41話:ランクアップ試験の準備
感想の御返事は次回の話で行います。今回から再び本編が始まります
愁はランクアップ試験までの間、神に呼び出されるという予想外な事態が起きても今までと何ら変わりなく迷宮に潜ってハクとルナに渡すための剣術と短剣術のスキル、魔法関連のスキル、使えそうなスキルを集めた。結果として剣術はⅤ、短剣術はⅣになって二刀流Ⅱ、炎魔法Ⅱ、風魔法Ⅱ、水魔法Ⅱ、土魔法Ⅱ、光魔法Ⅰ、闇魔法Ⅰ、治癒魔法Ⅱを手に入れた。
ランクアップ試験の前日の迷宮が終わってから家に帰った愁とハクとルナは晩御飯を済ませた後に明日のランクアップ試験の作戦を練ろうとしていた。
「とりあえず試験中は俺とルナが前衛だ。ハクは後衛を任せていいか?警戒は俺が探知を使って行うが万が一の時のためにハクも探知を使っていてくれ。基本的に俺とルナは物理攻撃をメインで、ハクは魔法による遠距離で頼む」
「畏まりました、御主人様」
「そしてスキルを今から渡す。まずハクに剣術Ⅴを、ルナには短剣術Ⅳと二刀流Ⅱとボックスだ。スキルトランスファー」
そう言って愁はハクとルナにスキルを渡してもっとも重要な事を言い始めた。
「試験中はリムさんがいるから俺は全力を出せない。多分紅鴉さえも使わないと思う。基本的にグレイブさんが作ってくれた武器をメインに使うつもりだ。そしてその武器が剣だった場合は問題ないんだが、剣以外だった場合は魔銀の剣か聖銀の剣を使うつもりだ」
「シュウさん、なんで剣以外を使わないんですか?」
最もな疑問をルナがぶつけてくる。
「俺の偽造のステータスには剣術しかないからな。それ以外の武器も問題なく使ってたらとんでもなく怪しいだろう?」
「なるほど!」
頭に光った電球が見えそうな表情で納得するルナ。
「他に質問はあるか?」
「御主人様、お一つ宜しいでしょうか?」
ハクが愁に問いかける。
「構わないよ、どうしたの?」
「もしも5階層のボスがユニークモンスターだった場合はどうされるのですか?」
ユニークモンスター。迷宮の5の倍数の階にいるボスが極稀に突然変異や絶滅危惧による種の存続のための進化等の理由により極稀にボスモンスターが普段の外見と違う場合がある。例を挙げて説明をすると、今回の試験における5階層の突破で5階層のボスは普段はゴブリンメイジ、ゴブリンヒーラー、ゴブリン×3の計5体との同時戦闘であるが、ユニークモンスターだった場合、その強さが一気に5倍近くになるため「ユニークモンスターが出て来たら全力で逃げろ」と言う格言が存在するほどである。しかしユニークモンスターを撃退すると超高額のドロップアイテムと討伐したのがパーティーの場合はパーティーネームが、個人の場合は二つ名がつく。今現在アイリスのパーマナリア大国における二つ名所持者はおらず、パーティーネームを持つパーティーは1つしか存在しない。
「ユニークモンスターかー・・・その時は俺が全力で倒すよ。リムさんにばれちゃうだろうけどそろそろ俺にも叶えたい事があるからさ、それの実現のための資金にするよ」
「わかりました。じゃあ明日に備えて御主人様は早めに御就寝して下さい」
「うん。じゃあ寝るよ。おやすみ、ハク、ルナ」
「おやすみなさいです、御主人様」
「シュウさん、おやすみなさいです~」
そう言われて俺は自分の部屋にあるベッドで眠りについた。
―――…――…――-
翌朝早くに目が覚めた愁は準備のためにスキルの合成を行い始めた。使う事はないと思われるが、もしもの時のために行う事にしたのだ。
炎魔法と土魔法を合成してメテオレイン、水魔法と光魔法を合成してクリスタロス、風魔法と闇魔法を合成してグラビティープレス、ヘルフレアとダークフレアでダークヘルフレアを作り上げた。
メテオレイン。炎を纏った岩が範囲内にいくつもとんでいく大規模破壊魔法。着弾すると同時に爆発して辺りを炎に包む付属効果付き。
クリスタロス。非常に浄化作用の強い水を意のままに操れる。人間に対しての害はないが、魔物や魔族に対してはとんでもない威力を発揮する。
グラビティープレス。範囲内の物に任意の重力を掛ける事が出来る大規模破壊魔法。他のラノベとかで言う重力魔法。
ダークヘルフレア。範囲内を一瞬で灰すら燃やす黒炎を発生させる魔法。ダークフレアに比べて炎の温度、威力、消費魔力効率が向上。
そんな感じでスキルを作っているとハクとルナが目を覚まし朝食を作ってくれた。朝食を食べた後、3人でグレイブの武器屋へと向かった。
―――…――…――-
「グレイブさん、フロスガーさん、武器出来上がってますか?」
「おぅ、坊主か。ばっちりだ。今までに作った武器の中で最高傑作と言える出来だ。受け取れ!」
そう言ってグレイブは奥から槍を持ってきた。
全長約1.7m、色は柄の部分が真紅で、他は漆黒である。そして柄の下の部分には以前持って行った闇の魔石がある。つまりこれは魔剣ならぬ魔槍である。刃の部分は三つ叉になっていた。イメージとしてはポセイドンが持つような槍の形を想像してもらえるといい。
「軽く使ってみても良いですか?」
「もちろん」
グレイブに許可を貰って振るってみると、見た目とは裏腹に驚くほど軽い。まるで手の延長上であると錯覚するほど馴染む。
「なんて言えば良いんだろう・・・素晴らしいという言葉じゃ物足りない程良い品です」
「おぅ。良い仕事させて貰ったぜ!今度使った感想聞かせてくれよ?」
「もちろんです。では失礼します。今日はありがとうございました」
そう言って愁とハクとルナはランクアップ試験のためにギルドへと向かった。
最後まで読んで頂きありがとう御座います!
次の話は早ければ本日中、遅くても明日には投稿する予定です。




