知らないことを知るのが大事
ダンスで生きると決めたわけだが何故か俺は学校の先生に怒られていた。
「有屋、お前なぁ。ダンスで生きるって何を考えとるんだ?クラスの皆は就職活動で頑張ってるんだぞ!来年には社会人なんだから子供みたいな考えやめて早く就職先を決めないか!」
「えーと、すいません。何が問題なんでしょうか?」
「なにがって、、、ダンスを仕事にするなんて簡単なことじゃないんだぞ!どうせ趣味で踊ってるだけでお金がもらえるからとか思ってるんだろ?」
「簡単だとは思ってません。仕事に出来るかも分かりませんし。でも試さないで諦めるのは良くないと思ったので」
「試して駄目だったらどうするんだ!親だってお前のためを思って学費を払ってきたんだぞ!それなのにダンサーになりたいだなんて言われたら可哀想だろ!」
「ダンサーになりたいということがそんなに悪いことでしょうか?仕事にかわりはないと思うのですが?」
「きちんとした仕事じゃないだろうが!そんな遊びみたいなのじゃなくてきちんとした皆と同じような仕事にしなさい!」
その後も先生と話し合ったわけだが先生はダンスについて偏見を持っているように感じた。言ってることは分からなくもないんだがなんだか学校都合の部分もある気がするんだよな。卒業生が何人就職や進学をしたかって学校側は大事だと思うし。そんな感じで話の決着はつかないままその日は終わった。
家に帰ってからどう先生を説得しようか考えていたが答えは見つからない。まあ、説得できなくても従う必要はないから問題じゃないっちゃないんだけど。そんなことを考えていると親が帰ってきた。
!そうだ!親に理解してもらえば先生を説得出来るかも!それから親にダンサーになりたい話をしたんだがまさかの否定的な答えが返ってきた。
「ダンサーになりたいってあなた、ダンス始めたばかりじゃない!始めたばかりでそんな簡単にいくわけないでしょ!」
「確かにそうだけどそれでもやりたい仕事なんだ。簡単に出来るとは思ってないけど努力するし」
「努力で出来るものじゃないの!稼げない間はどうするの?お金なんて出さないからね」
「出来るかは確かに分からないけどやってみたいんだよ。お金はアルバイトするから」
「それでダンサーになれなかったらどうするの!学校卒業してアルバイトしかしてないような人は簡単には就職できないわよ!」
「いや、確かにそうかも知れないけどそれを分かってる上でやりたいんだ」
「駄目です!分かってるように思ってるみたいだけどきちんと分かってないよ。今はまだ分からないかも知れないけど歳をとっていけば私の言ってることが正しかったって分かるから今は私に従いなさい!」
という感じで親からも反対されてしまった。こんなに否定されるとは思ってなかったな。
ダンサーってそんなに悪い選択だろうか?簡単じゃないと思うけど別に悪徳業者じゃないんだから反対しなくていいじゃないか!
学校の先生にも親にも反対されて俺はどうすればいいんだ。話した感じ説得出来る自信ないぞ。
そういえば、、ハルさん(ダンスの先生)はどんな風にダンスを始めたのかな?今はOLしながらダンスしてるけど最初からそうだったのかな?てかそうか。サラリーマンしながらでもダンスは出来るのか。それってどうなんだろ?俺は仕事すらしたことないからな、、
次のダンスレッスンの日。
俺はハルさんにダンスを仕事にしたいこと、親や学校の先生に反対されていることを相談した。
「なるほど。まあ確かに反対されるだろうね。ダンスって知らない人には仕事してるように見えにくいし安定してないのは確かだから」
「まあそうですけど。でも簡単な気持ちで決めたわけじゃないしやってみて駄目ならそれからサラリーマンになってもいいんじゃないかと思うんですよね。そういえば先生はどんな風にダンスの仕事をするようになったんですか?」
「んー私は有と違って小さい頃からダンスやってて大学生の頃からダンスのインストラクター(講師)してたけどダンスを仕事にするのは難しいって思ってさ、それでもダンスが好きだからOLしながらダンスすることにしたんだ。ダンスだけで食べていけれるようになったらOLを辞めればいいし、ダンスで食べていけなければ趣味としてやっていけばいいと思ったから」
「なるほど。でもOLをしながらダンスをメインの仕事に変えていけるものなんですか?練習量とか足りなくならないんでしょうか?」
「そういう風に考えるか。なるほどなるほど。じゃあ、もし私がOLをやらずにダンスをしていくとしたらダンスだけで食べていけない間はどうする?」
「え、、と、インストラクターと後はバイトをしながらダンスをするんじゃないでしょうか?」
「じゃあバイトとインストラクターで食べていくにはどのくらい働けばいいか計算してみよう。
まずは必要なお金がいくらかってとこからね」
家賃5万
食費3万
交通費2万
保険約4万ぐらいかな。
ダンスレッスン代が3万ぐらい。
あとは携帯代とか遊びとか色々なものに5万くらいかな。合計で約22万。
「結構いりますね。保険ってそんなに高いんですか?」
「うん。年金とかは正社員になると会社が半分負担してくれるけどそうじゃない場合の計算だから。あと私は他にも保険入ってるから。それに有にはまだ分からないだろうけど社会人になるとお金が必要になることは多いよ。友達の結婚式に呼ばれた時や葬式の時とかね。だからギリギリのお金で生活してると何かあった時に困ることになるよ。そういうのを考えるとこのくらいないと厳しいかな。家賃をもっと安いとこに住んで食費や遊びのお金を抑えれば15万でもいけるかもね」
うわー社会人ってかなりお金いるんだな。。。
「じゃあ次にバイトでどのぐらい働かなきゃいけないかね。必要な金額を抑えた金額の15万で計算してみよう。イントラの収入が5万だからあと10万必要だね。時給は分かりやすく1000円として大体100時間働くことになる。1日5時間の20日働く感じだね。これなら確かにダンスに使える時間は多いね」
「そうですね!これなら問題ないですよね!」
「ギリギリの生活ならね。でもね、プロのダンサーになりたいならイベントにはたくさん参加した方がいいし、ダンスバトルやコンテストにも出なきゃいけない。レッスンだってたくさん受けなきゃ上手くならないよ。だから抑えた金額だと練習する時間が多くても出来るのは自己練習ぐらいになるの。でね、もっとお金を稼ごうと思ったら一日8時間ぐらいはバイトしなきゃいけないわけなんだけどこのぐらいになるとね、勤務時間の短い会社なら正社員とそんなに変わらないくらいの時間になるの。そして正社員なら保険は半分の負担でいいしボーナスや有給休暇もある。そう考えるとそんなにバイトをする理由がないんだよ」
「、、、、、、、、」
今までダンスの時間ばかり気にしてたけど確かにお金がないとレッスンを受けれないしイベントにもいけない。ギリギリ生活できるお金があればいいと思ってたけど違うんだ。生活できるお金+ダンスに対してのお金がかなりいる。なんで気付かなかったんだろう。。
「ちょっと凹んでる?気にしなくていいと思うよ。有はまだ知らないことだらけなんだよ。社会人になって必要なお金とかダンスについても。それにバイトしながらプロのダンサーを目指してる人もたくさんいるからね。どれが正解かは自分で決めるといいよ」
「ありがとうございます。ほんと、自分は知らないことだらけですね。先生にはいつも教えてもらってばかりですいません」
「あほ!私のが年上なんだから当たり前でしょ。でもまあ、そういう気持ちがあるなら有が大人になったら今度は私と同じように誰かの助けになりな!」
「、、、分かりました。そうします」
先生に助けてもらったのに恩を先生に返さなくていいんだろうか。でも先生はそういうものだと言った。見返りが欲しくて相談に乗ってるわけじゃないんだから助けてもらった分は次の誰かを助けるために使うものなのだと。
先生は本当に出来た人間だよ。このレッスンを受けるようになって本当に良かった。先生に出会え、、
「でもノルマチケット売れない時は買ってね」
、、、せんせい、感動のまま家に帰らせてくださいよ、、、
自分でハル先生いい人だななんて思いながら書きました(笑)最後の文は昔、食堂のおばちゃんが言ってたことでして、お世話になった恩を返すのは相手が困ってない限り出来ないものなんだよ、だから助けてもらった分、困っている人を助けなさいと教えていただきました。おばちゃん元気かなぁ。




