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偽るキスと恋心  作者: ハルカ カズラ
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5.夢か幻か

               5.夢か幻か



「……ただいま。ふわぁ~~」


 オールとはカラオケのことだった。その前にさんざん連れ回され、歌い出したときは深夜だった。



「ミキタカくんって天然記念物なの?」


 そう言われたのは恐らく俺が流行り物はおろか、誰が人気で何が人気なのかを知らなかったことだからだ。単に興味が無かっただけで、こうまで言われて黙っていられなかった。


「知らないことが珍しいのか?」


「ん~……そんなことないけど、個性強いなぁ、と。何かいいね」


「……どうも」


 どうやら盛り上げ役でウザイ津田や、くらしんと違い、俺は別の意味で人気者らしい。何も考えてないだけなのに、女子人気は独り占めだった。くらしんがずっと羨ましがってた。


「お前は、乙川おとかわだったか?」


「覚えててくれた! マジで嬉しいんだけど」


「一度聞けば忘れない」


「そりゃひでえ! 女子限定能力かよ!?」


「悪ぃかよ」


くらしんは、いちいち突っ込みを入れてくる。そういう奴か。つまり野郎は皆、津田のようなお調子者らしい。


「ふははっ! 俺は泣かないぜ? 今なら許してやってもいい」


「で、乙川は……」


「おいぃ! 寂しいぞ、きき!」


「……んだよ? 津田みたいな奴は一人で十分なんだよ」


 さっきから大人しくしていると思っていたら、津田は寝ていた。遊びに来といて寝るとか、良い子かよ。


「お前は変わらねえな。だから女にモテるかもだけど、でも……いや、いいや」


「気になることを言いかけてやめるのマジでやめろ」


 何となく記憶の端過ぎる端に、こんな奴がいたことを思い出してきた。だからどうというわけでもなければ、こいつに教えることでも無いが。


「ごめん」


 その後は特に歌うでもなく、リクエストしまくりだった彼女たちは寝ていて、歌い手の無い映像と音だけが延々と流れていた。いちいち音を消してもだるいし、演奏中止を押すのも面倒だったのでそのままにしていた。そのままうとうとし始め、ほぼ全員が朝まで寝ていた。


 リクエスト分の映像音も無くなり、ルーム内の光と音だけがずっと鳴っていた。そんな時だった。ふと、微かに瞼を開けようとした時、俺は誰かにキスをされたらしい。ひよりか? それとも……?


 気にはなったが、眠気の方が勝ち俺はそのまま眠った。女子3人の内の誰かが俺にキスをしたかもしれない。それはなにを意味しているのか、俺には理解出来なかった。そのまま朝になり、自動的に解散したけど誰なのかが仮に分かっても、それがどういう気持ちなのかなんて俺には分からなかった。



「たかき! 朝帰りか? うるさく言わないけど、月1くらいにしとけよ? お前は姉ふたりに心配されてんだからな!」


「兄貴は心配しねえの?」


「俺は人のこと言えないからな」


「……なぁ、誰か知らねえけどさ、寝てる時にいきなりキスされたらどうすればいい?」


「おいおい、マジで!? なんてうらやま……いや、そうだな。あっちからしてきたんなら待ってりゃいんじゃね? そのうちに向こうから声かけて来るぜ。そしたらカマかけて返事すればいい」


「それは何? 好きとか嫌いとかってやつか?」


「それしかないだろ。気がない奴にキスなんてするわけがない。それか、何か企んでるかのどっちかだろ(適当だけど)」


「そうか、分かった。サンキュな、兄貴」


 大学に通ってる兄貴はその辺の話によく食いついて来る。それが役に立つかどうかは別にして、話しやすいのはいいことかもしれない。ま、その内分かるだろ。学校で誰か女子が声かけて来たら聞いてみるか。

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