春1話
〜4月〜
「夏絵子!起きて!」
「ん〜・・・・・。」
「ほら、早く!今日は入学式でしょ?」
「分かってる〜・・・・・・・ふぁぁぁ〜・・・・。」
私(鳥居 夏絵子)は今日中学に入学する。卒業したあとなんとなく過ごしてきた春休み。でもそれも昨日でお終い。だって今日から中学が始まるんだもん。卒業したっていう感じは全くなかった。ただ、長いお休みがあって今日皆に会う。そんな感じだった。でも、
「いない人もいるんだよね・・・。」
そう。中学は違う子もいるのだ。受験というものをして他の学校に行く子達。それに、クラスも全部変わる。今までのクラスとは違う。同じ学校の人は何人かだけ。あとは他の学校の人。本当のことを言うと凄く心配だ。でも、しょうがない。
「夏絵子!ほら!バスに乗り遅れちゃうよ!早くしたくする!」
「はぁ〜い。」
小学生のときから朝はこんな感じ。私、何故かよく友達にマイペースって言われるんだよねぇ・・・。ま、気にしないからいいんだけど。
そんな感じで私は中学に向かった。
「夏絵子おはよう!」
中学の校門を過ぎたところで声をかけられた。
そばにお母さんがいたけど、お母さんはそれを見て、
「私、先に体育館に行ってるからね。」
と、言って体育館に行った。
「おはよう、葵!」
葵―大場 葵は小学生のときの大親友の一人。私には大親友が2人いるんだ。なんだかウサギみたいにふわっとしてて優しい感じの子。でも、それは外見だけで中身は色々なことをはっきり言っちゃうタイプ。それで天然も入ってるんだ。もちろん優しいところもたくさんあるよ!
「今日、クラスが一緒になるといいね!」
葵は笑顔で言った。私は葵の笑顔が大好きなんだ。キラキラ光っているように見えるから。
「うん。きっとなれるよ。」
私がそういったとき、
「葵〜!夏絵子〜!」
ちょっと前で大きく手を振っている女の子がいた。
「あっ!春だ!お〜い。」
そう、前の方で手を振っているのは久保 春菜だった。春も小学生のときの大親友。見た目は男の子みたいだけど、中身は女の子。いつも理想の人とか恋の話をしてくれるんだ。自分の気持ちにとっても素直な子なんだよ。私達はそんな春菜を春と呼んでいる。
「おはよう!」
春は私達のほうへ駆け寄ってきてそう言った。
「おはよう。」
「おはよう。」
私と葵はそう言い返した。
「あのさ、クラスが書いてある紙、もらってきた??」
「ううん。もう、配られてるの?」
「うん。ウチもまだなんだ。3人でとりに行こうよ。」
「いいよ。」
そういって私達は紙を配っている先生みたいな人のほうへ行った。