20200213
夜11時。
狭いアーケード街の中央広場。
周りに人はいなかった―――俺たち以外は。
そこにいるのは、俺を含む6人だけ。
そして、目の前にいるのは禍々しいオーラをまとった巨人。
「くそ、ここでケリつけないと終わるぞ!」
ハンマーを持った少年は叫んだ。
「はああぁ!」
刀を抜いた少女が敵に向かって突っ込んだ。
しかし敵の返り討ちにより、20メートルほど吹き飛ばされてしまう。
「貰った・・・!」
その隙に、ロッドを持った少年が敵の懐めがけて斬り込んだ。が、もう片方の腕でなぎ払われ、建物の壁に打ち付けられた。
しかし、打ち付けられた少年は笑みを浮かべた。
「・・・掛かったな」
そのとき、大剣を持った少女が上から降ってきた。
その手に握られているのは・・・長さが30メートルほどある「光の剣」。それを容赦なく敵に振りかざす。
「これでおしまいです!」
ヒットしたときの衝撃波で発生した砂埃が舞い上がり、一時巨人が見えなかった。あの大剣をまともに食らわせて、確実に倒せた・・・と持っていた。しかし、砂埃がなくなると・・・巨人の姿があった。
「ちっ。削りきれないのかよ!どんだけ強いんだこいつの「支配欲」は!」
「分からないけど・・・強すぎます!」
「リーダー、どうする?」
銃剣を肩に担いだ少女が聞いてきた。
みんなもう血まみれ。もうまともに戦うことは不可能だが、このままこの巨人を放っておくと街が破壊される。
最後の手段は・・・そう。唯一ダメージを受けておらず、後ろから銃で攻撃していた自分が倒すことだった。
俺は銃のマガジンを取り外した。
こいつをしたら、もう二度とこいつらと会話できないかもしれない。もう二度と遊べないかもしれない。もう二度と・・・共に笑えないかもしれない。
でも・・・今回は。不安に反逆する自分が勝利した。
マガジンに一発の弾をこめて再びセットする。
そして・・・
その銃口を自らの頭に押し付けた。
「お、おい・・・バカな真似はよせ!」
「敵前から来てる!」
「・・・やめろ!」
「リーダー、やめてください!」
無理だ。俺はもう心の引き金を引いている。
「やめて・・・!優!」
最後に彼女の声が聞こえたが。おそいんだよ。
俺はもう止まらない。
・・・いや。
止められない。