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ダンスで生きるということ  作者: 何でも有屋(有屋 春)
9/20

問題です。ダンスショーケースの出演者のギャラはいくらでしょう?

現実はシビア。


家に帰ってきた俺の手にはなけなしの金で買った前売りチケットがあった。

こうなったら行くしかないだろう。別に知らない人と話に行くわけじゃない。見るだけ!見るだけなんだから!


そんなこんなでイベント当日になった。クラブに行くのなんて初めてだからどんな格好でいけばいいのか分からなかったが少しダボ目なジーンズ履いてればそれっぽい気がするという理由だけで緩めな格好にした。あとクラブ=怖いイメージだったがこのイベントは昼から始まって18時頃に終わるらしいので安全そう。なんとなくだけど。

しかしクラブ=夜なイメージだったけど昼のイベントもあるんだな。こういう所もまだまだ知らないことだらけだ。偏見でイメージしがちだけどこういうのは良くない、気をつけよう。


そんなことを考えてたら会場に着いた。外から見た感じはいたって普通のビルである。ここで合ってるんだろうか?とりあえず中に入ってみる。うわぁ、人むっちゃいる!うぉ!これがDJブースか!すご!カッコいい!まだショーケース始まってないのに踊ってる人たくさんいる!そんな感じで俺は興奮しっぱなしだった。


「おっ!有(屋)!初クラブはどうよ?」


俺に気づいた先生が声をかけてくれた。

「かなり興奮してます!外から見たら普通のビルなのに中に入るとストリートって感じがしてすごいカッコイイです!」

「アハハ(笑)そうだね。私も初めての時はそんな感じだったかな。でもまだまだ驚くよ?これからショーケースが始まるからね。そろそろ時間だからなるべくステージの近くにいると見やすいと思うよ」

「分かりました。先生が出て来るのを楽しみにスタンバっときます!」


そして初の生ショーケースである。かなりの数のショーケースを見たわけだがどれもカッコよかった。色んなジャンルのダンスがあったし、衣装も皆考えてるみたいで素敵だった。


その時俺は、こんな幸せな仕事があるんだなと思って感動してたわけだがイベントが終わった後にその考えは間違いだと思い知らされた。


「いや〜本当に来てよかったです!皆カッコいいし、先生が踊ってるときなんか会場、盛り上がってすごかったですね!」

「ありがとう。そう言って貰えると誘った甲斐があるよ。そういえばこの前の、ダンスを仕事にって考えには何か変化はあった?」

「え、それはまあ、、、魅力的な仕事だと思いました。まだ自分にこんなことが出来るのか自信はないですけど、、、」

「なるほどなるほど。実はこのイベントに誘ったのって理由があるんだけど何か分かる?」

「理由ですか?自分にダンスについてもっと知ってもらうためじゃないんですか?」

「合ってるよ。でも有はまだ理解してない。さて問題です。今日のダンサーのギャラはいくらでしょう?」


ギャラ?それすごい気になる!えーとお客さんはたくさん来てたみたいだけど出演者も多かったよな。出演者全員にお金を渡すとしたらものすごく少なくなるんじゃないか?あれ?場所代とかスタッフのお金もあるよな?あれれ?全然計算が合わない。


「もしかして、、ノーギャラですか?」

「ブブ〜!残念でした。正解はチケットノルマ五枚です!」


?チケットノルマ?それって、、


「それって、ノーギャラな上に出演者がチケット5枚買って集客してるってことですか?」

「正解。今日出演してた人は主催者以外は皆そうだよ。つまりお金を払って出演してるの」

「え?でもそれってなんの意味が?」

「しょうがないんだよ。皆、ショーに出る方法がまだないの。でも出なきゃ知ってもらえないし経験も積めない。だからお金を払ってでもイベントに出る。どう?なかなかシビアな世界でしょ?有はまだダンスについて知らないことが多いし就職時期だからもうあんまり悩む時間もないからこういう世界だって早めに見せておきたかったんだ」


先生、すごい考えてくれてたんだな。なんて良い先生なんだろう、俺ちょっと泣きそう。。


「あと、ノルマのチケットがさばけてなかったからチケット買ってもらわなきゃって必死だった」


、、この野郎、、、


いや、でもイベントは楽しかったし現実を知れてよかった。確かに俺は甘く考えてたみたいだ。まだまだ知らないことがいっぱいある。時間もあんまりない。それでも。もう少し、ダンスについて探索をしていこう。





いつも読んでくださりありがとうございます。


下っ端ダンサーってノーギャラで出演や、チケットノルマを課せられることがよくあります。自分はそれを知った時かなり衝撃的でした。ショーを魅せる側がお金を払う、それはもう1000円あげるからダンス見てくださいって言ってるようなもんなんじゃないだろうかと。

でもその通りなんです。有名じゃない限り、見にくるお客さんなんていない。下っ端は見に来てもらえないところからスタートなんです。

そういうのは主催者が考え計画する部分じゃないのか!とも思うし、まだ自分未熟だしな、とも思うし人それぞれの意見があると思います。

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