災難14 病弱不審
ここで一旦整理しよう。いや、少し落ち着いたほうがいいかもしれない。今更なんだが、俺は最初から今まで猛スピードでモノローグを語っていたのかもしれない。最初から波久礼たちに会っていたからだろうか? 息つく暇もなかった気がする。
「ふぅ……」
風呂を出てもの凄く実坂井に謝ったあと、俺は実坂井に個室を使わせて置いて、俺は自室のベッドでのんびりしていた。
「しっかし、今日は一段と疲れたな……」
いつもなら、事故に遭いそうな人がいない限り暇しているのだが、今日はいつもと違って疲れが半端ない。
さて、ここらで今日の出来事を思い出してみよう。
1おばあちゃんに代わって交通事故に遭う。
2その後、川で溺れて水難事故。
3実坂井の代わりに交通事故に遭う。
4波久礼と雨宮とふざける。
5トイレで実坂井の胸を揉む。
6長時間カバンを探す。
7実坂井が交通事故に遭いそうになり、俺は空中を足で泳いだ。
8風呂で大惨事。
俺はどう言葉にしていいんだ? 事故お疲れ様と言えばいいのか? それとも、イベントお疲れ様と言えばいいのか? どちらにしても、あまりよろしくないように思える。
「はぁ……」
ベッドの上で転がりながら、ため息をつく俺。
「どーして俺は実坂井と一緒にいるんだ?」
ふと、そんなことを思ってしまった。
多分まだ友達ができていないからだろう。俺とは最初の交通事故で面識がある。だから、実坂井も俺を認めてついてきているんだと思う。今日は確かに俺と雨宮、そして波久礼としか話してないからな……。
実坂井って意外に人見知りなのか?
まだ会ったばかりだからアイツの本性がわからない。ほぼ一瞬のうちに敬語ではなくなったが、おとなしい感じの口調。だが、ハプニングなどが起こると口調は一変。なんだかツンデレ風味に変わってしまっている気がする。
されば、ハプニング時の実坂井が本当の実坂井ということになるのではないだろうか? 人は、つい自分の思い通りにならない時や、焦ったときにその人の本性が現れると聞いたことがある。という事は、やはり実坂井の本性はツンデレ……。
まあ、勝手に決めるのは良くないがな。
でも、まだ俺に本性を隠しているということは、まだ俺を友達と認めていないってことなのかもしれない。実坂井の本性を知りたければ、早く親しくなる必要があるようだな。
でも…………
俺は、体の動きを止め、仰向けになったまま天井を見上げながらふと思った。親しくなるためには――俺のこの『病』も教えてやらなくちゃいけないのかな?
と――――――