ダンスは芸術
極度の人見知りということもあり就職のことなんて考える余裕もなかった主人公ですが、時間は過ぎていくもので学生の皆の話は就職や進学について。もはや逃げてばかりもいられんということで将来について考えていきます。
次の日、寝不足のまま学校に行くと授業中ひたすた眠った。
健全な学生ライフを午前中過ごした後(←違う)昼休みには珍しく気遣い屋の山田グループと飯を食べた。
「有屋は就職はどうすんの?」
「いや、特に考えてないけど」
「いやいや、もう9月終わるよ?皆、就職先決まっててるしそろそろ考えないとまずいでしょ」
うーむ。確かにそうなんだけど就職なんて俺に出来るんだろうか。出来たとしても仕事云々よりコミュニケーションが問題だし。でもなーさすがに考えないとまずいよね。俺は何がしたいんだろ?ダンスは好きだけどこれって仕事に出来るものなんだろうか?
そんなことを話して昼休みは終わった。午後の授業中はちゃんと寝らずに将来について考えた。(←惜しい!だから授業受けろよ!)
将来の夢なんて特にないし、俺は自分自身で精一杯なんだ。でも、、だからといってこのままでいいわけじゃないし。。。ダンス、ダンスを仕事に、、んー、、、、
その日はちょうどダンスレッスンの日だったのでレッスン終わりにアフロ先生にダンスの仕事について聞いてみた。
「先生、ダンスの仕事について聞いてみたいんですが大丈夫でしょうか?」
「うん?急にどうしたの?」
そこで俺は学校では話せなかった極度の人見知りで就職しても心配なこと。特に将来の夢がないこと、ダンスの仕事に興味があったので聞いてみたかったことを話した。
ダンスについて聞くだけのつもりが極度の人見知りについても話したのは学校の人には相談しづらかったからである。
なんとなくアフロ先生なら笑わずに話を聞いてくれると思ったのである。
「なるほどね。人見知りについては驚いたな」
「え?なんでですか?」
「いや、だって私にいつも質問責めするし(笑)」
確かに!ダンスが上手くなりたい一心で恥ずかしいとか考えてなかった!!!
「それでダンスについてだけど、無茶苦茶大変だよ。サラリーマンと違って収入が安定してないし、会社に属するわけじゃないから社会保険なんかもない。これは学生の君には分かりにくいかもしれないけどすごく重要なことだよ。あとはダンサーとして食べていける人はごく一部だということ。そこそこ有名な人でも掛け持ちで仕事してる人が大半だからね。私も掛け持ちだよ」
「え?先生他にも仕事してるんですか!」
「そだよー。ちゃんとOLもしてるんだよ」
意外だった。あんなにダンスが上手い先生もダンスだけでは生きていけないのか。しかもOLということはダンスがサブの仕事かな。
うわ〜ダンスを仕事にするってかなりハードな選択なんだな。
「ダンスって意外と大変そうでしょ。でも楽しいこともたくさんあるよ。ダンスはスポーツと思われがちだけど私は芸術に近いものだと思ってる。スポーツみたいに体作りも大事だけど一番は人に見てもらって感動してもらうことが主体だから。だから自分にしかない芸術で魅せて感動してもらってお金をもらう。こういう感動はサラリーマンみたいな仕事にはないからね。あとはこうやってレッスンで教えてる生徒が成長していくのも幸せだよ」
「あ、ありがとうございます!」
なんだか面と向かって言われると恥ずかしい。もっとダンス頑張ろう。
そうかぁ〜ダンスは芸術かぁ。確かにそうかも。そう考えるとさらに難しい職業だと実感するとともに楽しさも倍なのかなと思った。
ダンスを仕事になんてまだ下手な俺は考えれないけどそういう選択もあるんだと意識しておこう。
「先生、ありがとうございました。まだどうするか決めれませんが考えてみようと思います」
「うん!ゆっくり考えたらいいよ。大事なことだし。あっそうだ。今週の土曜日ダンスイベントで私踊るから見に来ない?ダンスがどういうものか少しは参考になるかも!」
「え?ダンスイベントですか?はい!是非行きたいです!!」
「よし!じゃあ土曜に〇〇のクラブに集合ね!」
「、、、、、、え?、、、、、」
そこは都会だし、クラブなんて行ったことないし、人見知りだし、服装どうしたらいいか分かんないし、ないし、ないし、、
そうやって頭がパンクして気づいたら俺は家に帰ってきていた。どうしよう!俺!!
ダンスは芸術。最初の頃は作者はそんな風には考えていませんでしたが、ダンスは創作でありスポーツと違ってこうしたら勝ちというものがありません。結果は相手の価値観が決める。正に芸術ではないでしょうか。
その分、シビアなわけですが、、、、。
そういえばやっとこさ主人公の名前が出てきました。ペンネームをそのまま主人公の名前にしましたが特に意味はありません。