出てこない。
お星様は流れない。
お願いが宙に消えてった。
友達の声が聞こえる。
僕を呼ぶ声だ。
ゆっくり体を起こして。
今日も一日が始まる。
08:35のチャイムが鳴る。
ドアががらりと開く。
先生の声と、椅子を引く音。
少し遅れて、誰かが立つ。
チョークの音が教室に響く。
シャープペンシルが紙を引っ掻く。
一ヶ所だけ音がしない。
寝てるのかな。寝息はしないけど。
友達に手を引かれて立つ。
一緒に歩いて、教室を出る。
多分、何となく上を向いた。
空はきっと、まだ青い。
お日様が目を瞑る。
お月様も出てこない。
お星様は流れない。
お願いが宙に消えてった。
僕は誰?
僕の手を引くあなたは誰?
それも分からないほどの黄昏。
きっと、僕だけの誰彼。